‘製品安全’ タグのついている投稿

【わかりやすいマニュアルの作り方】第225回 リスクと「非常識な使用」について

2015年2月13日 金曜日

前回の書き込み「第224回 独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)訪問」に続きます。

取扱説明書は『すべての製品』に

niteでは取扱説明書は、安全のためにあると考えられていました。
そして、「取扱説明書は『すべての製品』についていることが必要で例外規定はない」ということでした。

…実感と違います。
不動産にも大根にも取扱説明書はついていません。
このあたりは、実感では、そう感じます。
実は、『すべての製品』の「製品」の定義から外れるものには取扱説明書は付いていなくても問題はないということになるのですが、ちょっと「用語」と「一般的感覚」の間にはズレがあるようです。
「製品」とは、”Products”の訳のため、不動産は外れますし、大根は一次産品ですのでやはり”Products”にはあたりません。ですから、取扱説明書がついていないことが許容されるのです。
まぁ、そのあたりは良いとして。

リスクとは? 製品の使い方のどこまで対応する?

「安全って何?」というところまで戻ってしまうと、根源的に過ぎるということになってしまいますが…
そして、リスクに対して以下のように定義していました。

リスク:危害の発生確率と、その危害の程度の組み合わせ

そして、絶対的な安全はありえません。
許容できるリスクまで低減させるということで、リスクアセスメントを行うということになります。

niteでは、対応すべき主体(危険?)を3つに分類していました。

[危険の分類]

・正常使用:事業者の意図した使い方

危険はある場合が当然あります。たとえば、ガスコンロはどうしたって熱く、危険がありますが、それがないものは考えられません。

・合理的に予見可能な誤使用:事業者が対応を検討すべき領域

このあたりは、メーカーが悩むところです。アイロンを持ち上げていると熱い部分のスイッチが切れるとかのセーフガードを付けて対応したりしています。
ここまでは事業者が「製品」で安全を確保するということになります。

・非常識な使用:誰もが非常識だと考える使用方法

この非常識な使用については、いつも取扱説明書を作るときに悩むのですが「どこまで書けばいいのだろう」ということ。
簡単な例で示すと、包丁の使い方を説明するときに、「人に切りつける」というのは非常識な使用方法にあたり、誰もが非常識だと考えると思います。このレベルには、事業者(メーカーまたは販売者)は対応する必要がないということです。
意図的な誤使用は「誰もが非常識だと考える」と見なして、対応しなくて良いということが示されたのです。
これによって、「限度なくありとあらゆる内容に対応する」という必要がないということが示されたのです。もちろんそれが非常識かどうかということは、一人で決定できることではないので、複数人数で検証する必要はありますが、「常識的な範囲」で書けば良いという指針が示されたことは非常に有り難いことでした。

[スリーステップメソッド]

そして、それらの危険に対して、スリーステップメソッドという対策方法を示していました。

・本質安全設計

・保護装置による安全確保

・消費者に対する情報による安全確保

この最後の方法に関して「取扱説明書」や「本体表示」で対応するという話でした。

一回では書き切れないので次回に続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第224回 独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)訪問

2015年2月5日 木曜日

独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)訪問

独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)に
おうかがいして話をしていただいてきました。

内容としては、取説屋として
「製品安全の一般論として取扱説明書がどのような位置づけ
 であるのかという点について」
をうかがって参りました。

いやぁ、興味深かったです。
まず、取扱説明書というのがnite、ひいては経済産業省
そして国がどう考えているかという話から。

「取扱説明書は『すべての製品』についていることが必要で
 例外規定はない」というのが法的な基本的立場です。

消費者安全法からの安全4法と製造物責任法では、こうなっている。
と教えて頂きました。

そうすると、「実際にはすべての製品に取扱説明書が付いている
ようには思えない」という実感と離れていることから疑問を
感じます。

まずは「製品」の定義がPRODUCTSなので、すべての商品では
ないというところから理解しないといけないのですが……。
不動産や、未加工の一次産品、そしてソフトウェア(これは
実体がないため)は「製品」ではないので取扱説明書は必ずしも
必要でないとか…。

今回、書いていくとボリュームが大きすぎるので、今回はこれ
くらいで終わりますが、次回の予告を。

「非常識な使用について」
(「合理的な予見可能な誤使用」と対比して)

「情報弱者」など、使用者の立場から考えると
「誰でも使えなければならない」という点では紙が最強

こんなところ、からでしょうか。
今回はこのあたりで。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第220回 取扱説明書は部品です

