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【わかりやすいマニュアルの作り方】第121回 取扱説明書をつけて製品の売り込みを

今回は、ビジュアルの話をいったん中断して、取扱説明書の現況について書きます。
実はということではないのですが、流通業界の方にお話しをうかがってきたのです。
いままで漠然と「たぶんこうだろうな」と思っていたことの裏付けが取れました。
いや、正確に言うと、予想を遙かに超えていましたが。

■取扱説明書の現況

さて。

あまりにもショッキングだったので、そのまま書きます。

取扱説明書のついている売り込みなんて見たことがない。

呆然。としか言いようがありません。
「いやぁ、そぅかなぁ」とはうすうす考えてはいたものの、事実としてそういうことを聞くと、少々凹みます。

さらに続けて、バイヤーさんから見た取扱説明書のことを聞いてみました。

ついてるのを見たことがないから考慮したことがない。

当然です。さすがに、電器製品の一部についてはついているようですが、それ以外のほぼすべて、組み立てが必要なものも、回転や折りたたみと言った動作部分のある製品でも、全くないとのことでした。

こうした現況を踏まえて、取扱説明書をどうとらえるべきか、ということなのですが…

非常にぶっちゃけたことを書きますと。

安全に配慮したしっかりした取扱説明書が着いていると、売り込みに有利です。

取扱説明書が着いていないのが標準というのが現状であれば、メーカーの方は「しっかりした取扱説明書が着いています」ということは明確な売りにできます。

メーカーから取扱説明書がついた商品を提供することは、メーカー・バイヤー双方にとって大きなメリットとなるのです。
主なメリットは以下の3つです。

  • 商品の信頼性が高まる
  • 販売側のコスト削減への協力ができる
  • 販売側の納期改善への協力ができる

■商品の信頼性が高まる

しっかりした取扱説明書を付けることでその製品の「信頼性」や、「安全に対する配慮」を販売店にアピールできます。

商品の機能については、カタログ・パンフ・仕様書には掲載しきれない情報を記載できるメリットがあります。
「ここはどうなの?」と聞かれたときに、実物がなくても取扱説明書があればかなりの部分が答えられるようになります。

■販売側のコスト削減への協力ができる

現状のメーカーさんは、製品を作ることに手一杯でそこまで意識が回っていないのかもしれませんが、動く物や組み立てるものは基本的に取扱説明書が必要です。
消費者基本法やPL法といった話をする前に、商品には取扱説明書が着いていないと販売できないからです。
謎の部品が入った箱が届いて、組み立てる手順がわからない…誰がそんなものを買ってくれるでしょうか。
昔ならともかく、今はネットでの口コミがある時代です。「取扱説明書が不親切どころか、ついていない」という評判があっという間に流されてしまいます。

ではどうするかというと、結局は販売側で取扱説明書を制作することになるわけですが、制作には当然コストがかかり、そのコスト分は販売側が負担しているわけです。この部分をメーカーが負担することで、売り込みは有利になります。

取扱説明書の制作費をメーカーが負担することにはなりますが、その結果として複数の売り込み先で有利になれば、コストは十分回収できると思います。

■販売側の納期改善への協力ができる

さらに、メーカーさんから見えない点だと思いますが、納期の問題があります。
実は、こちらの方が問題が大きいかもしれないのです。

販売側では、一度に大量の商品がきます。そして、そのどれにも取扱説明書が着いていない以上、全部の取扱説明書を短い時間に集中的に作らなければいけません。

自分がゲームメーカーで取扱説明書の担当をやっていたときは、クリスマス・お正月のシーズン前に新作・移植あわせて十数本が同時に走り、1ヶ月くらいで終わらせなければならないという状態になりましたが、それと同様のことが発生するわけです。

ここで、メーカーさん側から取扱説明書の提供があれば販売会社としては、追加すべき内容があれば既存の問い合わせ先のペラを一枚いれるだけですみます。
さらに取扱説明書をデータで提供している場合は、一部を修正するだけで、取扱説明書を制作する期間をとらずに商品をすぐに販売できることになります。

そして、納期ギリギリで大量の受注がある場合、問題が発生する可能性が高くなることは、どの業界でも同じです。
メーカー側から取扱説明書を提供することで、こういった問題は多少なりとも軽減できるようになります。
メーカーさんで製品ができる時期は販売の時期に比べるとあきらかに分散しています。

■最後に

弊社石井ライティング事務所としても、実は販売・輸入の会社さんから依頼されるよりも、メーカーさんから取扱説明書を依頼される方が仕事がやりやすかったりするのです。
理由は簡単で、「製品を作ったエンジニアさん・・職人さんから直接話を聞いて取扱説明書を作れるから」です。

代表は、エンジニアくずれですが、技術が大好きなのです。ぜひ、そういったお話を聞かせていただいてビジネスをさせてください。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所

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