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【わかりやすいマニュアルの作り方】第156回広告コピーと取扱説明書の違い

本格的に寒いです。
外の天気もどんよりとしているため、お日様が入らなくてちっとも部屋が温まりません。

さて今回から、通常のスタイルに復帰です。
タイトルの通り、取扱説明書の作り方にもどっていきます。

■広告デザイナーと取扱説明書屋

取扱説明書を作成しようと考えている人で、広告代理店やデザイン事務所に依頼すればできるだろうと考えている人もいると思います。
しかし、デザイン会社に依頼する前に、一度、そこが広告を主な仕事にしているところではないかを確認してから依頼した方が良いと思います。
なぜなら、取扱説明書に必要なテクニカルライティングと、広告のコピーライティングはまったく異なったことだからです。
テクニカルライターとコピーライターはどちらも製品について文章を書く職業であり、いずれもその道のプロフェッショナルです。しかし、向いている方向はまるで違うのです。

  • 取扱説明書は「購入したユーザー」向けの「技術文書」です。
  • 広告コピーや商品パッケージは「購入前」向けの「宣伝文書」です。

対象とする読者の想定が異なります。そして、目的も異なります。
たとえば、広告には製品の欠点は記載されませんが、取扱説明書の場合「危険」「やってはいけないこと」として欠点も記載されます。

つまり、方向性が全く異なっています。これはどちらかが優れているとか、良い悪いのはなしではありません。
こういった理由から、宣伝コピーと取扱説明書の両方を作れる人はまずいません。

■取扱説明書屋の目指す方向

それでは、取扱説明書とコピーライティングの方向が違うことを理解したら、次にどうしたら良いのでしょう。

そうすると、「ぜひとも弊社に」と宣伝をしたいところではありますが、そうはいってもいろいろ事情があるでしょうから、とりあえず取扱説明書は取扱説明書で専門の制作を行っているところを探した方がよいでしょうというアドバイスになります。

そして、メーカーの方は是非とも「自社で」取扱説明書を作るようにしていただきたいと思います。

これは弊社の仕事が増えるかもということも無いわけではありませんが、それよりも、マジメにメリットがあるからです。

以下にメリットを挙げてみます。

  • 製品を販売会社や卸に売り込むときに、取扱説明書を渡せばすむ。
  • 販売用のパンフではないので、メリットデメリットを含めて説明できる。
    (メリットだけでは信用されないこともあります)
  • 販売会社が取扱説明書を作る必要がなくなる(コストダウン)。
  • 販売会社が顧客に説明するのも容易になる。
  • 販売会社へ問い合わせがあったときに取扱説明書を見て回答できれば、更にそれがメーカーまで回ってこないですむ。
  • カタログの文言を考えるのが楽になる。
  • 販社にとっては保証書以外に責任の所在が書かれた文書が点くことになる。、

販売寄りのことを書いていますが、自分はメーカーさんはこういうポリシーであってほしいと考えます。

良い商品を作り、それを正直に説明して売る。

もちろん、販売部門まで持っている大メーカーさんは「売る」ための方法も駆使するのが当然ですが、そうでなければ「売る」ことについてはプロである販売会社を信用して良いと思います。お互いに得意なところを分担する。

そして、その製品に必要な取扱説明書について、お手伝いができれば良いなぁ、と思っているのです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第155回エディトリアルデザインの話

もう年末です。
あっという間に、年の終わりが来てしまいました。このブログも細々ながら155回、読んでいただいている方には、感謝にたえません、また来年もよろしくお願いします。

さすがに、新年の更新はお休みさせて頂きます。

■エディトリアルデザインの話

今回は取扱説明書のデザインの話です。
取扱説明書のデザインと、広告・宣伝・広報のデザインは目的が違います。
したがって、同じ考えで作ってはいけません。

デザインというと、目立つもの、綺麗なもの、かっこいいものを作ることがイメージされますが、デザインは目的にしたがって作られるものです。
自分は基本的に製品の特性を調べ、それを記述すること・説明することを本業としている「テクニカルライター」であり、デザイナーではありません。
実際のところ、カッコいいものを作りたければ、躊躇無くデザイナーに依頼しますし、その方が良い結果が得られることは分かっています。
しかし、文章全体を構成する編集という技術の中には、文章全体の論理的な構成を作成し、それを見やすいように並べるといった技術も含まれています。エディトリアルデザインというものです。
さてそこで考えることですが、見やすいとキレイというのは必ずしも同じではないということです。もちろん、優秀なデザイナーがデザインすると両方を満足することは可能ですが、一般的なデザインを業務としていない素人の社員が行った場合を考えています。

