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【わかりやすいマニュアルの作り方】第129回 工夫の余地

ようやく暖かくなってきたなと思ったら、春の嵐です。
この時期になると毎年流れるあの歌ですが、今年はとても残念なことになってしまいました。

■手順の説明

さて。
今回も前回の説明図を使用して、説明します。

この機器が、メモリカードをセットしたあとにスイッチを押すものとします。

普通に描くと、以下のようになります。

矢印説明図3

イマイチ格好悪いですね。

しかし、手順の番号をテキストとして入れたりすると、その説明の分だけ画面のスペースがとられてしまうのも事実です。

「このままでいい」という考え方もできます。
一応これで説明は全部入っています。ですから、説明としては責められることはありません。

ですが……「プロの取説屋」としてはこれでは納得がいきません。
こんなものでお金を頂くわけにはいかないと考えます。

ではどうしようか。ということで考え、工夫します。

■工夫の方法は無限

まず、この図が分かりにくいのはなぜかと考えました。

  • 矢印が全然目立っていない。
  • 手順の番号が見えない。

これではわかりにくいのは当然です。しかし、矢印を大きくするとテキストのスペースが圧迫されてしまうし、テキストを大きくしても効果は薄い……

そこで、いろいろ考えた結果として、できた解決方法が次の図です。

矢印説明図4

実際にはカードと矢印の位置関係なども少し調整していますが、基本的には矢印を大きくして、その中に画像として数字を入れ込むという方法を取りました。

逆に言えば「番号が入るだけ矢印を大きくした」とも言えます。

また、細かいことですが、1の番号は矢印の方向に合わせて斜めにするといった処理を加えています。これが、真っすぐだと大変な違和感を感じてしまうのです。

ここでは、サンプルを用いて描いているのであっさりとできたように見えますが、実際にはどうしようかという工夫を細かく積み重ねていったものです。

最後に、一番最初のイラストと、最終のイラストの比較図を掲載しておきます。
ただのイラストのようにみえても、実は細かいノウハウを詰め込んで、見やすくなるように工夫しているのです。

矢印比較図

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所

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