「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第148回今年やった仕事

先週は申し訳ありませんでした。さすがに体調を崩してしまってはどうしようもありません。

先週は二度も、都立産業技術研究センターに行ったりと、なかなか忙しい一週間でしたが、途中でちょっとダウンしてしまうのは予想外でした。

まあそんなこと以外に、普段の足に使っている原付二種をスクーターからギア付きに買い替えることにしました。妻が免許を取ったという理由も大きいのですが、なによりギア付きがないと練習一つもできず寂しいのです。

さて。

本題に入ります。

■今年やってきた仕事

メインはIT関連。通信・マルチメディアから、デバイス・ソフト関連まで、なんでもござれ。さらに、説明図だけの仕事、杖、浄水器と広い範囲でやっています。

わかるとは思いますが、取扱説明書って商品であれば何にでも必要なんです。
まぁ、魚だの肉だの野菜だのといった生鮮食料品や本当の最小限のネジのような部品は除きますが。

特に今、中国や東南アジアから雑貨や電気製品を輸入して販売することがあると思います。しかし、ほとんどの場合コストの関係からか、それらにはろくな取扱説明書がついていません。

そんな商品、単価も高くないし、お客様だって輸入品だってわかっているから大丈夫だよと思ってはいませんか?

とんでもない間違いです。

そんな商品、誰が信用してくれるというのでしょう。

■何だって商品自身が説明すべき

いま、ここを見ていらっしゃるのでしたら、ここのサイトを作っている人間にメールして、3~5万も出せば、ベトナム語や中国語のペラを日本語の法規に則った、わかりやすい、きちんと連絡先も書いてあるペラに作り替えることができる、ということはお分かりのことと思います(あー、ベトナム語の翻訳はつけてくださいさすがにそのままでは読めません)。

実際のところ先ほど説明したような各種の商品についても、「作れる」という確信はあって制作の依頼をお受けしていますが、一番最初にやることは常に、「その商品を使う人がどのようにして使うか」という取材であることは変わりありません。

その商品を、誰がどのようにして使う、それをイメージできるようにならないと、使い方の説明はうまくできません。それは説明を紙に落とし込んだ取扱説明書でも当然同じことになります。

その説明書、ぱっと見てイメージが伝わらない、よく読めば書いてあるけれども、では絶対にお客様は読んでくれません。そしてわからないままに、サポートへ電話をしてくるのです。当然ながら内容を理解していませんから、問い合わせの内容も割ととんちんかんになります。営業やサポートの手間が、大変食われるわけです。

お客様側から見ると「何これわかりにくい説明書」ということで、いきなりマイナス印象です。すぐに使えない、お客様にとっても不幸です。

弊社は、特にジャンルを限っていません。

取扱説明書というと、何となく電気製品や動力を使う製品のように感じますが、そんなことはありません。

どんなジャンルでも、操作するところ・動く物があるのであれば、弊社は喜んで取扱説明書を、お作りしますどうぞ、お気軽にご相談ください。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第98回 取扱説明書って何のためにあるの?

前回は、梁瀬先生のセミナーの内容をアップさせて頂きました。
今回は、取扱説明書の根本、「取扱説明書は何のためにあるか」というお話をしようと思います。

■取扱説明書は何のためにあるか

いきなり結論を書いてしまいますと、「取扱説明書の目的は、製品を正しく使ってもらうため」にあります。

そんなに難しそうなこととは思えませんね。

では、それがどうしてこんなに問題になるのかというと、「正しい」という部分にあります。

「正しい」というのは、メーカー側から見た、「正しい」と思う使い方です。これを伝える必要があるのです。

■正しく使わないと、メーカーもユーザーも不幸に

正しい使い方がわからないと、ユーザーは、間違った使い方をするか、あるいはもっと困ったことに「全く使えない」と言うことが起こります。

全く使えないと、当然ながらユーザーは起こってユーザーサポートに電話をしてきます。まず個のを減らす、これが「良いマニュアル」の目的の一つです。

これまでは、だいたいそう言ったことを書いてきました。しかし、問題はそれだけではありません。

製品を、正しく使わなかった場合、何事もなければよいのですが、不幸なことに事故につながる場合があります。

正しくない使い方も、勝手に使っていて問題がないぶんにはまぁかまいません。しかし、ひとたび事故が発生した場合は、ユーザーの「誤使用」ということになり、「取扱説明書に正しい使い方の記述がない」または「取扱説明書に、その使い方を禁止されていない」といった場合、とても困ったことになってしまうのです。具体的には。PL裁判を起こされて負けます。

