ビックサイトの方に取材に行ってきました。
もちろん仕事で、エンジニアの方から話を聞くのが目的です。
もっとも、自分は船が大好きなので、帰りには有明ふ頭から水上バスに乗って帰りたくて困りましたが。
■取材の大切さ
今までにも何度か書いていますが、良い取扱説明書を作るためには、しっかりした事前取材が必要です。
事前取材には、当然ながらその商品について詳しい話を聞く、機能や特長について、話を聞く、といったことが一つ目の目的に挙げられます。
しかし、取材の目的はそれだけではありません。
エンジニアの方または、販売している方から「この商品の、どこが素晴らしいのか」という、「売る人の気持ち」を聞いてくることが必要です。
「そんなものなくても書ける。」その通りです。しかし、それが良いものになるかという点では、実物を見て、さらにエンジニアさんや販売員さんからお話を聞いた方が良い物になると断言できます。
「製品にかける思い」これがわからないでマニュアルを作るのでは、あまり良いものができない、そう思えないでしょうか。
■人への取材、製品への取材
今回は、製品を作っているメーカー様への、取材がメインでした。
それと同時に、製品がどのように動くかについても取材をする必要がありました。
テクニカルライターという仕事は、人だけでなく、「もの」の言うことも聞かなければなりません。
製品を実際に操作してみて、その製品がどういうコンセプトをもって作られているかを理解する必要があります。
例えばパソコン向けの周辺機器であるならば、お客様は高い確率で技術に詳しい人である可能性が高くなります。
また、家庭用品であるならば、おそらく主なお客様は主婦であろう、と想像されます。
もちろん、主なターゲットが、だれであれ誰が読んでも分かるように、取扱説明書を書かなければなりませんが、それでも基礎知識の有無(例:パソコンユーザーにはUSBの基本的な説明は不要)は、現行の内容を左右します。
■実際の取材
今回の取材は、玄関ドアについてでした。
ビックサイトにおける展示会の出展物の取材でした。そのため、幸いなことに秘密の内容はなく、公開情報だけで構成されています。
今回、マンションのドアについて、可動部分の写真を33枚撮影してきました。
普通に見ると、どれもこれも似たような写真で、面白みはまったくありません。
ただ、実際に、カギが刺さっているところ、カギを抜いたところなど状況によって異なるものをきちんと撮影してあります。
それだけに、そっくりなものが30枚も、ということになるのです。
そして、今回は取材メモを公開します。内容は、カギを掛ける・開ける・カギを抜くといった一連の動作です。難しいことはありません。
ただこの動作は、自分が試してみて、カギを抜く方法がわからなかったことから丁寧にメモを取ってきたものです。
メモをとっているときに、社長さんに聞かれました。
「やはり物を見ながらでないと、難しいですか?」
自分はこう答えました。
「はい、やはり、ものを見て、いじってみてが基本ですから」
私たちはこう考えて仕事をしています。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
関東でも梅雨入りしましたね。何やら例年より十二日も早いということなので、今年の夏は去年のような酷暑にならなければよいなあと思っています。
さて今回は、雑談です。
■トイレの取扱説明書ラベル
先週、NHK-BSの”らいじんぐ産”にて、トイレの話をしてしいました。
そこで「洋式便器の裏に張られたシール」の話をしていました。
このシールはまぁ見たことがあると思いますが、洋式便器の使い方の説明を張ったものです。
本当は画像を貼りたいところですが、TOTOさんのサイトにもみあたらないので、画像を見て起こしたテキストを記します。厳密には著作権の問題があるのかもしれませんが、これくらいは目をつむって頂けるのではないかと。もちろん、クレームがあれば消します。
男子小用
フタ・便座とも上げて陶器部を出して使用して下さい
大便及び女子小用
フタだけを上げ後向きに便座に腰を掛けて使用して下さい
これに棒状の人間と便座の図が掲載されているというとてもシンプルなものでした。
■よくある誤解
今となっては間違う人も少ないかと思いますが、自分が小学生のころには、まだまだ洋式便器は少数派でした。洋式便器の使い方自体が難しい、というわけではありません。
ですが、正しく使わないと、困った事態が発生することは間違いありません。
取扱説明書が何のためにあるかということは、いくつかの理由があります。
- 使い方を説明する
- やってはいけないことを説明する
- 使い方の、背後にある文化を説明する
普通は最初の二つだけですむものですが、この洋式便器の、取扱説明書シールは三番目だったといえるでしょう。
