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【わかりやすいマニュアルの作り方】第163回広告と取扱説明書の違い

だんだん温かくなり、日ものびて来ました。
そろそろ5時半すぎまでは日が残り、梅の花もほころぶようになってきました。
街ではキャンディーズの「春一番」が流れ、卒業式の学生たちが溢れ、やっと冬が終わったことを感じさせてくれます。

■広告との違い

今回はパンフレットやチラシと取扱説明書の特性の違いについての話をします。

簡単な取扱説明書は、一見チラシとよく似ています。
1枚で完結し、読み手に「商品の内容」を説明すると言うことは全く同じです。

しかし、違いも数多くあります。まずは、もっとも大きな違いから述べてみましょう。
チラシなどの広告にはキーとなる画像、メインビジュアルがあります。取扱説明書にも同様に大きな画像があることが多いのですが、これらはチラシのそれとは似て非なるものです。
チラシのビジュアルは「商品を買う前のお客様」に訴えかけ、「買いたい」という興味を掻き立てるためのものです。
ですから、きれいなお姉さんがにっこり微笑みながら商品を持っていたり、商品を使うことで幸せになるといったイメージを喚起するようなビジュアルを置きます。
それに対して、取扱説明書のビジュアルはビジュアルであると同時に説明図でもあります。
説明図ですから、当然かわいいお姉さんのような商品説明の気を散らすビジュアルは排除されます。また、綺麗に撮った写真よりも写真から線だけを起こした線画のイラストを使う場合が多くなります。
陰影もついていないし、商品としての魅力を伝えるにはあまり向いていない手法です。

実際、自分でイラストを作成したりする場合もありますが、「色気はないなぁ」といつも感じてしまいます。

■キャッチコピーと説明文

さてもうひとつの違いです。

本文であるキャッチコピーと説明文です。

ひとつは上と同様に読者の違いです。
不特定多数あてのチラシと、商品を購入したお客様向けでは書き方が異なります。ここでは詳細な説明は省きますが、読者が異なると言う意識を持つだけで文章は変わります。

さらに、目的が「紹介や広告・告知」である文章と、説明を目的とした文章では全く異なります。
このように、基本的に異なる読み手と目的のため、同じ文章といっても同じ人が続けて書くのは難しいでしょう。

逆に言うと、弊社ではキャッチコピーは苦手です。チラシのボディも得意ではありません。
ひとつに特化するということは、他の何かを捨てると言うことです。しかし、弊社はこのやり方しか知らないので、このやり方を続けていこうと思っています。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第155回エディトリアルデザインの話

もう年末です。
あっという間に、年の終わりが来てしまいました。このブログも細々ながら155回、読んでいただいている方には、感謝にたえません、また来年もよろしくお願いします。

さすがに、新年の更新はお休みさせて頂きます。

■エディトリアルデザインの話

今回は取扱説明書のデザインの話です。
取扱説明書のデザインと、広告・宣伝・広報のデザインは目的が違います。
したがって、同じ考えで作ってはいけません。

デザインというと、目立つもの、綺麗なもの、かっこいいものを作ることがイメージされますが、デザインは目的にしたがって作られるものです。
自分は基本的に製品の特性を調べ、それを記述すること・説明することを本業としている「テクニカルライター」であり、デザイナーではありません。
実際のところ、カッコいいものを作りたければ、躊躇無くデザイナーに依頼しますし、その方が良い結果が得られることは分かっています。
しかし、文章全体を構成する編集という技術の中には、文章全体の論理的な構成を作成し、それを見やすいように並べるといった技術も含まれています。エディトリアルデザインというものです。
さてそこで考えることですが、見やすいとキレイというのは必ずしも同じではないということです。もちろん、優秀なデザイナーがデザインすると両方を満足することは可能ですが、一般的なデザインを業務としていない素人の社員が行った場合を考えています。

