先日まで寒いと思っていたら、もう暑く感じるようになってきました。
季節の移り変わりは早いものです。
■取り扱い説明書として共通部分
さて、今回はタイトルの通り多機能製品の取り扱い説明書についてです。今回は、電化製品について書きます。
多機能製品の典型例はなんといっても携帯電話です。スマートフォンになって更に機能が増えて、とうとうメーカーではすべてのソフトウェアの取扱説明書を、紙で提供するのを諦めてしまっているところすらあります。
また、さまざまな製品が多機能化を進めているため、電化製品のほとんどは、むしろ、多機能製品ばかり、といったほうが正しい状態になっています。
しかし、多機能な製品であっても、ごく一部の、ソーラーで動く製品を除けばほとんどの製品は電池のセット、充電、あるいは電源を接続して動かすことが必要です。
そうすると、充電する、電池を装着する、あるいは電源を接続するといった操作は(電化製品の場合)必ず必要となります。
さらに、「メインスイッチをオフにする」操作についても必ず説明が必要です。この点についてはサーバーやルーターなど特殊な用途の機器については一部例外がありますが、むしろそういった機器の方が、万一の時の、電源を掘りする手順、もしくはすべてをリセットする手順が、大変重要な場合があります。
そして、これらの機能は電化製品である以上、基本的で、かつ、最も大切な機能だといえるのです。
したがって、この部分だけ別冊にしたり、別立ての章を設けてでも、誤解を生じないように、分かりやすく説明する必要があるのです。
■多機能部分の取り扱い説明書
それに対して、通信や録画といった機能は非常に数が多くあります。
こうした場合に、それぞれの機能を平等に並べてしまうと、とても使いにくい取扱説明書になります。
たとえば極端なことを言うと、電話をかける機能と、ゲームをプレイする機能が同じレベルで記述されていたらどうでしょう。言うまでもなく、論外だと思います。
当然、それぞれの機能には重みをつけて、「この機能は大きく扱う」「これとこれとこの機能はひとつにまとめて●●機能の下にまとめよう」といったことを決めなければなりません。
最初に機能の多い電化製品の例として携帯電話をあげましたが、機能の多いのは携帯電話には限りません。例えば電子レンジや、炊飯器、ホームベーカリーなどの取扱説明書を見ても非常に機能が多くなっていることは明らかです。一部のデザイン性を高める目的であえて機能を絞った製品以外は、ほとんんどがデジタルによる制御ができるようになった分、多機能化していることは間違いないでしょう。
さて、こういった多機能部分というのは、それぞれの機能の重要性はあまり高くないのが普通です。
もともとあった機能を温度制御したり、ソフトウェアを動かすことによって機能を追加しています。つまりこのソフトウェアで制御される部分については、すべて同じ重さとして並列的(パラレル)にレベルを下げて列記してやれば済みます。
それに対して先ほど書いた、電気部分の基本的なところやメンテナンスなどにかかわるところはシーケンシャルに作業を行わなければならない部分です。書き方の根本が異なっているのです。
こういったところどうやって見分けるか、またその結果をどのように取扱説明書に反映させるかといったことは、制作者の経験と腕次第ということになってきますが…
少なくとも機能があるからといって、それぞれの機能の重さは同じではないということです。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
先日まで寒いと思っていたのが急に暑く感じるようになりました。
季節の移り変わりは早いものです。もう、ゴールデンウイークも、あっという間に過ぎ去ってしまいました。
■名前を付ける
名前を付けるといっても、子供に名前を付けるとか、製品名を付けるといったことではありません。製品名や記号は製品を販売する以上当たり前のこと、として考えています。
もっとも弊社が取り扱った取扱説明書の中でも、いくつかの製品には製品名や、形式番号が付けられていないというものがありました。こうした製品ではたいへん原稿が書きにくく感じたものです。
以前にも書きましたが、作っている人と、使う人とでは、製品に対する意識が大幅に違います。使う人はそのその製品を初めて見て、なんだかわからないままに、自分の過去の経験から類推します。