今まで使ったことがない道具は、その使い方が難しくなくてもうまく使うことができないのです。
こんな簡単なもの誰でも使えるよ。
だから取扱説明書なんかいらないよ。
これが、もっともよくある取説に関する勘違いです。
おそらく洋式便器は、一言誰かが説明すればまず、使い方を間違えることはないでしょう。
でも、違和感があるのです。今まで使って行ってきた方法と異なる方法を使うということには違和感を感じます。この違和感は何かというと、実は「文化」の違いなのです。
そして、実は「製品を売るということは、自社の文化を売るということ」でもあるのです。
だから、違和感がある製品を売るということは、その会社独特の文化を売るということでもあります。
自分のこだわりがある部分は、きっちり説明して「こう使って欲しい」とち伝えて、最も良い使い方をしてもらい、最高の状態で使うことで、メーカーもユーザーもどちらも幸せになるべきなのです。
弊社は、そういったことにお手伝いできればいいな、と常に考えています。
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今回は注意書きの作り方について説明します。
取扱説明書は、一般にその製品の、正しい使い方と「使ってはいけない使い方」について説明します。
ここまで説明してきた内容ではほとんどが「正しい使い方」の書き方について説明してきました。
しかし、正しく扱っていても刃の部分に手を当てると危険なものや。熱くなるものは数多く存在します。
これらの製品は、決して欠陥製品ではありません。正しくは使えば怪我をしない。
間違った方法で取り扱えば怪我をする。当然のことです。
それだけに、やってはいけないことについても、はっきりと書くことが、必要になります。
■普段とは逆のことを考える
以前にテストの項目で書きましたが、禁止事項(危険なこと)および注意書きについては、自分の経験と想像力がものをいいます。
正しい手順を確認するのにも、技術的な素養が必要です。
しかし、「正しくないこと」を明記しこれをやってはいけないと書くためには、その正しくないことを想像する能力が、必要になってくるのです。
そのためにはどのように考えたらよいかを紹介します。
■やってはいけないことを調べる
一番簡単なのは、やってはいけないことを調べることです。
既存の取扱説明書の注意書きや、過去に書いたものを流用するといったことが代表的でしょう。
しかし残念なことに、この方法は今まで自分のやったことのないジャンルのものには使えないという問題があります。
次に、メーカーの人や販売の人に、今まで何か問題がなかったか、を聞いてみる、という方法があります。
これは、優れた方法です。
メーカーでは、かなりの部分のトラブルについて把握しています、したがって問題点についてもわかっている場合が多いです。しかし残念ながら、メーカーとしてはそれはまさしくやってほしくないことのため、情報が止まってしまう場合があります。
特に実際に事故になった事件などについては、メーカー担当者さんの口が重くなる傾向が高いです。まあこれはやむを得ないことですね。
では、「やってはいけないこと」というのはどのようにしたら、調べられるでしょうか。
簡単なのは「商品名」+「事故」や「トラブル」としてウェブで検索することです。
ただ、これはあまり効率がよい方法ではありません。有名な事件があれば何度も重複して出てきますし、小さくてすんだ事故については検索にかからない場合があるからです。
実は、筆者のお薦めとしては、公的機関が公開している「事故情報データベース」にあたってみることです。
NITEはもちろん、各種の団体が数多くの事故情報を公開しています。
これらのデータベースで、「商品名」で検索をかければ、かなりの数の事故情報が出てきます。
ここで表示された事故情報に目を通すと、事故の原因に幾つか共通するものが見えてきます。
たとえば、熱くなる機器であれば、不注意で触ってしまった、子どもが触った、ちょっとした時に席を外したら出火したといった具合に、同じような傾向が見えてきます。
ここまでがやってはいけないことに関する、事前調査です。
これを基に、実際の製品と合わせて注意書きを作成していくといった手順になります。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
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Posted in 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 取材, 執筆と編集, 注意書き | 取説屋:石井 宏治 2011年5月24日 |
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今回は納品の話です。