自分がデザインの教育を受けたわけではありませんが、ソフトウェアの必勝本などを作った実務経験から指定紙の書き方などを実務で覚えさせられました。

■デザインの要件

では、エディトリアルデザインで要求される内容の簡単な例をあげてみます。

  • 内容が論理的なブロックで分かれるところは、視覚的にもブロックとして認識できるように、分けるのが望ましい
  • 説明本体の流れとは別だが、その場所に置いておいた方が良い説明はコラム形式にして近くに置く。

難しいことではないと思います。むしろここを読んでいらっしゃる方としては「なんだごく普通のことじゃないか。」と思われるかもしれません。そうです、それで正しいのです。

ですが、実際に業務マニュアルを作成しようとすると、ソフトに準備された機能に引きずられてしまうということがよくあります。

特にMicrosoftWordなどを使って政策をしていると、意識的に避けようとしていない限り「ぎっちぎち」に詰めたものを作ってしまう傾向があります。
ソフトウェアがもともとビジネス文書を作成するためにできているので、一般ユーザー向けの文書を作成するときは、いくつかの設定を変更しなければならないのですが、そんなやり方はどこにも書いてありません。

上の要件を満たすための見出しの作り方や、コラムの作り方は機能としてはWordの中に用意されています。しかし、それは使い方を知っていないとそこにアクセスすることはできません。

たとえば、人が一目で見ることができる1行の文字数はどれだけか、1行の行間はどの程度にするのが適正かといったことは制作を始める前に知っておくべきことです。
そしてそのために、ページ数が多くなったり、思ったより改ページが多くなって白っぽい取扱説明書になったからといって、きっちりと詰めた文書にすべきではありません。

優先すべきなのは使う人にとっての、読みやすさなのです。

前にも書きましたが取扱説明書は、製品を扱うために必要な「お客様に説明する」部品です。
部品であれば「使いやすく作る」のは当然だと思うでしょう。取扱説明書も使いやすくなければならないのです。

色を使わないとダサく思うかもしれません。

見出しがデカくてバカみたいだと思うかもしれません。しかし、人間にはある程度以上の差がないと見出しと本文を見分けることは難しかったりするのです。

1ページの情報量が少ないと思うかもしれません。

こういったことを上司から言われるかもしれませんが、それでも取扱説明書はお客様のために作っているということを忘れないでください。

少なくとも弊社ではそう考えて取扱説明書を制作しております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第154回番外編広報・宣伝の話

本当に年末が近くなってきました。来週にはもうクリスマス、なんだかびっくりするほどです。

ちょっと怪我をしたり、実家にあった家具を一部屋分処分したりといろいろバタバタしているうちに、あっという間に年末です。、

■ブログで集客?

さて今回はタイトルとは異なって、このブログの話をしてみようと思います。

このブログは、もともと「客寄せのため」に毎週マニュアルのネタを書いてみようというのが趣旨でした。

当然ながら始めたころには検索では全く出てくることもなく、「こんなことをやっていって意味があるのだろうか?」という疑問を感じるほどでした。

普通の人は、そういう状態が2~3カ月続いたらまず諦めると思います。しかし、自分は職業がライターであることで、書くことには慣れているため、そのまま書き続けました。

この時点では特にどうこうしようという目当てはありませんでした。

実際、検索上位にくるというあてもありませんでしたし、途中でやめるのは癪だという理由で続けていたのが正直なところです。

実際の所、サイトやブログを見ての問い合わせはこの時点ではほぼ0でした。

この時点ではサイトは名刺を渡した後に「石井ライティング事務所ってどんなところだ?」とウェブ検索をしたときに「なにもない」のは格好悪いだろうという程度の役目しかしていなかったというところです。

それと、サイトを見ても5年前から何も更新をしていないのでは、やる気がない-廃屋のように見えてかえって悪い結果につながったりしますから。

■面白い・役にたつコンテンツとは?

