「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第163回広告と取扱説明書の違い

だんだん温かくなり、日ものびて来ました。
そろそろ5時半すぎまでは日が残り、梅の花もほころぶようになってきました。
街ではキャンディーズの「春一番」が流れ、卒業式の学生たちが溢れ、やっと冬が終わったことを感じさせてくれます。

■広告との違い

今回はパンフレットやチラシと取扱説明書の特性の違いについての話をします。

簡単な取扱説明書は、一見チラシとよく似ています。
1枚で完結し、読み手に「商品の内容」を説明すると言うことは全く同じです。

しかし、違いも数多くあります。まずは、もっとも大きな違いから述べてみましょう。
チラシなどの広告にはキーとなる画像、メインビジュアルがあります。取扱説明書にも同様に大きな画像があることが多いのですが、これらはチラシのそれとは似て非なるものです。
チラシのビジュアルは「商品を買う前のお客様」に訴えかけ、「買いたい」という興味を掻き立てるためのものです。
ですから、きれいなお姉さんがにっこり微笑みながら商品を持っていたり、商品を使うことで幸せになるといったイメージを喚起するようなビジュアルを置きます。
それに対して、取扱説明書のビジュアルはビジュアルであると同時に説明図でもあります。
説明図ですから、当然かわいいお姉さんのような商品説明の気を散らすビジュアルは排除されます。また、綺麗に撮った写真よりも写真から線だけを起こした線画のイラストを使う場合が多くなります。
陰影もついていないし、商品としての魅力を伝えるにはあまり向いていない手法です。

実際、自分でイラストを作成したりする場合もありますが、「色気はないなぁ」といつも感じてしまいます。

■キャッチコピーと説明文

さてもうひとつの違いです。

本文であるキャッチコピーと説明文です。

ひとつは上と同様に読者の違いです。
不特定多数あてのチラシと、商品を購入したお客様向けでは書き方が異なります。ここでは詳細な説明は省きますが、読者が異なると言う意識を持つだけで文章は変わります。

さらに、目的が「紹介や広告・告知」である文章と、説明を目的とした文章では全く異なります。
このように、基本的に異なる読み手と目的のため、同じ文章といっても同じ人が続けて書くのは難しいでしょう。

逆に言うと、弊社ではキャッチコピーは苦手です。チラシのボディも得意ではありません。
ひとつに特化するということは、他の何かを捨てると言うことです。しかし、弊社はこのやり方しか知らないので、このやり方を続けていこうと思っています。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第158回 情報公開は取扱説明書公開から

少し日が延びて暖かさを感じる日が増えてきました。

雪国の方はとても大変だと思いますが、頑張って下さい。

■情報公開の第一歩として

さて、今回は前回書いた「第157回取扱説明書は公開しよう」の続きです。

前回は「取扱説明書はどんな時に使われるか」について書きましたが、これを一歩踏み込んでみます。

そもそも取扱説明書とは何でしょうか。これは前々回(第156回広告コピーと取扱説明書の違い)で説明しましたが、取扱説明書はお客様にお渡しする「わかりやすくした技術文書」です。

技術文書である以上、製品寿命やメンテナンスや設定のことも書いてある…はずです。もしも書いてなければ、その取扱説明書は技術文書としては欠陥があるということに残念ながらなってしまいます。

前回、私は製品を購入する前に取扱説明書がダウンロードできるのであればできるだけ見てみると書きました。実際、どうして取扱説明書で見るのかというと「悪い」情報もほしいからです。

どんなに頑張っても「良い情報」だけで構成されるような製品は作ることができません。どうしても営業的に「良くない」情報も含まざるを得ないのです。たとえば、バッテリーは使うと充電しなければなりませんし、劣化もしていきます。交換する必要もあるかもしれませんし、その型番やパーツの発注方法も取扱説明書にはあるとよい情報です。

しかも、技術文書である以上、それらの情報はカットできません。技術文書で悪い情報を掲載していなければ、それは役に立ちません。

■情報公開について

さて、ではもう片方である情報公開について考えてみましょう。

情報公開を求めるとき、あなたはどのような情報を請求するでしょうか。
カッコ良い写真や、良いイメージのイラストの情報を請求する人は、まずいないと思います。

つまり、公開して欲しい情報というのは「カッコ良くない」できれば「公開したくない」情報です。

しかも、「良いこと・悪いことひっくるめて」の情報です。たとえば、製品が重金属を含んでいるか、排気する場合にはどうしたらよいかといった情報が必要です。

こういった目的には、製品ごとに新しい資料を作って公開する方法もありますが、弊社としては「取扱説明書の中に公開すべき情報を入れ込んでしまう」という方法を提案させて頂きます。

