> 母に習った日本泳法(水術 水府流太田派)02 −泳法の特徴−

亡母に習った水術

その弐

−泳法の特徴−

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 さて、ここからが本題です。
 いったい僕はどんな泳ぎを習ったのか。古流泳法って何なのか。このあたりから説明します。

 ここより3ページの内容は、かつてニフティのあるフォーラムに書込んだ内容を基にしています。本来ならば、現在の正しい知識に基づいて書くべき内容なのですが、今書き直すと、専門用語が生半可に入り、かえってわかりづらくなるため、あえてそのままの内容で、一部だけ直して書きます。また、用語もあえて訂正していません。したがって不足や間違いがあることもたしかですが、ご容赦ください。また、引用文に関しては僕の判断で要約に変えました。
 とはいえ、あんまりのところには注
(*数字)を入れておきます。

 なお、亡母の学んでいた古流泳法は「水府流太田派」であったことが後になって判明しました。これは、母が師範学校の付属で学んでいたことからわかったことです。この件については、当時のこの文章を発表したフォーラムのメンバーと、今の向井流の先生から別々に言われたので、間違いないと思われます。

 ちなみに、この内容は他のメンバーと海に行った(^_^)後の話です。この話がきっかけで、母から学んだ古流泳法が正規のものであることがわかるのですから、世の中、何が幸いするかわかりません。

<95/08/05>

「見えないところがいいところ(^^;)」

 ども、古流泳法経験11年(って泳げるようになってから年数だろーが、そりゃ)の両です。依然、流派は我流でーっす。てのはいいとして。

 <<引用文 「泳いでるようには見えない。立っているみたい」との内容>>

 えへへ、まさしく僕の習った古流の特長です。
 「静か」で「動いてるようにみえない」で、ついでに、それだけに「体力を消耗しにくい」ってところでしょうか。
 これらはすべて、昔の実用性を追求したところから発生した特長だと思います。
 もともと、(僕の系統は)瀬戸内の水軍で使われていたもの
(*1)のはずです。したがって、瀬戸内の静かな鏡のような海に対応した泳ぎであるわけです。
 もしも、荒々しく水を跳ね飛ばしていたらどうでしょうか(疲れそう(^^;))、あっという間に、敵に見つかって矢、槍、長刀、さすまたのエジキでしょう。
 動かないように見えるのもそれが理由です。奇襲にも便利ですし(^^;)。
 体力を消耗しないのも当然です。船が沈められたときに体力を消耗する泳ぎをしていたら、助かりませんから。

 <<引用文 「動きが見えずに残念」との内容>>

 さて。ちょっと動きの説明をします。
 私の習った範囲に限定されますが、古流と現代泳法では2つの大きな違いがあります。
 1つ目は動きです。浮力のために力を使いません
(*2)
 まず、ぷかりと浮くことが基本で、浮いた体を動かすためだけに力を使います。
 体を浮かすためにはまったく力を使いません。そのため、上下に水を動かす必要がなく、すい〜っといった動きに見えます。
 2つ目は身体の使い方です。
 今日、地上でのし、平泳ぎの形をやってみてわかったのですが、腕や脚の力をほとんど使いません。
 たとえば、平泳ぎでは胸の前にすっと両手を差し出すように伸ばして、背筋を使って胸を開き、それにしたがって腕が開きます。一切水を掻きません。
 脚はカエル股の伸びるときは、けのびの要領です〜っと開いて伸ばし、脚を閉じる時に脚の間から押し出される水を推力として利用します。キックは一切使っていません。

 実際、特にのしの動きなどは非常に東洋的な動きです。
 のしの形をすると、ぼくの場合は太極拳をやるより
(*3)も美しく力が抜けています(^^;)。
 手足の動きより、たぶん、この身法のほうが差が大きいと思います。

(*1)間違いです。実は江戸の泳ぎです。
(*2)あとで、とんでもない間違いと思い知らされました。理屈は違いますけど。
(*3)単に太極拳で力が入っているだけです。よくないことです。

<95/08/09>

古流の特徴(別発言より)

 海の泳ぎですから、当然「顔を水に着けない」というのもあげられるでしょう。現代泳法の基本が面かぶりというのとは根本から異なる点です。
 また、母は、「扇子ぐらいなら濡らさずに泳げるわよ、でも、そんなことしてもしょうがないでしょ」と言っていましたが、波のある海中でも安定していることができる、というのは大きな特長でしょう。ちなみに、シンクロナイズドスイミングで日本が強いのは、古流の伝統があったため、とも聞いています。
 また、上級者になればなるほど(不思議なことに)よく浮くことができるようになります。僕が立ち泳ぎをすると肩は水面に出ませんが、母は肩が水面から数センチ出ていました。もっと上級者になるとほとんど胸半分まで出て、ピタッと安定するそうです。
 鎧を着用して泳ぐのは、大概このレベルの人で、これでも平気というデモンストレーションではありますが、とんでもない話です。

このページの内容は、かつてニフティのあるフォーラムに書込んだ内容を基にしています。本来ならば、現在の正しい知識に基づいて書くべき内容なのですが、今書き直すと、専門用語が生半可に入り、かえってわかりづらくなるため、あえてそのままの内容で、一部だけ直して書きます。また、用語もあえて訂正していません。したがって不足や間違いがあることもたしかですが、ご容赦ください。それぞれの内容には初出の年月を記載してあります。

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