さて、そうやって何のあてもなく二年ぐらい続けてみました。現在はさらに一年が経過してほぼ三年目です。

すると、わずかに…1ヶ月に一件くらいですが「ウェブを見ました」という問い合わせがぽつぽつと入るようになりました。

この時点では「ウェブで集客」なんてことはSEO業者の言っているタワゴトに過ぎないと自分は達観していました。

ブログを始めた頃は全然アクセスが伸びず、当然問い合わせもきません。ですから、自分もかなり焦りました。もしかしたらSEO業者に依頼して、アクセスを増やしてもらった方がよいのではないだろうかなどとも考えました。

しかし、言うまでもなくそんなことをしても意味がありません。
なぜならば、検索上位に上がって誰かが見に来たとしても、そこに見るべきものはないからです。

たとえばブログの記事が10本くらいしかないサイトや、日常の日記しか書いてないサイトが検索上位に来て、それを誰かがアクセスしてみたとしましょう。
そこに問い合わせをして、取引をしたいと考えるでしょうか。

少なくとも自分は絶対にそんな相手と取引をしたいとは考えません。

面白い・役に立つということは人によって違います。そのために、さまざまな人に対応できるようにするためには、記事にボリュームが必要です。

2週間に1本の記事を書いた場合、だいたい3年くらいで70~80本くらいの記事が書けます。まじめに仕事のことを書き続けていけば、これだけあれば読み応えのある内容になります。

実際、ブログで仕事のことを書いて、仕事につながるようにしようと思ったら、他に方法はないように思います。

■書き続けること

ですがこのように仕事のことを、書き続けることは、実は意外に大変なことです。

これを読んでいるあなたが私のようなライターを職業にしている人でなければ、毎週更新をしようと考えると、早晩限界が来ます。もちろん、担当社員が数人いるならば、できるかもしれませんが、書くことを得意としていない人にとっては大変な負担です。

ですから、無理のない頻度(1月に一回程度でしょうか?)で気長に更新を続けることをお奨めします。

頑張っていきましょう。

 

……と書いておいて何ですが、毎回マジメに仕事の記事を載せたいのでしたら、弊社はテクラカルライターによるインタビューから記事作成までお手伝いできます、とちょこっとPRせてもらいます。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第150回名前を付ける

木枯らしが吹いてきました。
11月とは思えないほど温かい日が続いていますが、ようやく秋っぽくなってきました。
バイク乗りにとっては、そろそろ風防やハンドルカバーを付けたり、冬用装備に切り替えたりする必要のある季節になってきたということです。

しかし、季節を常に一つ先取りしているライダーにとってもまだ寒いと感じないこの季節、やはり異常気象なのかもしれません。

■名前がない部品

さて、タイトルの話になります。

取扱説明書の仕事では、新しく名前を付けるということがよくあります。
渡された仕様書では「接続口1」「接続口2」と記載されている場合がよくあります。

では、これをそのまま取扱説明書に書いたらどうでしょうか。

まず、業者が設置する場合には問題が無いでしょう。なぜなら、業者は何度もその取り付けを行っているので、名称ではなくその位置関係と機能で記憶しているでしょうし、また見ただけでおおよその機能を理解できるくらいでないと専門家としてはつとまらないでしょう。

しかし、本当の問題は商品がお客様の手に渡り、かつ何か問題が起きたときに明らかになります。
問題なく動作している間は、名称の問題ははっきりと出てくることはありません。なぜなら、動いていさえすれば、それが何であれいじる必要がないからです。

■名前を付ける

いじる必要がない場合、たとえば自動車を運転する場合は、ボンネットを開けてエンジンを見る必要はありません。

しかし問題が起きると、ボンネットを開けて修理工場に連絡して「ラジエーターから煙を吹いている」と伝えなければなりません。
ここで「ラジエーター」という「名称」が必要になるのです。

この名前がわからないと「なんかエンジンの近くから白い煙を吹いている」という、よくわからない連絡をすることになります。まぁ、修理工場の人は「どっちにしろ動かないなら一緒だ」とレッカー車を持ってきてくれるかもしれませんが。