その想像が当たっていればよいのですが、間違っていると全く訳のわからないものとなります。
例えば、放熱用の羽根が付いていたとします。その羽根を持ち運び用の取っ手と勘違いしたら、どうなるでしょう。持ち運んでいると、強度不足で折れる可能性があります。 また、放熱用として風のよく当たるところに羽根が置かれず、期待する放熱効果が得られない可能性があります。結果として製品がオーバーヒートを起こすかもしれません。
こうした場合に、取扱説明書のわかりやすいところに(通常は、「各部の名称」として取扱説明書の、最初のページ)に「放熱用ウイング」という名称が記載されていれば、こうしたことは防ぐことができるのです。
■ソフトウエアの画面名称
実は、製品がハードウェアである場合は、まだこういったことは起こりにくいといえます。最も問題が起こりやすいのは、設定画面がたくさんある、ソフトウエアの場合です。
ソフトウエアを制作している人は、自分がどこの設定を行っているのか熟知していますから、「設定」画面が6つあっても困りません。まあ名前がないのは困るだろうということで「設定1」「設定2」「設定3」といったアバウトな名称が付けられている場合すらあります。
こうした場合は、ソフトウエアの画面に従う、というのが取扱説明書を制作する場合の原則ではありますが、あえて独自の画面の名称を付けてといったやり方もあります。
「基本設定画面」(設定1)、「通信設定画面」(設定2)、「画面設定画面」(設定3)などのように機能に従って名称を付けてしまうのです。もしかすると、その名称は誤りだ、というクレームが付けくかもしれません。そのときはあきらめて修正しましょう。しかしそれだけはっきりしたクレームが付けくことは、名称がはっきりしている、つまり機能がはっきりしていることなので喜ぶべきことだとはいえます。逆に言うとまずそんなクレームが付けくことはありません。
また、プロでない人が書いたヘルプや説明には、しばしば「その画面で」とか「この画面で」といった説明を見ることがあります。
その直前の操作によってその画面に遷移した結果の画面が表示されている場合が多いのですが、ユーザーは、必ずしも継続的に操作を行っているとは、限らないということがあります。
もしかしたら、操作の途中で御手洗いに立ったり、コーヒーを飲みに行ったり、電話に出たりするかもしれません。
そうすると、「この画面って何だったっけ?」ということになってしまうかもしれないのです。
これを防ぐには、「この画面」と書かずに、「通信設定の2枚目の画面で」と書けば良いだけです。
細かいようですが、きちっと名前を付けて、その名前で呼ぶことは、お客様の操作ミスを防ぐうえで、大変に重要な役割を持ちます。
今回はこんなところで…
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
前回に続いて、編集の話を書きます。
前回は趣味で作成した取扱説明書の話ですが、今回はもうちょっとまじめです。
■編集の話
編集の話です。
編集とは何をするかというと、おおざっぱに言うと「素の文章をきちっと章・節・項に分け、長すぎる文章は短くしたり、句読点をきちんとしたりする。目立たせたい言葉には括弧を付ける。」といった、「文章の後処理」と「DTP(昔で言う製版)のための指定&前処理」といった作業を指します。
実は、この作業をきちんとやっていないでデザインやDTPに回すと…どうやっても、わかりにくい「文書」ができてしまいます。それは、たとえて言えば塗装の前の面取りや仕上げを行わなかった場合に相当します。どうなるのかは言うまでもないでしょう。
ですが、どうしてこういったことを行わないのかというと、理由は簡単、誰も教えてくれないからです。
国語の教科書も(あえて言うと数学も)、実は言うと上のような手順の作業を必ず行っています。
しかし、教えるのは小説や古典文学(もしくは方程式の解法)の内容であり、その「見やすい本の作り方」については、ほとんどというか、自分の学校で学んだ範囲では教えてくれることはありませんでした。
習ったことがないことですから、できるわけがありません。
まぁ一部の才能のある人は、最初からきれいに書くことができますがこれは例外としましょう。
また、趣味で編集の技能を口伝で伝えられている人がいますが、これもまた例外と言うことで。
■編集とは何をする?
