「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第169回機能の多い製品の取扱説明書

先日まで寒いと思っていたら、もう暑く感じるようになってきました。
季節の移り変わりは早いものです。

■取り扱い説明書として共通部分

さて、今回はタイトルの通り多機能製品の取り扱い説明書についてです。今回は、電化製品について書きます。

多機能製品の典型例はなんといっても携帯電話です。スマートフォンになって更に機能が増えて、とうとうメーカーではすべてのソフトウェアの取扱説明書を、紙で提供するのを諦めてしまっているところすらあります。

また、さまざまな製品が多機能化を進めているため、電化製品のほとんどは、むしろ、多機能製品ばかり、といったほうが正しい状態になっています。

しかし、多機能な製品であっても、ごく一部の、ソーラーで動く製品を除けばほとんどの製品は電池のセット、充電、あるいは電源を接続して動かすことが必要です。
そうすると、充電する、電池を装着する、あるいは電源を接続するといった操作は(電化製品の場合)必ず必要となります。

さらに、「メインスイッチをオフにする」操作についても必ず説明が必要です。この点についてはサーバーやルーターなど特殊な用途の機器については一部例外がありますが、むしろそういった機器の方が、万一の時の、電源を掘りする手順、もしくはすべてをリセットする手順が、大変重要な場合があります。

そして、これらの機能は電化製品である以上、基本的で、かつ、最も大切な機能だといえるのです。
したがって、この部分だけ別冊にしたり、別立ての章を設けてでも、誤解を生じないように、分かりやすく説明する必要があるのです。

■多機能部分の取り扱い説明書

それに対して、通信や録画といった機能は非常に数が多くあります。
こうした場合に、それぞれの機能を平等に並べてしまうと、とても使いにくい取扱説明書になります。
たとえば極端なことを言うと、電話をかける機能と、ゲームをプレイする機能が同じレベルで記述されていたらどうでしょう。言うまでもなく、論外だと思います。

当然、それぞれの機能には重みをつけて、「この機能は大きく扱う」「これとこれとこの機能はひとつにまとめて●●機能の下にまとめよう」といったことを決めなければなりません。

最初に機能の多い電化製品の例として携帯電話をあげましたが、機能の多いのは携帯電話には限りません。例えば電子レンジや、炊飯器、ホームベーカリーなどの取扱説明書を見ても非常に機能が多くなっていることは明らかです。一部のデザイン性を高める目的であえて機能を絞った製品以外は、ほとんんどがデジタルによる制御ができるようになった分、多機能化していることは間違いないでしょう。

さて、こういった多機能部分というのは、それぞれの機能の重要性はあまり高くないのが普通です。

もともとあった機能を温度制御したり、ソフトウェアを動かすことによって機能を追加しています。つまりこのソフトウェアで制御される部分については、すべて同じ重さとして並列的(パラレル)にレベルを下げて列記してやれば済みます。

それに対して先ほど書いた、電気部分の基本的なところやメンテナンスなどにかかわるところはシーケンシャルに作業を行わなければならない部分です。書き方の根本が異なっているのです。

こういったところどうやって見分けるか、またその結果をどのように取扱説明書に反映させるかといったことは、制作者の経験と腕次第ということになってきますが…

少なくとも機能があるからといって、それぞれの機能の重さは同じではないということです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第168回名前を付けよう

先日まで寒いと思っていたのが急に暑く感じるようになりました。

季節の移り変わりは早いものです。もう、ゴールデンウイークも、あっという間に過ぎ去ってしまいました。

■名前を付ける

名前を付けるといっても、子供に名前を付けるとか、製品名を付けるといったことではありません。製品名や記号は製品を販売する以上当たり前のこと、として考えています。

もっとも弊社が取り扱った取扱説明書の中でも、いくつかの製品には製品名や、形式番号が付けられていないというものがありました。こうした製品ではたいへん原稿が書きにくく感じたものです。

以前にも書きましたが、作っている人と、使う人とでは、製品に対する意識が大幅に違います。使う人はそのその製品を初めて見て、なんだかわからないままに、自分の過去の経験から類推します。