この例に見るようなことがあるために、私達のような取扱説明書を制作するものは、お客様がさわる可能性があるものにはわかりやすい、機能を表す簡潔な紛らわしくない名前をつける必要がある場合があるのです。

名前を付けるのは社内のエンジニアのためではありません。社内のエンジニアは「接続口A-2」でも問題なく通じます。しかし、それをお客様に強要することはできません。

しかも、こういった名前が必要なのは先程説明したように「トラブルが発生したとき」です。お客様は困ってユーザーサポートに連絡してくるのです。そのときに「接続口A-2」ではちっとも話が進まないのです。
それがたとえば水を入れる口であれば、「原水取り入れ口」なり、わかりやすい名称をつけて取扱説明書に記載する必要があるのです。

弊社ではこのような考えで部品に名前を付けたりしつつ、取扱説明書を制作しております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第149回 安全装置について

木枯らしの第一号も吹いていったん寒くなったかと思いましたが、また夏日が来るとかいう気候でどうなっているのでしょうね。恐らくは、太陽活動の変化などによるもので、人間の活動とはあまり関係のない気候の変化だと思いますが、急激な変動は暮らしにくくなって大変です。

さて今回は、少し個人的な事柄から入ろうと思います。…実は、普段使っている二輪車を買い換えました。
今まではスズキのアドレスV100、これが同じくスズキのEN125に。

シート下のヘルメット入れが無くなったとか、スクーターからギア付きのオートバイになったとかいろいろ編かはあるのですが、それ自体ではなく周辺の話からです。

■盗難防止器具の外し忘れ

実は今までアドレスでは、ハンドルロックとカバーしかしていなかったのです。

カバーをめくってみると、20000キロ近く走ったボロいスクーターが出てくるのでは、盗む方もやる気が起きなかっただろうとは思いますが、本来はもっときちんと防犯対策をすべきところではありました。まあ幸い、盗まれたりいたずらされることはありませんでした。

しかし、今度は新車(正確に言うと二千キロ走っていない新古車)なのと、ショップでつける盗難保険に「チェーンなどの施錠をすること」ということが条件として記載されていたため、チェーンロックを付けることにしました。

そして、付けた翌日、早速やってしまいました。

チェーンを外し忘れて、そのままエンジンを掛けてスタート…

幸い、チェーンの長さがあったのと、移動した距離が1メートルほどだったので、ガツンとぶつかる前に停止することができました。はっきり言って僥倖以外の何者でもありません。

ちなみに、多数販売されているオートバイ用のブレーキロックやミナU字ロックにはどれもこれも「外し忘れに注意」という注意書きがついている。これは、逆に言うと外し忘れが如何に多いか、ということを証明しているようなものです。

これを個人責任というのはどうか、とちょっと思います。ある意味、商品に問題があるといえるかもしれません。

■組み合わせによるセイフティ

話はチェーンロックに戻ります。保険の関係上からも、問題があるといっても、ロックをしないわけにはいかないわけです。

ところで、普段使っているバイクのカバーには、チェーンロックを通すための穴が開いています。この穴はチェーンロックを外側から通し、カバーを外せないようにするためのものと認識していました。

しかし、視点を変えてみると、これはチェーンロックをしたまま走り出すことを防止するために最も優れた方法であるとも言えます。

これはどういうことかというと、
チェーンロックを外さない限りカバーを取ることができず、どうやってもまたがって走り出すことはありえない。
ということになるわけです。

こういうシステム構成をフールプルーフといいます。一時置いておくだけで、チェーンロックだけをかけてカバーをしないという状態は、自分の場合ではまず考えられないため、大変安全度の高い方法といえます。

最後に取扱説明書の話に戻しますが、弊社ではシステムとして「こういう方法であれば安全」という方法と、「こういう設定もできるが危険がある」という場合は、手順としては安全な方法のみを記載し、それ以外の方法は追加的な一覧などのところに記載して、あえてその方法を選択しなければ、危険な方法にならないように記載しています。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第146回手順について

