「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第132回 注意書きの作り方

今回は注意書きの作り方について説明します。

取扱説明書は、一般にその製品の、正しい使い方と「使ってはいけない使い方」について説明します。

ここまで説明してきた内容ではほとんどが「正しい使い方」の書き方について説明してきました。
しかし、正しく扱っていても刃の部分に手を当てると危険なものや。熱くなるものは数多く存在します。
これらの製品は、決して欠陥製品ではありません。正しくは使えば怪我をしない。
間違った方法で取り扱えば怪我をする。当然のことです。

それだけに、やってはいけないことについても、はっきりと書くことが、必要になります。

■普段とは逆のことを考える

以前にテストの項目で書きましたが、禁止事項(危険なこと)および注意書きについては、自分の経験と想像力がものをいいます。

正しい手順を確認するのにも、技術的な素養が必要です。

しかし、「正しくないこと」を明記しこれをやってはいけないと書くためには、その正しくないことを想像する能力が、必要になってくるのです。

そのためにはどのように考えたらよいかを紹介します。

■やってはいけないことを調べる

一番簡単なのは、やってはいけないことを調べることです。

既存の取扱説明書の注意書きや、過去に書いたものを流用するといったことが代表的でしょう。

しかし残念なことに、この方法は今まで自分のやったことのないジャンルのものには使えないという問題があります。

次に、メーカーの人や販売の人に、今まで何か問題がなかったか、を聞いてみる、という方法があります。

これは、優れた方法です。
メーカーでは、かなりの部分のトラブルについて把握しています、したがって問題点についてもわかっている場合が多いです。しかし残念ながら、メーカーとしてはそれはまさしくやってほしくないことのため、情報が止まってしまう場合があります。
特に実際に事故になった事件などについては、メーカー担当者さんの口が重くなる傾向が高いです。まあこれはやむを得ないことですね。

では、「やってはいけないこと」というのはどのようにしたら、調べられるでしょうか。

簡単なのは「商品名」+「事故」や「トラブル」としてウェブで検索することです。
ただ、これはあまり効率がよい方法ではありません。有名な事件があれば何度も重複して出てきますし、小さくてすんだ事故については検索にかからない場合があるからです。

実は、筆者のお薦めとしては、公的機関が公開している「事故情報データベース」にあたってみることです。
NITEはもちろん、各種の団体が数多くの事故情報を公開しています。
これらのデータベースで、「商品名」で検索をかければ、かなりの数の事故情報が出てきます。

ここで表示された事故情報に目を通すと、事故の原因に幾つか共通するものが見えてきます。
たとえば、熱くなる機器であれば、不注意で触ってしまった、子どもが触った、ちょっとした時に席を外したら出火したといった具合に、同じような傾向が見えてきます。

ここまでがやってはいけないことに関する、事前調査です。

これを基に、実際の製品と合わせて注意書きを作成していくといった手順になります。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第116回 取説を使うシーンは?

びっくりするほど早く季節が過ぎていきます。
今年の秋は大変に短かったですが、その秋が過ぎると、もう年末です。

■取扱説明書を使う2つのシーン

今回は、取扱説明書の外側の話をします。
外側というのはほかでもない、表紙、背表紙、裏表紙のことを指します。

「これらが、取扱説明書は使うシーンとどういう関係があるか?」と疑問に感じることと思います。

それが今回のポイントである、「取扱説明書を使う2つのシーン」です。
普通に考えると、取扱説明書を使うのは買った直後をイメージすることと思います。
実際、取扱説明書を制作するときも、購入直後をイメージして制作する場合が多いです。
しかし、実は取扱説明書を使うシーンはもうひとつあるのです。

■「困ったとき」に開く取扱説明書

はい、その通りです。取扱説明書は、困った時に開くものでもあるのです。
そう考えると表紙、背表紙、裏表紙の重要性がよくわかります。

私たち取扱説明書をいう制作する者は、だいたい取扱説明書の内部を検索できるように考えて作ります。
しかし、残念ながら取扱説明書が複数並んだときにその中から目的の取扱説明書を取り出すための検索性についてはあまり考えることが、正直ありませんでした。

