「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第169回機能の多い製品の取扱説明書

先日まで寒いと思っていたら、もう暑く感じるようになってきました。
季節の移り変わりは早いものです。

■取り扱い説明書として共通部分

さて、今回はタイトルの通り多機能製品の取り扱い説明書についてです。今回は、電化製品について書きます。

多機能製品の典型例はなんといっても携帯電話です。スマートフォンになって更に機能が増えて、とうとうメーカーではすべてのソフトウェアの取扱説明書を、紙で提供するのを諦めてしまっているところすらあります。

また、さまざまな製品が多機能化を進めているため、電化製品のほとんどは、むしろ、多機能製品ばかり、といったほうが正しい状態になっています。

しかし、多機能な製品であっても、ごく一部の、ソーラーで動く製品を除けばほとんどの製品は電池のセット、充電、あるいは電源を接続して動かすことが必要です。
そうすると、充電する、電池を装着する、あるいは電源を接続するといった操作は(電化製品の場合)必ず必要となります。

さらに、「メインスイッチをオフにする」操作についても必ず説明が必要です。この点についてはサーバーやルーターなど特殊な用途の機器については一部例外がありますが、むしろそういった機器の方が、万一の時の、電源を掘りする手順、もしくはすべてをリセットする手順が、大変重要な場合があります。

そして、これらの機能は電化製品である以上、基本的で、かつ、最も大切な機能だといえるのです。
したがって、この部分だけ別冊にしたり、別立ての章を設けてでも、誤解を生じないように、分かりやすく説明する必要があるのです。

■多機能部分の取り扱い説明書

それに対して、通信や録画といった機能は非常に数が多くあります。
こうした場合に、それぞれの機能を平等に並べてしまうと、とても使いにくい取扱説明書になります。
たとえば極端なことを言うと、電話をかける機能と、ゲームをプレイする機能が同じレベルで記述されていたらどうでしょう。言うまでもなく、論外だと思います。

当然、それぞれの機能には重みをつけて、「この機能は大きく扱う」「これとこれとこの機能はひとつにまとめて●●機能の下にまとめよう」といったことを決めなければなりません。

最初に機能の多い電化製品の例として携帯電話をあげましたが、機能の多いのは携帯電話には限りません。例えば電子レンジや、炊飯器、ホームベーカリーなどの取扱説明書を見ても非常に機能が多くなっていることは明らかです。一部のデザイン性を高める目的であえて機能を絞った製品以外は、ほとんんどがデジタルによる制御ができるようになった分、多機能化していることは間違いないでしょう。

さて、こういった多機能部分というのは、それぞれの機能の重要性はあまり高くないのが普通です。

もともとあった機能を温度制御したり、ソフトウェアを動かすことによって機能を追加しています。つまりこのソフトウェアで制御される部分については、すべて同じ重さとして並列的(パラレル)にレベルを下げて列記してやれば済みます。

それに対して先ほど書いた、電気部分の基本的なところやメンテナンスなどにかかわるところはシーケンシャルに作業を行わなければならない部分です。書き方の根本が異なっているのです。

こういったところどうやって見分けるか、またその結果をどのように取扱説明書に反映させるかといったことは、制作者の経験と腕次第ということになってきますが…

少なくとも機能があるからといって、それぞれの機能の重さは同じではないということです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第168回名前を付けよう

先日まで寒いと思っていたのが急に暑く感じるようになりました。

季節の移り変わりは早いものです。もう、ゴールデンウイークも、あっという間に過ぎ去ってしまいました。

■名前を付ける

名前を付けるといっても、子供に名前を付けるとか、製品名を付けるといったことではありません。製品名や記号は製品を販売する以上当たり前のこと、として考えています。

もっとも弊社が取り扱った取扱説明書の中でも、いくつかの製品には製品名や、形式番号が付けられていないというものがありました。こうした製品ではたいへん原稿が書きにくく感じたものです。

以前にも書きましたが、作っている人と、使う人とでは、製品に対する意識が大幅に違います。使う人はそのその製品を初めて見て、なんだかわからないままに、自分の過去の経験から類推します。