その想像が当たっていればよいのですが、間違っていると全く訳のわからないものとなります。
例えば、放熱用の羽根が付いていたとします。その羽根を持ち運び用の取っ手と勘違いしたら、どうなるでしょう。持ち運んでいると、強度不足で折れる可能性があります。 また、放熱用として風のよく当たるところに羽根が置かれず、期待する放熱効果が得られない可能性があります。結果として製品がオーバーヒートを起こすかもしれません。

こうした場合に、取扱説明書のわかりやすいところに(通常は、「各部の名称」として取扱説明書の、最初のページ)に「放熱用ウイング」という名称が記載されていれば、こうしたことは防ぐことができるのです。

■ソフトウエアの画面名称

実は、製品がハードウェアである場合は、まだこういったことは起こりにくいといえます。最も問題が起こりやすいのは、設定画面がたくさんある、ソフトウエアの場合です。

ソフトウエアを制作している人は、自分がどこの設定を行っているのか熟知していますから、「設定」画面が6つあっても困りません。まあ名前がないのは困るだろうということで「設定1」「設定2」「設定3」といったアバウトな名称が付けられている場合すらあります。

こうした場合は、ソフトウエアの画面に従う、というのが取扱説明書を制作する場合の原則ではありますが、あえて独自の画面の名称を付けてといったやり方もあります。

「基本設定画面」(設定1)、「通信設定画面」(設定2)、「画面設定画面」(設定3)などのように機能に従って名称を付けてしまうのです。もしかすると、その名称は誤りだ、というクレームが付けくかもしれません。そのときはあきらめて修正しましょう。しかしそれだけはっきりしたクレームが付けくことは、名称がはっきりしている、つまり機能がはっきりしていることなので喜ぶべきことだとはいえます。逆に言うとまずそんなクレームが付けくことはありません。

また、プロでない人が書いたヘルプや説明には、しばしば「その画面で」とか「この画面で」といった説明を見ることがあります。
その直前の操作によってその画面に遷移した結果の画面が表示されている場合が多いのですが、ユーザーは、必ずしも継続的に操作を行っているとは、限らないということがあります。
もしかしたら、操作の途中で御手洗いに立ったり、コーヒーを飲みに行ったり、電話に出たりするかもしれません。

そうすると、「この画面って何だったっけ?」ということになってしまうかもしれないのです。
これを防ぐには、「この画面」と書かずに、「通信設定の2枚目の画面で」と書けば良いだけです。

細かいようですが、きちっと名前を付けて、その名前で呼ぶことは、お客様の操作ミスを防ぐうえで、大変に重要な役割を持ちます。

今回はこんなところで…

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第161回ユーザーサポートと取扱説明書

3月になり、ようやく温かい空気が流れるようになってきました。近所では梅のほころんだところもあるようです。

今週はまだうちのなかが落ち着かないため、個人営業の取説屋としては、さすがに時間が取れず、このブログの更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。

■取扱説明書とユーザーサポート

よい取扱説明書を製品に添付すると、ユーザーサポートへの問い合わせが減ります。

「よい」の定義はなかなか難しい部分がありますが、なにより取扱説明書の本来の目的である「使い方を迷うことがない」ことがしっかりできていることが必要なのは言うまでもありません。

どうして問い合わせが減るのか、という点については「取扱説明書を見れば必要なことが書いてあり、問い合わせの必要がない」ため、いままで発生していた問い合わせがなくなるということです。

簡単なことに思えるかもしれません。しかし、「よい取扱説明書が添付されている」ということは、「疑問の発生が抑えられる」ということです。これまでのように「疑問があるからユーザーサポートに電話」の電話の部分が取扱説明書を見るということに切り替わるというのとは少し異なるのです。

■疑問の発生を抑える

ものを製造している会社であれば、トラブルは「発生した後の対処」よりも「予防」の方が重要だということはご承知だと思います。

これは取扱説明書の場合にも同じことが言えます。

「よい」取扱説明書には「ユーザーがやってはいけないこと」「行えば壊れる操作」が書いてあるわけです。
さらに「メンテナンスを行うタイミング」や、「不調のきざし」といったトラブルの初期段階で示されていて、重大事故になるまえに警告を与えることができます。

取扱説明書は、紙という性格からして、ユーザーにムリヤリ読むことを強制することはできません。疑問に思ったときに見てもらうのができる最大のことです。

製品に付けるラベルの注意書きではもう少しだけ効果的な注意ができますが、それでもなお限度はあります。

しかし取扱説明書は、読んでもらえさえすれば。(このあたり、ちょっと悲しいですが)

