前回の書き込み「第224回 独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)訪問」に続きます。
取扱説明書は『すべての製品』に
niteでは取扱説明書は、安全のためにあると考えられていました。
そして、「取扱説明書は『すべての製品』についていることが必要で例外規定はない」ということでした。
…実感と違います。
不動産にも大根にも取扱説明書はついていません。
このあたりは、実感では、そう感じます。
実は、『すべての製品』の「製品」の定義から外れるものには取扱説明書は付いていなくても問題はないということになるのですが、ちょっと「用語」と「一般的感覚」の間にはズレがあるようです。
「製品」とは、”Products”の訳のため、不動産は外れますし、大根は一次産品ですのでやはり”Products”にはあたりません。ですから、取扱説明書がついていないことが許容されるのです。
まぁ、そのあたりは良いとして。
リスクとは? 製品の使い方のどこまで対応する?
「安全って何?」というところまで戻ってしまうと、根源的に過ぎるということになってしまいますが…
そして、リスクに対して以下のように定義していました。
リスク:危害の発生確率と、その危害の程度の組み合わせ
そして、絶対的な安全はありえません。
許容できるリスクまで低減させるということで、リスクアセスメントを行うということになります。
niteでは、対応すべき主体(危険?)を3つに分類していました。
[危険の分類]
・正常使用:事業者の意図した使い方
危険はある場合が当然あります。たとえば、ガスコンロはどうしたって熱く、危険がありますが、それがないものは考えられません。
・合理的に予見可能な誤使用:事業者が対応を検討すべき領域
このあたりは、メーカーが悩むところです。アイロンを持ち上げていると熱い部分のスイッチが切れるとかのセーフガードを付けて対応したりしています。
ここまでは事業者が「製品」で安全を確保するということになります。
・非常識な使用:誰もが非常識だと考える使用方法
この非常識な使用については、いつも取扱説明書を作るときに悩むのですが「どこまで書けばいいのだろう」ということ。
簡単な例で示すと、包丁の使い方を説明するときに、「人に切りつける」というのは非常識な使用方法にあたり、誰もが非常識だと考えると思います。このレベルには、事業者(メーカーまたは販売者)は対応する必要がないということです。
意図的な誤使用は「誰もが非常識だと考える」と見なして、対応しなくて良いということが示されたのです。
これによって、「限度なくありとあらゆる内容に対応する」という必要がないということが示されたのです。もちろんそれが非常識かどうかということは、一人で決定できることではないので、複数人数で検証する必要はありますが、「常識的な範囲」で書けば良いという指針が示されたことは非常に有り難いことでした。
[スリーステップメソッド]
そして、それらの危険に対して、スリーステップメソッドという対策方法を示していました。
・本質安全設計
・保護装置による安全確保
・消費者に対する情報による安全確保
この最後の方法に関して「取扱説明書」や「本体表示」で対応するという話でした。
一回では書き切れないので次回に続きます。