2014年9月5日 金曜日

前にも書いていることとかぶってきますが、取扱説明書を作成する技術、【ドキュメンテーション】は日本ではようやく学会ができただけで、まだちっとも研究が進んでいません先日も、「危険の説明」をトップに小さい字で何ページも書いている取扱説明書だとか、そもそも表組みになっていて読みにくいとか、部品の名称が後に書いてある取扱説明書とか、もう言い訳のできないようなものをいくつも見ました。
説明をするためには、説明する対象製品の部品名称がわかっていないと読者には理解できません。
ソフトウェアでも、それぞれのメニューの名称がわからないと、設定させるために表示させる方法がわからない、ということになってしまうのです。
そして、取扱説明書には限界もあります。
情報公開と安全のための情報提供はできますが、それでも、本質的な安全性の確保は製品それ自体がもたらさなければなりません。取扱説明書で説明したからと言って責任を逃れることはできないのです。

仕様書から取扱説明書は自動ではできません。
また、文学を学んでも仕様書の読み方は学ぶことができません。

さらにそれだけではすまず、法律的な内容も商品に付いている取扱説明書には必要とされているのです。
取扱説明書というもののなかでもっとも簡単なことを言うと、取扱説明書はすぐになくなってしまってはダメですし、責任主体が明記されている必要があったりします。簡単に言うと、社名がきちんと見やすく書いてあるのは「義務」だったりする、ということですね。

「なんで?」と思うかもしれません。
だからこそ、タイトルの内容が生きてくるのです。取扱説明書は、製品の部品であり、法的文書でもあり、なおかつポリシー(があれば)を伝える唯一の手段でもあるのです。
パッケージに書いて、という手段はないわけではありませんが、取扱説明書以上に捨てられるのが早いことはまちがいないでしょう。
宣伝の文書とか、パッケージとかと一番異なるのは、ユーザーは取扱説明書をどの時点で手にするか、ということです。
宣伝は、買う前です。
読んで、買ってもらうための物です。
パッケージは店頭で見てもらって、買ってもらうための物です。

でも、取扱説明書は……
取扱説明書だけは買っていただいた後に正しい使い方をしてもらうための文書です。
どっちかというと部品に近いのです。
そして、実は、取扱説明書だけでは【本質的に危険な製品】の安全性をアップすることはできないのです。

こういった事項を研究する、PL研究学会というものができつつあります。
シンポジウムやセミナーも準備ができつつある。

こういうことに、次世代につながってこその取説屋だと思います。
がんばろうかな、とか思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第219回 取扱説明書は技術文書です

2014年8月19日 火曜日

「取扱説明書は技術文書です」
久々に、こう実感することがありました。
自分は日本テクニカルデザイナーズ協会:JTDNA(http://www.jtdna.or.jp)という団体の会員であり、そこで「取扱説明書の検証がきっちりできるようになって欲しい」と言われ、勉強の必要性を痛感してきたのですが、自分の感想はさておき。

その話の中で、出てきたのが表題の話「取扱説明書は技術文書です」。
これがとても大切なことだということです。
マニュアル制作者や、その他のテクニカルライターもそれはわかっていることと思います。しかし、それ以外の人たち、ほとんどの人たちは広告などと同じような「読んでもらえば良いな」といったものだという認識をされている方が多いのではないかと思います。

取扱説明書の中には、組み立て家具やプラモデルの組立方と言った、見なければ使えないものというものもあります。
「取扱説明書なんか無くても使えるよ。」と言うのを売りにしている商品もあります。
また電話帳とあだ名が付けられて、ほとんど見られない携帯電話の取扱説明書といったものもあります。
もちろんそれでは困る……とならないのが取扱説明書です。
「操作に困らなければ取扱説明書を開かないですむ」というのがほとんどのお客様の認識だと思います。
困っているときに開くものですから、気分の悪いときだけに使うものということなのであまり良いイメージが持たれないのも当然のことです。
取扱説明書が「嫌なものだ」「めんどくさいものだ」といったイメージを持たれるのはしかたが無いことです。
しかし、取扱説明書というのは基本的には技術文書なのです。
技術文書がわかりにくかったら論外です。
技術文書が専門家にだけわかるというのでは、これも役に立ちません。
一般人に読める技術文書、わかりやすく危険も明示してあり過剰でない。
しかし、やっかいなのはこの「わかりやすい」「危険を明示」「過剰でない」といったこと。技術である以上、一元的な評価基準が必要だという話でした。