その想像が当たっていればよいのですが、間違っていると全く訳のわからないものとなります。
例えば、放熱用の羽根が付いていたとします。その羽根を持ち運び用の取っ手と勘違いしたら、どうなるでしょう。持ち運んでいると、強度不足で折れる可能性があります。 また、放熱用として風のよく当たるところに羽根が置かれず、期待する放熱効果が得られない可能性があります。結果として製品がオーバーヒートを起こすかもしれません。

こうした場合に、取扱説明書のわかりやすいところに(通常は、「各部の名称」として取扱説明書の、最初のページ)に「放熱用ウイング」という名称が記載されていれば、こうしたことは防ぐことができるのです。

■ソフトウエアの画面名称

実は、製品がハードウェアである場合は、まだこういったことは起こりにくいといえます。最も問題が起こりやすいのは、設定画面がたくさんある、ソフトウエアの場合です。

ソフトウエアを制作している人は、自分がどこの設定を行っているのか熟知していますから、「設定」画面が6つあっても困りません。まあ名前がないのは困るだろうということで「設定1」「設定2」「設定3」といったアバウトな名称が付けられている場合すらあります。

こうした場合は、ソフトウエアの画面に従う、というのが取扱説明書を制作する場合の原則ではありますが、あえて独自の画面の名称を付けてといったやり方もあります。

「基本設定画面」(設定1)、「通信設定画面」(設定2)、「画面設定画面」(設定3)などのように機能に従って名称を付けてしまうのです。もしかすると、その名称は誤りだ、というクレームが付けくかもしれません。そのときはあきらめて修正しましょう。しかしそれだけはっきりしたクレームが付けくことは、名称がはっきりしている、つまり機能がはっきりしていることなので喜ぶべきことだとはいえます。逆に言うとまずそんなクレームが付けくことはありません。

また、プロでない人が書いたヘルプや説明には、しばしば「その画面で」とか「この画面で」といった説明を見ることがあります。
その直前の操作によってその画面に遷移した結果の画面が表示されている場合が多いのですが、ユーザーは、必ずしも継続的に操作を行っているとは、限らないということがあります。
もしかしたら、操作の途中で御手洗いに立ったり、コーヒーを飲みに行ったり、電話に出たりするかもしれません。

そうすると、「この画面って何だったっけ?」ということになってしまうかもしれないのです。
これを防ぐには、「この画面」と書かずに、「通信設定の2枚目の画面で」と書けば良いだけです。

細かいようですが、きちっと名前を付けて、その名前で呼ぶことは、お客様の操作ミスを防ぐうえで、大変に重要な役割を持ちます。

今回はこんなところで…

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第167回編集長の話

前回に続いて、編集の話を書きます。
前回は趣味で作成した取扱説明書の話ですが、今回はもうちょっとまじめです。

■編集の話

編集の話です。
編集とは何をするかというと、おおざっぱに言うと「素の文章をきちっと章・節・項に分け、長すぎる文章は短くしたり、句読点をきちんとしたりする。目立たせたい言葉には括弧を付ける。」といった、「文章の後処理」と「DTP(昔で言う製版)のための指定&前処理」といった作業を指します。

実は、この作業をきちんとやっていないでデザインやDTPに回すと…どうやっても、わかりにくい「文書」ができてしまいます。それは、たとえて言えば塗装の前の面取りや仕上げを行わなかった場合に相当します。どうなるのかは言うまでもないでしょう。
ですが、どうしてこういったことを行わないのかというと、理由は簡単、誰も教えてくれないからです。
国語の教科書も(あえて言うと数学も)、実は言うと上のような手順の作業を必ず行っています。
しかし、教えるのは小説や古典文学(もしくは方程式の解法)の内容であり、その「見やすい本の作り方」については、ほとんどというか、自分の学校で学んだ範囲では教えてくれることはありませんでした。
習ったことがないことですから、できるわけがありません。
まぁ一部の才能のある人は、最初からきれいに書くことができますがこれは例外としましょう。
また、趣味で編集の技能を口伝で伝えられている人がいますが、これもまた例外と言うことで。

■編集とは何をする?