もちろん、メーカーさん以外には同じシリーズを製品の取り扱い説明書がずらっと並んでいるといった場合は考えにくいです。
しかし、そうでなくても、取扱説明書をきちんとファイルしてある場合に、目的とする取扱説明書がすぐ探し出せなければ機能として不十分だということになります。

困ったときに取扱説明書がどれだかわからないでは困ります。
だから表紙には、大きく製品名を書くことはもちろん、製品のイラストと型番を記載します。
製品名には、正式名称以外に愛称やシリーズ名なども書いた方がよいでしょう。

そして、もうひとつ。
そっくりな2機種がある場合には、製品本体のどこに型番が記載されているかを、表紙のイラストに書いておくとよいでしょう。
筆者は、2つの見たところそっくりで、機種の違う無線ルーター2つを前に途方に暮れたことがあります…。

■もちろん本体の注意書きも

本体の型番や製造番号の記載されたシールなどもわかりやすくしておくことはとても大切です。これらの記載場所を取扱説明書にも書いておくのも良いでしょう。
もちろん、すぐにわかる場所に。

これは、取扱説明書を使用するためだけではありません。製品の無償修理や回収といった問題が発生したときには機種名と製造番号-生産ロットが重要になるためです。
製造番号がわからないと、同じ型番でのロット違いに対応できないのは言うまでもありません。

取扱説明書や型番・製造番号はトラブルが起きたときにこそ必要になるものです。
いざという時への備えはしっかりしておくにこしたことはありません。
かけ過ぎにならない程度のコストをかけて。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第105回 クレーマー対策を考える

使っているPCケースの電源スイッチや、USBコネクタに問題があることがわかって、ケースを買い換えることに決まりました。
いままで、怪しいパーツを多数含む、いろいろなパーツを使ってきて、当然ながら壊れたりした経験はあるのですが、ケースの不良というのは初めてでした。

今回は方向をぐっと変えて「良いマニュアルはクレーマー対策に有効?」という話をしようと思います。

■クレーマー対策としての取扱説明書?

まず、クレームが発生する状況を考えてみます。
クレームが発生するには、まず製品を使用して問題が発生することから始まります。

まず、良い取扱説明書があれば、そもそもの問題発生の可能性(確率)が下がります。

そして、さらにクレームをつけられた場合にも「取扱説明書(または注意書き)のここにはっきり書いてあります」と言えれば、クレームに対応ができます。もちろん、わかりにくく書いてあるのであれば逆効果ですが。

さて。
ここで、ひとつ気づくことはありませんか?
そうです。この構図は、そのまま「PL訴訟対策」と同じ構図なのです。

■今のクレーマー対策は間違っている?

このエントリでは詳しく触れる余裕はないので、また別の機会の更新に譲りますが、現在の企業のクレーム対策、ひいてはPL対策は間違っている場合が多いです。

簡単に言うと、「大企業の対策は中小企業には使えない」のです。
どういうことか説明します。
大企業にとっては、クレームや単発の訴訟などたいしたダメージになりません。大企業は優秀な弁護士を複数かかえていますから、ぶっちゃけ訴訟を受けて立ってしまえば良いのです。
そして、勝てば良し、たとえ負けてもたいしたダメージになりません。業績に影響を与えない金額の訴訟など、それだけなのですから。

そして、大企業はお抱えの弁護士や法務部のアドバイスに基づいて取扱説明書を作ります。
もちろん、弁護士や法務部の方に取扱説明書の作成経験やせめてそういう業務にかかわったことがあれば別ですが、まずそういう人はいない現状では「危険をすべて列挙した」注意書きなどを平気で提案してきます。
このことは、弊社がいままで受注してきた大会社の取扱説明書などで何度も見られたことです。
そして、業界の標準は大企業が作ります。つまり「訴訟を受けてたてる」企業が作った基準が、業界標準となっているのです。

