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【わかりやすいマニュアルの作り方】第130回 型を作る

GWも終わってしまいました。
世間の状態が大変に変わり、これから社会も変わっていくのかなぁなどと考えさせられました。

さて。
今回は「型」について話をします。型といってわかりにくければ、テンプレートでも雛形でも良いです。
取扱説明書を仕事として行うには「型」が必要だということです。

■「型」とはなにか?

何か、道楽でやっている武術関連ではこんな話を何度もしたような気がしますが、基本的には同じことです。
学習・訓練や業務を効率的に行うのにはどうしたらよいかを考えると、パターンを作ってそれを、身体に染み込むまで繰り返し、その後にその型から離れる…というのが、自分の考える理想です。

とはいえ、型を離れるなんていうのは夢のまた夢で、そこまでたどり着くにははるかに遠いのですが。

■仕事内容を整理する

取扱説明書を書くときに先頭から順に書いていくと、よほど小さくて一度にに全体を把握できるモノを除くと、大概は混乱してしまいます。

「これを書いてなかった」

「これはここじゃなくて、後ろに入れるべきだった」

「ここを後ろに移動したら、別の機能について説明がなしで突然出てくることになる」

だいたい、こんなことが続発して、混乱するはずです。

どうしてこうなるのか。理由を言うのは簡単です。

「全体として把握していないから」です。

とはいえ、商品全体を把握するということは、並大抵のことでないことは事実ですが。

ただ、、いままで同様の商品を販売してきたのであれば、どのように売るか、すなわちどのように説明するかについては、蓄積があるはずです。

機械の説明をするのであれば、機械の「各部の名称」が分かっていないと、説明はできません。
「メインスイッチをオンにする」と書いてあっても、肝心のメインスイッチの場所がどこだかわからなければ操作はできません。
ということであれば、「各部の名称」は、取扱説明書の最初になければいけないことがわかります。

こういった細かいことの積み重ねが、「型」になっていくのです。

■「型」の例

では実際に、型の例を見てみましょう。

以下は十年以上前のゲームソフトの冒頭部分の例です。

  1. 挨拶:お買い上げいただきありがとうございます…
  2. タイトル:製品名と形式番号
  3. 対応機種:ソフトウェアが動作する機種、および動作環境
  4. ゲームの目的:このゲームの目的についての説明
  5. インストール:ソフトウェアのインストール方法の説明
  6. 起動と終了:ソフトウェアの起動と終了の方法
  7. ゲームの流れ:ゲーム内の各フェイズ・モードの説明
  8. 画面の見方:各モードの画面の見方

かなり大雑把ですが、こんな感じで書いていました。ゲームの目的などは前後しても良いのですが、対応機種→インストール→起動と終了といった流れは変更できません。

これを変更してしまうと、実際にゲームをプレイする際に差し障りが発生したりするからです。

ちなみに、終了が起動とセットになっているのは、「実際にこのようにした方が便利だ」ということから来ています。実際、ゲームを終了するのは、ゲームをクリアしたときだけではないから、というよりそういうことのほうがよほど希だといえるでしょう。

大概の場合は、途中でセーブしたり、あるいはちょっとプレイしてみて、そのまま中断するといった方が主となります。特に後者の場合、終わり方がわからないと「途中で中断して大丈夫なのか」と不安になります。一部のゲーム(実名を上げるとWizardryのことです!)ではリセットしたりして中断すると、そのままゲーム中に取り残されてしまうというものもあった時代ですから。

型はこうしたものを一つずつ積み上げていって「こういうときはこうしたほうがよい」というものです。
たとえば、弊社での「説明図は線画がよい」ということも型のひとつです。

まぁもっとも「我が流派には型なし」というところもありますから、これもひとつのやり方に過ぎないのかも知れません。

これを読んでいる皆様が自分独自のノウハウを積み上げていけることを望みます。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所

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