さて、では今回の本題です。「編集とは何をする?」という内容の一番上についてはすでに書きました。
「読者に読みやすくすること」が目標です。
この場合、読者というのは製品を買ってくれた人を指します。

しかし、往々にして最初の原稿を書く人も、その原稿をチェックする人も、誰も読者のことをよく知らないということがあります。
たとえば、書いた人も見る人も現場の人間でしたら、「こんなバカのことをするヤツは世の中にいないからとばしたってだいじょうぶだぜい」と思ってしまって、大きく書かなければいけない注意書きを小さく書いただけでよしとしてしまうところがないとはいいきれません。
なお、製品を一般に発売する際には、このことは特に気を付ける必要があります。
むしろ素人に近いスタッフを呼び集めて「こういうときどうする?」と実地に使わせて観察し、かつ聞いてみて、「危なそうだ」と思ったことはその操作や作業の方法のそばに書いておくべきでしょう。

話がそれました。
いろいろな機械で、手順が最初は一つで、順に機能によって分岐していく場合、それぞれのセクションの先頭に「この機能は●●を目的としています」と記載していないと、よくある「機能が羅列してあるが、その機能自体が何が何だか分からない」というよくある悪い取扱説明書になってしまいます。

■責任を取る編集長は大切

こういったことを防止するのは、たしかに何割かはライター(書き手)の役割です。しかし、取扱説明書というのはあくまでも書籍の一種です。そして、書籍である以上、全体の構成などについては「編集長」が責任を負わなければいけないのです。

会社によってこの編集長という名称は異なることがあります。しかし、だれか一人、最終責任を負う人は絶対に必要です。どんな名称であれ、内容二内容に責任を負う人がいなければ決して良い物はできないのです。

編集長は、当然ながら編集や執筆といった制作業務に精通している必要があります。
実務としての業務を知らなくては、スケジュールの調整などができないからです。
たとえば、三日間スケジュールを短くして欲しいと営業から言われた場合、それを受け入れて良い物かどうかを品質の面から判断するのは編集長の仕事だからです。

最初から、品質を保ったまま納期を短くすることが無理であれば、無理だと正直に言って、「品質を妥協するか、納期をなんとかしてもらうか」の二択をありのままに告げて経営者に判断してもらわねばなりません。(これを判断するのは営業の仕事ではありません)

品質は価値です。ですから、高い品質には高いコストがかかります。
同様に、納期もまた価値です。ですから、短い納期にはやはり高いコストがかかるのです。

コストを下げて、高い品質と短い納期。

そんな夢のようなことは残念ながらありえません。
そして、物事には責任者が必要です。

今回は、ちょっときついことを書いてしまいました。

来週は申し訳ありませんが、お休みさせていただきます。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第166回趣味の取扱説明書作成

本当に温かくなりました。
先日まではオートバイでちょっと出かけようと思ったらオーバーパンツを履かなければならなかったところが、今ではすっかりGパン一枚で出掛けられるようになりました。
少し残念なことに桜も散り始めてしまいましたが、その代わりといっては、なんですがいろいろな花が咲き始めています。

■趣味の取扱説明書作成

今回はちょっと変わったことを書きます。
いつも、弊社では業務として取扱説明書を作成しています。
ですが同時に、私自身は古くからのパソコンマニアであり、新しいソフトなどが、大好きなのです。

先日、私は新しくアンドロイド携帯を入手しました。
まぁ、いまごろという感じではありますが、もちろん業務でアンドロイドのソフトウエアの取扱説明書を作成するということもありますが、それ以上にモバイルギアやW-Zero3などを買っていたPDAマニアの血が騒いだというのが正直なところです。

さて、そのスマートフォンのあるアプリの使い方を探したのですが見つけることができませんでした。
そのアプリはもともと外国で作成されたものです。といっても書かれているのは英文なのでヘルプを読むことはそう難しくなくできました。
英文を文字起こしして、翻訳すればいいのです。英文に慣れている人なら、なんということもないほどの作業です。実際、三十分程度の作業でした。
翻訳するのが得意でないならば、Google翻訳などを使っても構いません。べつに、クライアントがいて、用語の定義について詳しくチェックされるわけではありませんから。