さて、では今回の本題です。「編集とは何をする?」という内容の一番上についてはすでに書きました。
「読者に読みやすくすること」が目標です。
この場合、読者というのは製品を買ってくれた人を指します。
しかし、往々にして最初の原稿を書く人も、その原稿をチェックする人も、誰も読者のことをよく知らないということがあります。
たとえば、書いた人も見る人も現場の人間でしたら、「こんなバカのことをするヤツは世の中にいないからとばしたってだいじょうぶだぜい」と思ってしまって、大きく書かなければいけない注意書きを小さく書いただけでよしとしてしまうところがないとはいいきれません。
なお、製品を一般に発売する際には、このことは特に気を付ける必要があります。
むしろ素人に近いスタッフを呼び集めて「こういうときどうする?」と実地に使わせて観察し、かつ聞いてみて、「危なそうだ」と思ったことはその操作や作業の方法のそばに書いておくべきでしょう。
話がそれました。
いろいろな機械で、手順が最初は一つで、順に機能によって分岐していく場合、それぞれのセクションの先頭に「この機能は●●を目的としています」と記載していないと、よくある「機能が羅列してあるが、その機能自体が何が何だか分からない」というよくある悪い取扱説明書になってしまいます。
■責任を取る編集長は大切
こういったことを防止するのは、たしかに何割かはライター(書き手)の役割です。しかし、取扱説明書というのはあくまでも書籍の一種です。そして、書籍である以上、全体の構成などについては「編集長」が責任を負わなければいけないのです。
会社によってこの編集長という名称は異なることがあります。しかし、だれか一人、最終責任を負う人は絶対に必要です。どんな名称であれ、内容二内容に責任を負う人がいなければ決して良い物はできないのです。
編集長は、当然ながら編集や執筆といった制作業務に精通している必要があります。
実務としての業務を知らなくては、スケジュールの調整などができないからです。
たとえば、三日間スケジュールを短くして欲しいと営業から言われた場合、それを受け入れて良い物かどうかを品質の面から判断するのは編集長の仕事だからです。
最初から、品質を保ったまま納期を短くすることが無理であれば、無理だと正直に言って、「品質を妥協するか、納期をなんとかしてもらうか」の二択をありのままに告げて経営者に判断してもらわねばなりません。(これを判断するのは営業の仕事ではありません)
品質は価値です。ですから、高い品質には高いコストがかかります。
同様に、納期もまた価値です。ですから、短い納期にはやはり高いコストがかかるのです。
コストを下げて、高い品質と短い納期。
そんな夢のようなことは残念ながらありえません。
そして、物事には責任者が必要です。
今回は、ちょっときついことを書いてしまいました。
来週は申し訳ありませんが、お休みさせていただきます。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
Tags: 作成, 制作, 取扱説明書, 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 営業, 執筆と編集, 編集, 編集長
Posted in テクニカルライター, 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 執筆と編集, 技術, 理念, 経営 | 取説屋:石井 宏治 2012年4月24日 |
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もう年末です。
あっという間に、年の終わりが来てしまいました。このブログも細々ながら155回、読んでいただいている方には、感謝にたえません、また来年もよろしくお願いします。
さすがに、新年の更新はお休みさせて頂きます。
■エディトリアルデザインの話
今回は取扱説明書のデザインの話です。
取扱説明書のデザインと、広告・宣伝・広報のデザインは目的が違います。
したがって、同じ考えで作ってはいけません。
デザインというと、目立つもの、綺麗なもの、かっこいいものを作ることがイメージされますが、デザインは目的にしたがって作られるものです。
自分は基本的に製品の特性を調べ、それを記述すること・説明することを本業としている「テクニカルライター」であり、デザイナーではありません。
実際のところ、カッコいいものを作りたければ、躊躇無くデザイナーに依頼しますし、その方が良い結果が得られることは分かっています。
しかし、文章全体を構成する編集という技術の中には、文章全体の論理的な構成を作成し、それを見やすいように並べるといった技術も含まれています。エディトリアルデザインというものです。
さてそこで考えることですが、見やすいとキレイというのは必ずしも同じではないということです。もちろん、優秀なデザイナーがデザインすると両方を満足することは可能ですが、一般的なデザインを業務としていない素人の社員が行った場合を考えています。
