最初は単なる違和感だった。「報道などに出てくる60歳代の貯蓄額 平均値、中央値などがまるで実感に合わない、なんだこれは?」と感じた。
ちなみに、数字は以下。
60歳代の二人以上世帯:平均2,683万円・中央値1,400万円
単身世帯:平均1,364万円・中央値300万円
そこで、AIに公式のデータから100万円単位でのヒストグラムを作成してと頼んでみた。ほとんど興味本位だ。
いくつか作り直して、最終的に出来上がったスクリプトは以下の通り。このスクリプトは同じ文言を投げると、どのAIでもも作ってくれるはず。
100万円未満は活費のみとして、逆に3000万以上は余裕だから一括にまとめてもらいました。
「公的機関またはそれに準じる機関が作成したデータを元に作図し、図に引用元を付けて。条件は以下。
100万円単位でのヒストグラム。100万円未満と3000万以上1人暮らし世帯と2人暮らし世帯を1つの縦棒内に足し合わせてそれぞれを色分けをつけたヒストグラムを作って。データの参照元も付けて。」

なんだこれ? 「100万円未満」の壁がガツンとそびえ立っている一方で、そこから先は地を這うように低くなり、最後の「3,000万円以上」で突然またドカンと跳ね上がる……
上の平均値・中央値からは想像もつかない「普通の真ん中の人が薄い、極端な二極化(U字型の分布)」の見本のようなグラフが表示された。
これでは…統計的な平均値も中央値も実感とは全く違うじゃないか…
違和感の正体はこれだった。
ヒストグラムの見方
上の二極化グラフから読み取れるのは次の2点だ。
① 平均値は左端(ほぼゼロ)と右端(3000万円以上)が引っ張り合ってできたような数値(←厳密ではありません)で、中央に高い山があるという普通の平均値の感覚とまったく異なっている。
② 中央値は「極めて薄い層ヶを示しているだけで、一般にイメージされる「その層が一番厚い」という意味ではない。
こういう見方は統計学を学んだ人からは当然のことだろう。
政府の言う「貯蓄から投資へ」は、投資は生活費以外の余裕資金で行うものだから左端の世帯には役に立たない。
マスコミやYouTubeで盛んに言われる「老後資金の蓄え方」は中央の層がそもそもほとんど存在しないから、単に不安を煽っているだけで役に立っていない。
…と言った金融や資産の話は取扱屋には苦手分野なので、「AIを使った統計データの調査」について話を飛ばします。
AIで一次ソースを調査
ここで取扱屋が強く言いたいのは「生データ、一次ソースを参照して」だ。
このヒストグラムだけでは、まだ何かを言える程のことはないが、「データはこう見ないといけない」という取扱屋の心からの叫びを心の隅に置いておいて欲しい。
発表されている平均値・中央値だけではなく、違和感を持ったら生データにあたって欲しい。
「平均値・中央値がこう発表されているが、どうも実感と違う様な気がする、元のデータからどうしてこんな違和感があるのか推測して」と言えば、先程のような分布図の提案を示してくれるはずだ。
AIを使った調査の実例
今までは統計学の専門家が調べないとできなかったことが、AIを使って一般の人でも実際にやれるようになった。
実際としては以下の通り。
①「平均1200万円? 実感と違うな」
② AIに元データを公式データと指定してヒストグラムを作らせた
ここは、僕は統計の知識があったので直接ヒストグラムと進んだが、違和感だけなら。上に書いた方法でOKです。
③「おお、こういう分布だったのか」
今回は、ここまで大体30分で終わっています。
僕の知っているのは統計の基礎までで、どんなデータが必要で、どこに行ってどのデータを調べればデータがあるのか、さらに数字を再入力してチャート作成などはやりたくありません。
大学に行って教授に「どのデータを見れば良い?」と聞き、図書館に行って資料を探してコピーをして、コピーミスやヌケがあってもう一度図書館に行き、コピーからPCにデータを入力してExcelでチャートを作るなんてことをやっていたら1週間ではすみません。
途中のデータ入力でデータの傾向は見えてしまって、公表用のチャート作成はやめてしまう可能性が大きい。
途中のデータ入力でデータの傾向は見えてしまって、公表用のチャート作成はやめてしまう可能性が大きい。
その結果を見て、
「あれ? ニュースで聞いていた話とずいぶん違う」となる。そこで正しいデータという武器を持って次の場に進めるようになる。
データもツールもある!
公表されている公式データはある。昔の2ちゃんねるなら「ググれ、カス!」である。
でも、どこにあるのかを探り出すのは、わかりにくいサイトの中を必死で探し回らないと見つからない。
データが出てきてもPDFだったり、ただの表データだったりして理解するのには自力での理解が必要。しかも、発表用にはまた面倒な加工が必要だった。
今までなら面倒すぎて調べなかったことを、調べられるようになった。
データ(インターネット)も解析するためのツール(AI)も手元にあるから自分で生データに当たろう! である。
そして、 AIに結論を聞かず、加工させた自分で見て判断する。
もちろん、「こう判断したがどうか?」と確認しても良い。

まとめられたデータは確認する
統計データを見るときには記事に「比率」が書いてあったら「実数」を見る、「実数」が書いてあれば、「比率」を見る。これは基本だ。
いままでは「平均値を示されたら中央値を見ろ」と言われていましたが、今はデータもツールあるのだから、ヒストグラムにして分散の様子や山の形を確認できる。
さらに進むなら、その時系列を三次元グラフにして見ると、思わぬことが見つかるかもしれない。
ちょっとマスコミに対しては意地悪な見方だが、この辺はクライアントよりもユーザー寄りの取扱屋の意地というあたりで。