■テクニカルライティングと編集

さて、ではその翻訳した結果をそのまま取扱説明書として使えるかというと…
実はまったく使えません。

今回翻訳までは本当に短い時間でできました。
しかし、その後にできあがったテキストを「手順の説明」として、レイアウトして、取扱説明書として読めるような文章にリライトするのに同じだけ、もしくはそれ以上の時間がかかりました。

ではどうして、レイアウトとリライトに時間がかかるのでしょうか。
答えは掲載されているメディアの違いと、文化の違いの2つです。
レイアウトを変更しなければならないのは、スマートフォンの画面上のポップアップメッセージをブログで読めるようなテキストの形に変えなければならないことが理由です。
印刷物の方が、よりきちんとレイアウトされた形にはなっていますが、ブログでもある程度きちんとしたレイアウトを組まないと、読みにくくなります。
英文と日本語が混在していたら、読者は読む気をなくします。
読んでもらえないと、そもそも書いた意味がありません。読んでもらうためにはきちんとレイアウトをする必要があるのです。

■文化の違いとは

それでは文化の違いというのはどういうことでしょうか。
画面上の英文と、空を説明する日本語では、全く構造が違います。
最も簡単な例を挙げてみます。
英文 : “Press OK , and start download”
直訳 : OKを押すと、ダウンロードが始まります。

これでも意味は通じます。社内向けの文書ならそれでいいかもしれません。
ですが、取扱説明書の文章だと以下のようになります。

翻訳 : 「OK」ボタンをタップすると、ダウンロードを開始します。

どうして文章がこのように変化するかについては、「取説屋」の秘伝ノウハウ部分でもありますから詳しくは説明しませんが、「ボタンを操作する人」と「ダウンロードを行うマシン」の2つの主語がまぎらわしくならないような日本語にする必要がある、ということだけは書いておきます。
さらに、翻訳だけではどうにも寂しいとして、先頭に手順のまとめを描き加えたりしました。
こういった処理をほどこしていたら、軽く考えていた趣味の取扱説明書制作が以外と手間を食ってしまったのでした。

まぁ、今回は半分趣味の話ですが、弊社・取説屋はどんな仕事をするのかというサンプルを見たい人は、以下をごらんください。

MapDrpodの地図データ ダウンロードの方法 覚え書き

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第165回イラストは線画で作る

いよいよ春本番になってきました。

こちらの語録ではなく、個人サイトの方に記事を書いたのですが、ちょっとした距離のツーリングにも行ってきました。横須賀の海はきれいでした。

仕事の方としても、いよいよ期が改まり、新しい仕事になっていくところですね。

■イラストを線画で描く

今回は、取扱説明書につけるイラストの話です。

弊社では取扱説明書につけるイラストは、人に見せるためのビジュアルではなく、説明の一部だと考えています。

以前にもこちらに書きましたように、弊社ではイラストにはモノクロ二値の線画を使用しています。

つまり、美しいカラー写真や、かっこよく色を使用したイラストではなく、いちばんシンプルな線だけの絵を使っているのです。見やすさとわかりやすさを優先した結果です。

また、状態によっては、本体に描かれているマークや商標などを省略することもありますし、実際よりもマークや、凸凹な道、目立つようにはっきりと描き直す場合もあります。

もうちょっと現場の人にわかりやすい書き方をすると、イラストレーターで線画を使って描いて、グラデーションなどは一切使っていません。

この線画は見やすいということはもちろんありますが、拡大縮小が自在で、ボケずに常にシャープだというメリットがあります。

■制作上でもメリット

実は、イラストを線画で描くことは制作上でもメリットがあります。

なお、「制作」というのはこの場合には印刷工程のことを指しています。

まず、とても大切なことには、このモノクロ二値のタイプのイラストは、まず印刷できないということがありません。また色ズレやボケが発生するということもありません。

ことんなこと自分には関係ない…と思うかもしれませんが、これらのことはとっても大切です。最終工程まで行って、印刷できないからイラスト全部作り直し、なんてことが起きたらスケジュールはどうなるんだろうと思うとゾッとします。

