‘記号’ タグのついている投稿

【わかりやすいマニュアルの作り方】第174回記号について-続き

2012年6月26日 火曜日

6月に台風が来たかと思うと大雨と続きます。自然災害はあなどれません、皆様ご用心を…というのもあるのですが、今回のサーバーの大規模障害(おわかりの人にはわかるでしょうからあえて書きません)のようなことも、また会社をつぶすトラブルになりません。
他人やメカを信用しない、バックアップ体制を取っておくというのはできるだけ守りたいところです。

しかし、経験によると、トラブルはバックアップを取れないときにこそ起きるのですが…

■記号を変更するということ

今回は、前回に引き続いて記号の話です。まず、頭の中に「記号は標準化とその広報・教育が必要だ」ということを思い出しておいて頂けると理解が早くなります。

1ヶ月ほど前に「洗濯のタグ記号の変更」というニュースがあり、2回ほどそのネタを引っ張らせて頂いています。

記号は知っていないと役に立ちません。ですから、たぶん今回の変更でも家庭で洗濯を行う消費者にわかりやすいパンフレットや広報などの教育が大々的に行われるものと思います。実際、〇の中にPと書かれたマークを見て「駐車禁止?」という反応がテレビで紹介されていましたが、この状態では役に立たないでしょう。

報道によると、この変更の理由は「国外で服を売る際に、タグを複数付けなければならない」という製造側の理由であり、別に日本の消費者は困っていなかったわけですから、メーカーへの援助であると同時に、そのぶんは消費者には不便になるわけです。

ちなみに、先程のマークは「ドライクリーニングできます」というのが大意です。いままでであれば「ドライ」とカタカナで書かれていたマークが該当するそうですが…

現状では記号としての視認性が大幅に劣ります。

たぶん、この記号に全面的に移行するとしても、旧記号との相当の併用期間をおかないと、間違いが頻発することになるでしょう。

記号だからといってわかりやすいわけではないのです。

■取扱説明書の中の記号

さて。

取扱説明書にもたくさんの記号が使われています。

「禁止」であったり「注意」であったり…これらは、交通標識と同じマークを使用しているので、たとえ免許を持っていなくても、まぁ大概の人には通じるでしょう。この程度なら悪くありません。

しかし、「水濡れ禁止」とか「プラグ抜く」を記号として記載するのはどんなものでしょうか。

実際、これらのマークは業界ではフォントになるほど使われているのですが、こういった業界にいる私ですらこういった記号について教えられたことはありません。

しかも、「水濡れ禁止」とか「プラグ抜く」といった操作に関しては、その横に付いている本文を読まないかぎり、どんな場合にそういった操作を行わなければいけないのか、理解できないのです。

本文を読むのであれば、理解できない記号は無駄です。無い方が良い、むしろ害悪とすら言えるかもしれません。

他社の取扱説明書ではこのマークを使っているからうちも、ではわかりやすい取扱説明書はできません。実際に使う人のことを考えて、記号を使うべきかを判断していきたいと思います。

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【わかりやすいマニュアルの作り方】第173回 記号について

2012年6月19日 火曜日

先週は、関西地方で梅雨入りなんて書いていたら、あっという間に関東も梅雨入り、それどころか、台風が本土上陸なんて話になってきました。

実際、事務所から外に出るとむっとするほど暑くなり、なつがすぐそこまで来ていることを感じます。

■記号は、だれのため?

さて。

前回苦労して探した洗濯記号ですが、ここで読者の方に質問です。

記号は何のために使用するのでしょうか?

記号を利用する理由はいくつかあります。

1つは、交通標識のように「スペースが少ない」ところに表示するためです。
これは、わりとわかりやすい理由です。もっとも、これも欠点があります。欠点の内容は本論と絡んでくるため、後述します。
もっとも、日本語の表記に使用している漢字は表意文字なので、「止」と書いてあれば、ほとんどの人には看板としては用が足せたりするので、「標識」は必ずしもそれだけではないということでもあります。

2つめは、「文字を読めない人」のためのものです。

日本に生活していると忘れてしまいそうになりますが、世界中には文字を読めない人は多数居ます。そういう人たちにも、「標識」は「こういうルールだ」と定めることで、マークひとつで「ここわ通過してはいけない」「一方通行」といったことを示すわけです。

ちなみに、先程の「止」といった一文字も、中国人には「停」あるいはその簡字体で表記しないと、すぐには正しく理解されなかったりします。もっとも、同じ漢字文化圏ですから、理解は早いでしょうが。

○の中に×が赤で書いた標識は自動車の文化圏では大概「進入禁止」です。

これを言葉で説明しようとしたら、メジャーな言語だけでも一〇以上の表記が必要になるでしょう。それはまったく効率的ではありません。だから、記号を使うのです。

■記号のデメリット

さて、様々なメリットがある記号ですが、ひとつ、あきらかなデメリットがあります。

それは、その記号を使う人間は全員が同じ記号について同じ意味を知り、了解していいないとならないということです。
自動車を運転する人なら、免許を更新するときに「更新時講習」というものを受講させられます。はっきり言って眠くにるシロモノだったりしますが、それでもその時に渡される新しい規制標識などのパンフには目を通しておかないと、「見たことのない標識」が道路上に描かれていて、なんだろうと頭をひねっている打ちに「はい、そこの自動車左によって停止して」と声を掛けられるハメになったりするかもしれないわけです。いや、あくまでも可能性ですが。

そうです。記号に関しては、標準化とその広報・教育が必要だということです。

標準化されていないということは

あっちこっちで違う交通標識が乱立している

という状態になることであり、

広報と教育がされていないということは、

標識が変わったらしいけれども、どう変わったのかちっともわからない

という状態になることです。

これではまったく役に立たないことは説明の必要もなくおわかりと思います。

 

なんだか前説のつもりがすっかり話が長くなってしまいました。この話は次回に続きます。

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