そうすれば、取扱説明書を公開するだけで、きちっと正しい情報を公開でき、情報公開を請求されることも減る可能性が大きくなります(断言はできません)。

公開すべき情報については、時代につれて変わっていくところもありますから、それぞれご相談させていただく必要がありますが、潜在的なお客様に対して、積極的な情報提供を行うことは時代のニーズにマッチすることではないかと思います。

そういった取扱説明書の制作のご相談でしたら、以下にどうぞ。
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【わかりやすいマニュアルの作り方】第148回今年やった仕事

先週は申し訳ありませんでした。さすがに体調を崩してしまってはどうしようもありません。

先週は二度も、都立産業技術研究センターに行ったりと、なかなか忙しい一週間でしたが、途中でちょっとダウンしてしまうのは予想外でした。

まあそんなこと以外に、普段の足に使っている原付二種をスクーターからギア付きに買い替えることにしました。妻が免許を取ったという理由も大きいのですが、なによりギア付きがないと練習一つもできず寂しいのです。

さて。

本題に入ります。

■今年やってきた仕事

メインはIT関連。通信・マルチメディアから、デバイス・ソフト関連まで、なんでもござれ。さらに、説明図だけの仕事、杖、浄水器と広い範囲でやっています。

わかるとは思いますが、取扱説明書って商品であれば何にでも必要なんです。
まぁ、魚だの肉だの野菜だのといった生鮮食料品や本当の最小限のネジのような部品は除きますが。

特に今、中国や東南アジアから雑貨や電気製品を輸入して販売することがあると思います。しかし、ほとんどの場合コストの関係からか、それらにはろくな取扱説明書がついていません。

そんな商品、単価も高くないし、お客様だって輸入品だってわかっているから大丈夫だよと思ってはいませんか?

とんでもない間違いです。

そんな商品、誰が信用してくれるというのでしょう。

■何だって商品自身が説明すべき

いま、ここを見ていらっしゃるのでしたら、ここのサイトを作っている人間にメールして、3~5万も出せば、ベトナム語や中国語のペラを日本語の法規に則った、わかりやすい、きちんと連絡先も書いてあるペラに作り替えることができる、ということはお分かりのことと思います(あー、ベトナム語の翻訳はつけてくださいさすがにそのままでは読めません)。

実際のところ先ほど説明したような各種の商品についても、「作れる」という確信はあって制作の依頼をお受けしていますが、一番最初にやることは常に、「その商品を使う人がどのようにして使うか」という取材であることは変わりありません。

その商品を、誰がどのようにして使う、それをイメージできるようにならないと、使い方の説明はうまくできません。それは説明を紙に落とし込んだ取扱説明書でも当然同じことになります。

その説明書、ぱっと見てイメージが伝わらない、よく読めば書いてあるけれども、では絶対にお客様は読んでくれません。そしてわからないままに、サポートへ電話をしてくるのです。当然ながら内容を理解していませんから、問い合わせの内容も割ととんちんかんになります。営業やサポートの手間が、大変食われるわけです。

お客様側から見ると「何これわかりにくい説明書」ということで、いきなりマイナス印象です。すぐに使えない、お客様にとっても不幸です。

弊社は、特にジャンルを限っていません。

取扱説明書というと、何となく電気製品や動力を使う製品のように感じますが、そんなことはありません。

どんなジャンルでも、操作するところ・動く物があるのであれば、弊社は喜んで取扱説明書を、お作りしますどうぞ、お気軽にご相談ください。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第146回手順について

完全に秋めいて参りました。

そろそろ夏の服で朝や夕方に出かけると肌寒く感じるほどです。

あんなに熱くてかなわなかった夏ですが、過ぎてしまうとちょっと寂しいものです。

さて。

■手順について

取扱説明書を書いていると、手順で説明する場合が、大変多くあります。むしろ手順でない場合の方が少ないほどです。

しかしこの手順というものが、実際にはその通りでない場合ということがしばしばあります。

手順A → 手順B→ 手順Cのように書いてある場合、実際には手順A と手順Bはどちらを先にやってもよく、順番を問わない、といった場合があります。

例えばネットワークの設定などで、端末とルーターなどをそれぞれ設定しなければならない場合など、実際にはどちらからやっても問題はない場合があります。

しかし、取扱説明書を制作する立場としては、手順で書いた方がわかりやすいと考えています。

上記のように、手順をAからCの順に行う場合は、手順を一つ抜かすと言うことは考えがたいからです。

それに対し、以下のように書いてあったらどうでしょうか。

以下の手順をすべて行ってください。

  • 手順A
  • 手順B
  • 手順C

自分がこういう書き方をほとんどしたことがないのですが、まず間違いなく、手順のひとつを落としたり、抜かしたりといったことで設定ができないといったことが起きると思います。

