先日、様々なメーカーさんとの交流会に行ってきました。
そこではまだ直接商売の話にはなりませんで、相変わらず「そういう仕事があるのか」という反応が、数多く見られました。
まあ、日本中探しても「マニュアル制作者」の養成をしているところはほとんどない(厳密には始めたところがあります)状況なので、仕方がないところではありますが。
「マニュアルなんて、日本語を書ければ誰にでも書けるだろう」と思っている方がまだ多いということですが、実務でやってみますと、そんなことでは全く制作できないという、壁にぶち当たるはずです。
マニュアル制作者に必要な能力を、リストアップしてみます。
この内容は以前にも書きましたが、その時代よりも、必要な能力がいくつか増えているのです。
■技術的理解力
まず真っ先に必要なのはこれです。
「この製品なんだかわかんないけど、とにかく書く。」これではよい取扱説明書は絶対にできません。
技術的な詳細についてまで知っている必要はありませんが、その技術が何なのかといったことまでは知っている必要があります。
■説明をする技術力
テキスト・イラスト・写真・図表・デザイン・構成など全てをひっくるめて指しています。
とにかく、わかりやすく説明する能力です。
個々の文章の書き方から、全体の構成の作り方まで、広い範囲を含んでいます。
■成果物を作る能力
印刷物・ヘルプ・htmlその他どんなメディアであれ、最終成果物を作る能力です。
印刷の基礎知識から、レイアウトデザイン-しかし、ここでは説明のためのデザインではなく、印刷物として必要な小口やノドといった知識を指しています。
また、技術的に「このテキストは絵の回りを、回り込ませることができるかどうか」といったことを知っている必要があります。
このあたりの技術を持たず、たとえば、Wordでテキストと図表だけ作り、製品写真をデジカメで撮影して、すべて印刷屋さんに持ち込めば、取扱説明書を作ることはできます。
しかしそういった方法で作られた物が、良い出来であるということは少ないでしょう。
全部自分でやる必要はありません、しかし、少なくとも、どのようにして作るかの指示が書けるだけの、技術は必要なのです。
■法律的な知識
「取扱説明書に何を書くか」「取扱説明書はどう書くべきか」
このあたりを規定する知識です。
実務としては、「会社名・連絡先は必ず掲載されていなければならない。」や「使い方の最初には、危険・警告・注意といった内容を記載する。」といったことを知っていなければなりません。
これも厳密な法律知識が必要なわけではありませんが、PL法や消費者保護法、および各業法が「どんな思想に基づいて何を目的として作られているか」ぐらいは知っている必要があります。
実は、この部分が、今までの説明と違うところです。今までは、こんなに法律的な知識が普通だと自分では思っていませんでした。
ただ、知らないでいますと、いろいろとヤバい(デザイナーや制作者個人が訴えられたという実例があるものですから)ので、最低限は自分の身を守るために必要だということです。
今週はこのあたりで…