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【わかりやすいマニュアルの作り方】第173回 記号について

先週は、関西地方で梅雨入りなんて書いていたら、あっという間に関東も梅雨入り、それどころか、台風が本土上陸なんて話になってきました。

実際、事務所から外に出るとむっとするほど暑くなり、なつがすぐそこまで来ていることを感じます。

■記号は、だれのため?

さて。

前回苦労して探した洗濯記号ですが、ここで読者の方に質問です。

記号は何のために使用するのでしょうか?

記号を利用する理由はいくつかあります。

1つは、交通標識のように「スペースが少ない」ところに表示するためです。
これは、わりとわかりやすい理由です。もっとも、これも欠点があります。欠点の内容は本論と絡んでくるため、後述します。
もっとも、日本語の表記に使用している漢字は表意文字なので、「止」と書いてあれば、ほとんどの人には看板としては用が足せたりするので、「標識」は必ずしもそれだけではないということでもあります。

2つめは、「文字を読めない人」のためのものです。

日本に生活していると忘れてしまいそうになりますが、世界中には文字を読めない人は多数居ます。そういう人たちにも、「標識」は「こういうルールだ」と定めることで、マークひとつで「ここわ通過してはいけない」「一方通行」といったことを示すわけです。

ちなみに、先程の「止」といった一文字も、中国人には「停」あるいはその簡字体で表記しないと、すぐには正しく理解されなかったりします。もっとも、同じ漢字文化圏ですから、理解は早いでしょうが。

○の中に×が赤で書いた標識は自動車の文化圏では大概「進入禁止」です。

これを言葉で説明しようとしたら、メジャーな言語だけでも一〇以上の表記が必要になるでしょう。それはまったく効率的ではありません。だから、記号を使うのです。

■記号のデメリット

さて、様々なメリットがある記号ですが、ひとつ、あきらかなデメリットがあります。

それは、その記号を使う人間は全員が同じ記号について同じ意味を知り、了解していいないとならないということです。
自動車を運転する人なら、免許を更新するときに「更新時講習」というものを受講させられます。はっきり言って眠くにるシロモノだったりしますが、それでもその時に渡される新しい規制標識などのパンフには目を通しておかないと、「見たことのない標識」が道路上に描かれていて、なんだろうと頭をひねっている打ちに「はい、そこの自動車左によって停止して」と声を掛けられるハメになったりするかもしれないわけです。いや、あくまでも可能性ですが。

そうです。記号に関しては、標準化とその広報・教育が必要だということです。

標準化されていないということは

あっちこっちで違う交通標識が乱立している

という状態になることであり、

広報と教育がされていないということは、

標識が変わったらしいけれども、どう変わったのかちっともわからない

という状態になることです。

これではまったく役に立たないことは説明の必要もなくおわかりと思います。

 

なんだか前説のつもりがすっかり話が長くなってしまいました。この話は次回に続きます。

良い製品に良い取説を提供します

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