自分がデザインの教育を受けたわけではありませんが、ソフトウェアの必勝本などを作った実務経験から指定紙の書き方などを実務で覚えさせられました。

■デザインの要件

では、エディトリアルデザインで要求される内容の簡単な例をあげてみます。

  • 内容が論理的なブロックで分かれるところは、視覚的にもブロックとして認識できるように、分けるのが望ましい
  • 説明本体の流れとは別だが、その場所に置いておいた方が良い説明はコラム形式にして近くに置く。

難しいことではないと思います。むしろここを読んでいらっしゃる方としては「なんだごく普通のことじゃないか。」と思われるかもしれません。そうです、それで正しいのです。

ですが、実際に業務マニュアルを作成しようとすると、ソフトに準備された機能に引きずられてしまうということがよくあります。

特にMicrosoftWordなどを使って政策をしていると、意識的に避けようとしていない限り「ぎっちぎち」に詰めたものを作ってしまう傾向があります。
ソフトウェアがもともとビジネス文書を作成するためにできているので、一般ユーザー向けの文書を作成するときは、いくつかの設定を変更しなければならないのですが、そんなやり方はどこにも書いてありません。

上の要件を満たすための見出しの作り方や、コラムの作り方は機能としてはWordの中に用意されています。しかし、それは使い方を知っていないとそこにアクセスすることはできません。

たとえば、人が一目で見ることができる1行の文字数はどれだけか、1行の行間はどの程度にするのが適正かといったことは制作を始める前に知っておくべきことです。
そしてそのために、ページ数が多くなったり、思ったより改ページが多くなって白っぽい取扱説明書になったからといって、きっちりと詰めた文書にすべきではありません。

優先すべきなのは使う人にとっての、読みやすさなのです。

前にも書きましたが取扱説明書は、製品を扱うために必要な「お客様に説明する」部品です。
部品であれば「使いやすく作る」のは当然だと思うでしょう。取扱説明書も使いやすくなければならないのです。

色を使わないとダサく思うかもしれません。

見出しがデカくてバカみたいだと思うかもしれません。しかし、人間にはある程度以上の差がないと見出しと本文を見分けることは難しかったりするのです。

1ページの情報量が少ないと思うかもしれません。

こういったことを上司から言われるかもしれませんが、それでも取扱説明書はお客様のために作っているということを忘れないでください。

少なくとも弊社ではそう考えて取扱説明書を制作しております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第153回 お金の話

寒くなってきましたね。本当に冬だと感じます。

もっとも、もう師走も1/3を過ぎているのですから、本当はそんなにのんびりしたことは言っていられないのですが……

■コスト-お金-手間の話

今回は、お金の話です。
実は、うちはページ単価で12000円くらいから頂いております。
正直もうちょっとと頂きたい案件もありますが、この時期無理は申し上げられません。
さて。
なんでそんなに高いんだと思われた方に、説明させていただきます。

ものすごく簡単に書くと、ほとんどが人件費-手間賃と言い換えても良いです-です。

仕様書をそのまま書き下して終わりであれば、それこそ社内の技術者に「書き直して」で終わるかもしれません。

しかし私達の持っているのは単なるリライトの技術ではありません。

ちょっと思いつく限り列挙してみましょう。

  • 商品を実際にテストして「お客様の使いやすい全体の構成」を作成します。
  • 図のイメージを考えて商品の写真を撮り、それを元に線画を書き起こします。
  • 安全上の注意や警告の内容を考えます。
  • 安全上の注意や警告を操作説明の文を読むのに邪魔にならないように、なおかつ誤解が生じるおそれがないように明瞭に記載します。
  • 製造または販売の責任者を明記します。
  • 特に購入後最初に行わなければならないこと(開梱、初期設定、設置、導入など)があれば別立てにして手順を説明します。
  • 操作方法を手順に従って記載します。
  • テキストの内容にあうように線画を調整し、必要な矢印やマークなどを描き加えます。
  • テキストや画像の材料が揃ったら、それらを本・パンフレットとして読めるようにきちっとかたちにDTP(組版)を行います。
  • 全体の読み直しと校正を行います。