自分がデザインの教育を受けたわけではありませんが、ソフトウェアの必勝本などを作った実務経験から指定紙の書き方などを実務で覚えさせられました。
■デザインの要件
では、エディトリアルデザインで要求される内容の簡単な例をあげてみます。
- 内容が論理的なブロックで分かれるところは、視覚的にもブロックとして認識できるように、分けるのが望ましい
- 説明本体の流れとは別だが、その場所に置いておいた方が良い説明はコラム形式にして近くに置く。
難しいことではないと思います。むしろここを読んでいらっしゃる方としては「なんだごく普通のことじゃないか。」と思われるかもしれません。そうです、それで正しいのです。
ですが、実際に業務マニュアルを作成しようとすると、ソフトに準備された機能に引きずられてしまうということがよくあります。
特にMicrosoftWordなどを使って政策をしていると、意識的に避けようとしていない限り「ぎっちぎち」に詰めたものを作ってしまう傾向があります。
ソフトウェアがもともとビジネス文書を作成するためにできているので、一般ユーザー向けの文書を作成するときは、いくつかの設定を変更しなければならないのですが、そんなやり方はどこにも書いてありません。
上の要件を満たすための見出しの作り方や、コラムの作り方は機能としてはWordの中に用意されています。しかし、それは使い方を知っていないとそこにアクセスすることはできません。
たとえば、人が一目で見ることができる1行の文字数はどれだけか、1行の行間はどの程度にするのが適正かといったことは制作を始める前に知っておくべきことです。
そしてそのために、ページ数が多くなったり、思ったより改ページが多くなって白っぽい取扱説明書になったからといって、きっちりと詰めた文書にすべきではありません。
優先すべきなのは使う人にとっての、読みやすさなのです。
前にも書きましたが取扱説明書は、製品を扱うために必要な「お客様に説明する」部品です。
部品であれば「使いやすく作る」のは当然だと思うでしょう。取扱説明書も使いやすくなければならないのです。
色を使わないとダサく思うかもしれません。
見出しがデカくてバカみたいだと思うかもしれません。しかし、人間にはある程度以上の差がないと見出しと本文を見分けることは難しかったりするのです。
1ページの情報量が少ないと思うかもしれません。
こういったことを上司から言われるかもしれませんが、それでも取扱説明書はお客様のために作っているということを忘れないでください。
少なくとも弊社ではそう考えて取扱説明書を制作しております。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
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Posted in テクニカルライター, ビジュアル, ワードでマニュアル作成, 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 執筆と編集, 技術, 未分類 | 取説屋:石井 宏治 2011年12月27日 |
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本格的に寒くなってきました。近所の公園の紅葉もすっかり色づいてきました、
常に季節をひとつ先取りしている「オートバイ乗り」にとっては、もうほとんど真冬の寒さです。もっとも、常にという訳ではなく、コースで全力走行をしている場合はこの気温でも汗をかいているわけですが。
さて。本題です。今回はちょっと大上段に構えたテーマを扱ってみます。
■取扱説明書って何?
このブログは「わかりやすい取扱説明書」について書いています。
ということは「わかりやすいって何でしょうか?」ということが問題になるわけです。この問題は何度書いても書ききれない話で、ある意味「幸せって何でしょう」という問題に似ています。
技術的にはこの件はいくらでも書くことができます。というか、実際150回近いこのプログではえんえん書いています。
ともあれ、取扱説明書は商品に欠かせない「部品」です。
では、なぜ欠かせないのでしょうか?エンジニアさんは「取扱説明書の要らない商品」を一所懸命に作ろうとしています。それでもなお必要な理由とは何でしょうか。
弊社では、取扱説明書には責任と「この製品は○○である。」「この製品の責任者は●●である」という宣言が必要だから、と考えています。
極論を言えば、(場合にもよりますが)操作説明はなくても良いとすら考えています。
たとえば、とても使いやすい単機能のナイフであるとしましょう。
ナイフの使い方を説明するべきでしょうか?
切る、突き刺す、それから道具としてこじったりする方法を説明すべきでしょうか?