■ワードで作る取扱説明書

最近は、弊社では「ワードで作る」マニュアルというものも作っています。

これは、DTP系のアドビのソフトを使用せず、ワードによる簡易DTPだけで取扱説明書を作るというものです。DTP(組版)のコスト分だけ少し安くできることと、校正が少し楽だというのがメリットです。ただいま、実験的に作っています。

とはいえ、イラストに関してはやっぱり同様の方法でしっかり作り込みますので、イラストの点数が多くなるとやはり値段が高くなってしまうという欠点があるのですが。

このあたりの、Illustratorで画像を作ってワードに張り込むといったあたりの手順については、珍しいことをやっているわけではないので省略します。

ただ、この方法で取扱説明書を作ってみると、ワードには吹き出しなどがあって便利だなぁと思うことはあります。
このため、他のIllustratorでも使えるように、吹き出しのEPS画像を作成してしまいました。

また、説明図のイラストには、今述べた吹き出し以外に、矢印(細いもの・太いもの・上下左右に向いたもの・ひねったリ曲がったりいるもの・片方向に双方向と多種多様なものが使われます)や引き出し線が使われます。

また、こういった記号や線の後ろにちょっとだけ白い縁をつけてあげて見易くする、といった工夫も行っています。

もちろん、こんな細かい手法については説明していませんが、何気なく見てもちょっとは見易くなっているはずです。

今回はちょっとまとまりのない話になってしまいましたが、このあたりでということに。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第164回取扱説明書と必勝本・解説本

今日は本当に大変な春の嵐のようです。今日お出かけになる人は、十分気をつけてください。

でも春の嵐と共に、ようやく長かった冬も終わり、やっと暖かくなってくるようです。

つくしも芽を出し、桜の花が咲き、春の気分になってきました。新しい期が始まったところで、楽しく気合を入れて頑張っていきましょう。

さて。本題です。

■必勝本・解説本と取扱説明書

今回は、取扱説明書と必勝本・解説本の違いと棲み分けについてです。

実は私は、ゲームの必勝本にも携わったことがあります。

必勝本というのは、ある意味、取扱説明書の上位バージョン、といった風情のものがあります。

自分のやっていたのはシミュレーションでしたので、コマンドやデータの詳細な説明と、戦略、戦術の説明とリプレイといったところでしようか。

リプレイに関しては別としても、コマンドやデータの詳細な説明に関しては、付属の取扱説明書では版型やページ数の関係から思いっきり「詰めた」書き方をしなければならなかったところを、十分な余裕を持って書き直すことができたので良かったと思います。

また、ソフトウエアのリファレンス系の解説本の場合は、むしろ付属してる取扱説明書が充分なコマンドリファレンスが掲載されていないなどといったことがあったりして、むしろそちらの方が取扱説明書として使われる場合も多いようです。

もちろん、ゲームの必勝本などでRPGやアドベンチャーのストーリーの解説をしていたり、キャラクターのファンブックのようなものは取扱説明書とはまったく異なったものになりますが、それでも一部の必勝本・解説本は取扱説明書と近い構成をしているものがあります。

■違いはどこに?

それでは、必勝本・解説本と取扱説明書の違いはどこにあるのでしょうか。

簡単に言ってしまうと、身も蓋もない話で、一般に取扱説明書の方が制限が大きいということに他なりません。

まず、予算。さらに商品と同梱するためにパッケージに入る版型、さらに取扱説明書である以上、必ず書かなければならない記述など、取扱説明書の方が制限が大きいのです。

たとえば、ソフトウェアの取扱説明書の場合、丁寧にインストールと(あるならば)インターネットでのアップデートの方法、さらにソフトウェアの起動方法などを書きます。

必勝本・解説本では、こういった記述は必要ないということで、、ほとんどの場合はカットされ、その替わりににソフトウェアの内容・機能についての説明が多くなります。

さらに、危険に対する説明や警告も取扱説明書である以上、当然入ってきます。省略することはできません。

また、必勝本では商品を使った「応用操作」、たとえば調理器具であれば、炊飯機能を使った煮物作りなどを掲載できます。

そういう意味では、より商品に詳しく・深く切り込んでいくのが必勝本・解説本であり、最初に使う、初めての使うお客様が誰でも一応使えるようにするのが取扱説明書の役割と言えるかもしれません。