この製品は「どういう目的」で「どんな場所・時」に使うことを想定しているかは分かります。そして「こう使って欲しい」ということまでは…伝えたいと思っています。

これだけのことが伝われば、「故障」は発生しても、重大なトラブルひいては事故の減少につながります。

弊社は、こういうことから取扱説明書で世界の役に立てることを考えながら制作しております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第152回よくあるレイアウトについて続き

今回は、前回の続きです。

ここではよくある例を挙げてみます。見出しは以下のように設定されているとします。
■大見出し ●中見出し ◆小見出し

前回提示したよくある例は以下の通りです。
■設定
●初期設定
小見出しは略
●機能設定
◆画面設定
◆サウンド設定
◆操作設定
◆通信設定
◆セキュリティ設定

それに対して、弊社の修正提案の内容は以下の通りです。
■初期設定
小見出しは略
■機能設定
●機能設定の入り方
●画面設定
●サウンド設定
●操作設定
●通信設定
●セキュリティ設定

実際のところ、上のような例はとても数多く見られます。
では上の例ではどこが問題なのかについて説明していきます。

最初から答えを書いてしまうと、機能設定以下のレベルの見出しが、レベルが低すぎるということです。

レベルが低過ぎるとどのようなことになるかというと、デザインにもよりますが、読者はレベル3以下の、見出しのブロックをそれぞれ「別のもの」とは認識しません。
そういう意図とで作っているなら良いのですが、「設定」という製品の仕様に縛られて取扱説明書の内容をそのまま作ったのであれば、読者は混乱することになります。

もちろん、この例はわざわざそのように書いたのですが、同じ「設定」の項目であるからといって「セキュリティ」と「サウンド」を同時に、まぁせいぜいのところ続けて設定したいと考える人がどれだけいるでしょうか。
自分はそういった人はごく少数だと考えています。
「セキュリティ」の設定をするときは、「セキュリティ」だけを。
「サウンド」の設定をするときは「サウンド」だけを。
それぞれ設定すると思うのです。

「サウンド」の設定と一緒に「画面」を設定するかもしれないし、「セキュリティ」の設定と「通信」の設定は一緒に行うことはよくあります。しかし、それでもページ単位で独立していた方が探しやすくなることは間違いありません。必要であればそれぞれの参照ページをつけておけばすみます。弊社ではむしろそういういった作り方を推奨しています。

■取扱説明書制作は理念

取扱説明書は製品に付属している製品を、分かりやすく使うための部品です。
ページを切り詰めることよりも、お客様が機能を使おうと思ったときに使いやすくする。製品を構成する部品にコストダウンを優先して安いものを使って、製品が使いにくくなる。それでは製品全体の評価を落としてしまいます。
それと同じことです。

わかりやすく使えなければ、取扱説明書は存在の価値がありません。
機械、製品の仕様に従って取扱説明書を作るのは間違いではありませんが、より良い作り方があります。
お客様の使い方を考えて、それにしたがって取扱説明書を制作するべきです。
弊社では、このような理念に基づいて取扱説明書を制作しております。
良い製品を提供して、お客様に喜んで頂きたいメーカー・販売会社の皆様、弊社の取扱説明書を試してみませんか?

弊社では、福祉用品・生活雑貨・電子デバイス・機械設備等々、さまざまなジャンルの取扱説明書を承っております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第148回今年やった仕事

先週は申し訳ありませんでした。さすがに体調を崩してしまってはどうしようもありません。

先週は二度も、都立産業技術研究センターに行ったりと、なかなか忙しい一週間でしたが、途中でちょっとダウンしてしまうのは予想外でした。

まあそんなこと以外に、普段の足に使っている原付二種をスクーターからギア付きに買い替えることにしました。妻が免許を取ったという理由も大きいのですが、なによりギア付きがないと練習一つもできず寂しいのです。

さて。

本題に入ります。

■今年やってきた仕事

メインはIT関連。通信・マルチメディアから、デバイス・ソフト関連まで、なんでもござれ。さらに、説明図だけの仕事、杖、浄水器と広い範囲でやっています。

わかるとは思いますが、取扱説明書って商品であれば何にでも必要なんです。
まぁ、魚だの肉だの野菜だのといった生鮮食料品や本当の最小限のネジのような部品は除きますが。

特に今、中国や東南アジアから雑貨や電気製品を輸入して販売することがあると思います。しかし、ほとんどの場合コストの関係からか、それらにはろくな取扱説明書がついていません。

そんな商品、単価も高くないし、お客様だって輸入品だってわかっているから大丈夫だよと思ってはいませんか?

