だんだん暑くなってきました。関西では、そろそろ関東地方も梅雨入りなんて話も聞きます。
かと思えば、冷たい空気を感じると、豪雨に強風…油断ができません。
季節の移ろいは早いものです。
■公式の記号の話
今回は、たまには時事ネタということで、取扱説明書の記号の洗濯のマークと赤十字のマークの話をしようと思っていました。
そのために準備をしようとしていたところで、意外な自体が勃発、その話をしようと思います。
始まりは、テレビのニュースかなにかで「洗濯物のタグのマークがISOの国際基準に統一されます」というのを聞いたところからでした。インタビューでISOの国際基準のマークを見せて、習っていないから当然わからないでトンチンカンな答えをするのを映していたように思います。
まぁ、それはそれでテレビはエンターテイメントですから、良いのですが、一応仕事に関連するのでウェブサイトを調べてみました。
まず、ニュースサイトに行くと「経済産業省の6/2の発表によると…」といった書き方で洗濯マークの変更について触れている記事がありました。
そこで、発表日から2日たったころに経済産業省のサイトを検索して行ってみました。
ところがです。
経済産業省のサイトには上記のリリース記事がありません。
いまどきの企業であれば、リリースをした当日にWebに内容をアップロードするのは当然のことだと思いますが、経済産業省のサイトには細かいリリース内容どころか、「発表をした」という記事の一つたりとも公表されていなかったのです。
探し方が悪いのかと思って、リリースのページを開いたり、サイト検索を使ってみたりしましたが、成果はありませんでした。
仕方がないので、サイト内の「お問い合わせこちら」というところに「ニュースサイトに『経済産業省の6/2の発表によると…』と洗濯マークの変更について書かれていたが、公式のリリースがみつからない。どこにあるのか、また、その新旧の記号はどこに掲載されているのかを知りたい」という内容を入力しました。
もっともこれを書いたのは土曜日でしたから、役所のレスポンスはあるまいと思い、月曜日になったらメールが来るだろうくらいの考えで忘れてしまいました。
■驚くべき対応
結局、月曜も火曜も返事のメールは来ませんでした。対応の悪いサイトはこういう放置をされることがあるので、そのたぐいかと思ってあきらめていました。
ところが、返事はちゃんと来たのでした。
水曜日の昼頃に電話で。
電話を取ったときは「経済産業省の●●です」と言われ、こちらが「あれ、なんだっけ?」と思ったところに「ウェブサイトにお問い合わせ頂きました件について」と続いて初めて理解した。
えええーっ、電話で回答? 普通の感覚ではあり得ない。
最初に思ったのがこれでした。
とはいえ、情報は必要ですから「今、電話での回答でよろしいですか」という質問には「は、はい、お願いします」と答えていたのではあるが…
すると、電話で、見るべきサイトのアドレスと、記事の場所を説明し始めたのであった。
「JISCというサイトを開いてください」
「ちょっと待ってください、いまブラウザを開きますから…、ええとJISのサイトですか?」
「いいえ、JISC-日本工業標準調査会のサイトです。」
「はい…JISCと、開きました」
「そのトップページの下の方に『ニュースとお知らせ』という欄にある新しいニュースリリースのなかに『繊維製品の洗濯絵表示JIS改正の検討について-進捗状況報告(2012年6月時点)-』とあります。これを開いてください。」
「ええと…開きました」(ちなみに、内容はPDFです)
「こちらに、新旧のマークと説明が書かれていますので、参考にしてください」
内容を確認して、間違いないことを確認した。そこで電話を切ろうとする担当者にさすかがに我慢できなくなって言った。
「これ、経済産業省で発表した内容ですよね。それが経済産業省のサイトに発表から3日もたってもリリースが掲載されていないのはおかしいのではないですか?しかも、リリースの内容が経済産業省の外部サイトにしかない、これではどうやっても探すことはできないですよ。」
「はぁ、伝えておきます」
ちなみに、経済産業省のニュースリリースのページ には2012/06/11時点でも該当情報は掲載されていない。
また、上のリリースページのタイトルを検索で探し出せる人がいるのであれば、その人は検索の達人と思う次第である。
この場合、悪いのは返事をしてきた担当者ではない(メールで返信してくれた方が楽だったとは思うが、なぜ電話にしようと思ったかの判断はさておき)。リリースを掲載しない経済産業省である。
企業が新聞報道されるような内容を発表をして、リリースをウェブサイトに掲載しないと株主から批判を受ける。このあたりの意識が大いに甘い。
ついでに書いてしまうと、JISCとは以下のような団体である。
国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)に対する我が国唯一の会員として、国際規格開発に参加しています。
ここのやっている作業工程がこんなものだとしたら、こんな状態に標準化されるのはまっぴらである。