では、禁止事項をずらずらと並べばよいかというと、これがやっぱり読みにくい。読みにくすぎると、「読めない」と断じられて「書いてないのと同じ」になってしまいます。

ではどうするかというと、今までも何度か書きましたが「正しい使い方を書く」ことが大前提です。そして「これ以外の使い方はしないでください。」と包括的に禁止してしまいます。

これ以外には使用方法をきちんと制限できる記述方法はありません。少なくとも筆者は他の方法を知りません。

正しい使い方をきちっとユーザーに伝え、かつ「それ以外はダメ」と伝える。

マニュアルに要請される役割は以前より増えているようです。

■追記

この98回は重複でした。98回が2つありました。お恥ずかしい…


【わかりやすいマニュアルの作り方】第97回マニュアル制作者に必要な能力

先日、様々なメーカーさんとの交流会に行ってきました。
そこではまだ直接商売の話にはなりませんで、相変わらず「そういう仕事があるのか」という反応が、数多く見られました。
まあ、日本中探しても「マニュアル制作者」の養成をしているところはほとんどない(厳密には始めたところがあります)状況なので、仕方がないところではありますが。
「マニュアルなんて、日本語を書ければ誰にでも書けるだろう」と思っている方がまだ多いということですが、実務でやってみますと、そんなことでは全く制作できないという、壁にぶち当たるはずです。
マニュアル制作者に必要な能力を、リストアップしてみます。
この内容は以前にも書きましたが、その時代よりも、必要な能力がいくつか増えているのです。

■技術的理解力

まず真っ先に必要なのはこれです。
「この製品なんだかわかんないけど、とにかく書く。」これではよい取扱説明書は絶対にできません。
技術的な詳細についてまで知っている必要はありませんが、その技術が何なのかといったことまでは知っている必要があります。
■説明をする技術力
テキスト・イラスト・写真・図表・デザイン・構成など全てをひっくるめて指しています。
とにかく、わかりやすく説明する能力です。
個々の文章の書き方から、全体の構成の作り方まで、広い範囲を含んでいます。

■成果物を作る能力

印刷物・ヘルプ・htmlその他どんなメディアであれ、最終成果物を作る能力です。
印刷の基礎知識から、レイアウトデザイン-しかし、ここでは説明のためのデザインではなく、印刷物として必要な小口やノドといった知識を指しています。
また、技術的に「このテキストは絵の回りを、回り込ませることができるかどうか」といったことを知っている必要があります。
このあたりの技術を持たず、たとえば、Wordでテキストと図表だけ作り、製品写真をデジカメで撮影して、すべて印刷屋さんに持ち込めば、取扱説明書を作ることはできます。
しかしそういった方法で作られた物が、良い出来であるということは少ないでしょう。
全部自分でやる必要はありません、しかし、少なくとも、どのようにして作るかの指示が書けるだけの、技術は必要なのです。
■法律的な知識
「取扱説明書に何を書くか」「取扱説明書はどう書くべきか」
このあたりを規定する知識です。
実務としては、「会社名・連絡先は必ず掲載されていなければならない。」や「使い方の最初には、危険・警告・注意といった内容を記載する。」といったことを知っていなければなりません。
これも厳密な法律知識が必要なわけではありませんが、PL法や消費者保護法、および各業法が「どんな思想に基づいて何を目的として作られているか」ぐらいは知っている必要があります。
実は、この部分が、今までの説明と違うところです。今までは、こんなに法律的な知識が普通だと自分では思っていませんでした。
ただ、知らないでいますと、いろいろとヤバい(デザイナーや制作者個人が訴えられたという実例があるものですから)ので、最低限は自分の身を守るために必要だということです。
今週はこのあたりで…

【わかりやすいマニュアルの作り方】第96回何にでも説明はあった方がよい

ここ何年かで産業構造が大きく変わっています。
個人商店が減り、大規模小売店や通信販売にどんどんシフトしています。
ここでそれを論じても、どうなるわけでもないのですが、生産者(必ずしもメーカーとは限りません、輸入をしてる方も含まれます)は、今までのように知識のある、店員さんに売ってもらうことができなくなりました。

しかし、それでも商品に説明が必要なことがあることは変わらず、説明の必要性は、まったく減っていません。
さすがに生鮮食料品に関しては、お店の人が調理の仕方などを説明してくれているようですが、電気製品などに関しては、店員さんの知識の低下は、かなりのものがあります。もちろん、プロの店員さんはいますが、比率としては明らかに低下しています。

■誰が商品の説明をする?

