「取説屋:石井ライティング事務所」の代表兼テクニカルライターのブログ 本家サイト http://torisetuya.com

【わかりやすいマニュアルの作り方】第118回 読んでもらうには見掛けも重要 その1

年が明けてから、日増しに寒さが厳しくなってきます。
自分はちょっと駅から遠いところに住んでいるので、自転車やバイクで移動しているので余計に身にしみます。

■読んでもらわないと始まらない

さて。
今回からしばらくは取扱説明書の見掛け-ビジュアル-の話をしようと思います。

筆者は本業はライターで、デザイナーやイラストレーターでもないのですが、編集や作図については長年の業務の中で必要に応じてやってきました。
その中で、ひとつだけ断言できるのは「どんな内容を書いても、読みにくければ読んでもらえることはない」ということです。
どんなに良い内容でも、書き方が論文や訳書の報告書と同じだったりしたら、読み始める前にうんざりして放り出してしまうと思いませんか。

■最初は文字組の話から

筆者はライターなので、まずは自分の得意なテキスト作成の見栄えについてから入ることにしましょう。

たとえばこのブログですが、文字のブロックが詰まって真っ黒になるような書き方は避けています。

やっていることは以下の通りです。

  • 適当なところで改行する。
  • 必要に応じて段落を変える。
  • 見出しを入れる。

やっていることはこれだけですが、意識してやるかやらないかで見え方は大きく異なってきます。

漢字の比率などにも、ほぼ無意識にですが注意を払っています。漢字が多くなると、信頼性が高く見えるのですが、同時に難しいという印象を与えてしまいます。
このあたりをどうやって調整するかということは、正解はありません。
数をこなして、この媒体-メディアにはこれくらいということを掴むしか方法はないように思います。

また、こういったブログや掲示板といった1行の文字数をコントロールできない媒体以外では、行頭に1文字を残さないとか、ページ先頭に1行だけの段落を作らないといった細かい制御を必ず行っています。

こういったことが「読みやすい」テキストに、ひいては「読みやすい取扱説明書」につながっていくのです。

この話は次回の更新に続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第61回 マニュアルの形 その06

台風一過。気持ちの良い天気になりました。

被害を受けられた方にはお見舞い申し上げます。

「マニュアルの形」の続きです。

前回、マニュアルは「困ったときに見る」ということを書きました。
しかし、そうなるとマニュアルの評価は必然的に低くなります。なぜなら、困った状態でしか見ないものですから、マニュアルを見る=困っているとなってしまうからです。

それでも解決できれば良いのですが、そのままユーザーサポートに電話となってしまいがちだったりもします。

FAQなどに関してはウェブのデータベースなどの方が向いていますので、こういったものへの誘導などもあると良い結果につながるでしょう。

■チェックシートをマニュアルにする

さて、今回の話は「チェックシートをマニュアルにする」です。

日次の作業のチェックなどには「チェックシート」がよく使われています。コピーして一週間分を記載したりします。
普通の「チェックシート」には項目名しか記載されていません。

たとえば 「タイヤ空気圧 □」といった感じです。
慣れた人にはこれで良いのですが、新人や配置転換で人が入ってきた場合には、だれかがついて作業を説明する必要があります。
これを、 「タイヤ空気圧 □ エアゲージで測定、前輪●kg /後輪●kg」と説明があれば、説明の必要性は大幅に減ります。

また、作業に慣れた人でも数値の確認など作業の効率が上がります。

そうです。

作業中に毎回参照するチェックシートをマニュアルにしてしまえばよいのです。場合によっては同じ面ではなく、裏面にマニュアル(作業手順)を印刷してもよいでしょう。

そうすると、作業者全員にマニュアルが行き渡りますし、思いこみによる独自の手順から発生するミスも減るということです。
今回はマニュアルをチェックシートの形にするという話でした。

続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第59回 マニュアルの形 その04

前回はマニュアルのPDFのしおりについて書きました。

当然、しおりや目次は自動生成しています。場合によっては索引もそうです。
こういった機械的な作業は人間がやるべきではありませんし、機械がやった方が(最後に更新を忘れなければ)確実で間違いがありません。もちろん、そういったことにあわせて作業方法や手順を選んでおかないと仕事がうまく動かなくなります。

さて、今回の話の中心はこの件ではありません。

■レシピは料理のマニュアルです

マニュアルの形の続きです。
マニュアルというと、普通はあまり好まれません。
しかし、膨大なマニュアルを集めて、皆が読み、しかも高い評価を得ているサイトがあります。

もったいぶっても仕方がないのですが、要するにクックパッドを初めとした料理のレシピサイトや、パソコン関連のQ&Aサイトです。

これらのサイトと製品マニュアルは立ち位置(メーカーの立場のマニュアルとユーザー視点のレシピ)が違います。ですからそのままの比較はできませんが、あえて強引に比較すると、最大の違いは「検索できるか」につきます。

製品を購入して設置(セットアップ)するときは手順に従ってすすめます。
これは既存のマニュアルに向いています。
では、それ以外のときは?

