続きです。
■目的から形を考える
マニュアルはどういう時に必要かということから形を考えます。
マニュアルが必要なのは
- 何かをやろうとしてできなくて困っているとき
- 決まった手順を守る必要があるとき
くらいでしょうか。
(2)の典型例が設置やセットアップ、インストールです。もっとも「書いてあるとおりにやったはずなのに手順通りに進まない」ことが起こって(2)から(1)へ移行してしまうということもよくありますが。
ということは、これら2つのマニュアルは形からして異なるべきです。
◆「何かをやろうとしてできなくて困っているとき」の形
(1)は困ったときに手元にある必要があります。映画「3丁目の夕日」のお守りのように、すぐに使えなければ意味がありません。
そのため、設置する機器にぶら下げたり、画面で常にヘルプを表示するようにしたり、防水にしたり、判型を小さく、軽くして持ち運びに配慮したりする必要があります。
また、困ったときに調べるものですから、検索性はとても重要です。
「読んでわかる」目次と索引、できれば章ごとの耳(辞書のページ端にある「ABC…」「あかさたな」の黒い帯)も付けたいところです。そして、必要以外のものはできるだけない方がよいです。必要ないものがあると検索性を損ない、携帯性も落とすからです。
◆「決まった手順を守る必要があるとき」の形
さて、それに対して(2)です。
こちらは基本的に困っていない時に使うものです。ですから、多少いろいろなことが書いてあってもかまいませんし、むしろ書かなければいけない内容はこちらに書く方法もあります。
たとえば「お買い上げありがとうございます…」という挨拶、PL法関連の記載、著作権表記、法律上必要な記載事項など。
これらは、「手順」を書いたほうのマニュアルにおくべきで、困ったときに開く「虎の巻」のマニュアルには書くべきではありません。
なぜなら(2)は、持ち歩く必要がなく、多少余分なことが書いてあっても、さしつえがないからです。
こういうことを書くと「本来そういうことではないだろう」とおしかりを受けるかもしれませんが、PL法に対応して「まとめて書かれた」注意や、法律関連の記載事項はほとんど読まれないか、良くて一度目を通す程度なのですから。
もうちょっと続きます。