完全に秋めいて参りました。

そろそろ夏の服で朝や夕方に出かけると肌寒く感じるほどです。

あんなに熱くてかなわなかった夏ですが、過ぎてしまうとちょっと寂しいものです。

さて。

■手順について

取扱説明書を書いていると、手順で説明する場合が、大変多くあります。むしろ手順でない場合の方が少ないほどです。

しかしこの手順というものが、実際にはその通りでない場合ということがしばしばあります。

手順A → 手順B→ 手順Cのように書いてある場合、実際には手順A と手順Bはどちらを先にやってもよく、順番を問わない、といった場合があります。

例えばネットワークの設定などで、端末とルーターなどをそれぞれ設定しなければならない場合など、実際にはどちらからやっても問題はない場合があります。

しかし、取扱説明書を制作する立場としては、手順で書いた方がわかりやすいと考えています。

上記のように、手順をAからCの順に行う場合は、手順を一つ抜かすと言うことは考えがたいからです。

それに対し、以下のように書いてあったらどうでしょうか。

以下の手順をすべて行ってください。

  • 手順A
  • 手順B
  • 手順C

自分がこういう書き方をほとんどしたことがないのですが、まず間違いなく、手順のひとつを落としたり、抜かしたりといったことで設定ができないといったことが起きると思います。

■依存関係がないリファレンス

上に書いたように、操作の順番に依存関係がない場合でも手順として書く場合があります。

ただしそれは、導入マニュアルや、設置の手順書といった、非専門家向けの「確実に設定できること」わ目的に書いた取扱説明書になります。

これに対し、リファレンスマニュアルといわれる形式のものでは、それぞれの設定方法を個別に書きます。

そのかわり、設定できる詳細な内容がすべてリストされて表形式で説明されている場合もあります。

設定によっては、各設定内容が互いに影響を与える場合があっても、それらは読み手の知識によって補完されることを前提として書かれます。

なぜそのようになるかというと、それぞれの依存関係について詳細に記述していては、以下バランスマニュアルのような、詳細な説明においては、説明量が膨大になりすぎるためです。

そのためにリファレンス形式のマニュアルは専門家向けとして扱われるわけです。

どちらが優れているというわけではありません。

だれが使う、どのような目的で使う、といったことにより、取扱説明書の形式も選択するものなのです。

弊社では、そのように、考えて取扱説明書を制作しております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第144回 データナンバリングとバックアップ

 

今回はデータのバックアップと二重化についての話をします。
弊社では、というよりも自分の仕事のスタイルとして、バックアップを必ず残すということは、ポリシーというよりも基本的な仕事スタイルとしています。

■バックアップについて

バックアップを取るのは、ハードウェアやOSのトラブルで読めなくなることを警戒してですが、実はデータを失うときはむしろそういったトラブルよりも人為的なミスでデータを消す…もっとはっきり言えばデータを空にして元データを上書きしてしまうことです。
システム的なトラブルには大体の場合は予兆があります。システムが、滑らかに動作しなくなったり、今まで見たことのないようなエラーが表示されるようになったり、あるいはハードウエア的に変な音がする、といったことも含まれます。
ですからこういったことに気がつけばその時点でバックアップをもう一度取るといった対策をすれば、ある程度までは損害を防ぐことができます。
もちろん、ある日突然起動しなくなる。といったことはありますかせ油断は禁物ですが。しかし、それよりも恐ろしいのは、ファイルを開いた状態でうっかり「すべてを選択」して、EnterとかSpzceキーを押して、Ctrl-Sを押してセーブしてそのまま終了してしまうことなのです。
なぜ、終了してしまうまでを含めているかというと、終了さえしていなければまだCtrl-Zで操作の取り消しをしていけばデータの復帰が出来る可能性があるからなのです…
もちろん、その結果は数バイトのサイズのファイルが残るだけです。
手の施しようもない悲劇です。