言い換えれば、「中小企業にとっては、業界標準もアテにならない」ということです。

弊社のような取説屋に提案できることは「せめて、取扱説明書をもっとわかりやすくて安全になるものにしませんか」という提案までですが。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第104回 注意書きを書くには

今週は多忙のため更新が遅れて申し訳ありません。
島から帰ってきて、仕事モードに切り替えようとすると急に寒くなったりして大混乱…と言い訳を書いておきます。

さて。
今回は、注意書きの書き方について説明します。
実はこういった技術的なネタの方が書きやすいのです。

■役に立たない取扱説明書の注意書き

以前自分でも書いていたことがありますが、先頭から何ページもわたって延々と注意書きが書かれていて、結果として読みもしないで、その部分を丸ごと飛ばすようなマニュアルが…残念ながらしばしばあります。
これは「PL法対策」と言われて、「ありそうなトラブルをすべて列挙する」という考え方で作られたものです。

で、これは…実は役に立ちません。
実際に注意書きとして役に立たないことはもちろん、「PL法対策」としても役に立ちません。
なぜかというと、上に書いてある通り「実際に注意書きとして役に立たない」からです。裁判でも「これは読むことができません」と言われて、裁判にも負けてしまうからです。

そりゃそうでしょう。
マニュアルの頭に16ページも注意書きだけがついていて、その5ページ目に書いてあるって言われても「辞書にはすべての単語が載っているから、英語の学習はそれだけあれば十分」というのとたいした違いはありません。

■箱や本体の注意書きは大切

ちょっと余談ですが、とても重要なことなので。
取扱説明書ではなく、パッケージ(箱)や、本体についている注意表示はものすごく大切です。
そして、これらもまた「誰でも読めなければ」いけません。
「誰でも」というのはシピアな話で、弱視の方を含めてということになりますので、4~5ポイントの小さな活字で書いてあった場合「Aさんには読めませんでした」と言われてしまう恐れがありますし、こんな程度の大きさですと「見落とされて、注意喚起にならない」と言われてしまうことだってありうるのです。ご注意を。

■不要な注意書きは書かない

さて。
話を戻しましょう。巨大な注意書きを取扱説明書に付けないようにするにはどうしたらよいのでしょう。

まぁ、予想できるでしょうが「不要なことは書かない」と「危険な作業の近くに注意を書く」につきます。
わかりやすく言うと「猫を電子レンジで乾かしてはいけません」と書くのは、余計なことですから、書かないようにすれば減ります。
「でも、そういうことをして訴えてくるクレーマーが…」
心配いりません。そのために取扱説明書の先頭に「本製品は食品を加熱。調理するための製品です。目的以外には使用しないでください」と書いておけば良いのです。
あとは、猫はペットであり食品ではないことは、「言うまでもない常識」ですから、全部が網にかかります。裁判官だって認めます。

■危険な作業の近くに注意書きを書く

もうひとつの「危険な作業の近くに注意を書く」は、あまり実践されていませんが、とてもわかりやすいやり方です。
重い部品を固定する作業に関する説明の近くに「指を挟まないように、下に手を入れない」と書くことは事故を減らすのにとても有効です。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第103回 取説屋にできること

式根島に行ってきました。
9/15~9/16というスケジュールで、オフシーズンでしたが、初日はなんとか泳ぐこともできました。
この間、インターネットにも接続せず、持って行ったPHSは役に立たないという状態(携帯3社は全部入ります)でしたし、たとえ「急ぎ」と言われても、戻ってこられるのは早くて翌日でしたので、強制的にのんびりしてまいりました。

さて。

今回は製品の安全性に関して、取説屋ができることを説明しようと思います。

■取説屋にできること

タイトルに偽りありのようですが、実はマニュアルを制作する「取説屋」にできることは多くはありません。

基本的に「事故発生の確率を下げる」と「事故発生時に表示欠陥としない取扱説明書を作る」の2つだけです。以上終わり。
でも、地味にこれをやっていくよりないのです。
事故発生の確率を下げるには、一般には製品の改良や、製造法の改善を地道にやっていくことですので、この延長にあると言えるかもしれません。