とんでもない間違いです。

そんな商品、誰が信用してくれるというのでしょう。

■何だって商品自身が説明すべき

いま、ここを見ていらっしゃるのでしたら、ここのサイトを作っている人間にメールして、3~5万も出せば、ベトナム語や中国語のペラを日本語の法規に則った、わかりやすい、きちんと連絡先も書いてあるペラに作り替えることができる、ということはお分かりのことと思います(あー、ベトナム語の翻訳はつけてくださいさすがにそのままでは読めません)。

実際のところ先ほど説明したような各種の商品についても、「作れる」という確信はあって制作の依頼をお受けしていますが、一番最初にやることは常に、「その商品を使う人がどのようにして使うか」という取材であることは変わりありません。

その商品を、誰がどのようにして使う、それをイメージできるようにならないと、使い方の説明はうまくできません。それは説明を紙に落とし込んだ取扱説明書でも当然同じことになります。

その説明書、ぱっと見てイメージが伝わらない、よく読めば書いてあるけれども、では絶対にお客様は読んでくれません。そしてわからないままに、サポートへ電話をしてくるのです。当然ながら内容を理解していませんから、問い合わせの内容も割ととんちんかんになります。営業やサポートの手間が、大変食われるわけです。

お客様側から見ると「何これわかりにくい説明書」ということで、いきなりマイナス印象です。すぐに使えない、お客様にとっても不幸です。

弊社は、特にジャンルを限っていません。

取扱説明書というと、何となく電気製品や動力を使う製品のように感じますが、そんなことはありません。

どんなジャンルでも、操作するところ・動く物があるのであれば、弊社は喜んで取扱説明書を、お作りしますどうぞ、お気軽にご相談ください。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第134回 取材の大切さ

ビックサイトの方に取材に行ってきました。

もちろん仕事で、エンジニアの方から話を聞くのが目的です。

もっとも、自分は船が大好きなので、帰りには有明ふ頭から水上バスに乗って帰りたくて困りましたが。

■取材の大切さ

今までにも何度か書いていますが、良い取扱説明書を作るためには、しっかりした事前取材が必要です。

事前取材には、当然ながらその商品について詳しい話を聞く、機能や特長について、話を聞く、といったことが一つ目の目的に挙げられます。

しかし、取材の目的はそれだけではありません。

エンジニアの方または、販売している方から「この商品の、どこが素晴らしいのか」という、「売る人の気持ち」を聞いてくることが必要です。

「そんなものなくても書ける。」その通りです。しかし、それが良いものになるかという点では、実物を見て、さらにエンジニアさんや販売員さんからお話を聞いた方が良い物になると断言できます。

「製品にかける思い」これがわからないでマニュアルを作るのでは、あまり良いものができない、そう思えないでしょうか。

■人への取材、製品への取材

今回は、製品を作っているメーカー様への、取材がメインでした。

それと同時に、製品がどのように動くかについても取材をする必要がありました。

テクニカルライターという仕事は、人だけでなく、「もの」の言うことも聞かなければなりません。

製品を実際に操作してみて、その製品がどういうコンセプトをもって作られているかを理解する必要があります。

例えばパソコン向けの周辺機器であるならば、お客様は高い確率で技術に詳しい人である可能性が高くなります。

また、家庭用品であるならば、おそらく主なお客様は主婦であろう、と想像されます。

もちろん、主なターゲットが、だれであれ誰が読んでも分かるように、取扱説明書を書かなければなりませんが、それでも基礎知識の有無(例:パソコンユーザーにはUSBの基本的な説明は不要)は、現行の内容を左右します。