今まで取扱説明書は個人の才覚に頼って書いていました。

  • 担当者が、しっかりしたものを書けば良い物ができる。
  • 担当者がイマイチだと、取扱説明書もイマイチになる。
  • 危険を明示と言ってもどこまで書けばいいのかなんてわからない。
  • 危険の説明がアタマにページ続いていたっていけないなんて誰も言えない。

こういうものであったのです。
これに対して、冒頭の団体JTDNAは日本で初めてガイドラインを作りました。
PLに関わると言うこともありますが、「わかりやすい」といったことも技術である、と考えると、実は画期的なことなのだと思います。

参加団体の宣伝のようになってしまいました。
今回は以上にしようと思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第217回 JTDNA製品安全(PL)対策セミナー(2)_20140718

2014年7月31日 木曜日

今回は前回の続きです。JTDNAのPLセミナーについてです。

セミナーの内容については、以下のサイトに書いてあるので自分は書かないですましてしまおうと思ったのですが、経済産業省の人事異動などがあり、講師が確保できなくなってしまったために内容が予定と少し変わってしまった点があったりしたので、少し書き出すことにしたのです。http://www.jtdna.or.jp/2014/06/718jtdnapl.html

●セミナー内容

前半:事故予防について後半:事故発生後対策について
これは前回書いたとおりです。
協会の「最新! PL対策」というパンフレットにあるのですが、年ごとに要件が出てきて、2010年バージョンから2014年バージョンに改定されているのです。

この改定でより強く出てきているのが、

●消費者を守るためのPL対策

というコンセプトです。言い換えると、

●企業防衛のためのPL対策ではない。

ということでもあります。
「製造物責任」は製造者だけでなく輸入したところや販売したところも問われることになります。言葉からするとおかしな用に感じるかもしれませんがこれはこのPLという法律は「消費者のためのもの」というのがコンセプトだからなのです。
これらに対応する言葉は今まで二つありました。PS Product Safety 技術的な解決についてはこちらに、CS Consumer Safety 消費者庁が管轄、
PL対策のネタは、会社のブランドに直結しているのだということです。
また長くなってきたので、今回はここまでとします。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第216回 JTDNA製品安全(PL)対策セミナー20140718

2014年7月24日 木曜日

7月18日にJTDNAという製品事故予防対策の普及啓発活動を行っているNPO→取扱説明書とPLに関する活動を行っている唯一の団体が主催した「製品安全(PL)対策セミナー」にスタッフとして参加してきました。
スタッフといっても、会場設営といった主に筋肉方面のお手伝いでしたが、それはそれとして、協会の皆様とお会いできたのはうれしいことです。
もっとも、会場がうちから比較的近い池袋だったので参加が容易だったという、裏の事情もありますが。

さて。
自分はこのJTDNAというNPOにて、テクニカルデザイナーという資格を持っています。デザイナーという柄では無いと思わないこともないですが、もう一つの資格は、法律関係の資格なので、ますます方向が違います。
ちなみに現在、自分の知る範囲ではこのJTDNAというNPO以外にはマニュアル取扱説明書の制作、およびドキュメンテーションについて教えているという教育機関は存在していません。

なお、7月18日のセミナーはたいへん盛況で人数が増えて、満員となっていました。
急遽7月に追加セミナーが行われたぐらいです。自分も印刷物の配布とかスクリーンのセットなどを手伝いました。

しかしこの日のセミナーは、予定していた消費者庁の人が人事異動で来れなくなってしまい、渡辺理事長が前後をつめてきっかりお話をされたというものでした。

●セミナー内容

前半:事故予防について
後半:事故発生後対策について

参加したという事を書いていたら長くなってしまいました。
セミナー内容については次回とします。

 

●JTDNAサイト

http://www.jtdna.or.jp/

 

●製品安全(PL)対策セミナー

日時
7月 18日 (金), 13:30 ~ 16:30
場所
日本東京都豊島区西池袋1丁目21 三井住友銀行池袋支店

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第214回 プリンターの取扱説明書を作成する(3)目次の中身

2014年2月18日 火曜日

先週は大雪で……と書いていたら、都内は今週の週末も大雪です。真夏も40度を越して、異常な暑さと言っていたと思ったら、今度は冬は冬で大雪です。いったい、この気候はどうなっているのでしょう。不安に感じます。