でも。申し訳ないのですが、ほとんどのメーカーさんは、「取扱説明書の改善」のノウハウをお持ちではありません。努力されていらっしゃるところもありますが、やはり専門でいらっしゃらないところでは難しいと思います。

ノウハウといっても難しいことではないのですが、それは製品のバリ取りのノアハウと一緒で、状況ごとにことなるものです。
長年やっていると「こういう危険が考えられるから、こうすることが必要」「こういう利用者のことも考慮する必要があるのではないか」といったこと、書くべき内容がわかってくるようになります。

■安全に関する事項は紙で提供する

取扱説明書は、一般に操作説明書の部分と、それ以外の安全や法規にかかわる部分とがあります。これ全体を合わせて取扱説明書と言います。
逆に言うと、「操作説明」は別冊でも、画面表示でも、オンラインでもかまわないということになります。
ただし、安全に関することを除いてです。

操作内容でも、安全に関することは必ず「紙」にすべきです。
なぜなら、その操作をしながら参照することがありうるからです。
そして、その説明を読めない、または「読まない」可能性があるからです。
「読めない」場合は裁判になったら表示欠陥を指摘されて負けます。
一例を挙げるとパソコンの周辺機器のマニュアルをCDに入れても、オンラインにしても「すべての利用者がCDを読めるとは限らない」「ネットワークに接続できるとは限らない」普段、オフラインでネットブックを利用している利用者のことを考えていないことがあきらかになってしまいます。

安全に関する事項は、全てのお客様に知らせる必要があります。
そして、だれても確実に読めるメディアは現在のところ「紙」だけなのです。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第97回マニュアル制作者に必要な能力

先日、様々なメーカーさんとの交流会に行ってきました。
そこではまだ直接商売の話にはなりませんで、相変わらず「そういう仕事があるのか」という反応が、数多く見られました。
まあ、日本中探しても「マニュアル制作者」の養成をしているところはほとんどない(厳密には始めたところがあります)状況なので、仕方がないところではありますが。
「マニュアルなんて、日本語を書ければ誰にでも書けるだろう」と思っている方がまだ多いということですが、実務でやってみますと、そんなことでは全く制作できないという、壁にぶち当たるはずです。
マニュアル制作者に必要な能力を、リストアップしてみます。
この内容は以前にも書きましたが、その時代よりも、必要な能力がいくつか増えているのです。

■技術的理解力

まず真っ先に必要なのはこれです。
「この製品なんだかわかんないけど、とにかく書く。」これではよい取扱説明書は絶対にできません。
技術的な詳細についてまで知っている必要はありませんが、その技術が何なのかといったことまでは知っている必要があります。
■説明をする技術力
テキスト・イラスト・写真・図表・デザイン・構成など全てをひっくるめて指しています。
とにかく、わかりやすく説明する能力です。
個々の文章の書き方から、全体の構成の作り方まで、広い範囲を含んでいます。

■成果物を作る能力

印刷物・ヘルプ・htmlその他どんなメディアであれ、最終成果物を作る能力です。
印刷の基礎知識から、レイアウトデザイン-しかし、ここでは説明のためのデザインではなく、印刷物として必要な小口やノドといった知識を指しています。
また、技術的に「このテキストは絵の回りを、回り込ませることができるかどうか」といったことを知っている必要があります。
このあたりの技術を持たず、たとえば、Wordでテキストと図表だけ作り、製品写真をデジカメで撮影して、すべて印刷屋さんに持ち込めば、取扱説明書を作ることはできます。
しかしそういった方法で作られた物が、良い出来であるということは少ないでしょう。
全部自分でやる必要はありません、しかし、少なくとも、どのようにして作るかの指示が書けるだけの、技術は必要なのです。
■法律的な知識
「取扱説明書に何を書くか」「取扱説明書はどう書くべきか」
このあたりを規定する知識です。
実務としては、「会社名・連絡先は必ず掲載されていなければならない。」や「使い方の最初には、危険・警告・注意といった内容を記載する。」といったことを知っていなければなりません。
これも厳密な法律知識が必要なわけではありませんが、PL法や消費者保護法、および各業法が「どんな思想に基づいて何を目的として作られているか」ぐらいは知っている必要があります。
実は、この部分が、今までの説明と違うところです。今までは、こんなに法律的な知識が普通だと自分では思っていませんでした。
ただ、知らないでいますと、いろいろとヤバい(デザイナーや制作者個人が訴えられたという実例があるものですから)ので、最低限は自分の身を守るために必要だということです。
今週はこのあたりで…