しかし、商品の説明をしなければなりません。
そのためにどうするか。方法は一つしかありません、商品そのものに語らせることです。
つまり、説明が不要な商品を作る。これが理想ですが、それができないのであれば、商品に説明書をつけます。

このとき、間違えてはならないのは、取扱説明書は商品の一部だということです。
一番よくあるのが「取扱説明書は商品の付属物である」という勘違いです。
「付属物だから、とりあえず付いていればいいや」という結果につながります。
これは大きな間違いです。
どんなに良い機能があっても、その機能の使い方が分からなければ、その機能はないのと変わりません。
むしろ、わかりにくいだけであればクレームの原因となるだけですから、むしろない方が良いとも言えます。

説明と本体は一体なのです。
昭和時代の製品のように単機能の製品であれば、必要ない場合もあるかもしれませんが、現代の製品では考えにくくなっています。
むしろ、ユーザーの方も知識が低下している(お米を洗剤で洗う消費者が居る時代です)ことを考えると、説明がきちんと付いていない商品はそれだけで欠陥であるということです。

■PL法でいう表示欠陥とは

PL法には「表示欠陥」という言葉があります。
文字通り、事故が発生したときに取扱説明書や表示やシールなどが不足していたり、間違っていたりして、危険を防止できない場合に言われることなのですが、実はこれはとても恐ろしいことなのです。
PL保険に入っていらっしゃるとしたら、是非とも約款を見直してください。そこには次のようなことが書いてあるはずです。

表示欠陥がある場合は、この保険は支払われない。

このことは、JTDNAのセミナーで知ったのですが、言い換えると、「取説に欠陥があったら、保険金は出ないよ」ということです。
脅すわけではないですが、これは相当にヤバいはなしです。
ちなみに、表示欠陥というのは、取扱説明書の中に、メーカーの連絡先が書いてなかったという場合なども含まれます。

今は、消費者保護ということで、こういった方向がどんどん強化されているようです。

厳しい時代です。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第95回それでもポイントは愛

前回の直接的な続きです。
突然、歌のタイトルのようなものが出てきて驚かれたかと思います。
しかし、まぎれもない前回の続きです。
ですが、前回とは全く趣が変わってしいるので驚かれるかもしれません。

■愛が無くては始まらない

さて。

前回の「取説屋」のお客様層について、もう少し掘り下げて考えました。
すると、お客様は「自分の仕事に誇りを持っているプロ」だという結論になりました。
つまり私はプロと仕事をしたかった。ということなのです。
プロは、自分の作ったもの責任と愛を持っています。
責任を持つのはプロとして当たり前、愛がないならプロとしてやるべきではありません。

つまり、私、取説屋は、こういう「プロとしての技能」を持っています。
一緒に、良い仕事をしたいです。

ただ、それだけのことです。

■説明が必要な時代

本当は、取扱説明書が不要な製品が理想だというのは私も知っています。

でも、昔とは販売方法も変わりました。
昔は、お店で、対面販売をしていました。
今は、対面販売よりも、電話インターネットファクスを使った通信販売の比率がはるかに大きくなっています。
昔ならば、店員さんは専門家でした。商品の説明もしてくれました、サポートもしてくれました。アフタサービスももちろんしてくれました。
ですが今は、そういった、説明などについてはほとんど望めなくなっています。
商品の情報については、製品を出すが、メーカー側、生産者側が提供しないといけなくなっています。
消費者保護法との関連もありますが、何より、通信販売の説明のもととなるものは商品の説明です。

生産している人や会社が商品の説明をつけなければ、通信販売の業者は一般的な説明をつけることになります。
あなたの商品が「こんな特色があるのでこう売りたい」と思っても、それを伝えない限り、伝わりません。
販売会社に口頭で説明しても、それはなくなります。
「説明をこうつけてほしい」そう思ったなら、紙かデータでつけるべきです。
そしてそれをお手伝いできるのが、私「取説屋」だと考えています。

「取説屋」は、取扱説明書ばかりを作っているとは限りません、リリースやニュース原稿のもとだって作れるのです。
自分の商品はこういうものだ、と説明したことがある方は、ぜひご相談ください。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第94回 取説屋のお客って誰だろう?