というか、日本企業であればどこでも、納品…納期が最大優先であることは疑いのないところではありますが。
■納品とチェック
取扱説明書は、製品そのものに比較した場合、修正が容易という特徴があります。
しかし逆に言うと取説屋としては「いつまでたっても納品したはずの仕事がおわらない」といった事態になることになります。
このあたりはメーカーさんと事前打ち合わせがどこまでできているか、という点につきるのですが、修正作業自体が大きくなくても「忙しいところに予想外に」入ってくることがあるので、問題になることがあります。
取扱説明書は、制作方法は販促物などと同じ、印刷や版下製作です。
しかし、広告よりも製品に対する責任の度合いが強いため「かならず修正しなければならない」という強い動機が働くのです。
メーカーとしても、取扱説明書は製品の一部としてきちっとチェックする必要があります。
厳密には取扱説明書まですべて整っていてはじめて「製品」といえるからです。
納品する取説屋としては、もちろん大切な商品ですが、同様に内容をチェックするメーカーしても、製品の品質にかかわるのと同じ重さが要求されます。
■お客様にとっての取扱説明書
さて、メーカーと取説屋にとっては、こういうポジションの取扱説明書ですが、それを最終的に使うお客様の目からみたらどうなるでしょうか。
お客様にとっては、製品を扱うためのただひとつの手引き書です。
もちろん、その商品を対面販売して、サポートもできているならばまだ他の手段があるということになりますが、現在は対面販売よりも通信販売の比率が増え、お客様としては、頼れるものは文書だけといった状況になっています。
ですから、「お客様がきちんと操作できるか」は、制作者とメーカーのチェックにかかっていると言っても過言ではないのです。
そして、取扱説明書は納品の時に決定してしまいます。
だからこそ、チェックと納品がもっとも大切になってくるのです。
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GWも終わってしまいました。
世間の状態が大変に変わり、これから社会も変わっていくのかなぁなどと考えさせられました。
さて。
今回は「型」について話をします。型といってわかりにくければ、テンプレートでも雛形でも良いです。
取扱説明書を仕事として行うには「型」が必要だということです。
■「型」とはなにか?
何か、道楽でやっている武術関連ではこんな話を何度もしたような気がしますが、基本的には同じことです。
学習・訓練や業務を効率的に行うのにはどうしたらよいかを考えると、パターンを作ってそれを、身体に染み込むまで繰り返し、その後にその型から離れる…というのが、自分の考える理想です。
とはいえ、型を離れるなんていうのは夢のまた夢で、そこまでたどり着くにははるかに遠いのですが。
■仕事内容を整理する
取扱説明書を書くときに先頭から順に書いていくと、よほど小さくて一度にに全体を把握できるモノを除くと、大概は混乱してしまいます。
「これを書いてなかった」
「これはここじゃなくて、後ろに入れるべきだった」
「ここを後ろに移動したら、別の機能について説明がなしで突然出てくることになる」
だいたい、こんなことが続発して、混乱するはずです。
どうしてこうなるのか。理由を言うのは簡単です。
「全体として把握していないから」です。
とはいえ、商品全体を把握するということは、並大抵のことでないことは事実ですが。
ただ、、いままで同様の商品を販売してきたのであれば、どのように売るか、すなわちどのように説明するかについては、蓄積があるはずです。
機械の説明をするのであれば、機械の「各部の名称」が分かっていないと、説明はできません。
「メインスイッチをオンにする」と書いてあっても、肝心のメインスイッチの場所がどこだかわからなければ操作はできません。
ということであれば、「各部の名称」は、取扱説明書の最初になければいけないことがわかります。
こういった細かいことの積み重ねが、「型」になっていくのです。
■「型」の例
では実際に、型の例を見てみましょう。
以下は十年以上前のゲームソフトの冒頭部分の例です。
- 挨拶:お買い上げいただきありがとうございます…
- タイトル:製品名と形式番号
- 対応機種:ソフトウェアが動作する機種、および動作環境
- ゲームの目的:このゲームの目的についての説明
- インストール:ソフトウェアのインストール方法の説明
- 起動と終了:ソフトウェアの起動と終了の方法
- ゲームの流れ:ゲーム内の各フェイズ・モードの説明
- 画面の見方:各モードの画面の見方
かなり大雑把ですが、こんな感じで書いていました。ゲームの目的などは前後しても良いのですが、対応機種→インストール→起動と終了といった流れは変更できません。
これを変更してしまうと、実際にゲームをプレイする際に差し障りが発生したりするからです。