【わかりやすいマニュアルの作り方】第96回何にでも説明はあった方がよい

ここ何年かで産業構造が大きく変わっています。
個人商店が減り、大規模小売店や通信販売にどんどんシフトしています。
ここでそれを論じても、どうなるわけでもないのですが、生産者(必ずしもメーカーとは限りません、輸入をしてる方も含まれます)は、今までのように知識のある、店員さんに売ってもらうことができなくなりました。

しかし、それでも商品に説明が必要なことがあることは変わらず、説明の必要性は、まったく減っていません。
さすがに生鮮食料品に関しては、お店の人が調理の仕方などを説明してくれているようですが、電気製品などに関しては、店員さんの知識の低下は、かなりのものがあります。もちろん、プロの店員さんはいますが、比率としては明らかに低下しています。

■誰が商品の説明をする?

しかし、商品の説明をしなければなりません。
そのためにどうするか。方法は一つしかありません、商品そのものに語らせることです。
つまり、説明が不要な商品を作る。これが理想ですが、それができないのであれば、商品に説明書をつけます。

このとき、間違えてはならないのは、取扱説明書は商品の一部だということです。
一番よくあるのが「取扱説明書は商品の付属物である」という勘違いです。
「付属物だから、とりあえず付いていればいいや」という結果につながります。
これは大きな間違いです。
どんなに良い機能があっても、その機能の使い方が分からなければ、その機能はないのと変わりません。
むしろ、わかりにくいだけであればクレームの原因となるだけですから、むしろない方が良いとも言えます。

説明と本体は一体なのです。
昭和時代の製品のように単機能の製品であれば、必要ない場合もあるかもしれませんが、現代の製品では考えにくくなっています。
むしろ、ユーザーの方も知識が低下している(お米を洗剤で洗う消費者が居る時代です)ことを考えると、説明がきちんと付いていない商品はそれだけで欠陥であるということです。

■PL法でいう表示欠陥とは

PL法には「表示欠陥」という言葉があります。
文字通り、事故が発生したときに取扱説明書や表示やシールなどが不足していたり、間違っていたりして、危険を防止できない場合に言われることなのですが、実はこれはとても恐ろしいことなのです。
PL保険に入っていらっしゃるとしたら、是非とも約款を見直してください。そこには次のようなことが書いてあるはずです。

表示欠陥がある場合は、この保険は支払われない。

このことは、JTDNAのセミナーで知ったのですが、言い換えると、「取説に欠陥があったら、保険金は出ないよ」ということです。
脅すわけではないですが、これは相当にヤバいはなしです。
ちなみに、表示欠陥というのは、取扱説明書の中に、メーカーの連絡先が書いてなかったという場合なども含まれます。

今は、消費者保護ということで、こういった方向がどんどん強化されているようです。

厳しい時代です。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第95回それでもポイントは愛

前回の直接的な続きです。
突然、歌のタイトルのようなものが出てきて驚かれたかと思います。
しかし、まぎれもない前回の続きです。
ですが、前回とは全く趣が変わってしいるので驚かれるかもしれません。

■愛が無くては始まらない

さて。

前回の「取説屋」のお客様層について、もう少し掘り下げて考えました。
すると、お客様は「自分の仕事に誇りを持っているプロ」だという結論になりました。
つまり私はプロと仕事をしたかった。ということなのです。
プロは、自分の作ったもの責任と愛を持っています。
責任を持つのはプロとして当たり前、愛がないならプロとしてやるべきではありません。