これだけのことを行います。もちろん、場合によって行わないものもあるかもしれませんが。

■開発者の誇り

そして、これらの作業はほぼすべて自動化が難しいものです。自分たちはできるだけの自動化を心がけてはいますが、それでも難しいと言わなければなりません。
なぜならば、この手順は「開発」の手順の一種だからです。

取扱説明書は製品の部品の一つです。したがって、取扱説明書を制作するということは、製品の一部を制作することに他ならないわけであり、それはつまり「開発」の手順になります。

商品開発はどんなものであれ、単純作業ではありません。

弊社では「どんな商品」を「誰」が「どのように」使うのかをきちっと聞き取り調査を行った上で、それに見合うような取扱説明書を制作します。

それが弊社のポリシーでもある「良い商品によい取扱説明書を提供します」ということだと考えています。

そして、それゆえに、人件費-コストがかかってしまうことになるのです。

これについては申し訳ないと思います。ですが、弊社では「なんでも良いから安くやってくれ」ではなく「良い取扱説明書が欲しい」とおっしゃるお客様と仕事をしたいと考えております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第152回取扱説明書の責任

本格的に寒くなってきました。近所の公園の紅葉もすっかり色づいてきました、

常に季節をひとつ先取りしている「オートバイ乗り」にとっては、もうほとんど真冬の寒さです。もっとも、常にという訳ではなく、コースで全力走行をしている場合はこの気温でも汗をかいているわけですが。

さて。本題です。今回はちょっと大上段に構えたテーマを扱ってみます。

■取扱説明書って何?

このブログは「わかりやすい取扱説明書」について書いています。

ということは「わかりやすいって何でしょうか?」ということが問題になるわけです。この問題は何度書いても書ききれない話で、ある意味「幸せって何でしょう」という問題に似ています。

技術的にはこの件はいくらでも書くことができます。というか、実際150回近いこのプログではえんえん書いています。

ともあれ、取扱説明書は商品に欠かせない「部品」です。
では、なぜ欠かせないのでしょうか?エンジニアさんは「取扱説明書の要らない商品」を一所懸命に作ろうとしています。それでもなお必要な理由とは何でしょうか。

弊社では、取扱説明書には責任と「この製品は○○である。」「この製品の責任者は●●である」という宣言が必要だから、と考えています。
極論を言えば、(場合にもよりますが)操作説明はなくても良いとすら考えています。

たとえば、とても使いやすい単機能のナイフであるとしましょう。

ナイフの使い方を説明するべきでしょうか?
切る、突き刺す、それから道具としてこじったりする方法を説明すべきでしょうか?

テクニカルライターである自分が考えても、必要ないと思います。ですが、使い方以外の内容が必要だと感じるのです。

■取扱説明書の「使い方」以外のこと

良いナイフを買ったことのある人は、ご存じのことだと思いますが、良いナイフには必ずといってもいいほど「メーカーの歴史」や「ポリシー」が書かれたものが入っています。

良いナイフであればあるほど「このナイフはハンティング用です」「このナイフはツールナイフです」「このナイフはフィッシングナイフです」と用途が宣言されています。
もちろん、ユーザーからすれば、見ただけでわかることは言うまでもないにもかかわらず、です。

そして、「長く使うためのお手入れの方法」と「破損時の対処方法」などと、メーカーの名前・連絡先などが誇りを持って書かれています。

これが取扱説明書だと弊社では考えています。

どんなに簡単な道具でも、良くできていても、時間がすぎると壊れます。手入れをしないとダメになっていきます。

それらに対して「作った」もしくは「売った」ことに対する責任を表明する、それが取扱説明書の「使い方の説明」以外の部分なのです。製品に対する誇りの小さな表明です。

弊社ではそんな考えで取扱説明書を作っています。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第152回よくあるレイアウトについて続き

今回は、前回の続きです。

ここではよくある例を挙げてみます。見出しは以下のように設定されているとします。
■大見出し ●中見出し ◆小見出し

前回提示したよくある例は以下の通りです。
■設定
●初期設定
小見出しは略
●機能設定
◆画面設定
◆サウンド設定
◆操作設定
◆通信設定
◆セキュリティ設定

それに対して、弊社の修正提案の内容は以下の通りです。
■初期設定
小見出しは略
■機能設定
●機能設定の入り方
●画面設定
●サウンド設定
●操作設定
●通信設定
●セキュリティ設定