■依存関係がないリファレンス

上に書いたように、操作の順番に依存関係がない場合でも手順として書く場合があります。

ただしそれは、導入マニュアルや、設置の手順書といった、非専門家向けの「確実に設定できること」わ目的に書いた取扱説明書になります。

これに対し、リファレンスマニュアルといわれる形式のものでは、それぞれの設定方法を個別に書きます。

そのかわり、設定できる詳細な内容がすべてリストされて表形式で説明されている場合もあります。

設定によっては、各設定内容が互いに影響を与える場合があっても、それらは読み手の知識によって補完されることを前提として書かれます。

なぜそのようになるかというと、それぞれの依存関係について詳細に記述していては、以下バランスマニュアルのような、詳細な説明においては、説明量が膨大になりすぎるためです。

そのためにリファレンス形式のマニュアルは専門家向けとして扱われるわけです。

どちらが優れているというわけではありません。

だれが使う、どのような目的で使う、といったことにより、取扱説明書の形式も選択するものなのです。

弊社では、そのように、考えて取扱説明書を制作しております。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第145回 また説明図の話

なんだか、九月の後半とは思えないほど、暑い日々が続いています。30度をちっとも下回らないです。こんな状態が続くと、季節感がおかしくなってしまいます。

それに、台風やゲリラ豪雨といった荒れた天気が続き、大きな災害が続いています。●●年に一度という言い方も、年に何回か聞くようになってしまいました。このあたりの数字も見直すべき時が来ているのではないでしょうか。

■説明図の話

今回は前にも書いたことがありますが、説明図の話をしようと思います。

実は「説明図メイン」という珍しい仕事を受注したので、説明図について書いてみようと考えたのです。

さて。それでは「説明図」とは何でしょうか。

普通の人は簡単な参加に矢印などが引かれたものを想像すると思います。

基本的にはそれで正しいです。

「そんなに難しくなさそうだから、俺にも描けるんじゃないか?」そんな感じですね。

ではやってみましょう。

「パソコンとディスプレイを接続する図」をどう描くか考えてみてください。いつも見ていますから簡単ですね。

……でできるなら取説屋は必要ないのです。

実際に描こうとしてみると、いくつかの問題が発生すると思います。

たとえばこんな感じです。

  • 本体と、ディスプレイのそれぞれの接続部に「名称」があるか?
  • 接続部の所つなげて描くか、つなぐ前を描くか?
  • コネクターに上下があるが、きちっと描かないと……

こういった仕事をされている、デザイナーさんやイラストレーターさんはほとんど指示なしでもぴしっと上げてくれます。さすがです。

でも、普段畑違いの仕事をされている方にお願いすると、恐らくこういった点で、どうしたら良いですかといった指示を求めてくると思います。

このあたりが、イラストレーターなどの頭に冠として「テクニカル」というのがつくゆえんなのです。

■テクニカルイラストと説明図

さらにもうちょっと続けます。

テクニカルイラストレーションと説明図の違いについてです。

テクニカルイラストというのは、いちばんわかりやすいのは自動車や兵器の細密な透視イラストでしょう。実は、自分はこうったてイラストが大好きで、1日見ていてもあきることがないのですが…閑話休題。

正しく描く、そういった点ではテクニカルイラストも説明図も共通しています。

しかし、基本的な目的が異なります。テクニカルイラストは人に機械の美しさを見せることを目的としています。それに対して説明図は人に「機能」を理解してもらうためのツールです。

その結果として以下のようなことになります。

  • 説明図は説明するところ以外描きません。
  • 説明図は見せたいところだけを目立つように強調します。
  • 説明図の接続線は「概念」にしたがって描きます。実際の接続方法とは異なるかもしれません。
  • 説明図は図の中に必ずテキストを含みます。