つまり、私、取説屋は、こういう「プロとしての技能」を持っています。
一緒に、良い仕事をしたいです。

ただ、それだけのことです。

■説明が必要な時代

本当は、取扱説明書が不要な製品が理想だというのは私も知っています。

でも、昔とは販売方法も変わりました。
昔は、お店で、対面販売をしていました。
今は、対面販売よりも、電話インターネットファクスを使った通信販売の比率がはるかに大きくなっています。
昔ならば、店員さんは専門家でした。商品の説明もしてくれました、サポートもしてくれました。アフタサービスももちろんしてくれました。
ですが今は、そういった、説明などについてはほとんど望めなくなっています。
商品の情報については、製品を出すが、メーカー側、生産者側が提供しないといけなくなっています。
消費者保護法との関連もありますが、何より、通信販売の説明のもととなるものは商品の説明です。

生産している人や会社が商品の説明をつけなければ、通信販売の業者は一般的な説明をつけることになります。
あなたの商品が「こんな特色があるのでこう売りたい」と思っても、それを伝えない限り、伝わりません。
販売会社に口頭で説明しても、それはなくなります。
「説明をこうつけてほしい」そう思ったなら、紙かデータでつけるべきです。
そしてそれをお手伝いできるのが、私「取説屋」だと考えています。

「取説屋」は、取扱説明書ばかりを作っているとは限りません、リリースやニュース原稿のもとだって作れるのです。
自分の商品はこういうものだ、と説明したことがある方は、ぜひご相談ください。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第94回 取説屋のお客って誰だろう?

更新が遅くなってすみません。

体調不良と仕事の多忙が重なったのと…実は今、仕事の全体的な見直しを行っています。
ということで、まず「取説屋のお客って誰だろう?」というところから考えています。
私はほとんど取扱説明書を作る側でした。
ですから、「取扱説明書が必要」という状態になったことがありません。
そこでどういう人が「プロの作る取扱説明書」が必要な人はどういう人なのかを考えてみました。
すると少し面白いものが出てきました。

■ただの取説とプロの取説

取扱説明書は、電気製品などには必ず付いてきます。
しかし、その多くはエンジニアや手の空いてる人に適当に書かせたような割といい加減なものです。
低価格の製品であれば、その傾向はより強くなります。
極端に言えば、100円ショップの製品にはほとんど取説はついていません。
つまり、これらの人たちは、製品の説明としての「取扱説明書」は必要でも、「プロの作った取扱説明書」は不要だと考えているということです。
私はこういう人たちを相手に売り込んでも、無駄ということです。
なぜなら、その人たちはプロの技を欲していないのです。私の提供できるのはプロの取説です。
そうです。私の提供するのは「プロの作った取説」であり、ただの取説ではないということがわかってきたのです。
では、「プロの作った取説」が必要なのはどういう人でしょうか。
私は、このように考えました。
・自分の商品をよりよく使ってほしい。
・自分の打った商品をきちんと手入れして長く使ってほしい。
(厳密には上に含まれますが…)
・売った後も自分の商品に責任を持ちたい。
こういう人ではないかと考えました。
商品もどんなに素晴らしく作っても、それでも説明は必ず必要です。
そして、商品を作る人は、説明のプロではありません。
広告を作る人も、説明のプロではありません。仕事の内容が異なるのです。

