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【わかりやすいマニュアルの作り方】第200回 電気用品安全法(電安法)の解釈を見直し-内容(3)

今回は、本ブログの200回目の記念すべき書き込みに当ります。まあ飽きっぽい自分が「よく200回も続いたものだなぁ」と自分をお祝いしてあげたい気持ちがあります。
何よりも、このブログを続けられた理由として最も大きいのは何よりも読んでくださった方がいらっしゃることです。読んでくださった人たちに感謝いたします。ありがとうございました。

さて、今回のブログは前回及び前々回に引き続いて電気用品安全法(電安法)の解釈に変更があったことについて書きます。実は今回書く内容が前回及び前々回の2回の説明よりも重要な説明になります。

■改正の内容について

前回書いたようにこの解釈の変更については既に適用されています。まぁ、それはよいとして。
今回追加された内容が何かと言うと、今までは電気回線か赤外線でしか操作ができなかったリモコンを、通信回線を通じて操作できるように変更したということが最大の変更点です。
前回までは文字通り安全基準、赤外線や音声によって操作できるリモコンの安全基準の仕様について細かな変更があったということについてでした。
今回の解説が、解釈の変更の最も大切なポイントである「通信回線を通じて家の外からでも、携帯電話などを使って自宅内の家電を操作できるようにする」ということの内容なのです。

■追加された内容

さて、前回書ききれなかった内容の解説に戻ります。

今回もとても重要な内容です。概要も抜き書きします。

(2) 通信回線(別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるものを除く。)を利用した遠隔操作機構を有する機器で次の全てに適合するもの。

簡単に言うと、通信回線を使用したリモコン…たぶんスマホになるでしょうね…について定義しています。

●別表4

「別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるもの」の内容ですが、以下のとおりです。

「器体スイッチ又はコントローラーの操作以外によつては、電源回路の閉路を行えないもの」
ちなみに別表4というのは以下のアドレスにあります。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/beppyoudai4.pdf
ここにそれぞれの内容の詳細がありますが、全文を引き写していてはまた膨大な量になってしまうので、抜き書きをします。

「器体スイッチ又はコントローラーの操作以外によつては、電源回路の閉路を行えないもの」というのですが、やはりものすごくわかりにくいので簡単に省略して抜き書きします。もちろん原文の本文には、細かい仕様が規定されています。
(1) 赤外線リモコンの蛍光灯
(2) 電力線搬送波を利用した遠隔操作機構電力線通信
これは、電力線を利用したPLCとかPLTと言われる有線リモコンのことです。
最近はほとんど見ないですね。誤動作試験の試験条件が記載されていますが、むやみに長くわかりにくいので試験条件は省略します。利用する技術者の方はオリジナルの仕様書をダウンロードして読んで、従ってください。

イ 遠隔操作に伴う危険源がない又はリスク低減策を講じることにより遠隔操作に伴う危険源がない機器と評価されるもの。

ロ 通信回線が故障等により途絶しても遠隔操作される機器は安全状態を維持し、通信回線に復旧の見込みがない場合は遠隔操作される機器の安全機能により安全な状態が確保できること。

ハ 遠隔操作される機器の近くにいる人の危険を回避するため、次に掲げる対策を講じていること。

(イ) 手元操作が最優先されること
(ロ) 遠隔操作される機器の近くにいる人により、容易に通信回線の切り離しができること

ニ 遠隔操作による動作が確実に行われるよう、次に掲げるいずれかの対策を講じること。

(イ) 操作結果のフィードバック確認ができること
(ロ) 動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起の取扱説明書等への記載

ホ 通信回線(別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるもの及び公衆回線を除く。)において、次の対策を遠隔操作される機器側に講じていること。

(イ) 操作機器の識別管理
(ロ) 外乱に対する誤動作防止
(ハ) 通信回線接続時の再接続(常時ペアリングが必要な通信方式に限る)

ヘ 通信回線のうち、公衆回線を利用するものにあつては、回線の一時的途絶や故障等により安全性に影響を与えない対策が講じられていること。

ト 同時に 2 箇所以上からの遠隔操作を受けつけない対策を講じること。

チ 適切な誤操作防止対策を講じること。

リ 出荷状態において、遠隔操作機能を無効にすること。

■感想

何よりも、リモコンの方でしか操作できなくて、手に負えない状態になるというのを危惧しているようです。
安全策として本体操作を最優先にして止めることができるようになっていたり、通信が切れた時の対策をきちんとするようになどと、基本的な安全策については書かれています。
……もっともこれを守らないで出すメーカーが出て問題になったりしそうな気はしますが

●疑問点

それにしても、取扱説明書を作っている人間としては、以下の部分が1番気になります。

ニ 遠隔操作による動作が確実に行われるよう、次に掲げるいずれかの対策を講じること
(イ) 操作結果のフィードバック確認ができること
(ロ) 動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起の取扱説明書等への記載

おかしいでしょうこれ。
簡単に言うとそれぞれは実際に使うときは以下の通りの感じの動作になるはずです。

(イ)は「スマホでエアコンをオンにしたら、エアコンからオンになったよという返事が帰ってきて表示される。」といった、「リモコンに対するフィードバックの表示」です。
(ロ) は「動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起」を取扱説明書に掲載する…動作保証試験って何ですか?使用者への注意喚起って、取扱説明書はそもそも注意すべきことがいっぱい書いてあるんですよ。何を注意喚起するんでしょう、全然書いてありません。

しかも、「次に掲げるいずれかの対策」をすれば良いと書いてあるんです。
全然違うことなんですから両方やらなければじゃないんでしょうか。
リモコンに対するフィードバックがあったら取説に注意書きをしないで良いということなんですか?

●文字表現

…なぜ、「~にあっては」というのに「~にあつては」という表記を使用しているのでしょうね?
経済産業省の中にはもしかしたらまだ明治時代の人がいらっしゃるのでしょうか?

■リンク

最後にやはりもう一度リンクを貼っておきます。
経済産業省>消費者政策>製品安全ガイド>電気用品安全法のページ>(3)解釈・Q&A

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku.htm
電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の一部改正について(20130424商局第1号)
http:www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/kaiseibun20130510.pdf

◆電気用品安全法

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/topics.html

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