木枯らしが吹いてきました。
11月とは思えないほど温かい日が続いていますが、ようやく秋っぽくなってきました。
バイク乗りにとっては、そろそろ風防やハンドルカバーを付けたり、冬用装備に切り替えたりする必要のある季節になってきたということです。
しかし、季節を常に一つ先取りしているライダーにとってもまだ寒いと感じないこの季節、やはり異常気象なのかもしれません。
■名前がない部品
さて、タイトルの話になります。
取扱説明書の仕事では、新しく名前を付けるということがよくあります。
渡された仕様書では「接続口1」「接続口2」と記載されている場合がよくあります。
では、これをそのまま取扱説明書に書いたらどうでしょうか。
まず、業者が設置する場合には問題が無いでしょう。なぜなら、業者は何度もその取り付けを行っているので、名称ではなくその位置関係と機能で記憶しているでしょうし、また見ただけでおおよその機能を理解できるくらいでないと専門家としてはつとまらないでしょう。
しかし、本当の問題は商品がお客様の手に渡り、かつ何か問題が起きたときに明らかになります。
問題なく動作している間は、名称の問題ははっきりと出てくることはありません。なぜなら、動いていさえすれば、それが何であれいじる必要がないからです。
■名前を付ける
いじる必要がない場合、たとえば自動車を運転する場合は、ボンネットを開けてエンジンを見る必要はありません。
しかし問題が起きると、ボンネットを開けて修理工場に連絡して「ラジエーターから煙を吹いている」と伝えなければなりません。
ここで「ラジエーター」という「名称」が必要になるのです。
この名前がわからないと「なんかエンジンの近くから白い煙を吹いている」という、よくわからない連絡をすることになります。まぁ、修理工場の人は「どっちにしろ動かないなら一緒だ」とレッカー車を持ってきてくれるかもしれませんが。
この例に見るようなことがあるために、私達のような取扱説明書を制作するものは、お客様がさわる可能性があるものにはわかりやすい、機能を表す簡潔な紛らわしくない名前をつける必要がある場合があるのです。
名前を付けるのは社内のエンジニアのためではありません。社内のエンジニアは「接続口A-2」でも問題なく通じます。しかし、それをお客様に強要することはできません。
しかも、こういった名前が必要なのは先程説明したように「トラブルが発生したとき」です。お客様は困ってユーザーサポートに連絡してくるのです。そのときに「接続口A-2」ではちっとも話が進まないのです。
それがたとえば水を入れる口であれば、「原水取り入れ口」なり、わかりやすい名称をつけて取扱説明書に記載する必要があるのです。
弊社ではこのような考えで部品に名前を付けたりしつつ、取扱説明書を制作しております。