■プロの取説が必要な人

そして、もしかしたら、こんな人たちこそが「プロが作った取説」が必要なんじゃないかと考えてみました。
多分、取説をつけるなんて考えたことがないようなものです。
・米
最初に考えついたのは米でした。
うまい米の保管の仕方、炊き方、むらし方。
炊飯器に入れれば、米は炊けます。
でも、本当は「わかっちょらんな、こげすればもっとうまいのに、知らんから…」と思っていらっしゃる方が、多くいるのではないかと思います。いや、確信しています。
もちろん、安い米では意味がないかもしれませんが、服無くとも、ブランド米と言われる美味い米を誇りを持って作っていらっしゃる方は付けた方がよいでしょう。
「そんなの常識だ」は、残念ながらもう通用しない時代なのです。
調理器具
次に思いついたの鉄のフライパンでした。
今うちでは卵焼きが上手に焼けるようになりました。
そのためにはフライパンの状態を上手にメンテする必要があります。
水を飛ばして油をひく。焦がしすぎない。
調理ではなく、道具の手入れ方法について。
きちんとすれば寿命が長くなることはいうまでもありません。
・服・靴
お手入れの仕方。
妻と話をして出てきたものです。
知らない素材について、どうメンテナンスしたらよいかわからないから、全部クリーニングに出してしまう。
洗濯してそのまま乾燥機にかけてしまったら縮んでしまった。
形くずれした。
靴がかびた。
こんな事だって、取扱説明書がついてはもしかすると防げるかもしれないのです。
こういう商品を売っている人たちが、本当は「プロの取説」が必要なのだと考えるようになりました。

【わかりやすいマニュアルの作り方】第93回重要書類としてのマニュアル

今回からというか、しばらく前からですが方向を変えてきています。
方向を変えた理由は、いままでの「ただの取説制作者」から「相談できる取説屋」へと変わろうと思っているからです。

今回、代表の石井は講習と試験を受けてPL関連のNPO、JTDNAの正会員となりました。
試験なんて、武術の昇段試験とか、二輪の限定解除以外、ずっと受けていなかったので、大変に緊張しました。

さて、そのJTDNAですが、「内閣認証NPO法人」で、PLについて研究しているおそらく日本で唯一、取扱説明書についてPLの視点で研究している団体です。
東京商工会議所への相談から、梁瀬和夫先生をご紹介いただき、そちらからご紹介いただいたのが、このJTDNAでした。
予想を大いに裏切ってありがたかったのは、その事務所が自転車で行ける距離だったということですが…。
とりあえず、次回のセミナー(無料)はこちら。また、梁瀬先生のお話です。

TDNA製品安全セミナー及び勉強会

申込書は以下のPDFをダウンロードして記入してFAXにて。
平成22年5月~7月のセミナーというページにリンクがあるのですが、なかなか見つけづらいと思いますので、直リンにて。

https://docs.google.com/viewer?url=http://www.jtdna.or.jp/PDF/2010seminer_annai100506.pdf

■重要文書としての取扱説明書

ということで、ここからが本文です。マクラの方が長くなって申し訳ありません。

上のマクラとも関係しますが、取扱説明書が、どうして、PLと関係するのでしょうか。
実は勉強はじめるまで、取説屋をやっている自分も、法律的な詳しいことは知りませんでした。税策の実務については詳しいのですが、法律的な裏付けに乏しかったのです。

本来ならば厳密に定義して書かなければならないのですが、社長ブログ、ということで、簡単に書かせていただきます。
取扱説明書に問題があると、PL関連で裁判になったとき、「表示欠陥」として、確実に負けます。
「だって、書いてないじゃないか」
これだけです。抗弁の余地はありません。

■リスクマネジメントとしての取扱説明書

都市伝説となっている「猫を電子レンジに入れて乾かそうとした人が、裁判して多大な賠償金をメーカーから取った」(ちなみに、ウソです)という話がありますが、これはマニュアルの不備(生き物を入れてはいけないと書いてなかった)ということで負けたということになっています。
では、細かく「●●をしてはいけない」を延々何ページにもわたって書いておけば良いかというと、今度は「字が小さすぎて読めなかった」とか別のことをいわれることになるわけです。

では、どうすればよいか、という対策、リスクマネジメントとしての対策をとればよかったのです。

ちなみに。上の「猫電子レンジ」の件は、正解は一つではありませんが、うちでならこうしますという回答例を載せておきます。

「本製品(電子レンジ)は、食品を温めるためのものです。使用目的以外に使用しないでください。」

基本的に、これで全体に網がかかります。
このうえで、細かい内容の注意を書いていけばすんだのです。

長くなってきましたので、今回はここまでに。


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