ちなみに、終了が起動とセットになっているのは、「実際にこのようにした方が便利だ」ということから来ています。実際、ゲームを終了するのは、ゲームをクリアしたときだけではないから、というよりそういうことのほうがよほど希だといえるでしょう。
大概の場合は、途中でセーブしたり、あるいはちょっとプレイしてみて、そのまま中断するといった方が主となります。特に後者の場合、終わり方がわからないと「途中で中断して大丈夫なのか」と不安になります。一部のゲーム(実名を上げるとWizardryのことです!)ではリセットしたりして中断すると、そのままゲーム中に取り残されてしまうというものもあった時代ですから。
型はこうしたものを一つずつ積み上げていって「こういうときはこうしたほうがよい」というものです。
たとえば、弊社での「説明図は線画がよい」ということも型のひとつです。
まぁもっとも「我が流派には型なし」というところもありますから、これもひとつのやり方に過ぎないのかも知れません。
これを読んでいる皆様が自分独自のノウハウを積み上げていけることを望みます。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
このたびの東日本大震災および津波で、被災された方にお見舞い申し上げます。
更新が遅れており、申し訳ございません。
お仕事があってそれは大変うれしいのですが、ブログを更新する暇が取れないといううれしい悲鳴も上げることになってしまいました。
さて、今回は説明図について書こうと思っています。
■説明図とは
説明図というのは、いわゆる取扱説明書でよく見る線画のことです。
「ふたを開ける方法はこうで、スイッチはここにある」といったことを示すのに使われます。
こういったことはいくら言葉で書いても全然伝わりませんが、図を使えば図の中に矢印を入れれば一発でわかります。
もちろん使いどころを間違えると、かえって分かりにくくなったりもしますが。
さて、説明図はどうして線画で描くのでしょうか。
理由は絵の情報量にあります。
まずは、以下の三つの絵をご覧ください。
左側の絵ほどリアルで、右側ほど、簡略化されています。
絵であればリアルな方がよい、ということもありますが、取扱説明書に向いているのは、右側です。
これはどうしてでしょうか。
実は簡単なことで「説明に必要な情報だけを提示する」ことが、取扱説明書における説明図の役割だからです。
さらに、、一番右の図は「K」のマークが黒で書き込まれています。
実際には写真で見られるように、浮きだした形になっており、色も本体と同じ白です。
では、これが間違いなのかというと、取扱説明書としてはこれで正しいのです。
お客様にはここにマークがあるということが伝わり、マークの種類もわかります。
これをリアルにして、薄い線だけで文字を描いても、かえってお客様混乱するばかりです。
次回更新に続きます。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
今回は、調査と並ぶもう一本の柱、取材について書きます。
製品は、自分で調査するのはもちんのことですが、取材させていただかないとわからないことは大変多いのです。
■仕様書調査の限界
最初の調査は「仕様書」による資料調査から開始します。
もちろん、資料はしっかり読みます。ですが、資料には書いてないことも多くあります。
ここで言う書いてないことというのは、技術的な内容に限りません。いえ、技術的な内容に関しては、ほとんどの場合はしっかり書いてあるのがほとんどです。
とはいえ、自分は技術の一般的な常識はもっているとはいえ、詳細な知識にはどうしても欠けるとろがあります。
たとえば、あるPC関連のあるデバイスに「最大転送速度48Mbps」と書いてあったとします。
まぁ、これは某メモリカードの最大転送速度だったりするわけですが、理論値ではそうであっても、そのデバイスがカードを2枚させるようになっていたりすると、実用上は大きく状況が変わってくるわけです。
「スロットが複数あるけど、同時使用は一枚だけ」
「複数同時にアクセスできるが、大幅に速度が低下する」
「アクセススピードは、接続インターフェースの限度による、それを複数で分けて使うので、その分速度は下がる」
「速度は低下しません。常にフルスピードです」(←ありえません)
ざっと考えてみただけで、こういったオプションが考えられるわけです。しかし、これらのことは仕様書を見てもけっこう高い確率で書いてなかったりするのです。
これは別に、悪意があって書いてないということではなく、単純に「技術的に常識だろう」と仕様書を書いた技術者が思い込んでいるのが原因です。
したがって、このあたりが、仕様書による調査の限界となるのです。これより詳しく知るには取材を行う必要があります。
■取材はどうするか
