今回は注意書きの作り方について説明します。
取扱説明書は、一般にその製品の、正しい使い方と「使ってはいけない使い方」について説明します。
ここまで説明してきた内容ではほとんどが「正しい使い方」の書き方について説明してきました。
しかし、正しく扱っていても刃の部分に手を当てると危険なものや。熱くなるものは数多く存在します。
これらの製品は、決して欠陥製品ではありません。正しくは使えば怪我をしない。
間違った方法で取り扱えば怪我をする。当然のことです。
それだけに、やってはいけないことについても、はっきりと書くことが、必要になります。
■普段とは逆のことを考える
以前にテストの項目で書きましたが、禁止事項(危険なこと)および注意書きについては、自分の経験と想像力がものをいいます。
正しい手順を確認するのにも、技術的な素養が必要です。
しかし、「正しくないこと」を明記しこれをやってはいけないと書くためには、その正しくないことを想像する能力が、必要になってくるのです。
そのためにはどのように考えたらよいかを紹介します。
■やってはいけないことを調べる
一番簡単なのは、やってはいけないことを調べることです。
既存の取扱説明書の注意書きや、過去に書いたものを流用するといったことが代表的でしょう。
しかし残念なことに、この方法は今まで自分のやったことのないジャンルのものには使えないという問題があります。
次に、メーカーの人や販売の人に、今まで何か問題がなかったか、を聞いてみる、という方法があります。
これは、優れた方法です。
メーカーでは、かなりの部分のトラブルについて把握しています、したがって問題点についてもわかっている場合が多いです。しかし残念ながら、メーカーとしてはそれはまさしくやってほしくないことのため、情報が止まってしまう場合があります。
特に実際に事故になった事件などについては、メーカー担当者さんの口が重くなる傾向が高いです。まあこれはやむを得ないことですね。
では、「やってはいけないこと」というのはどのようにしたら、調べられるでしょうか。
簡単なのは「商品名」+「事故」や「トラブル」としてウェブで検索することです。
ただ、これはあまり効率がよい方法ではありません。有名な事件があれば何度も重複して出てきますし、小さくてすんだ事故については検索にかからない場合があるからです。
実は、筆者のお薦めとしては、公的機関が公開している「事故情報データベース」にあたってみることです。
NITEはもちろん、各種の団体が数多くの事故情報を公開しています。
これらのデータベースで、「商品名」で検索をかければ、かなりの数の事故情報が出てきます。
ここで表示された事故情報に目を通すと、事故の原因に幾つか共通するものが見えてきます。
たとえば、熱くなる機器であれば、不注意で触ってしまった、子どもが触った、ちょっとした時に席を外したら出火したといった具合に、同じような傾向が見えてきます。
ここまでがやってはいけないことに関する、事前調査です。
これを基に、実際の製品と合わせて注意書きを作成していくといった手順になります。