実際のところ、上のような例はとても数多く見られます。
では上の例ではどこが問題なのかについて説明していきます。

最初から答えを書いてしまうと、機能設定以下のレベルの見出しが、レベルが低すぎるということです。

レベルが低過ぎるとどのようなことになるかというと、デザインにもよりますが、読者はレベル3以下の、見出しのブロックをそれぞれ「別のもの」とは認識しません。
そういう意図とで作っているなら良いのですが、「設定」という製品の仕様に縛られて取扱説明書の内容をそのまま作ったのであれば、読者は混乱することになります。

もちろん、この例はわざわざそのように書いたのですが、同じ「設定」の項目であるからといって「セキュリティ」と「サウンド」を同時に、まぁせいぜいのところ続けて設定したいと考える人がどれだけいるでしょうか。
自分はそういった人はごく少数だと考えています。
「セキュリティ」の設定をするときは、「セキュリティ」だけを。
「サウンド」の設定をするときは「サウンド」だけを。
それぞれ設定すると思うのです。

「サウンド」の設定と一緒に「画面」を設定するかもしれないし、「セキュリティ」の設定と「通信」の設定は一緒に行うことはよくあります。しかし、それでもページ単位で独立していた方が探しやすくなることは間違いありません。必要であればそれぞれの参照ページをつけておけばすみます。弊社ではむしろそういういった作り方を推奨しています。

■取扱説明書制作は理念

取扱説明書は製品に付属している製品を、分かりやすく使うための部品です。
ページを切り詰めることよりも、お客様が機能を使おうと思ったときに使いやすくする。製品を構成する部品にコストダウンを優先して安いものを使って、製品が使いにくくなる。それでは製品全体の評価を落としてしまいます。
それと同じことです。

わかりやすく使えなければ、取扱説明書は存在の価値がありません。
機械、製品の仕様に従って取扱説明書を作るのは間違いではありませんが、より良い作り方があります。
お客様の使い方を考えて、それにしたがって取扱説明書を制作するべきです。
弊社では、このような理念に基づいて取扱説明書を制作しております。
良い製品を提供して、お客様に喜んで頂きたいメーカー・販売会社の皆様、弊社の取扱説明書を試してみませんか?

弊社では、福祉用品・生活雑貨・電子デバイス・機械設備等々、さまざまなジャンルの取扱説明書を承っております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第148回今年やった仕事

先週は申し訳ありませんでした。さすがに体調を崩してしまってはどうしようもありません。

先週は二度も、都立産業技術研究センターに行ったりと、なかなか忙しい一週間でしたが、途中でちょっとダウンしてしまうのは予想外でした。

まあそんなこと以外に、普段の足に使っている原付二種をスクーターからギア付きに買い替えることにしました。妻が免許を取ったという理由も大きいのですが、なによりギア付きがないと練習一つもできず寂しいのです。

さて。

本題に入ります。

■今年やってきた仕事

メインはIT関連。通信・マルチメディアから、デバイス・ソフト関連まで、なんでもござれ。さらに、説明図だけの仕事、杖、浄水器と広い範囲でやっています。

わかるとは思いますが、取扱説明書って商品であれば何にでも必要なんです。
まぁ、魚だの肉だの野菜だのといった生鮮食料品や本当の最小限のネジのような部品は除きますが。

特に今、中国や東南アジアから雑貨や電気製品を輸入して販売することがあると思います。しかし、ほとんどの場合コストの関係からか、それらにはろくな取扱説明書がついていません。

そんな商品、単価も高くないし、お客様だって輸入品だってわかっているから大丈夫だよと思ってはいませんか?