できれば、取材の前に予備調査として仕様書を見ておくことが望ましいです。
とはいえ、その場で初めて物を見るということも希ではない取説屋としては、そうベストを望むわけにもいきません。
対象となる物を見たら、まず普通は「これはたぶんこういう物だな」という推測が働きますが、それでもあえて「これは何ですか」と聞くところから始めます。
これは自分のやった仕事ではまったくありませんが、たとえばイーモバイルさんのAndroid端末など、普通に見たら「ああ、これはPDAだな」と思ってしまいますが、実際には「モバイルルーター」として販売されています。とすると、取扱説明書もモバイルルーターとしてのものを書いて、他の機能はすべて「その他の機能」として書かなければならないのです。
だから「これは何ですか」と聞くところから始めなければならないのです。
技術的なこととは限らないのです。
そして、もうひとつ。
できればユーザーサポート・営業の人に話をしたいのです。
クレームの電話を受けたり、現場でお客様の話を聞く人は、確実に「お客様がどこで迷うか」の情報をもっています。
そういった情報があれば、トラブルの起こりにくい取扱説明書を作ることができるのです。
取材と調査、絶対に取扱説明書の準備はこの2本立てが必要なのです。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
雪が降りましたね。季節外れでびっくりです。
さて。
今回はテストについて書きます。
え、なんで取説屋なのにテストと思った人、甘いです。
実は取説屋の仕事は書くことは三分の一くらいです。
より大きいのは、事前の取材と実物に対する調査と試験です。
取材については別の回に譲るとして、対象となる商品の試験について書きます。
■テストとは
当然ながら試験は対象となる商品によって方法は全く異なりますが、基本的にはクライアントさんから受け取った資料、場合によって仕様書であったり、パンフレットであったり、旧モデルのマニュアルであったりします。
というのは建前で、何も資料がない場合もあったりするのですが…
それはともあれ、まずはそういった資料を基に、試験を開始します。
試験はほとんどの場合、セットアップや使用前の準備から始まります。
■大切なのは「使う準備」
ユーザーはこういった操作を普通一度ーあるいはシーズンに一度しか行いません。でも、ここでうまくいかないと、その商品を全く使えないといったことになります。
普段の使用は、たいがいはルーチンワークです。そういった作業は間違いにくく、簡単になっています。まぁ正直なところ、毎日使うものがめんどくさかったら買い換えてしまうと思いますが…
ということで、使用の準備やセットアップ、ソフトウェアの場合はインストールを繰り返すことになるわけす。
ちなみに、ソフトウェアの場合は結構難しいことが多く、dllやフレームワーク、あるいはDirectXといった環境をインストールするので、完全なアンインストールができず、クリーンインストールのやりなおしなどはとても手間がかかることもしばしばです。
■テストに悪ずれを持ち込まない
さて、私たち取説屋がこういった試験をするときは、常に心がけていることがあります。
それは、「悪ずれをしない」ということです。
私たちは、実際のところを言えば、様々な商品を扱ってきたプロです。また、技術者でもあります。簡単な結線や工具を使って組み立てたり、ソフトにしても簡単なマクロを組むぐらいのことはできるわけです。
でも、それだけに「慣れ」は大敵です。
「ああ、ここのすきまはちょっとくさびで持ち上げといて」…ダメです。
一般のお客様はそんなことをしません。
組み立てている途中にバランスが崩れたらそこで作業が止まるのが普通です。
「悪ずれ」していると、これを見落としてしまいます。
「ああ大丈夫」で書いてしまうと、バランスをとって組み立てるのが恐ろしく難しいのを平気で書いてしまうことになりかねません。
きちんとしようと思えば、組立開始前に「ささえを用意する」か「2人で組み立てる」といった記載が必要なのに、これを落としてしまうのです。
これでは「わかりやすい取扱説明書」は作れません。
■ギャップを埋めるもの
「一般ユーザーの視点で」というのは言うのは簡単です。しかし、自分の技術者としての技術が上がっていくにつれ、かえって一般ユーザーの立場から離れてしまうのです。
では、そのギャップを埋めるのは何かというと2つあります。
1つめは、先ほどから書いているように、悪ずれをしない「注意力」です。見落としがなければ、とばしたりすることは減ります。
しかし、じつは一番大切なのはもうひとつです。
それは「想像力」です。
■想像力は無限に
椅子を考えたとき、普通は「座るためのもの」と考えます。
私たちのような取扱説明書を仕事にしている人は、次に「この上に立って踏み台として使う」ということを考えます。