■実際の取材

今回の取材は、玄関ドアについてでした。

ビックサイトにおける展示会の出展物の取材でした。そのため、幸いなことに秘密の内容はなく、公開情報だけで構成されています。

今回、マンションのドアについて、可動部分の写真を33枚撮影してきました。
普通に見ると、どれもこれも似たような写真で、面白みはまったくありません。

ただ、実際に、カギが刺さっているところ、カギを抜いたところなど状況によって異なるものをきちんと撮影してあります。
それだけに、そっくりなものが30枚も、ということになるのです。

そして、今回は取材メモを公開します。内容は、カギを掛ける・開ける・カギを抜くといった一連の動作です。難しいことはありません。
ただこの動作は、自分が試してみて、カギを抜く方法がわからなかったことから丁寧にメモを取ってきたものです。

メモメモをとっているときに、社長さんに聞かれました。

「やはり物を見ながらでないと、難しいですか?」

自分はこう答えました。

「はい、やはり、ものを見て、いじってみてが基本ですから」

私たちはこう考えて仕事をしています。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第125回 テストについて

雪が降りましたね。季節外れでびっくりです。

さて。

今回はテストについて書きます。
え、なんで取説屋なのにテストと思った人、甘いです。
実は取説屋の仕事は書くことは三分の一くらいです。
より大きいのは、事前の取材と実物に対する調査と試験です。
取材については別の回に譲るとして、対象となる商品の試験について書きます。

■テストとは

当然ながら試験は対象となる商品によって方法は全く異なりますが、基本的にはクライアントさんから受け取った資料、場合によって仕様書であったり、パンフレットであったり、旧モデルのマニュアルであったりします。
というのは建前で、何も資料がない場合もあったりするのですが…
それはともあれ、まずはそういった資料を基に、試験を開始します。
試験はほとんどの場合、セットアップや使用前の準備から始まります。

■大切なのは「使う準備」

ユーザーはこういった操作を普通一度ーあるいはシーズンに一度しか行いません。でも、ここでうまくいかないと、その商品を全く使えないといったことになります。
普段の使用は、たいがいはルーチンワークです。そういった作業は間違いにくく、簡単になっています。まぁ正直なところ、毎日使うものがめんどくさかったら買い換えてしまうと思いますが…

ということで、使用の準備やセットアップ、ソフトウェアの場合はインストールを繰り返すことになるわけす。
ちなみに、ソフトウェアの場合は結構難しいことが多く、dllやフレームワーク、あるいはDirectXといった環境をインストールするので、完全なアンインストールができず、クリーンインストールのやりなおしなどはとても手間がかかることもしばしばです。

■テストに悪ずれを持ち込まない

さて、私たち取説屋がこういった試験をするときは、常に心がけていることがあります。
それは、「悪ずれをしない」ということです。
私たちは、実際のところを言えば、様々な商品を扱ってきたプロです。また、技術者でもあります。簡単な結線や工具を使って組み立てたり、ソフトにしても簡単なマクロを組むぐらいのことはできるわけです。
でも、それだけに「慣れ」は大敵です。
「ああ、ここのすきまはちょっとくさびで持ち上げといて」…ダメです。
一般のお客様はそんなことをしません。
組み立てている途中にバランスが崩れたらそこで作業が止まるのが普通です。
「悪ずれ」していると、これを見落としてしまいます。
「ああ大丈夫」で書いてしまうと、バランスをとって組み立てるのが恐ろしく難しいのを平気で書いてしまうことになりかねません。
きちんとしようと思えば、組立開始前に「ささえを用意する」か「2人で組み立てる」といった記載が必要なのに、これを落としてしまうのです。
これでは「わかりやすい取扱説明書」は作れません。

■ギャップを埋めるもの

「一般ユーザーの視点で」というのは言うのは簡単です。しかし、自分の技術者としての技術が上がっていくにつれ、かえって一般ユーザーの立場から離れてしまうのです。
では、そのギャップを埋めるのは何かというと2つあります。
1つめは、先ほどから書いているように、悪ずれをしない「注意力」です。見落としがなければ、とばしたりすることは減ります。
しかし、じつは一番大切なのはもうひとつです。
それは「想像力」です。