とんでもない間違いです。

そんな商品、誰が信用してくれるというのでしょう。

■何だって商品自身が説明すべき

いま、ここを見ていらっしゃるのでしたら、ここのサイトを作っている人間にメールして、3~5万も出せば、ベトナム語や中国語のペラを日本語の法規に則った、わかりやすい、きちんと連絡先も書いてあるペラに作り替えることができる、ということはお分かりのことと思います(あー、ベトナム語の翻訳はつけてくださいさすがにそのままでは読めません)。

実際のところ先ほど説明したような各種の商品についても、「作れる」という確信はあって制作の依頼をお受けしていますが、一番最初にやることは常に、「その商品を使う人がどのようにして使うか」という取材であることは変わりありません。

その商品を、誰がどのようにして使う、それをイメージできるようにならないと、使い方の説明はうまくできません。それは説明を紙に落とし込んだ取扱説明書でも当然同じことになります。

その説明書、ぱっと見てイメージが伝わらない、よく読めば書いてあるけれども、では絶対にお客様は読んでくれません。そしてわからないままに、サポートへ電話をしてくるのです。当然ながら内容を理解していませんから、問い合わせの内容も割ととんちんかんになります。営業やサポートの手間が、大変食われるわけです。

お客様側から見ると「何これわかりにくい説明書」ということで、いきなりマイナス印象です。すぐに使えない、お客様にとっても不幸です。

弊社は、特にジャンルを限っていません。

取扱説明書というと、何となく電気製品や動力を使う製品のように感じますが、そんなことはありません。

どんなジャンルでも、操作するところ・動く物があるのであれば、弊社は喜んで取扱説明書を、お作りしますどうぞ、お気軽にご相談ください。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第146回手順について

完全に秋めいて参りました。

そろそろ夏の服で朝や夕方に出かけると肌寒く感じるほどです。

あんなに熱くてかなわなかった夏ですが、過ぎてしまうとちょっと寂しいものです。

さて。

■手順について

取扱説明書を書いていると、手順で説明する場合が、大変多くあります。むしろ手順でない場合の方が少ないほどです。

しかしこの手順というものが、実際にはその通りでない場合ということがしばしばあります。

手順A → 手順B→ 手順Cのように書いてある場合、実際には手順A と手順Bはどちらを先にやってもよく、順番を問わない、といった場合があります。

例えばネットワークの設定などで、端末とルーターなどをそれぞれ設定しなければならない場合など、実際にはどちらからやっても問題はない場合があります。

しかし、取扱説明書を制作する立場としては、手順で書いた方がわかりやすいと考えています。

上記のように、手順をAからCの順に行う場合は、手順を一つ抜かすと言うことは考えがたいからです。

それに対し、以下のように書いてあったらどうでしょうか。

以下の手順をすべて行ってください。

  • 手順A
  • 手順B
  • 手順C

自分がこういう書き方をほとんどしたことがないのですが、まず間違いなく、手順のひとつを落としたり、抜かしたりといったことで設定ができないといったことが起きると思います。

■依存関係がないリファレンス

上に書いたように、操作の順番に依存関係がない場合でも手順として書く場合があります。

ただしそれは、導入マニュアルや、設置の手順書といった、非専門家向けの「確実に設定できること」わ目的に書いた取扱説明書になります。

これに対し、リファレンスマニュアルといわれる形式のものでは、それぞれの設定方法を個別に書きます。

そのかわり、設定できる詳細な内容がすべてリストされて表形式で説明されている場合もあります。

設定によっては、各設定内容が互いに影響を与える場合があっても、それらは読み手の知識によって補完されることを前提として書かれます。

なぜそのようになるかというと、それぞれの依存関係について詳細に記述していては、以下バランスマニュアルのような、詳細な説明においては、説明量が膨大になりすぎるためです。

そのためにリファレンス形式のマニュアルは専門家向けとして扱われるわけです。

どちらが優れているというわけではありません。

だれが使う、どのような目的で使う、といったことにより、取扱説明書の形式も選択するものなのです。

弊社では、そのように、考えて取扱説明書を制作しております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第144回 データナンバリングとバックアップ

 

今回はデータのバックアップと二重化についての話をします。
弊社では、というよりも自分の仕事のスタイルとして、バックアップを必ず残すということは、ポリシーというよりも基本的な仕事スタイルとしています。

■バックアップについて

バックアップを取るのは、ハードウェアやOSのトラブルで読めなくなることを警戒してですが、実はデータを失うときはむしろそういったトラブルよりも人為的なミスでデータを消す…もっとはっきり言えばデータを空にして元データを上書きしてしまうことです。
システム的なトラブルには大体の場合は予兆があります。システムが、滑らかに動作しなくなったり、今まで見たことのないようなエラーが表示されるようになったり、あるいはハードウエア的に変な音がする、といったことも含まれます。
ですからこういったことに気がつけばその時点でバックアップをもう一度取るといった対策をすれば、ある程度までは損害を防ぐことができます。
もちろん、ある日突然起動しなくなる。といったことはありますかせ油断は禁物ですが。しかし、それよりも恐ろしいのは、ファイルを開いた状態でうっかり「すべてを選択」して、EnterとかSpzceキーを押して、Ctrl-Sを押してセーブしてそのまま終了してしまうことなのです。
なぜ、終了してしまうまでを含めているかというと、終了さえしていなければまだCtrl-Zで操作の取り消しをしていけばデータの復帰が出来る可能性があるからなのです…
もちろん、その結果は数バイトのサイズのファイルが残るだけです。
手の施しようもない悲劇です。