商品が素晴らしいと、より商品に詳しく・深く切り込んでいきたくなります。

でも、そのあたりの棲み分けも必要だと思っています。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第163回広告と取扱説明書の違い

だんだん温かくなり、日ものびて来ました。
そろそろ5時半すぎまでは日が残り、梅の花もほころぶようになってきました。
街ではキャンディーズの「春一番」が流れ、卒業式の学生たちが溢れ、やっと冬が終わったことを感じさせてくれます。

■広告との違い

今回はパンフレットやチラシと取扱説明書の特性の違いについての話をします。

簡単な取扱説明書は、一見チラシとよく似ています。
1枚で完結し、読み手に「商品の内容」を説明すると言うことは全く同じです。

しかし、違いも数多くあります。まずは、もっとも大きな違いから述べてみましょう。
チラシなどの広告にはキーとなる画像、メインビジュアルがあります。取扱説明書にも同様に大きな画像があることが多いのですが、これらはチラシのそれとは似て非なるものです。
チラシのビジュアルは「商品を買う前のお客様」に訴えかけ、「買いたい」という興味を掻き立てるためのものです。
ですから、きれいなお姉さんがにっこり微笑みながら商品を持っていたり、商品を使うことで幸せになるといったイメージを喚起するようなビジュアルを置きます。
それに対して、取扱説明書のビジュアルはビジュアルであると同時に説明図でもあります。
説明図ですから、当然かわいいお姉さんのような商品説明の気を散らすビジュアルは排除されます。また、綺麗に撮った写真よりも写真から線だけを起こした線画のイラストを使う場合が多くなります。
陰影もついていないし、商品としての魅力を伝えるにはあまり向いていない手法です。

実際、自分でイラストを作成したりする場合もありますが、「色気はないなぁ」といつも感じてしまいます。

■キャッチコピーと説明文

さてもうひとつの違いです。

本文であるキャッチコピーと説明文です。

ひとつは上と同様に読者の違いです。
不特定多数あてのチラシと、商品を購入したお客様向けでは書き方が異なります。ここでは詳細な説明は省きますが、読者が異なると言う意識を持つだけで文章は変わります。

さらに、目的が「紹介や広告・告知」である文章と、説明を目的とした文章では全く異なります。
このように、基本的に異なる読み手と目的のため、同じ文章といっても同じ人が続けて書くのは難しいでしょう。

逆に言うと、弊社ではキャッチコピーは苦手です。チラシのボディも得意ではありません。
ひとつに特化するということは、他の何かを捨てると言うことです。しかし、弊社はこのやり方しか知らないので、このやり方を続けていこうと思っています。

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今週はお休みさせて頂きます(平成24年3月20日(火))

申し訳ありませんが、今週は休日に当たるため、更新はお休みさせて頂きます。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第162回取扱説明書は取材が大事

今週は、先週のようなミス(無遅刻だったのに、160回でついにやってしまいました…)をやらないように、移動中にAndroid端末(キーボードがあります)でだいたいのところは書いています。

しかし、昔のW-Zero3よりも変換やスクロールが速くて快適ですね。

■取扱説明書で大切なこと

今回は久しぶりに取扱説明書の作り方です。
取扱説明書を作っている会社にはいくつかのパターンがあります。
まずはデザイン会社、これは会社案内やパンフレットの業務の延長としてとらえている場合が多いです。
次に多いのは印刷会社です。必ずしもすべてではありませんが、中には取説を作っているというよりも、印刷物の一つとして制作を引き受けているといったところもあります。
もうひとつは翻訳会社だったことがある場合です。この場合はあまりデザインが凝ったものではなくても良いものができることがあります。

さて、これらにはどういった違いがあるのでしょうか。

もちろん、個々の会社にはすぐれたところがあります。
デザイン会社を母体としている場合は当然ながら美しく、使いやすく、読みやすいページを製作するでしょう。
印刷屋さんは最終的な納品物に関して見積りでは一番強いと言うこともあるでしょう。
翻訳会社の場合はやはり複数言語の展開に強いです。

■弊社の強みは?