■データナンバリングについて

弊社では、数週間から一カ月、場合によっては何カ月にもわたって同じファイルを書き直して原稿を作成していく場合があります。
まあ、一週間に一度は、ハードディスク全体のバックアップを取っているので、前記のようなトラブルが起こったとしても、最悪先週のデータは残っているということにはなりますが、仕事をする上では致命的と言って良いレベルの大惨事でしょう。
しかし残念なことに、この悲劇を完全に防ぐことはできません。
そのため、長く同じファイルを使い続けているということは、日数が伸びるにつれ統計的に内容を失う確率が高くなっていくわけです。
そして、納期が厳しい最終日近くに一週間前のバックアップに戻されたら……泣くに泣けません。納期が近くなった場合には、多くの場合、メールでファイル送ったりして、結構バックアップがとれている場合もあります、しかしそんな偶然に頼るわけにはいきません。
そこで、筆者は毎日同じファイルを使う場合は、当日の朝、そのファイルのコピーをエクスプローラーで作成して、「ファイル名に」その日の日付をつけるようにしています。
当然ながらファイルを新規作成するときも、作成日をファイル名に含ませています。

例:
file20110912を使っている場合

コピーすると↓のファイルができる。
“file20110912のコピー”

ファイル名を変更する。
“file20110913″ ←ファイルの操作をした日付

そして、実際の作業はこのファイルを開いて行います。
こうすることにより、たとえ何らかのミスが発生してファイルの内容が失われるトラブルが発生したとしても、「昨日作成したファイルまでは残っている」ということになるからです。
ただし、ファイルがたまっていくことになりますから、適当なタイミングで整理をする必要はあります。
もちろん一日分の作業が失われるのはとても痛いことですが、それでも一週間分の作業が失われることに比べると断然ましです。

■もう一つのメリット

さて。

実は、このように履歴を取ってデータを残しておくことは、バックアップの安全性、という視点だけではなく、他にもいくつかのメリットがあります。
一つめは、やはり安全性です。
弊社のような仕事では、一つのファイルを元にして似たような内容のファイルを作ることがよくあります。
こうした時に、最新のファイルをもとに新しいデータを作ると、「ついうっかり」最新のファイルをテンプレートとしてしまうという事故が起こります。
しかし、履歴がとってあれば、2~3日前のデータを使えば「そんなに内容に違いはない」ですから、安全にほぼ最新データからテンプレートを作成できます。
ちなみに、最初の段落で書いた「内容の全消し」というのはこの作業で起こったことでした。
話がそれました。
このような形の履歴を取っておくことのメリットですが「変更依頼に対応しやすい」というメリットもあります。
取扱説明書制作の仕事では、ある程度までできた時点でクライアントにチェックを依頼します。デザイナーさんなんかも、同じような仕事ですね。
そしてクライアント参加の指示や意見に従って最新版から調整を行います。
これで、一方向に進んでいけばことは簡単なのですが、ときどき「前の方がよかった、前のみたいに直してくれ」という意見が出てくる場合があります。
こうした場合、履歴のデータがとってあると、とても助かるのです。
もちろん新しく作ることはやぶさかではありませんが、それでも納期がきついときには、データがあると助かることは変わりありません。

ということで、同じファイルを更新し続ける場合、このように日付をつけた新しいデータを前に作ることは、大変お勧めです。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第138回説明が好きということ