そうです。

説明図は「説明」の一手法です。ここは「図」が良ければ図を、テキストが良ければテキストを使います。その場にあった方法を選ぶのがプロの説明屋、つまり取説屋です。

弊社はそんな考え方で取扱説明書の仕事をしている事務所です。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第138回説明が好きということ

節電でクーラーを使えず、いろいろと大変である。
まあ、それでもがんばってのりきっていくしかないのですが。

■説明が好き

自分はこんな仕事(取説屋)をやっているが、とどのつまり、自分は説明することが好きなのである。
私事になるが、現在妻はHAMの免許を取ろうと勉強中である。HAMといってももちろん食べ物ではなく、アマチュア無線技師の資格である。
日本史や世界史では適当に「ろくはらたんでいって何?」とか「ルビコン川はどのあたりにある?」といった些末な、普通にはとても覚えていられないようなことでも大概は即答する妻だが、どういうわけか、物理ではオームの法則、数学では平方根あたりで理解困難になるらしい。
しかし、無線技術者の試験はあくまでも(初級)物理であり、歴史ではない。
たいへん不思議な話ではあるが、自分は理系と文系の間くらいを仕事としているわけなので、これらに何とか説明を試みる。
電圧と電流はポンプの流量で、平方根は文字通り平方(2乗)の逆数という概念からいろいろやってみる。
うむ、今思い返してみると、数学の先生もこんなに丁寧に概念を説明してもらってないが、それはそれとして。
やっていてよくわかった。
「説明して理解してもらうのは楽しい」
つまりはそういうことだ。
自分は、説明してわかってもらうことが好きなのだ。だから仕事としても楽しく、誇りをもってやれる。

■ひどい説明……

ちなみに、妻が購入したアマ無線の試験のテキストの「説明」はとてもひどいものである。技術的内容を知っている自分が読んでも、理解するためには図を書いてみないとわからない「書き方」というか説明をしている。
試験対策であり、1月くらいしか使用しないものとはいえ、よくまぁこれでお金をとれるものだというくらいである。
一例を挙げると、DSBとSSBを何の略語か一度も説明しない。両側波帯と単側波帯と書かれても何のことかわかったら不思議であろう。ちなみに、”Double Side Band”と”Single Side Band”である。先に一度こう書かないと、英語が瞬時に頭に浮かぶ人以外には絶対に理解できず、したがって覚えられないことは今晩の夕ご飯をかけても良い。

■結局の所は

説明をしてわかってもらうには、「1.理解していること」は当然として、もうひとつ「2.その説明の対象が好き」でないとむずかしい。そして「3.説明すること自体が好き」でないと取説屋はやれないのだなと思ったりしたのでした。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第134回 取材の大切さ

ビックサイトの方に取材に行ってきました。

もちろん仕事で、エンジニアの方から話を聞くのが目的です。

もっとも、自分は船が大好きなので、帰りには有明ふ頭から水上バスに乗って帰りたくて困りましたが。

■取材の大切さ

今までにも何度か書いていますが、良い取扱説明書を作るためには、しっかりした事前取材が必要です。

事前取材には、当然ながらその商品について詳しい話を聞く、機能や特長について、話を聞く、といったことが一つ目の目的に挙げられます。

しかし、取材の目的はそれだけではありません。

エンジニアの方または、販売している方から「この商品の、どこが素晴らしいのか」という、「売る人の気持ち」を聞いてくることが必要です。

「そんなものなくても書ける。」その通りです。しかし、それが良いものになるかという点では、実物を見て、さらにエンジニアさんや販売員さんからお話を聞いた方が良い物になると断言できます。

「製品にかける思い」これがわからないでマニュアルを作るのでは、あまり良いものができない、そう思えないでしょうか。

■人への取材、製品への取材

今回は、製品を作っているメーカー様への、取材がメインでした。

それと同時に、製品がどのように動くかについても取材をする必要がありました。

テクニカルライターという仕事は、人だけでなく、「もの」の言うことも聞かなければなりません。

製品を実際に操作してみて、その製品がどういうコンセプトをもって作られているかを理解する必要があります。

例えばパソコン向けの周辺機器であるならば、お客様は高い確率で技術に詳しい人である可能性が高くなります。

また、家庭用品であるならば、おそらく主なお客様は主婦であろう、と想像されます。

もちろん、主なターゲットが、だれであれ誰が読んでも分かるように、取扱説明書を書かなければなりませんが、それでも基礎知識の有無(例:パソコンユーザーにはUSBの基本的な説明は不要)は、現行の内容を左右します。