更新が遅くなってすみません。

体調不良と仕事の多忙が重なったのと…実は今、仕事の全体的な見直しを行っています。
ということで、まず「取説屋のお客って誰だろう?」というところから考えています。
私はほとんど取扱説明書を作る側でした。
ですから、「取扱説明書が必要」という状態になったことがありません。
そこでどういう人が「プロの作る取扱説明書」が必要な人はどういう人なのかを考えてみました。
すると少し面白いものが出てきました。

■ただの取説とプロの取説

取扱説明書は、電気製品などには必ず付いてきます。
しかし、その多くはエンジニアや手の空いてる人に適当に書かせたような割といい加減なものです。
低価格の製品であれば、その傾向はより強くなります。
極端に言えば、100円ショップの製品にはほとんど取説はついていません。
つまり、これらの人たちは、製品の説明としての「取扱説明書」は必要でも、「プロの作った取扱説明書」は不要だと考えているということです。
私はこういう人たちを相手に売り込んでも、無駄ということです。
なぜなら、その人たちはプロの技を欲していないのです。私の提供できるのはプロの取説です。
そうです。私の提供するのは「プロの作った取説」であり、ただの取説ではないということがわかってきたのです。
では、「プロの作った取説」が必要なのはどういう人でしょうか。
私は、このように考えました。
・自分の商品をよりよく使ってほしい。
・自分の打った商品をきちんと手入れして長く使ってほしい。
(厳密には上に含まれますが…)
・売った後も自分の商品に責任を持ちたい。
こういう人ではないかと考えました。
商品もどんなに素晴らしく作っても、それでも説明は必ず必要です。
そして、商品を作る人は、説明のプロではありません。
広告を作る人も、説明のプロではありません。仕事の内容が異なるのです。

■プロの取説が必要な人

そして、もしかしたら、こんな人たちこそが「プロが作った取説」が必要なんじゃないかと考えてみました。
多分、取説をつけるなんて考えたことがないようなものです。
・米
最初に考えついたのは米でした。
うまい米の保管の仕方、炊き方、むらし方。
炊飯器に入れれば、米は炊けます。
でも、本当は「わかっちょらんな、こげすればもっとうまいのに、知らんから…」と思っていらっしゃる方が、多くいるのではないかと思います。いや、確信しています。
もちろん、安い米では意味がないかもしれませんが、服無くとも、ブランド米と言われる美味い米を誇りを持って作っていらっしゃる方は付けた方がよいでしょう。
「そんなの常識だ」は、残念ながらもう通用しない時代なのです。
調理器具
次に思いついたの鉄のフライパンでした。
今うちでは卵焼きが上手に焼けるようになりました。
そのためにはフライパンの状態を上手にメンテする必要があります。
水を飛ばして油をひく。焦がしすぎない。
調理ではなく、道具の手入れ方法について。
きちんとすれば寿命が長くなることはいうまでもありません。
・服・靴
お手入れの仕方。
妻と話をして出てきたものです。
知らない素材について、どうメンテナンスしたらよいかわからないから、全部クリーニングに出してしまう。
洗濯してそのまま乾燥機にかけてしまったら縮んでしまった。
形くずれした。
靴がかびた。
こんな事だって、取扱説明書がついてはもしかすると防げるかもしれないのです。
こういう商品を売っている人たちが、本当は「プロの取説」が必要なのだと考えるようになりました。

【わかりやすいマニュアルの作り方】第93回重要書類としてのマニュアル

今回からというか、しばらく前からですが方向を変えてきています。
方向を変えた理由は、いままでの「ただの取説制作者」から「相談できる取説屋」へと変わろうと思っているからです。

今回、代表の石井は講習と試験を受けてPL関連のNPO、JTDNAの正会員となりました。
試験なんて、武術の昇段試験とか、二輪の限定解除以外、ずっと受けていなかったので、大変に緊張しました。