■データナンバリングについて

弊社では、数週間から一カ月、場合によっては何カ月にもわたって同じファイルを書き直して原稿を作成していく場合があります。
まあ、一週間に一度は、ハードディスク全体のバックアップを取っているので、前記のようなトラブルが起こったとしても、最悪先週のデータは残っているということにはなりますが、仕事をする上では致命的と言って良いレベルの大惨事でしょう。
しかし残念なことに、この悲劇を完全に防ぐことはできません。
そのため、長く同じファイルを使い続けているということは、日数が伸びるにつれ統計的に内容を失う確率が高くなっていくわけです。
そして、納期が厳しい最終日近くに一週間前のバックアップに戻されたら……泣くに泣けません。納期が近くなった場合には、多くの場合、メールでファイル送ったりして、結構バックアップがとれている場合もあります、しかしそんな偶然に頼るわけにはいきません。
そこで、筆者は毎日同じファイルを使う場合は、当日の朝、そのファイルのコピーをエクスプローラーで作成して、「ファイル名に」その日の日付をつけるようにしています。
当然ながらファイルを新規作成するときも、作成日をファイル名に含ませています。

例:
file20110912を使っている場合

コピーすると↓のファイルができる。
“file20110912のコピー”

ファイル名を変更する。
“file20110913″ ←ファイルの操作をした日付

そして、実際の作業はこのファイルを開いて行います。
こうすることにより、たとえ何らかのミスが発生してファイルの内容が失われるトラブルが発生したとしても、「昨日作成したファイルまでは残っている」ということになるからです。
ただし、ファイルがたまっていくことになりますから、適当なタイミングで整理をする必要はあります。
もちろん一日分の作業が失われるのはとても痛いことですが、それでも一週間分の作業が失われることに比べると断然ましです。

■もう一つのメリット

さて。

実は、このように履歴を取ってデータを残しておくことは、バックアップの安全性、という視点だけではなく、他にもいくつかのメリットがあります。
一つめは、やはり安全性です。
弊社のような仕事では、一つのファイルを元にして似たような内容のファイルを作ることがよくあります。
こうした時に、最新のファイルをもとに新しいデータを作ると、「ついうっかり」最新のファイルをテンプレートとしてしまうという事故が起こります。
しかし、履歴がとってあれば、2~3日前のデータを使えば「そんなに内容に違いはない」ですから、安全にほぼ最新データからテンプレートを作成できます。
ちなみに、最初の段落で書いた「内容の全消し」というのはこの作業で起こったことでした。
話がそれました。
このような形の履歴を取っておくことのメリットですが「変更依頼に対応しやすい」というメリットもあります。
取扱説明書制作の仕事では、ある程度までできた時点でクライアントにチェックを依頼します。デザイナーさんなんかも、同じような仕事ですね。
そしてクライアント参加の指示や意見に従って最新版から調整を行います。
これで、一方向に進んでいけばことは簡単なのですが、ときどき「前の方がよかった、前のみたいに直してくれ」という意見が出てくる場合があります。
こうした場合、履歴のデータがとってあると、とても助かるのです。
もちろん新しく作ることはやぶさかではありませんが、それでも納期がきついときには、データがあると助かることは変わりありません。

ということで、同じファイルを更新し続ける場合、このように日付をつけた新しいデータを前に作ることは、大変お勧めです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第142回体育会系の説明

