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【わかりやすいマニュアルの作り方】第202回電気用品安全法(電安法)の解釈を見直し(5)-反面の危険は?

前回大ネタのトリと書いてしまいましたが、引っ張ってしまい申し訳ありません。
実際のところ確認してみると既にこの機能に対応した家電製品が発売されていることが分かったのでさらにまた1回伸びるということになってしまいました。
仕事のスケジュールだったら、間違いなくクレームの嵐ですね。

今回は、前回書いたのとは逆で、電気用品安全法(電安法)の解釈の改正によってどのような危険が考えられるかについて書いてみようと思います。

しつこいようですが、今回の追加内容は、「今までは電気回線か赤外線でしか操作ができなかったリモコンを、通信回線を通じて操作できるように変更した」ということです。

今回も思った以上に長くなってしまいました。
本原稿が予想の二倍ぐらいのサイズになってしまったので、分割してアップロードすることにします申し訳ありません。

■操作対象からのフィードバック

今回のような解釈の見直しがあった背景としては、スマートフォンの普及により、操作をした結果がどのようになったのか、フィードバックを確認できるようになったというのが最大の原因です。
また、スマートフォン側にしても汎用のOSが普及し、AndroidもしくはiOS向けのアプリを作れば、それだけで済んでしまうという、これまでのそれぞれの携帯電話に対応する必要があった開発に比べるとかなり開発が楽になった、また多機種に対応できるようになったと言うように条件が整ったということがあげられると思います。

「フィードバックが必要」と言われても、エンジニアの方以外にはイメージしづらいでしょうから、フィードバックとはどういうことか簡単に説明します。
ここでは一例としてエアコンを考えてみます。

フィードバックがない場合はどのように、エアコンを操作することになるでしょうか?

  1. 携帯電話でエアコンをオンにします。
  2. 携帯電話を見てもエアコンがオンかどうか、あるいは室内の気温が何度かといったことはちっともわかりません。

したがって自分の記憶やメモによって、エアコンのオンオフを操作する必要があります。
はっきり言って使い物にならない。ときっぱり言い切ってしまってよいでしょう

それに対して、フィードバックがある場合はどのようになるでしょうか。

  1. 携帯電話でエアコンをオンにします。
  2. 携帯電話にエアコンの状態が表示されます。またエアコンにセンサーが搭載されていれば室内の気温も同時に表示されます。
    エアコンの状態と室内の状態を確認して、エアコンのオンオフの操作を行います。

フィードバックがない場合というのを書きましたが、実際にはこういったものを作るとは考えられません。上にも書いたように実用的でないからです。
かといって、一般的なスマートフォン以外の携帯電話では、機種別にソフトウェアを開発する必要があります。そんなことをしていては、とてもではありませんがコスト的に引きあいません。

●スマートフォンの家電リモコンとセキュリティ

対応方法としてHTMLを使用してサイトを作って対応といった方法も考えられますが、その場合はセキュリティの面が大変に不安なので、やはりこちらも実用的ではありません。
セキュリティが不安というのは簡単に言うと、誰かに勝手に家のエアコンをオンにされちゃったりするということです。とても嫌なことだと思います。…少なくとも私はそんな家電は使いたくありません。
したがってどう考えても、HTMLではなく専用のアプリケーションが必要という点は動かせないと思います。

●通信環境とフィードバック

フィードバックの問題は、通信環境が信頼がおける必要があるということでもあります。
どういうことかというと、これも問題としては簡単で、「スイッチをオンにできたのかどうかがちっともわからないリモコン」は、当てにならなくて誰も使いたいとは思わないでしょう。
当然、家電本体およびリモコンどちらの通信環境もリトライなどを行える環境が必要になってくるわけですが、これらがきちんとしたシステム上にないと、とてもではないですが実用になりません。
そうなると、フィードバックが正しく表示できていない場合には、指示した操作ではなく、安全な操作が実行されるということになるはずです。もちろん事故が発生するよりも良いことですが、そんな操作が行われると不満がだんだん溜まっていく事は間違いありません。

●フィードバックとセキュリティ

さらにフィードバックの問題は通信環境のセキュリティの問題に直結します。
誰だって自宅内の冷蔵庫や洗濯機やエアコンを誰か他人に勝手に操作されたいとは思いませんよね。
さらに上に挙げたフィードバックが行われることを前提にすると、家電からのフィードバックを得るだけでも、家の中に人がいそうかどうかといった事は簡単に推測できるようになってしまうのです。
極端に言えば家庭内のセキュリティー機器、たとえばwebカメラのようなものも操作できるようになります。他人が勝手に家庭内を覗くことができるかもしれない、というのはとても不愉快だと思います。もちろん危険も発生します。

さて極めて残念ながら、ここからまた同じくらいの分量のテキストを書いてしまいまして、ブログの一回のアップにはあまりにも大きすぎると思われたため二回に分割してアップすることにしました。
したがって今回はここまでです、次回をお楽しみにお願いいたします。

■リンク

最後にやっぱりもう一度リンクを貼っておきます。

経済産業省>消費者政策>製品安全ガイド>電気用品安全法のページ>(3)解釈・Q&A

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku.htm

電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の一部改正について(20130424商局第1号)

http:www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/kaiseibun20130510.pdf

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