節電でクーラーを使えず、いろいろと大変である。
まあ、それでもがんばってのりきっていくしかないのですが。

■説明が好き

自分はこんな仕事(取説屋)をやっているが、とどのつまり、自分は説明することが好きなのである。
私事になるが、現在妻はHAMの免許を取ろうと勉強中である。HAMといってももちろん食べ物ではなく、アマチュア無線技師の資格である。
日本史や世界史では適当に「ろくはらたんでいって何?」とか「ルビコン川はどのあたりにある?」といった些末な、普通にはとても覚えていられないようなことでも大概は即答する妻だが、どういうわけか、物理ではオームの法則、数学では平方根あたりで理解困難になるらしい。
しかし、無線技術者の試験はあくまでも(初級)物理であり、歴史ではない。
たいへん不思議な話ではあるが、自分は理系と文系の間くらいを仕事としているわけなので、これらに何とか説明を試みる。
電圧と電流はポンプの流量で、平方根は文字通り平方(2乗)の逆数という概念からいろいろやってみる。
うむ、今思い返してみると、数学の先生もこんなに丁寧に概念を説明してもらってないが、それはそれとして。
やっていてよくわかった。
「説明して理解してもらうのは楽しい」
つまりはそういうことだ。
自分は、説明してわかってもらうことが好きなのだ。だから仕事としても楽しく、誇りをもってやれる。

■ひどい説明……

ちなみに、妻が購入したアマ無線の試験のテキストの「説明」はとてもひどいものである。技術的内容を知っている自分が読んでも、理解するためには図を書いてみないとわからない「書き方」というか説明をしている。
試験対策であり、1月くらいしか使用しないものとはいえ、よくまぁこれでお金をとれるものだというくらいである。
一例を挙げると、DSBとSSBを何の略語か一度も説明しない。両側波帯と単側波帯と書かれても何のことかわかったら不思議であろう。ちなみに、”Double Side Band”と”Single Side Band”である。先に一度こう書かないと、英語が瞬時に頭に浮かぶ人以外には絶対に理解できず、したがって覚えられないことは今晩の夕ご飯をかけても良い。

■結局の所は

説明をしてわかってもらうには、「1.理解していること」は当然として、もうひとつ「2.その説明の対象が好き」でないとむずかしい。そして「3.説明すること自体が好き」でないと取説屋はやれないのだなと思ったりしたのでした。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第137回 翻訳だけでは取扱説明書は無理です

6月が終わり、いよいよ夏本番が近づいてきました。
弊社はクーラーを使わずに、「空調服」という怪しげなアイテムで夏を乗り切ろうとたくらんでいますが、どうなることやら、です。

さて。今回は翻訳と取扱説明書の関係の話です。

■翻訳しただけでは取扱説明書になりません

最近も問い合わせがありましたが、英語や中国語の取扱説明書がある場合、「これを翻訳すればそのまま日本語で取扱説明書として使える」と思って問い合わせをしていらっしゃるお客様がいます。

はっきり申し上げますが、大間違いです。
技術翻訳に慣れた腕の立つ翻訳者さんが行った場合にのみ、きちんとした日本語として読めるテキストにしあげてくれる場合もあります。もっとも、これだけできる人は少々値段が上がり、ライターに書いてもらうのと大差なかったりするかもしれませんが、それはそれだけの価値があるから、仕方ないことでしょう。

さて。そうでない場合。

英語を読めるから、といって翻訳にはならないのは、どの業界でも当然のこととして知られているとは思いますが、とても簡単な実例を見てみましょう。
英文の取扱説明書に以下のように書いてあったとします。日本語ではどうなりますか?

Getting Start

これはほぼ慣用句みたいなものです。取扱説明書の翻訳に慣れている人ならば、迷わず「スタートガイド」と答えると思います。しかし、取扱説明書をあまり扱ったことがない、普通の翻訳をしてきた人にとっては、「さて、どうしよう?」といったものになるはずです。

■文化の違い

日本とアメリカの間でも、技術的な文化はかなり違います。

先程の書き方もそうですが、機器の取扱説明書に平然と”Enjoy!!”とか書いてあります。
日本で、それを真に受けて「さぁ、楽しみましょう!!」なんて書いたひには、間違いなくクライアントさんからの次の仕事はありません。