テクニカルライターである自分が考えても、必要ないと思います。ですが、使い方以外の内容が必要だと感じるのです。
■取扱説明書の「使い方」以外のこと
良いナイフを買ったことのある人は、ご存じのことだと思いますが、良いナイフには必ずといってもいいほど「メーカーの歴史」や「ポリシー」が書かれたものが入っています。
良いナイフであればあるほど「このナイフはハンティング用です」「このナイフはツールナイフです」「このナイフはフィッシングナイフです」と用途が宣言されています。
もちろん、ユーザーからすれば、見ただけでわかることは言うまでもないにもかかわらず、です。
そして、「長く使うためのお手入れの方法」と「破損時の対処方法」などと、メーカーの名前・連絡先などが誇りを持って書かれています。
これが取扱説明書だと弊社では考えています。
どんなに簡単な道具でも、良くできていても、時間がすぎると壊れます。手入れをしないとダメになっていきます。
それらに対して「作った」もしくは「売った」ことに対する責任を表明する、それが取扱説明書の「使い方の説明」以外の部分なのです。製品に対する誇りの小さな表明です。
弊社ではそんな考えで取扱説明書を作っています。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
木枯らしが吹いてきました。
11月とは思えないほど温かい日が続いていますが、ようやく秋っぽくなってきました。
バイク乗りにとっては、そろそろ風防やハンドルカバーを付けたり、冬用装備に切り替えたりする必要のある季節になってきたということです。
しかし、季節を常に一つ先取りしているライダーにとってもまだ寒いと感じないこの季節、やはり異常気象なのかもしれません。
■名前がない部品
さて、タイトルの話になります。
取扱説明書の仕事では、新しく名前を付けるということがよくあります。
渡された仕様書では「接続口1」「接続口2」と記載されている場合がよくあります。
では、これをそのまま取扱説明書に書いたらどうでしょうか。
まず、業者が設置する場合には問題が無いでしょう。なぜなら、業者は何度もその取り付けを行っているので、名称ではなくその位置関係と機能で記憶しているでしょうし、また見ただけでおおよその機能を理解できるくらいでないと専門家としてはつとまらないでしょう。
しかし、本当の問題は商品がお客様の手に渡り、かつ何か問題が起きたときに明らかになります。
問題なく動作している間は、名称の問題ははっきりと出てくることはありません。なぜなら、動いていさえすれば、それが何であれいじる必要がないからです。
■名前を付ける
いじる必要がない場合、たとえば自動車を運転する場合は、ボンネットを開けてエンジンを見る必要はありません。
しかし問題が起きると、ボンネットを開けて修理工場に連絡して「ラジエーターから煙を吹いている」と伝えなければなりません。
ここで「ラジエーター」という「名称」が必要になるのです。
この名前がわからないと「なんかエンジンの近くから白い煙を吹いている」という、よくわからない連絡をすることになります。まぁ、修理工場の人は「どっちにしろ動かないなら一緒だ」とレッカー車を持ってきてくれるかもしれませんが。
この例に見るようなことがあるために、私達のような取扱説明書を制作するものは、お客様がさわる可能性があるものにはわかりやすい、機能を表す簡潔な紛らわしくない名前をつける必要がある場合があるのです。
名前を付けるのは社内のエンジニアのためではありません。社内のエンジニアは「接続口A-2」でも問題なく通じます。しかし、それをお客様に強要することはできません。
しかも、こういった名前が必要なのは先程説明したように「トラブルが発生したとき」です。お客様は困ってユーザーサポートに連絡してくるのです。そのときに「接続口A-2」ではちっとも話が進まないのです。
それがたとえば水を入れる口であれば、「原水取り入れ口」なり、わかりやすい名称をつけて取扱説明書に記載する必要があるのです。
弊社ではこのような考えで部品に名前を付けたりしつつ、取扱説明書を制作しております。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
なんだか、九月の後半とは思えないほど、暑い日々が続いています。30度をちっとも下回らないです。こんな状態が続くと、季節感がおかしくなってしまいます。
それに、台風やゲリラ豪雨といった荒れた天気が続き、大きな災害が続いています。●●年に一度という言い方も、年に何回か聞くようになってしまいました。このあたりの数字も見直すべき時が来ているのではないでしょうか。
■説明図の話
今回は前にも書いたことがありますが、説明図の話をしようと思います。
実は「説明図メイン」という珍しい仕事を受注したので、説明図について書いてみようと考えたのです。
さて。それでは「説明図」とは何でしょうか。
普通の人は簡単な参加に矢印などが引かれたものを想像すると思います。
基本的にはそれで正しいです。
「そんなに難しくなさそうだから、俺にも描けるんじゃないか?」そんな感じですね。
ではやってみましょう。
「パソコンとディスプレイを接続する図」をどう描くか考えてみてください。いつも見ていますから簡単ですね。
……でできるなら取説屋は必要ないのです。
実際に描こうとしてみると、いくつかの問題が発生すると思います。
たとえばこんな感じです。
- 本体と、ディスプレイのそれぞれの接続部に「名称」があるか?