でも、知人のマニュアル制作者はもう一つ先のことを見ていました。
「子供が飛び降りて遊ぶかもしれない」
これは正直すごいと思いました。彼は「子供がそういう行動をするのを常日頃見ていたから」と謙遜していましたが。
「お客様の立場で考える」
言うのは簡単です。しかし、どこでも飛び跳ねる元気な子供や、力が弱くなって目も悪くなったお年寄りのことも全部考えて、必要な範囲はどこまでかを決めて反映するということには、たいへんな「想像力」を必要とします。
ぞういった想像力は今の自分でも足りないと思っています。
人生は修行と言いますが、こういった想像力はまだまだ鍛える余地があります。これからもがんばっていこうと思います。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
Tags: テクニカルライター, マニュアル, 作成, 制作, 取扱説明書, 操作説明書, 製品安全, 試験
Posted in テクニカルライター, テスト, 企画, 取扱説明書・マニュアル制作・作成, 取材, 技術 | 取説屋:石井 宏治 2011年3月8日 |
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今回は、ちょっと業務多忙のため「作り方」ではなく、余談みたいなものにさせていただく。
時間もきちんとしていないうえ、前回のネタの続きみたいで大変申し訳ないのだが。
さっそく本題に入る。
自分でも珍しいと思っている「取説屋」の需要と供給についてである。
最近、ビジネス交流会などに参加すると「そういう仕事があったのですか」と言われるのに慣れた、というのは以前も書いた。
ただ、面白いのは、その後に「需要はあると思いますね」と言われることだ。実際にはあまり発注はないのだが。
しかし、そう言われるということは、必要性はあるということだ。
じゃあなぜ需要が発注に結びつかないのか。
まぁ、これも結論はでている。
ピーアール不足なのだ。
えーと。他に適当な例を思いつかないので。
1978年より前に「アニメ雑誌」の需要はあったか?
たぶん、あった。というか、その需要が見いだされたからこそ、その後の大ブームにつながったのだろう。
ビジネスとして。
取説屋は必要とされている。
実感としてそれはある。
きちんと強い需要がある業界とコネクトしてくれることを望む者である。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
雪が降りました。雪国出身の妻は、たかだか5cmの雪では、雪の内に入らないそうですが…
■発注方法ページを作成
交流会に持って行く資料として「取扱説明書発注ガイドブック」というものを作りました。
この内容は、「取説を発注するには」のページに公開しています。
また、PDFにまとめたファイルも「発注方法について.pdf」にて公開しております。
なお、このガイドを作った目的は以下の通りでした。
本サイトをご覧になっているほとんどの方は、取扱説明書を外注に発注するのは初めてのことと思います。
そこで、取扱説明書を発注するにはどうすればよいかについて、まとめてみました。
そうです。現状においても「取説屋」という商売は、存在が知られていないため、過去に発注したことがあるお客様はほとんどいらっしゃいません。
ですから、「どのようにしたら取扱説明書を外注できるか」「どういう打ち合わせをすればよいか」といったことがほとんど知られておらず、その結果としてできあがりのイメージもできず、発注につながらないのではと考えたのです。
その不安を解消するために制作したのが、このガイドブックです。
■料金表も改良
これは、料金表についても同様でした。
ページ単価とイラストの点数で計算する…自分たち取扱説明書を作っている側から見ると、ごく標準的な方法と思います。要するに、積算積み上げ方式です。
しかし、この方法は、正しいけれどもわかりにくい。
「ぶっちゃけいくらなん?」
と聞かれて、積算をしていたら間に合わない。
というわけで、A4表裏のセットと、同6ページをページ組みしたものをサンプル原稿と共に提供させていただくことにしました(こちらも近日公開します)。
これらのパンフとチラシ、これでやっと戦える武器が揃ったといったところです。
これに加えて、都立産技研の合同交流会に行ってきたでお見せしたポスターで人目を引きつけてきました。
ちなみに「とても目立つ」と大好評でした。
ありがとう、デザイナーの.中尾さん。
ということで、取扱説明書の発注は下まで。
マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所
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