■実際の取材

今回の取材は、玄関ドアについてでした。

ビックサイトにおける展示会の出展物の取材でした。そのため、幸いなことに秘密の内容はなく、公開情報だけで構成されています。

今回、マンションのドアについて、可動部分の写真を33枚撮影してきました。
普通に見ると、どれもこれも似たような写真で、面白みはまったくありません。

ただ、実際に、カギが刺さっているところ、カギを抜いたところなど状況によって異なるものをきちんと撮影してあります。
それだけに、そっくりなものが30枚も、ということになるのです。

そして、今回は取材メモを公開します。内容は、カギを掛ける・開ける・カギを抜くといった一連の動作です。難しいことはありません。
ただこの動作は、自分が試してみて、カギを抜く方法がわからなかったことから丁寧にメモを取ってきたものです。

メモメモをとっているときに、社長さんに聞かれました。

「やはり物を見ながらでないと、難しいですか?」

自分はこう答えました。

「はい、やはり、ものを見て、いじってみてが基本ですから」

私たちはこう考えて仕事をしています。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第132回 注意書きの作り方

今回は注意書きの作り方について説明します。

取扱説明書は、一般にその製品の、正しい使い方と「使ってはいけない使い方」について説明します。

ここまで説明してきた内容ではほとんどが「正しい使い方」の書き方について説明してきました。
しかし、正しく扱っていても刃の部分に手を当てると危険なものや。熱くなるものは数多く存在します。
これらの製品は、決して欠陥製品ではありません。正しくは使えば怪我をしない。
間違った方法で取り扱えば怪我をする。当然のことです。

それだけに、やってはいけないことについても、はっきりと書くことが、必要になります。

■普段とは逆のことを考える

以前にテストの項目で書きましたが、禁止事項(危険なこと)および注意書きについては、自分の経験と想像力がものをいいます。

正しい手順を確認するのにも、技術的な素養が必要です。

しかし、「正しくないこと」を明記しこれをやってはいけないと書くためには、その正しくないことを想像する能力が、必要になってくるのです。

そのためにはどのように考えたらよいかを紹介します。

■やってはいけないことを調べる

一番簡単なのは、やってはいけないことを調べることです。

既存の取扱説明書の注意書きや、過去に書いたものを流用するといったことが代表的でしょう。

しかし残念なことに、この方法は今まで自分のやったことのないジャンルのものには使えないという問題があります。

次に、メーカーの人や販売の人に、今まで何か問題がなかったか、を聞いてみる、という方法があります。

これは、優れた方法です。
メーカーでは、かなりの部分のトラブルについて把握しています、したがって問題点についてもわかっている場合が多いです。しかし残念ながら、メーカーとしてはそれはまさしくやってほしくないことのため、情報が止まってしまう場合があります。
特に実際に事故になった事件などについては、メーカー担当者さんの口が重くなる傾向が高いです。まあこれはやむを得ないことですね。

では、「やってはいけないこと」というのはどのようにしたら、調べられるでしょうか。

簡単なのは「商品名」+「事故」や「トラブル」としてウェブで検索することです。
ただ、これはあまり効率がよい方法ではありません。有名な事件があれば何度も重複して出てきますし、小さくてすんだ事故については検索にかからない場合があるからです。

実は、筆者のお薦めとしては、公的機関が公開している「事故情報データベース」にあたってみることです。
NITEはもちろん、各種の団体が数多くの事故情報を公開しています。
これらのデータベースで、「商品名」で検索をかければ、かなりの数の事故情報が出てきます。

ここで表示された事故情報に目を通すと、事故の原因に幾つか共通するものが見えてきます。
たとえば、熱くなる機器であれば、不注意で触ってしまった、子どもが触った、ちょっとした時に席を外したら出火したといった具合に、同じような傾向が見えてきます。

ここまでがやってはいけないことに関する、事前調査です。

これを基に、実際の製品と合わせて注意書きを作成していくといった手順になります。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第131回 納品の話

今回は納品の話です。
というか、日本企業であればどこでも、納品…納期が最大優先であることは疑いのないところではありますが。

■納品とチェック

取扱説明書は、製品そのものに比較した場合、修正が容易という特徴があります。

しかし逆に言うと取説屋としては「いつまでたっても納品したはずの仕事がおわらない」といった事態になることになります。
このあたりはメーカーさんと事前打ち合わせがどこまでできているか、という点につきるのですが、修正作業自体が大きくなくても「忙しいところに予想外に」入ってくることがあるので、問題になることがあります。