- 接続部の所つなげて描くか、つなぐ前を描くか?
- コネクターに上下があるが、きちっと描かないと……
こういった仕事をされている、デザイナーさんやイラストレーターさんはほとんど指示なしでもぴしっと上げてくれます。さすがです。
でも、普段畑違いの仕事をされている方にお願いすると、恐らくこういった点で、どうしたら良いですかといった指示を求めてくると思います。
このあたりが、イラストレーターなどの頭に冠として「テクニカル」というのがつくゆえんなのです。
■テクニカルイラストと説明図
さらにもうちょっと続けます。
テクニカルイラストレーションと説明図の違いについてです。
テクニカルイラストというのは、いちばんわかりやすいのは自動車や兵器の細密な透視イラストでしょう。実は、自分はこうったてイラストが大好きで、1日見ていてもあきることがないのですが…閑話休題。
正しく描く、そういった点ではテクニカルイラストも説明図も共通しています。
しかし、基本的な目的が異なります。テクニカルイラストは人に機械の美しさを見せることを目的としています。それに対して説明図は人に「機能」を理解してもらうためのツールです。
その結果として以下のようなことになります。
- 説明図は説明するところ以外描きません。
- 説明図は見せたいところだけを目立つように強調します。
- 説明図の接続線は「概念」にしたがって描きます。実際の接続方法とは異なるかもしれません。
- 説明図は図の中に必ずテキストを含みます。
そうです。
説明図は「説明」の一手法です。ここは「図」が良ければ図を、テキストが良ければテキストを使います。その場にあった方法を選ぶのがプロの説明屋、つまり取説屋です。
弊社はそんな考え方で取扱説明書の仕事をしている事務所です。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
今回はデータのバックアップと二重化についての話をします。
弊社では、というよりも自分の仕事のスタイルとして、バックアップを必ず残すということは、ポリシーというよりも基本的な仕事スタイルとしています。
■バックアップについて
バックアップを取るのは、ハードウェアやOSのトラブルで読めなくなることを警戒してですが、実はデータを失うときはむしろそういったトラブルよりも人為的なミスでデータを消す…もっとはっきり言えばデータを空にして元データを上書きしてしまうことです。
システム的なトラブルには大体の場合は予兆があります。システムが、滑らかに動作しなくなったり、今まで見たことのないようなエラーが表示されるようになったり、あるいはハードウエア的に変な音がする、といったことも含まれます。
ですからこういったことに気がつけばその時点でバックアップをもう一度取るといった対策をすれば、ある程度までは損害を防ぐことができます。
もちろん、ある日突然起動しなくなる。といったことはありますかせ油断は禁物ですが。しかし、それよりも恐ろしいのは、ファイルを開いた状態でうっかり「すべてを選択」して、EnterとかSpzceキーを押して、Ctrl-Sを押してセーブしてそのまま終了してしまうことなのです。
なぜ、終了してしまうまでを含めているかというと、終了さえしていなければまだCtrl-Zで操作の取り消しをしていけばデータの復帰が出来る可能性があるからなのです…
もちろん、その結果は数バイトのサイズのファイルが残るだけです。
手の施しようもない悲劇です。
■データナンバリングについて
弊社では、数週間から一カ月、場合によっては何カ月にもわたって同じファイルを書き直して原稿を作成していく場合があります。
まあ、一週間に一度は、ハードディスク全体のバックアップを取っているので、前記のようなトラブルが起こったとしても、最悪先週のデータは残っているということにはなりますが、仕事をする上では致命的と言って良いレベルの大惨事でしょう。
しかし残念なことに、この悲劇を完全に防ぐことはできません。
そのため、長く同じファイルを使い続けているということは、日数が伸びるにつれ統計的に内容を失う確率が高くなっていくわけです。
そして、納期が厳しい最終日近くに一週間前のバックアップに戻されたら……泣くに泣けません。納期が近くなった場合には、多くの場合、メールでファイル送ったりして、結構バックアップがとれている場合もあります、しかしそんな偶然に頼るわけにはいきません。