ただ、英文の取扱説明書は日本のそれに比べて構造化されている場合が多く、資料として見ると、日本の取扱説明書よりも優れている場合もあります。

ただし、図解のセンスに関しては日本の漫画とアメコミくらい描き方に差があるため、そのまま使うのはまったくお奨めできません。

また、説明の順番に関しても、「どうしてこうなるのかな?」といった場合がしばしば見られます。一応、論理的ではあるのですが、感覚的に違うなというものを感じざるを得ません。

■制度・法律の違い

もうひとつ面倒なはこちらかもしれません。

アメリカの場合FCCの認定を取っていれば、電気製品を発売できます。
当然ながら、この認定は日本では何の意味もありません。

ところが一部の取扱説明書では、どういうわけかこのFCC認定の内容をそのまま翻訳して掲載してある場合があります。
繰り返しますが、日本国内では全く意味のない記述です。

日本で売るものであれば、当然の制度と法律にのっとったものでなければいけません。特に取扱説明書は、製品の一部であり、お客様に説明を提供する唯一の方法だからです。

こういった理由から、弊社では「翻訳しただけでは取扱説明書は役に立たない。」と申し上げております。

きちんと製品を見て、操作して、エンジニアさんに取材をして、きっちりと原稿を書く。
弊社ではこういった方針で取扱説明書を作っております。

貴社の良い製品に、良い取扱説明書を提供したいと考えております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第133回 文化を伝える

関東でも梅雨入りしましたね。何やら例年より十二日も早いということなので、今年の夏は去年のような酷暑にならなければよいなあと思っています。

さて今回は、雑談です。

■トイレの取扱説明書ラベル

先週、NHK-BSの”らいじんぐ産”にて、トイレの話をしてしいました。

そこで「洋式便器の裏に張られたシール」の話をしていました。
このシールはまぁ見たことがあると思いますが、洋式便器の使い方の説明を張ったものです。

本当は画像を貼りたいところですが、TOTOさんのサイトにもみあたらないので、画像を見て起こしたテキストを記します。厳密には著作権の問題があるのかもしれませんが、これくらいは目をつむって頂けるのではないかと。もちろん、クレームがあれば消します。

男子小用
フタ・便座とも上げて陶器部を出して使用して下さい

大便及び女子小用
フタだけを上げ後向きに便座に腰を掛けて使用して下さい

これに棒状の人間と便座の図が掲載されているというとてもシンプルなものでした。

■よくある誤解

今となっては間違う人も少ないかと思いますが、自分が小学生のころには、まだまだ洋式便器は少数派でした。洋式便器の使い方自体が難しい、というわけではありません。

ですが、正しく使わないと、困った事態が発生することは間違いありません。

取扱説明書が何のためにあるかということは、いくつかの理由があります。

  1. 使い方を説明する
  2. やってはいけないことを説明する
  3. 使い方の、背後にある文化を説明する

普通は最初の二つだけですむものですが、この洋式便器の、取扱説明書シールは三番目だったといえるでしょう。
今まで使ったことがない道具は、その使い方が難しくなくてもうまく使うことができないのです。

こんな簡単なもの誰でも使えるよ。
だから取扱説明書なんかいらないよ。

これが、もっともよくある取説に関する勘違いです。

おそらく洋式便器は、一言誰かが説明すればまず、使い方を間違えることはないでしょう。
でも、違和感があるのです。今まで使って行ってきた方法と異なる方法を使うということには違和感を感じます。この違和感は何かというと、実は「文化」の違いなのです。

そして、実は「製品を売るということは、自社の文化を売るということ」でもあるのです。

だから、違和感がある製品を売るということは、その会社独特の文化を売るということでもあります。

自分のこだわりがある部分は、きっちり説明して「こう使って欲しい」とち伝えて、最も良い使い方をしてもらい、最高の状態で使うことで、メーカーもユーザーもどちらも幸せになるべきなのです。

弊社は、そういったことにお手伝いできればいいな、と常に考えています。

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