■想像力は無限に

椅子を考えたとき、普通は「座るためのもの」と考えます。
私たちのような取扱説明書を仕事にしている人は、次に「この上に立って踏み台として使う」ということを考えます。
でも、知人のマニュアル制作者はもう一つ先のことを見ていました。
「子供が飛び降りて遊ぶかもしれない」
これは正直すごいと思いました。彼は「子供がそういう行動をするのを常日頃見ていたから」と謙遜していましたが。
「お客様の立場で考える」
言うのは簡単です。しかし、どこでも飛び跳ねる元気な子供や、力が弱くなって目も悪くなったお年寄りのことも全部考えて、必要な範囲はどこまでかを決めて反映するということには、たいへんな「想像力」を必要とします。
ぞういった想像力は今の自分でも足りないと思っています。
人生は修行と言いますが、こういった想像力はまだまだ鍛える余地があります。これからもがんばっていこうと思います。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第114回 取扱説明書をWebに公開しませんか

師走です。

いろいろとせわしない季節になってきました。そろそろ年賀状の支度もしなければなりませんし、年末の買い出しなど年越しの準備も必要です。

■お客様にまで伝えていますか?

今回は前回に引き続いて、取扱説明書の営業的な扱いについて書きます。

前回は、メーカーさんが商品を出す際に「商品に語らせる方法としての取扱説明書」について書きました。これは、メーカーさんから、バイヤーさんへの説明についてでした。

さて、商品を売るには、メーカーさんから販売店さんに売っただけは完結しません。
当然ですね。商品がお客様の手に届いて、初めてその商品は「売れた」と言えるわけです。

商品が、自分自身をお客様にどう伝えるか。
ここでは、インターネットの通信販売を考えてみます。

■取扱説明書をWebに公開しませんか?

一般的にインターネットの通信販売においては、販売業者の人が商品説明のページを作って販売します。
もちろん、、営業的な資料などを渡していますので、それらを元にして制作しているのが一般的ですが、厳しい言い方をするとそれは「販売会社任せになっている」ことにほかならないわけです。

ではどうするかということが、今回の提案の内容です。

「取扱説明書をWebに公開しませんか」

もちろん、自社の製品のページで公開するのです。
そうするとどうなるか。
インターネットの販売会社は一般的に「メーカーページへ」「メーカーの商品紹介ページへ」といったリンクを作るのが普通です。
メーカーさんのサイトには詳細なスペックが記載された商品ページを作っておくのが理想ですが、必ずしもそうできない場合もあります。

そうした場合、取扱説明書のPDFファイルを公開していれば、少なくとも「メーカーサイトに情報がなにもないな…」といった事態が避けられます。
もちろん、きちんとした商品ページを作ってある場合でも、よりきちんとした説明が見られる取扱説明書が見られることはユーザーに信頼感を与えます。

そして、お客様は意外なポイントを気にしている場合があります。
そして、往々にして知りたい内容はカタログやパンフレットにはなく、取扱説明書の中だけにあったりするものです。
お客様の購入の決断の最後の背中を押せるかも知れません。

もちろん、できれば弊社としては、その取扱説明書の制作をご依頼いただけるとありがたいのですが…
最後に。
取扱説明書を制作しながら商品ページを同時に制作するといった作業も承っております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第113回 バイヤーさんに取説でアピール

板橋区の交流会、北区の交流会と続いて顔を出してきました。
直接商売に結びつくというわけでもありませんが、何度か顔を合わせたことのある方もいらっしゃったりと、年を重ねるにつれ、少しずつ面白くなっていきます。

■作るだけでは…

さて、いままで交流を広めてきたなかで、メーカーさんの知り合いも増えたのですが、それとは別にバイヤーさん(通信販売の人もいれば、実店舗の人もいらっしゃいます)との知り合いも増えてきました。

バイヤーの人たちが異口同音に口にするのは「アイテム数が多い」「特長がないとわからない」ということです。
当然ですね。メーカーの人が売りたいのと同じくらい、パイヤーの人は良い商品がほしいのですから。

もちろん、作った商品が見ただけでわかる特別な特徴を備えているなら、商品それ自体に語らせれば大丈夫です。
「強い商品力のある商品を作る」これができるなら、ベストです。
でも、ほとんどの場合は、そうはなっていないのが現実ではないでしょうか。