そこで、筆者は毎日同じファイルを使う場合は、当日の朝、そのファイルのコピーをエクスプローラーで作成して、「ファイル名に」その日の日付をつけるようにしています。
当然ながらファイルを新規作成するときも、作成日をファイル名に含ませています。
例:
file20110912を使っている場合
コピーすると↓のファイルができる。
“file20110912のコピー”
ファイル名を変更する。
“file20110913″ ←ファイルの操作をした日付
そして、実際の作業はこのファイルを開いて行います。
こうすることにより、たとえ何らかのミスが発生してファイルの内容が失われるトラブルが発生したとしても、「昨日作成したファイルまでは残っている」ということになるからです。
ただし、ファイルがたまっていくことになりますから、適当なタイミングで整理をする必要はあります。
もちろん一日分の作業が失われるのはとても痛いことですが、それでも一週間分の作業が失われることに比べると断然ましです。
■もう一つのメリット
さて。
実は、このように履歴を取ってデータを残しておくことは、バックアップの安全性、という視点だけではなく、他にもいくつかのメリットがあります。
一つめは、やはり安全性です。
弊社のような仕事では、一つのファイルを元にして似たような内容のファイルを作ることがよくあります。
こうした時に、最新のファイルをもとに新しいデータを作ると、「ついうっかり」最新のファイルをテンプレートとしてしまうという事故が起こります。
しかし、履歴がとってあれば、2~3日前のデータを使えば「そんなに内容に違いはない」ですから、安全にほぼ最新データからテンプレートを作成できます。
ちなみに、最初の段落で書いた「内容の全消し」というのはこの作業で起こったことでした。
話がそれました。
このような形の履歴を取っておくことのメリットですが「変更依頼に対応しやすい」というメリットもあります。
取扱説明書制作の仕事では、ある程度までできた時点でクライアントにチェックを依頼します。デザイナーさんなんかも、同じような仕事ですね。
そしてクライアント参加の指示や意見に従って最新版から調整を行います。
これで、一方向に進んでいけばことは簡単なのですが、ときどき「前の方がよかった、前のみたいに直してくれ」という意見が出てくる場合があります。
こうした場合、履歴のデータがとってあると、とても助かるのです。
もちろん新しく作ることはやぶさかではありませんが、それでも納期がきついときには、データがあると助かることは変わりありません。
ということで、同じファイルを更新し続ける場合、このように日付をつけた新しいデータを前に作ることは、大変お勧めです。
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関東でも梅雨入りしましたね。何やら例年より十二日も早いということなので、今年の夏は去年のような酷暑にならなければよいなあと思っています。
さて今回は、雑談です。
■トイレの取扱説明書ラベル
先週、NHK-BSの”らいじんぐ産”にて、トイレの話をしてしいました。
そこで「洋式便器の裏に張られたシール」の話をしていました。
このシールはまぁ見たことがあると思いますが、洋式便器の使い方の説明を張ったものです。
本当は画像を貼りたいところですが、TOTOさんのサイトにもみあたらないので、画像を見て起こしたテキストを記します。厳密には著作権の問題があるのかもしれませんが、これくらいは目をつむって頂けるのではないかと。もちろん、クレームがあれば消します。
男子小用
フタ・便座とも上げて陶器部を出して使用して下さい
大便及び女子小用
フタだけを上げ後向きに便座に腰を掛けて使用して下さい
これに棒状の人間と便座の図が掲載されているというとてもシンプルなものでした。
■よくある誤解
今となっては間違う人も少ないかと思いますが、自分が小学生のころには、まだまだ洋式便器は少数派でした。洋式便器の使い方自体が難しい、というわけではありません。
ですが、正しく使わないと、困った事態が発生することは間違いありません。
取扱説明書が何のためにあるかということは、いくつかの理由があります。
- 使い方を説明する
- やってはいけないことを説明する
- 使い方の、背後にある文化を説明する
