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【わかりやすいマニュアルの作り方】第78回 テクニカルライティングの価格 その04

品質とは何かの続きです。

■取扱説明書の原稿の品質とは(承前)

前回は「技術的バックグラウンド」と「法律や安全に関する知識」の2つを挙げました。今回からはそれ以外の2つについて説明します。

1つめは、「部品としてのテキストの質の良さ」であり、もうひとつは「再利用性の高さ」です。
私たちテクニカルライターはテキストを商品として書くことを要求されています。
それが、こういった面に反映されているのです。

●部品としてのテキストの質の良さ

ここまでのところでは、普通のユーザーさんが読んでも、「ああ、操作説明書の品質ってこんなことだな」と理解できることと思います。

しかし、ここでいう「部品としてのテキスト」というのは、今までのとはフェーズが異なります。

私たちマニュアル屋は、依頼すれば「印刷できるそのままのデータ」を作れると思っていらっしゃるかもしれません。
実際、うちでもそれに近いこと(簡易DTPまで)はやっていますし、そういう側面もあります。

しかし、本質的には私たちテクニカルライターはライターであり、デザインや組版(DTPオペレーション)は本業ではありません。
そのため、これらの業務は外部に委託する場合が多いのですが、問題はこうした場合に関してです。

DTPオペレーターの方が一番よくご存じだと思いますが、「使いにくい原稿」というものがあります。
極端に言うと、文字の左揃えをスペースで加工したり、見出しに色をつけたりしてあるだけで、書式指定すらされていないWordのデータです。

こういったもの渡されると、DTPオペレーターは、原稿をいちいち読み解きながら、オペレーション作業をしなければなりません。
書式指定してあればWordの機能を使って見出しを拾い出したりできるのですが、その話はまた別に。

DTPオペレーターにとっては、元のWord原稿を見ないでそのままテキストだけで組版ができるのが最も効率の良い作業方法です。

ですから、私たちプロのライターは下流工程のことを考えつつ、テキストにタグやマーカーを入れつつ原稿を作成していきます。
簡単なところでは、ここでもやっているように中見出しには■をつけ、小見出しには●をつけるといったルールなども含まれます。

長くなってしまいました。

次回の更新に続きます。

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