では、弊社のような「取説屋」の強みは何でしょうか。

今挙げたような強みは弊社にはありません。ですが、それに変われると思うものがあって商売をしているのです。
それは、「取材の確かさ」です。

弊社の代表も兼ねておりますテクニカルライターは、もともと(ソフトウェアではありますが)エンジニアでした。そして、動く機械が大好きと言う人間がベースです。

その上にPL法だのなんだのも学びましたが、弊社の特色は、なんといってもその経歴を生かした「技術的な」取材能力です。その上に、商業誌(ゲーム必勝本です)のノウハウをいかして分かりやすく仕上げることです。
この辺りは、技術者出身のテクニカルライターでなければ、
まずひけをとることがありません。

では、取説で一番大切なことは何でしょうか。
予算と言われてしまうとどうしようもないのですが、弊社では商品の意図を正しく伝えることだと思っています。

わかりやすい構成と文章はいわゆる文章力によって形成されるものですが、その土台となる技術の資料・製品の目的といったことの取材、これがないときっちりとした取扱説明書はできません。

弊社は、派手なことはできませんが、こういった地味な取材から取扱説明書を作るように心がけています。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第161回ユーザーサポートと取扱説明書

3月になり、ようやく温かい空気が流れるようになってきました。近所では梅のほころんだところもあるようです。

今週はまだうちのなかが落ち着かないため、個人営業の取説屋としては、さすがに時間が取れず、このブログの更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。

■取扱説明書とユーザーサポート

よい取扱説明書を製品に添付すると、ユーザーサポートへの問い合わせが減ります。

「よい」の定義はなかなか難しい部分がありますが、なにより取扱説明書の本来の目的である「使い方を迷うことがない」ことがしっかりできていることが必要なのは言うまでもありません。

どうして問い合わせが減るのか、という点については「取扱説明書を見れば必要なことが書いてあり、問い合わせの必要がない」ため、いままで発生していた問い合わせがなくなるということです。

簡単なことに思えるかもしれません。しかし、「よい取扱説明書が添付されている」ということは、「疑問の発生が抑えられる」ということです。これまでのように「疑問があるからユーザーサポートに電話」の電話の部分が取扱説明書を見るということに切り替わるというのとは少し異なるのです。

■疑問の発生を抑える

ものを製造している会社であれば、トラブルは「発生した後の対処」よりも「予防」の方が重要だということはご承知だと思います。

これは取扱説明書の場合にも同じことが言えます。

「よい」取扱説明書には「ユーザーがやってはいけないこと」「行えば壊れる操作」が書いてあるわけです。
さらに「メンテナンスを行うタイミング」や、「不調のきざし」といったトラブルの初期段階で示されていて、重大事故になるまえに警告を与えることができます。

取扱説明書は、紙という性格からして、ユーザーにムリヤリ読むことを強制することはできません。疑問に思ったときに見てもらうのができる最大のことです。

製品に付けるラベルの注意書きではもう少しだけ効果的な注意ができますが、それでもなお限度はあります。

しかし取扱説明書は、読んでもらえさえすれば。(このあたり、ちょっと悲しいですが)

この製品は「どういう目的」で「どんな場所・時」に使うことを想定しているかは分かります。そして「こう使って欲しい」ということまでは…伝えたいと思っています。

これだけのことが伝われば、「故障」は発生しても、重大なトラブルひいては事故の減少につながります。

弊社は、こういうことから取扱説明書で世界の役に立てることを考えながら制作しております。

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