さて、そのJTDNAですが、「内閣認証NPO法人」で、PLについて研究しているおそらく日本で唯一、取扱説明書についてPLの視点で研究している団体です。
東京商工会議所への相談から、梁瀬和夫先生をご紹介いただき、そちらからご紹介いただいたのが、このJTDNAでした。
予想を大いに裏切ってありがたかったのは、その事務所が自転車で行ける距離だったということですが…。
とりあえず、次回のセミナー(無料)はこちら。また、梁瀬先生のお話です。

TDNA製品安全セミナー及び勉強会

申込書は以下のPDFをダウンロードして記入してFAXにて。
平成22年5月~7月のセミナーというページにリンクがあるのですが、なかなか見つけづらいと思いますので、直リンにて。

https://docs.google.com/viewer?url=http://www.jtdna.or.jp/PDF/2010seminer_annai100506.pdf

■重要文書としての取扱説明書

ということで、ここからが本文です。マクラの方が長くなって申し訳ありません。

上のマクラとも関係しますが、取扱説明書が、どうして、PLと関係するのでしょうか。
実は勉強はじめるまで、取説屋をやっている自分も、法律的な詳しいことは知りませんでした。税策の実務については詳しいのですが、法律的な裏付けに乏しかったのです。

本来ならば厳密に定義して書かなければならないのですが、社長ブログ、ということで、簡単に書かせていただきます。
取扱説明書に問題があると、PL関連で裁判になったとき、「表示欠陥」として、確実に負けます。
「だって、書いてないじゃないか」
これだけです。抗弁の余地はありません。

■リスクマネジメントとしての取扱説明書

都市伝説となっている「猫を電子レンジに入れて乾かそうとした人が、裁判して多大な賠償金をメーカーから取った」(ちなみに、ウソです)という話がありますが、これはマニュアルの不備(生き物を入れてはいけないと書いてなかった)ということで負けたということになっています。
では、細かく「●●をしてはいけない」を延々何ページにもわたって書いておけば良いかというと、今度は「字が小さすぎて読めなかった」とか別のことをいわれることになるわけです。

では、どうすればよいか、という対策、リスクマネジメントとしての対策をとればよかったのです。

ちなみに。上の「猫電子レンジ」の件は、正解は一つではありませんが、うちでならこうしますという回答例を載せておきます。

「本製品(電子レンジ)は、食品を温めるためのものです。使用目的以外に使用しないでください。」

基本的に、これで全体に網がかかります。
このうえで、細かい内容の注意を書いていけばすんだのです。

長くなってきましたので、今回はここまでに。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第92回 マニュアルの立場

前回はあまりの仕事の忙しさに、更新をお休みしてしまいました。
仕事があるのはとてもよいことですが、できればきちんと更新はしていきたいと思っています。申し訳ありません。

■マニュアルの立場

さて。今回は「マニュアルの立場」についてです。
実は、ということではないのですが、私は今週末に講習を受けて、PL対策に対応したマニュアルを作る資格を取る予定でいます。

昔話になりますが、自分がこの仕事(テクニカルライター)を始めた頃は、マニュアルは製品の付属物で、法的な定義はありませんでした。
今でも、製品の付属物だと思っている方は多いようです。
でも、実は今ではそれではいけなくなってしまっています。

先日の、消費者保護法の改正により「メーカーまたは販売者は、消費者にわかりやすく情報を伝える義務」が課せられました。

PL事故が起こった場合、きちんとした取扱説明書がないと、「表示欠陥」となってしまい、「やってはいけないこと」を記したものがないために、莫大な金額を支払わされる…ということもないとはいえなくなってしまったのです。

そうです。
マニュアルは、いままでの「製品の説明書」から「消費者に製品のことをわかりやすく伝える」ための文書へと立ち位置を変えました。しかも、以前とは異なり、法律的な裏付けのある文書になりました。

■立場は変わっても

もちろん立場は変わっても、私達テクニカルライターにとっては「わかりやすいマニュアルを作る、という点では変わりはありません。しかし、マニュアルを作るにあたって今までの判例や。規則に基づいて作る必要が生じてきました。

また今まではマニュアルを、主に業界団体の基準に従って作られてきましたが、業界団体のマニュアルが不十分であるとされる判例が相次ぎました。
そのため、現在では、業界団体ではなく、第三者機関によるチェックを受けたものが必要とされています。