と、ネタを振ったところで次回に続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第58回 マニュアルの形 その03

前回、PDFのマニュアルの話をちらっとしたので、今回はその続きでも書いてみようかと思います。

いまは、各メーカーが取扱説明書をPDFで公開しています。
たいへん良いことです。

さて。

■マニュアルのPDFにはしおりが必須

PDFには「しおり」機能がついているのはご存じでしょうか。

しおり付きPDF

しおり付きPDF

この画面は本サイトに掲載しているサンプル原稿(架空のプリンタです)を開いたところです。しおりが表示されているのがわかると思います。

このしおりは、MicrosoftWordやPageMaker、InDesignを使用していれば、ほぼ自動的に作成されるものです。
「ほぼ」というのは、さすがに一部の微調整が必要になる場合があるからです。

実際、はじめてマニュアルを見るときはこれが表示されている方が親切だと僕は考えています。
しかし実際には、この「しおり」が存在しないPDFが数多くあります。
場合によっては、印刷用の目次すらない場合も。また、印刷用の目次から、該当のページにジャンプする機能を使っていない場合もあります。

これでは何のために電子化しているのかちっともわかりません。
配布が多少楽になる以上のメリットはないと断言して良いでしょう。

もちろん、しおりタブの内容は「見出し」から自動生成されるものですから、完全ではありません。
しかし、はじめて調べごとをするときには、それなりの助けとなることは間違いありません。

こんなところも、マニュアルの「形」なのです。
印刷物と同じ体裁にばかりしばられていると、ユーザーに便利な機能を提供できなくなってしまうことがあるかもしれません。

続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第57回 マニュアルの形 その02

なんとなく涼しくなってきましたね。

さて。

◆マニュアルの形は最初の企画

前回から「マニュアルの形について」を始めましたが、マニュアルの形というとこんなイメージがないでしょうか。

「分厚い冊子」で「読むのも面倒」

なぜでしょうか。
実は、そのマニュアルの企画が適切ではないからだと私は考えています。

メーカーからは「全機能を掲載された取扱説明書」を要望されます。これはこれで必要です。最後に頼るものは「公式」のリファレンスだからです。サポート、営業には必須です。これがないと問い合わせに対応できません。

では、一般のユーザーはどうでしょう。
実はこれが難しい。
ユーザーがどういうシーンで使っているかに対応していなければならない。
たとえばプリンタなら、ユーザーはパソコンの前にいるでしょう。ですから、パソコンにPDFでインストールして、スタートメニューに登録しておく。普通はここまででしょう。

でも、ほんとうにそれがベストですか?
困ったときにスタートメニューをたどってマニュアルを開きますか?
まずそんなことはしないはずです。

ではどうすればよいか。
まず思いつくのはプリンタドライバの画面から「ヘルプ」だけでなく「マニュアル」も開けるようにすること。この実装はまったく難しいことはないはずです。しかし、実際にこうなっているのは見たことがありません。

「マニュアルを表示」ボタンを追加

「マニュアルを表示」ボタンを追加

こういうことが、マニュアル(取扱説明書)は「こういうものだ」という固定観念であり、「必要なときに使えない」ということになり、使いにくさにつながっていくのです。

続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】 第56回 マニュアルの形 その01

さて、新しい話題に切り替えようと思います。

■紙の冊子ばかりではないマニュアル

今回の話は、マニュアルの「形」です。

一般にマニュアルというと当然に「紙の冊子」を思い浮かべます。
また場合によっては、PDFくらいは考えるかもしれません。
大概の人は、ここまでだと思います。

でもマニュアルの形は「紙」には限らないのです。

また、紙にしても冊子形式や、ペラが良いとばかりはいえません。

もしかすると、カードが良かったりするのかもしれないのです。
石井ライティング事務所で、最近作ったマニュアルについて2つ紹介します。

  • 携帯の待受画面
  • 機械本体にぶら下げるパウチの表裏

どちらも紙の冊子ではありません。

最初に注文されたのは、どちらも紙でした。

どうしてこんなふうになったのか、次回から説明していこうと思います。
なお、携帯の待ち受け画面は以下のような感じです。

W-Zero3で表示した待ち受け画面のサンプルです。

W-Zero3で表示した待ち受け画面のサンプルです。

待受画面

待受画面


良い製品に良い取説を提供します is powered by Wordpress | WordPress Themes