そうすると、出てくるのが「差別化」ということです。
でも、単純に商品をつくるだけでは、さきほど書いたように「商品に語らせる」ことは難しいのが実情なのです。

「この製品のトップの平滑度は1ミクロン以下である」
これはすごいことだと思います。とくに、それが木製の大きなテーブルであった場合には。
でも、それを商品だけに語らせた場合は、1ミクロンでも0.1mmでも…正直、たぶんわかりません。

■最初に商品を見るのはバイヤーさん

見出しの通りです。
最初に、貴社の商品を見るのはバイヤーさんです。

もしも、最初に商品を見てもらうときにラッキーにもあなたの会社の営業さんがいれば、その商品のすばらしさをそこで説明できるかも知れません。
でも、そんなラッキーは毎回は続きません。
ラッキーでないとしたら、これを読んでいるあなたは日本有数の大会社で営業員が星の数ほどもいるのでしょう。

つまり、商品はそれでも「自分で語らなければならない」のです。
でも、商品自体は性能や使いやすさ、製品の良さを語ることはできません。

商品が語ることができるのは、以下の3つだけです。

  • 商品それ自体
  • 取扱説明書
  • パッケージ

だから、弊社は提案します。

■取扱説明書に商品のことを語らせましょう。

取扱説明書には、宣伝文句を書く必要はありません。それこそテーブルトップの平滑度を正直に書けばよいのです。
バイヤーさんはプロフェッショナルです。アマチュアの消費者とはちがうのです。

プロフェッショナルなら、アピールポイントをきちっと見せていれば、理解してもらえます。
誇張もなく、正直に「この製品はひんなに良い」と、「正しい使い方を説明する」ことで、バイヤーさんにはアピールできます。

ということで、取扱説明書を改善してみようと思いませんか?

ちょっとでもそんな気持ちになったら、マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所 までどうぞ!


【わかりやすいマニュアルの作り方】第112回 製品安全は投資です

昨日は祝日でしたので、1日遅れで失礼します。

本格的に寒くなってきました。
もっとも、自分は大型バイクを処分してしまったので、あの極寒の状態に身をさらすと言うことはなくなったのですが。
ここのところ色々なところに出向いているので、本ブログのネタを集めるのは比較的楽になりました。

というわけで、本題です。

■安全は余計なコストにあらず

見出しの通りです。

「安全」について考えると、「コストがかかる」「事故が起きなければ無用」などと考えている人がとても多いようでした(取材による実体験です)。

さらに、「事故があっても、保険があるから大丈夫。」と考えている人がなんと多いことか。実際に知ってびっくりしました。

当ブログに何度もおいでになっている方は先刻承知かも知れませんが、製品事故が起きたとき、PL保険ではいろいろと不足が発生します。
簡単に言うと、「本人以外の損害は駄目」「風評被害も、売上が落ちたのも駄目」。
大会社以外にとっては、ほぼ一発で会社をたたむような大事です。でも、保険は出ません。

かといって、裁判で争うにしても結果は同じです。時間がかかれば、弁護費用が莫大になって、やはり風評被害が発生します。

事故が起きた後は、誠意を持って、素早く動いて対策を行うという正攻法しかありません。

ではどうしたらよいのでしょう。

■予防にコストをかける

火事で燃えてしまった後に残るのは焼け跡だけです。
風邪だって、ひき始めが肝心です。

このように、災害は可能であるならば、予防するにこしたことはありません。

メーカーさんは、なぜか設計・製造には全力を傾けますが、「設計・製造」をいくら改良しても、取り除くことができない危険(アイロンが熱くなることや、刃物に触れば切れるなど)のところは、どういうわけか「軽視する」傾向があります。

これは、危険なことです。

危険対策を「全部」やっても、なお残って、不慮の原因で発生するのが「事故」です。
私達は「事故」をなくしたいのです。
自分でなくとも、事故を起こしたい人などいないと思います。

だから、コストをかけるのです。
事故が起きてしまったときに発生するコストに比べれば、予防のためのコストなんて微々たるものです。

「50年間無事故の工場」や、「開業以来一度も人身事故を起こしていない新幹線」など、地味ではありますが、「無事故」も会社の価値だと認められています。
「無事故」に取扱説明書は「取り除けない危険」をお客様-使用者に警告する最後の手段です。

できれば、もっと取扱説明書のことを気にしていただけると嬉しいなぁと思います。


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