今回は、久しぶりに取扱説明書の書き方について、簡単なサンプルを使って説明しようと思います。
ネタは何かと言うと…ジップロックで醤油を入れて冷やす場合の取扱説明書を作る場合について説明します。
なんのことはない、このサンプルは自分がキュウリの醤油漬けをジップロックで作ろうとして失敗した-庫内に醤油をだだこぼしにした-ときの手順そのものだったりするのですが、まぁ、それはおいとくといたしまして。
●普通のシーンでの説明の書き方
この手順を普通に書くと、大体以下のような書き方になります。
「醤油を入れて、きちんと口をとじて冷蔵庫で冷やします。」
どこも悪いところはないように見えると思います。
これ自体は悪い書き方ではない、ということを先にお断りさせていただきます。
手順としては、一応全部を説明してありますから。
●取扱説明書での書き方
しかし、取扱説明書としては、このテキストでは駄目なのです。
では、実際にはどう書くでしょうか。
ささっと書いてみます。
- 醤油を入れて、口をとじます。
- 口を閉じたら流しに持って行き、袋を逆さまにして醤油が漏れないことを確認してください。醤油が漏れるようなら、きちんと口を閉じ直してください。
[Point]口がきちんと閉まっていないと、冷蔵庫で冷やしたときに、庫内に醤油が漏れてトラブルの原因になります。 - 袋を冷蔵庫で冷やします。
…こんな感じでしょうか。
どこが違うかというと、真ん中に確認の作業が「工程として」入っていて、さらにそのやり方の推奨例が掲載されていることです。
●取扱説明書のポリシー
なぜでしょうか。
本来は、「流しの上で」斜めにしなくても確認すれば良いはずなのですが。
トラブルの防止をするのが取扱説明書の役目のひとつだと自分は考えています。
最低限の説明だけでは、ユーザーが特殊な専門家でもないかぎり、トラブルを減少させることができません。それでは、取扱説明書としては失格だと自分は考えています。
「安全な」確認工程が入っているのです。
流しの上なら斜めにしても、こぼれてもトラブルにはなりませんね。
だから、自分は取扱説明書を制作するときは製品の製作者と一度でよいから打ち合わせをお願いしたいと思います。
トラブルを減らして、便利に気持ちよく製品を使ってもらいたい。
取扱説明書の制作者も、製品の製作者も願うところは一緒なのです。
良い取扱説明書ができることを願って。