というわけで我田引水ですが、今回その第三者機関であるJTDNA(内閣府認証NPO法人)の「テクニカルデザイナー」という資格を取るために講習を、受けに行くことにしたのです。

ということで、これから石井ライティング事務所の制作するマニュアルは、JTDNAの「取扱説明書ガイドライン」に沿ったものに変わっていくと思われます。
PL法で訴えられないための安全ではなく、お客様の本当の安全のために、という点は変わりません。

これからも石井ライティング事務所をよろしくお願いします。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第91回 取材について03

6月になりました。でも6月とは思えないほど、過ごしやすい気候が続いています。雨が降らないのは出歩くのには便利ですが、水不足なども心配です。

さて。本題の続きです。といっても前回からすでに取材とはずれてしまっているような気もします。

■伝えなければいけないこと

前回、「現在、売る側は消費者に「わかりやすく説明する」義務があるようになりました。」と書きました。
本ブログは法律に関するブログではないし、まだ詳細に説明できる自信がないため、詳しい説明はとばしますが、そういうことがある、と理解しておくことは、重要なことです。

製品の正しい使い方は伝えなければならないのです。

人には得手不得手があります。
多くの場合、エンジニアさんは文章を書くのが苦手です。でも、1番製品に対して熱い思いを持っているのもエンジニアさんです。
ですから、エンジニアさんに取材をしないと、良いマニュアルはできません。
製品に対する思いがなければ、それはただの仕様書のリライトにすぎないことです。

■伝える努力を

そして、どんな良い製品であっても伝える努力をしなければ伝わりません。
昔のような対面販売で、買い手が見えているのであれば、商品を手渡しするときに良さを伝えられますが、間にバイヤーが入り、インターネットで販売しるとなると、そうはいきません。

カタログやパッケージの表記でもある程度は伝えられます。
でも、カタログ・パッケージは「買う人」が「買う前」に見るものです。
どんなに良くできていても、買った後には廃棄されてしまいます。
クリスマスプレゼントをもらった子供は、バリバリと包装紙をはがし、すぐに箱を開けます。
もしかしたら、マニュアルもその時に捨てられてしまうかもしれません。それはそのとおりです。

それでも、製品の正しい使い方は伝える必要があります。
そして、それにのせて作り手の熱い思いを伝えたい。
石井ライティング事務所はそう思ってマニュアルを作っています。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第90回 取材について02

ひっかかったとこって何だろう?

前回は「ひっかかった」ところについてエンジニアさんにインタビューすると書きました。
それでは、どうして「そこ」にひっかかるのでしょうか?
答えは簡単です。

そこにトラブルの種を見つけるからです。

マニュアルは、ユーザーのために作るものです。ですから、製品が使いにくかったら、それを回避するような使い方を提示し、トラブルに直進する使い方は回避させなければならない。
前回は「エンジニアさんに想定される使い方を尋ねる」と書きましたが、これがまさしくそのためなのです。

想定される使い方とは

たとえば、 プリンターを考えてみます。
オフィス用のビジネスプリンタは、高速でさまざまな用紙が使えます。ポストスクリプトに対応していたり、ネットワーク機能も充実しています。
しかし、そのかわり起動時に大電力を必要としたり、動作音が大きかったり、消耗品が高かったり します。設置に要する面積も大きく、本体も重めです。
こういったオフィス向けプリンタを家庭で使用するとどうでしょうか。
当然、不平不満が出てくるはずです。

だから、適材適所で使うことが重要になってくるわけですが、それを説明するのは説明書の役割です。
製品の概要を説明するところで「本製品はビジネス向けで一般的なオフィスでの使用を想定しています」と書かなければいけないのです。

そうです。「書かなければいけない」のです。
使う人を想定したならば、そのように書かなければいけない。
エンジニアの基礎知識を前提とするならば、そう書く必要がある。
ここではプリンタでしたから、購入する前にカタログを見ることもできるでしょうし、購入前に知識のある店員さんに尋ねることもできるでしょう。
しかし、そうでない商品のほうが大多数なのです。

現在、売る側は消費者に「わかりやすく説明する」義務があるようになりました。

こことの関わり合いもあるのです。

次回の更新に続きます。


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