あっという間に8月になって、あっという間にもうすぐお盆です。
今年は日本中にいろんなことがあり、大変な状態ではありますが、それでもなお、海外の金融市場はもっとひどい状態だったりするようですので、何が起こるのか油断できません。
まあ、弊社のような取説屋は投資をしている訳でもありませんので、そんなにマクロ経済の直接の影響は受けませんが、それでも景気が悪くなるのは困ります。
さて、今回は、取扱説明書における規格について書きます。
■規格と取扱説明書
製品が各種の規格に対応している場合、取扱説明書にはその規格の内容について書かなければならない場合があります。
こういった場合、取扱説明書を作成するライターの調査能力が問われることなります。
なぜならほとんどの場合、「規格」についての資料はメーカーからは提供されないため、自分で規格について調べる必要が出てくるのです。
なぜ資料が提供されないのかということ、規格はメーカーのものではありませんからです。メーカーから出てこないのは当然のことですね。
しかし、その規格に対応している以上、規格の内容については書かなければなりません。そうすると、自主的に調査する必要が出てきます。
もちろん、今はインターネット上の公式Webサイトなどに、規格の全文が掲載されている場合もあります。しかし、紙面の制限もあり、規格全文の内容が必要でない製品には、公式の文書では不必要な内容が含まれている場合が多い。
こうした場合には、該当の規格の、どの部分に対応しているかを調べ、その規格の意図・目的・効果などについてまとめる必要があります。
■パクリは当然厳禁
そうすると、ついやってしまいそうになるのが「パクリ」である。(もちろん、弊社では絶対にやっていません!)。
どういうことかというと、他社製品に同じ機能の部分だけ対応をした製品があると、本家の規格サイトよりもよくまとまっている場合が見られるからです。
こうした場合にどうすればよいかというと、とりあえず、その類似する製品のサイトを見て読んだ後、サイトを閉じ、しばらく散歩をしてきます。それからおもむろに参考として本家の規格サイトと自社製品のデータの資料だけを開いて、内容を書き起こします。当然ですが、類似製品のサイトは、書き起こしを行うときには開いていてはいけません。
ほんとうに、誘惑のあることですが、この「散歩をする」(読んだ直後だとそのままの文章を書いてしまうおそれがあります)と「類似製品のサイトを開かない」を徹底すれば、うっかり著作権違反を犯してしまう恐れは、ほとんどなくなります。
もっともこれを読んでるあなたが、自分よりもずっと記憶力がよく、1日経っても完全に文章を思い出せるという記憶力を持っていているならば、もっと別の対策を取らなければならないかもしれませんが。
■定番の訳語は何か?
さらに、調査能力を必要とする理由として、こういった規格はその多くが英語で定義されていたりする場合が多いことです。
別に英語で書かれていても、内容の把握に問題が発生することはほとんどありませんが、説明するとなると少し話は変わります。
日本で定番になっている「訳語」は何かを知る必要があるのです。
たとえば、「Android Market」はほとんどそのまま使われたり、カタカナ表記が一般的ですが、これを「アンドロイド市場」と勝手に訳してしまった場合、お客様は混乱するばかりでしょう。
自社製品であれば、自由にネーミングすることができます。しかし、いくつもの会社が、共同で決めた規格については、勝手に命令することはできません。それだけに、社会的にどんな言葉が原語に対してあてられているかを知らなければなりません。
このあたりは、テクニカル翻訳と共通する話ですが、取扱説明書でも同様のことが言えるのはいうまでもありません。