取扱説明書は、制作方法は販促物などと同じ、印刷や版下製作です。
しかし、広告よりも製品に対する責任の度合いが強いため「かならず修正しなければならない」という強い動機が働くのです。

メーカーとしても、取扱説明書は製品の一部としてきちっとチェックする必要があります。
厳密には取扱説明書まですべて整っていてはじめて「製品」といえるからです。

納品する取説屋としては、もちろん大切な商品ですが、同様に内容をチェックするメーカーしても、製品の品質にかかわるのと同じ重さが要求されます。

■お客様にとっての取扱説明書

さて、メーカーと取説屋にとっては、こういうポジションの取扱説明書ですが、それを最終的に使うお客様の目からみたらどうなるでしょうか。

お客様にとっては、製品を扱うためのただひとつの手引き書です。

もちろん、その商品を対面販売して、サポートもできているならばまだ他の手段があるということになりますが、現在は対面販売よりも通信販売の比率が増え、お客様としては、頼れるものは文書だけといった状況になっています。

ですから、「お客様がきちんと操作できるか」は、制作者とメーカーのチェックにかかっていると言っても過言ではないのです。

そして、取扱説明書は納品の時に決定してしまいます。
だからこそ、チェックと納品がもっとも大切になってくるのです。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第126回 取材について

今回は、調査と並ぶもう一本の柱、取材について書きます。
製品は、自分で調査するのはもちんのことですが、取材させていただかないとわからないことは大変多いのです。

■仕様書調査の限界

最初の調査は「仕様書」による資料調査から開始します。
もちろん、資料はしっかり読みます。ですが、資料には書いてないことも多くあります。
ここで言う書いてないことというのは、技術的な内容に限りません。いえ、技術的な内容に関しては、ほとんどの場合はしっかり書いてあるのがほとんどです。
とはいえ、自分は技術の一般的な常識はもっているとはいえ、詳細な知識にはどうしても欠けるとろがあります。

たとえば、あるPC関連のあるデバイスに「最大転送速度48Mbps」と書いてあったとします。
まぁ、これは某メモリカードの最大転送速度だったりするわけですが、理論値ではそうであっても、そのデバイスがカードを2枚させるようになっていたりすると、実用上は大きく状況が変わってくるわけです。

「スロットが複数あるけど、同時使用は一枚だけ」

「複数同時にアクセスできるが、大幅に速度が低下する」

「アクセススピードは、接続インターフェースの限度による、それを複数で分けて使うので、その分速度は下がる」

「速度は低下しません。常にフルスピードです」(←ありえません)

ざっと考えてみただけで、こういったオプションが考えられるわけです。しかし、これらのことは仕様書を見てもけっこう高い確率で書いてなかったりするのです。
これは別に、悪意があって書いてないということではなく、単純に「技術的に常識だろう」と仕様書を書いた技術者が思い込んでいるのが原因です。

したがって、このあたりが、仕様書による調査の限界となるのです。これより詳しく知るには取材を行う必要があります。

■取材はどうするか

できれば、取材の前に予備調査として仕様書を見ておくことが望ましいです。
とはいえ、その場で初めて物を見るということも希ではない取説屋としては、そうベストを望むわけにもいきません。

対象となる物を見たら、まず普通は「これはたぶんこういう物だな」という推測が働きますが、それでもあえて「これは何ですか」と聞くところから始めます。

これは自分のやった仕事ではまったくありませんが、たとえばイーモバイルさんのAndroid端末など、普通に見たら「ああ、これはPDAだな」と思ってしまいますが、実際には「モバイルルーター」として販売されています。とすると、取扱説明書もモバイルルーターとしてのものを書いて、他の機能はすべて「その他の機能」として書かなければならないのです。
だから「これは何ですか」と聞くところから始めなければならないのです。

技術的なこととは限らないのです。

そして、もうひとつ。

できればユーザーサポート・営業の人に話をしたいのです。
クレームの電話を受けたり、現場でお客様の話を聞く人は、確実に「お客様がどこで迷うか」の情報をもっています。
そういった情報があれば、トラブルの起こりにくい取扱説明書を作ることができるのです。

取材と調査、絶対に取扱説明書の準備はこの2本立てが必要なのです。

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