今回は特別版です。
最近、某所で相談した内容と、PL関連のセミナーの内容を合わせて書きます。
■中小企業におけるPLの捉え方の現状
まずは、実態報告からです。この内容は、某所で相談した際に中小企業診断士の先生から伺った内容です。
まず言われたのは、「PL法施行当時に比べて関心が薄い」ということでした。
だいたい、以下のような経緯でした。
PL法施行(平成六年)当時には、アメリカのように訴訟が頻発して大変なことになるのではないかという恐れから、「PL法対策」も熱心に行われたが、実際には日本ではそのような乱訴は発生せず、「PL法対策」は下火になっていった。
そして、現在では「PL事故」はたまに発生する自動車事故のようなものとしてとらえられており、特にこれといった対策は取られていないのが現状である。
「まぁ、PL保険にも入っているし、大丈夫なんじゃない?」くらいが大方の認識である。
弊社「石井ライティング事務所」としては、なんとも曰く言い難い結論ですが、現状の実態は以上の通りです。
■損害保険会社からのPLの捉え方
さて、今度は某PL法関連のセミナーで聞いてきた内容です。
「PL 保険に入っていないと、こんなに恐ろしい目に遭うことがあります」
一言で書くと、こんな感じでしょうか。
今回のセミナーの流れは、おおむね以下のような感じでした(業界別になっているところなど省略してあります)。
- PL法の法理
- 最近のPL事情
- 企業のPL対策
- 国内の事例
- アメリカのPL事情
- 中国のPL事情
最初に、PL法理についての話がありました。ちなみに、PL法の第一条は以下の通りです。
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
これに対し、セミナーでは「PLとは」として以下のように紹介されました。
製品に関する事故で、製造者側が被害者に対して負う損害賠償責任
後半、法律の目的「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」がばっさり抜け落ち、製造業者等(製造者・加工者・輸入者など)が「製造者側」に置き換わっています。
ここを見ると、このコンサルタントさんの損害保険会社では「PL法は損害賠償の話」とのみとらえられていることがわかります。
さらに「PLD(PL事故発生後対策)とは訴訟対策で、裁判に勝つための対策です」とも断言されました。
このセミナーだけで断言してしまうと間違いになるかも知れませんが、残念ながら世間の風潮としてはPLのことを「製品欠陥の事故の損害賠償に関する対策」ととらえているようです。
弊社「石井ライティング事務所」ではPLとは、文字通り製造者責任、「モノを作った人が責任を持つ」と考えています。だから、バリを取ってケガをしないようにするのも、製品にはわかりやすい説明を付けて使いやすくするのも同じように当たり前だと考えています。
■では、マニュアルはどうする?
最後に、コンサルタントさんに「取扱説明書(マニュアル)の相談を受けたらどうされていますか?」と聞いてみました。
取扱説明書(マニュアル)は、PLP(PL事故予防策)のひとつで、「表示・警告上の欠陥」をなくすために大切なポイントです。
答えはこうでした。
「今までの事例を積み上げて、書かなければいけないことを積み上げて書くようにアドバイスします」
この件に関しての石井ライティング事務所の答は以下の通りです。これにより、事故そのものを減らせる可能性があると考えているからです。
「お客様の安全のために必要なことを選んで、わかりやすく書きます。」
弊社は、弊社の主張に賛同して頂ける会社の方と一緒に仕事をしたいと考えています。
いまだに事業者側にいる人には「PL法対策」となり、如何にその責任回避するか、に追われます。一見その方が人目を引くように思えますが、すでに当たり前になった消費者基本法から始まる責任の所在、その対応には法対策では消費者を敵に回すという愚かな行為だということがわかっています。小売現場でもPL対策は始まっています。このコンサルさんはサラリーマンなんでしょうからあまり「最新情報」には興味がないし、言われたままやっている「やっつけ仕事という感じですね。東京海上日動のセミナーのご案内をしました。一緒に行ってみましょう。どんなレベルか、聞いてみないとです。