先週末までの猛烈な暑さが過ぎ、やっとひと息がつけるようになりましたね。

今回は、ちょっと変わった方面から書いてみようと思います。

■私のするとおりにしなさい

実は今、妻が某教習所に通っている。それも、二輪免許を取るためである。

二輪免許に関しては、評判が結構良いところを選んでいった。指導が確実で、内容は確かである。それについては間違いない。

しかし。
指導方法については、少なくとも話を聞くかぎりでは、どうも「体育会系」にかたよっているように思える。

もちろん、自動二輪はかなりの部分が、肉体的な運動なので「体育会系」の指導方法は間違っているとは言い切れない。
実際、自分が大型自動振りをとったときの、いにしえの都民自動車教習所の練習やら、いまでもやっているだろう砧や府中の二輪交通安全教室での練習は、理屈よりも圧倒的に「身体にたたきこむ」方式だったし、それは今でもとても役に立っていて感謝している。

とはいえ。

問題はちょっと違う。大型自動二輪の一発試験のための練習や免許を持っている人の技能向上のための訓練ではなく、免許を取るため、言い換えれば「乗れるようになるため」の練習だからだ。

ちなみに「私の言うとおりにしなさい」という指導方法は、だいたい以下のような感じになる。

オートバイのメインスタンドをかける方法についての指導です。

  1. 指導員がやってみせる。「このようにやります。」
  2. 「では、やってみてください。」
  3. できない。
  4. 怒る。「なぜ言ったとおりにしないのですか。」

運動神経の良い、あるいは勘と目の良い人、あるいは基本的に、パワーがあり力ずくであげられる人ならこれでも問題ないでしょうが、妻はさんざん苦労したあげく、うまくできず帰ってきました。

■説明をするということ

簡単に書きましたが、上記の方法は説明ではありません。

手本を見せてその通りにできるのはごく一部の人だけです。まず、普通の人は「まっすぐ立つ」ことからしてできていない、とこれは余談。

帰ってきて、落ち込んでいるので、うちのアドレスV100をひっぱり出して練習をすることにしてみました。取得する免許は、小型限定なのでこれで重量の点では問題はない。

とりあえず、やってみてもらう。だが、全くスタンドが上がる様子がない。

教習所での説明の内容を聞いてみる。

「車体をまっすぐに立てて、車体を引き上げる」

たしかに、間違ってはいない。

だが、これでわかる人は何度も言うが運動神経が良い人だけだ。まっすぐ立つという感覚の訓練を受けたことがないと、普通の人にはそんな感覚はない。

仕方がないので、メインスタンドの立て方を指導する。

  1. 「メインスタンドが地面に着くまで出したら、ちょっと左右に揺すってメインスタンドの、両足が着地しているところを探して」
    両足がついたところで車体が垂直に立ったことになる。
  2. 「スタンドの上に体重をかけて、てこの力でぐっと上がる感じをつかんで」
    力で引っ張り上げても相当のパワーがないと車体は上がらない。
  3. 「上がったら車体を後ろにちょっと引っ張って」これで、すとんとメインスタンドが立つ。

教習所では何度やってもできなかったという妻が、数回手伝いながらやると感覚を覚えたようでできるようになった。

言うまでもなくこういったことは技術である。技術である以上、やり方は説明が可能だ。

自分は、警視庁指導センターや府中の自動車試験場などでかなりの時間を練習に費やしたから(つまり下手だったから)説明の仕方を覚えたのだが、勘が良く、見ただけですぐにコツを飲み込める人間にとっては、こんな説明は面倒くさいだけであろう。

この説明方法を指して「体育会系の説明」と言います。

理解の良い人に教えるときには最も効率的な方法ではあるのですが、向き不向きがありすぎます。

弊社では、だれにでも分かる説明の方法を採用しております。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


しがない技術系のライターやっていて思うこと

ウチはメーカーさんに行って製品の話をエンジニアに聞いてから書くのが仕事なんだが、「メーカーがこれは面白い(役にたつでもいい)」と思って開発したものと、「マーケティングにより、こういうものが売れるとされた」から開発した製品では、なんだかしらんができあがった商品の「面白さ」が違う。
工業製品でこれなら、コンテンツなんかより一層その傾向が強いだろう。

いまのテレビ局で「これを作りたいから作った」というのが見える番組がどれだけある? そういうのが見えるのはアニメとか特撮とか映画とか、そういうのばかりじゃないか。
いずれ、ネットの「俺はこれを作りたい」という「技術・才能の無駄遣い」の連中に負けると思うな。

マーケティングで売るのは、売れるけど、本道じゃない。
クリエーターが自分が面白いと思うもの、自分の趣味に突っ走ったものを売らなくてどうする?
自戒を込めて。


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