●身体道楽日記 その4●
'98国内合宿レポートその2<98/06/03>
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■合宿所にて
4時間と3600円近い費用を使って、合宿の会場本栖湖のホテルに着いた。
とりあえず、チェックイン。部屋はコテージである。稽古開始までは何時間かある。
部屋に行くと、すでに数人がいる。
同じ渋谷本部のメンツなので、一応顔見知りである。気は楽だが、支部と適当に混ざっているほうが楽しいかなともちょっとだけ思う。(部屋割りが面倒になるだろうけれど)藤のチェアにだらっと座り、お茶を飲む。すっかりリゾート気分である。
とはいえ、受付開始1時間ほど前になると、そろそろだらっとするのもあきてくる。
ひとりが、五行拳でコートを往復するのをきっかけに、ちょっとずつ動き始める。
もっとも、彼がやっている間は、みんなはわざと偉そうげに座って「チミィ、そこはね」などとやっていたのだが。
とりあえず着替えをして、ばらばらと動き始める。
体を伸ばして、暖めとおいた方が練習を始めるときに楽だから、でもある。
乗り物に乗って身体が硬いままだとつらいのだ。
予定時間まで、適当に動く。とはいえ、あまり熱心にはやっていない。
時間潰しだから仕方がないのだが。それはさておき。
■合宿の開始
時間になって、開会式となる。
合宿の開始である。天気は薄く日が射すくらい。稽古には向いている。
会長の挨拶の後、合宿のコースの変更が発表される。
予定では「太極拳」「形意拳」「柔」「気功」「気功療法」などであったが、追加だ
とのこと。
「えー、鍛練コースというのを今年から新設してみました」
はて?
「これはただひたすら劈拳と崩拳を稽古するというものです」
先生はいかにも嬉しそうに発表した。
僕なんかは内心こっそりと『こんなこと考えたのは……』などと思っていたのだが。
僕はどうしようかなと迷ったが、その「鍛練コース」に行くことにした。
僕は別にキツいのが好きなわけでもなんでもないが、とにかく知り合いの本部の人が「あんたは行くよな」(自分は行かないくせにぃ)とプレッシャーをかけるのと、情熱に燃えて自分から参加する人がムリヤリ引っ張るのと(人迷惑やぁ)、なにより、稽古する技が2つだけなのでアタマの悪い僕でも途中で混乱したりしないだろうと思ったからである。
■鍛練コース
鍛練コース参加者は、180人中の25人ほど。
本部道場のメンツは「ああ、この人か」という人ばかり。ちなみに僕は何かの間違いみたいなものである。他の支部でも元気のよさそうなメンツが多い。
その他に、千葉の(だったと思う、間違えていたらごめんなさい)ご婦人方が10人以上参加されていた。女性の年齢について適当な憶測を書くのは失礼だが、それでも僕よりはあきらかに年長であろうと思われる方々で、合宿の参加者中では体力があるようには見えない方々であった。
とはいえ、功夫着に3本線がついている方々ばかりである。ぱっと見ではわからないが、すごい方々なのだ。
初日のメニューは劈拳である。
会場のテニスコートに移動、全員で抜筋骨などした後、かけ声に合わせて劈拳を打つ。
打つ。打つ……
最初のうちは、往復の数をカウントしつつ、形をきれいにしようなどと考えながら打っていた。
しかし、200を過ぎたあたりから、気持ちの悪い汗が出始めた。
運動を始めて最初に出る汗は、妙に老廃物を出しているような気がするが、とにかくそういったいやな汗である。
この汗が止まると体内の感覚が一皮むけて、新しい力がわいてくるとともに、汗もサラサラしたものに変わるのだが、これが出ている間はとてもつらい。
特に、前日まで連日12時過ぎの帰宅に日曜出勤、とどめに早起きして4時間電車とバス
に乗っていただけあって、疲労はたまっている。
しかし、すぐ横では先輩が鬼神のような気迫で打っている。僕だけ「ふぅ、お茶お茶」
などとやるわけにはいかない。アタマは使わない分、身体は楽でない。
仕方がないので我慢して打つ。するうちに、気持ちの悪い汗も過ぎて、楽になる。
……のはいいのだが、突然アタマの中に妙な歌が鳴り響き始めた。よりにもよって「サクラ大戦」の中の歌である。別に調子が狂うわけではないのだが、えんえん歌がなっていて離れないのはキモチが悪い。
「いったん休憩」
予定の半分ほどで、休憩が入った。
「止めたくなったら止めてもいいですよぉ」
……だれもやめない。皆、練習熱心なのである。僕なんかは、途中で中断するのは、くしゃみが出掛かったまま止まるみたいでキモチが悪いからやめないだけなのだが。
5分ほど休んで再開。
休憩の直後はちょっとだけキツい。
しばらくすると、アタマの中の歌が再開する。うっとおしい(^_^;)。
日が陰り始め、空に薄墨が刷かれ、木々が黒く沈むころ、終わりとなった。
しかし。
「じゃあ、今から形をチェックします」
静止したままで形の修正があった。全員のチェックが終わるまですすまない。
実はこのほうが数を打つよりもキツかったのであった。
ここで教訓。
合宿には、必ずポットに入れた飲み物を持っていこう。
でないとホテルの自動販売機に戻らないと何も飲めない。
■稽古の後に
とりあえず、水を飲み、風呂に入る。
僕は少々アレルギーがあるので、汗のかきっぱなしは望ましくないのだ。
男風呂の描写は省略。読みたいやつもおらんだろう。
ちなみに、ホテルの浴衣があったのだが、この時点で利用したのはどうも僕一人であったようだ。
レセプション(つまりは会食……宴会)のときに浴衣を着ていたのは、僕一人であったからだ。(ちなみに、あとで写真を見たら何人かいらっしゃいました)
それにしても、会う人ごとに「似合う」と言われたのには参った。
普段、何を着ていてもそんなことを言われたことはないのに。つまりは短足胴長で撫で肩だってことであろうか。ま、裾を乱したりしないできちんと歩けているってことであればすごくうれしいのだが。
それにしても、すごい量の食物がまたたく間になくなっていく。
おいしいということもあるが、なにより皆、稽古でよほど腹が減っているのだろう。
食事がおおよそ終わると質問タイム。
「質問しわすれると来年になりますよ」なのだが……。
本部教室だとそういう緊張感はあまり、ない。良くないことかもしれないけれども。
レセプション終了後はコテージに戻る。
10人ちょっとの人数で、しばらくいろいろな話をしたが、当然その内容はオフレコである。ヨッパライのタワゴトを公表したら何が起こるかわからない。
そうそう。これだけは。
Hさんは「本栖湖一周劈拳の旅」というプランを出して、いかにもやりたそうに語っていました。ちなみに僕はごめんです(^_^;)。
本栖湖一周って……何時間かかることやら。
そこで、一口だけワインをもらう。
と、予想通り、僕はそれだけで酔っ払ってしまったので、寝ることにした。
その後については不明である。
こうして、合宿一日目は過ぎていったのであった。
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