普通は最初の二つだけですむものですが、この洋式便器の、取扱説明書シールは三番目だったといえるでしょう。
今まで使ったことがない道具は、その使い方が難しくなくてもうまく使うことができないのです。
こんな簡単なもの誰でも使えるよ。
だから取扱説明書なんかいらないよ。
これが、もっともよくある取説に関する勘違いです。
おそらく洋式便器は、一言誰かが説明すればまず、使い方を間違えることはないでしょう。
でも、違和感があるのです。今まで使って行ってきた方法と異なる方法を使うということには違和感を感じます。この違和感は何かというと、実は「文化」の違いなのです。
そして、実は「製品を売るということは、自社の文化を売るということ」でもあるのです。
だから、違和感がある製品を売るということは、その会社独特の文化を売るということでもあります。
自分のこだわりがある部分は、きっちり説明して「こう使って欲しい」とち伝えて、最も良い使い方をしてもらい、最高の状態で使うことで、メーカーもユーザーもどちらも幸せになるべきなのです。
弊社は、そういったことにお手伝いできればいいな、と常に考えています。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
ごく短い期間の秋が過ぎて、急に寒くなりました。
もう師走です。年末の準備が忙しくなって参りました。
■取扱説明書に必ず書いてあること
さて、本論です。
取扱説明書や注意書きは、書いてあるだけでは意味がありません。
どちらも読んでもらえないと意味がないわけです。
技術的な話になりますが、取扱説明書には、表紙には「製品名」と「取扱説明書」、そして「この取扱説明書をお読みになった後は大切に保管してください」と必ず記載しています。
さて、これらは別に「とりあえずみんなそう書いてあるから」書いてあるわけではありません。実は「製品安全」のために記載されているのです。
こういった記載が必要とされるのは以下のような流れによります。
- 製品を安全に設計・製造する
- それでもカバーしきれない危険について、取扱説明書に記載する
取扱説明書には、製品を使用した場合の危険について記載してあるわけです。
したがって、上記のような記載が必要になるのです。
- 製品名(型番)…取扱説明書が「何の製品」であるかわからないといけません。
- 取扱説明書…この文書が取扱説明書であることを明記します。厳密に言えば、取扱説明書と操作説明書は異なっています。
- この説明書を…本書を保存して、必要なときには適宜参照できるようにする必要があります。これが記載していないと「読んだけど、捨てた。→事故発生時にはもう忘れていた」と言われる恐れがあるということです。
■安全のための取扱説明書
同様のことは本文についても言えます。
本文が読みにくかったり、「注意」だけで数ページも続いている構成の取扱説明書では「読み飛ばされる」とか、「気がつかなかった」ということになりかねません。
そうすると、2つの問題が起きる可能性があります。
- 注意書きに気がつかなかったため、間違った操作を行って、製品事故を起こす。
- 製品事故が発生したときに、表示上の欠陥とみなされる。
どちらも大問題ですが、弊社「石井ライティング事務所」は、特に1番の「事故発生」の可能性を下げたいと願っています。
また、最初に書いた表紙の内容などについては、「表示上の欠陥」と見なされるのを防ぐための工夫でもありますが、いずれにも共通するのは、「読みにくい取扱説明書は(使用者に読んでもらえないため)意味がない」ということです。
弊社は読みやすさも安全への第一歩だと考えています。
読みやすい取扱説明書については下記にご気軽にご相談ください。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
Tags: マニュアル, 企画, 制作, 取扱説明書, 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 執筆と編集, 経営, 製品安全
Posted in 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 未分類, 注意書き, 経営 | 取説屋:石井 宏治 2010年12月14日 |
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