■目次の中身

さて、今回は次回の続き、目次の内容をエクセルで作って、表のままアップします。

ページ 目次見出し 見出しレベル2 内容
表1 製品名・メーカー名・目次
表2 はじめに 挨拶・製品の目的
お読みください 権利・著作権など
2 警告と注意 本書で使用しているマークについて
直接的な危険について説明
1 ご使用の前に 付属品の確認
1 各部の名称
1 設置方法 接続方法
トナーのセット
1 用紙について 使用できる用紙の種類について
印刷範囲について
特殊な用紙について
1 用紙をセットする 用紙カセットに用紙をセットする
手差しトレイから給紙する
2 印刷する 「用紙/品質」タブ サイズと種類の印刷設定をおこなう
1 「レイアウト」タブ 印刷設定続き
「詳細設定オプション」 印刷設定続き
2 Q&A トラブルシューティング
表3 製品仕様 初期設定値
動作環境
消耗品・アフターサービス トナーの製品番号など
表4 保証書 保証 修理に関する記載
ユーザーサポート

目次の中身は以上の通りです。

●前説:はじめに書き手は営業と法務

営業的なあいさつ法的な内容

●操作説明:書き手はエンジニア

  1. プリンタの設置と接続、トナー(またはインク)と髪のセット、初期設定といった前準備
  2. 実際のプリント作業各種オプションについて 用紙の給紙方法についてなど
  3. メンテナンストラブル対策、実行時のメンテナンス方法、FAQ

●後説:書き手は営業と法務

消耗品についてオプション保証と修理について

■サンプルの内容

今回は、サンプルとしてできあがったプリンタの取扱説明書をウェブに公開します。
そのため、全文を作っていては、本物の取扱説明書を作るのとまったく同じ作業が発生してしまうので、
公開するために作成するページは一部に 限らせて頂きます。

したがって、今回作成する取扱説明書のサンプルページはこのブログの表においてで表示されたものに限らせて頂きます。

また、実際には存在しない機種のため、説明図のイラスト等は新規に作成しています。このあたりもご配慮頂き
ながら読んで頂けると幸いです。

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第211回 広告コピーと取扱説明書の文章の違いについて。

2014年1月8日 水曜日

あけましておめでとうございます。
2014年になりました。ブログの新しい更新を投稿します。

それにしても、寒いです。さすがに寒の入りをすぎると違いますね。

そて、ここから本題です。
取扱説明書を作成しようと考えている人で、広告代理店やデザイン事務所に依頼すればできるだろうと考えている人もいると思います。
しかし、デザイン会社に依頼する前にも、そこが広告を主な仕事にしているところではないか、確認してから依頼した方が良いと思います。なぜなら、取扱説明書に必要なテクニカルライティングと、広告のコピーライティングはまったく異なったことだからです。
テクニカルライターとコピーライターはどちらも製品について文章を書く職業であり、しずれもその道のプロフェッショナルです。しかし、その向いている方向はまるで違うのです。
取扱説明書は元来「購入したユーザー」向けの「技術文書」です。
それに対して、広告コピーや商品パッケージは「購入前」向けの宣伝の文書です。
対象とする読者の想定が異なります。そして、目的も異なります。
たとえば、広告には「製品の欠点」は記載されませんが、取扱説明書の場合「危険」「やってはいけないこと」として欠点も記載されます。
こういった理由から、宣伝コピーと取扱説明書の両方を同時に作ることは非常に難しくなっています。

■技術文書としての取扱説明書

最初の導入部分でも書いたように取扱説明書は「技術文書」としての性格を持っています。
これにより、読者は製品を理解したいと思って読んでいるという前提に立つことになります。
先に書いたコピーライティングなどの場合には、読者は製品について理解したいとは必ずしも思っていないという状態で読むことが想定されています。
現在ではwebサイトの発展により、取扱説明書もPDFといった形で製品購入前に見ることができる場合が増えてきていますが、一般的には取扱説明書は製品購入後その製品を使用しようと思ったときに初めて見るものということになっています。
これはちょっとした違いではありますが、作り手の気持ちには、結構な差をもたらすものとなります。
その商品を買った人とまだ買っていない人ですから、買ってくれた人には隠し事をしない、もしかしたら買ってくれるかもしれないまだ買っていない人にはちょっとかっこいいところを見せたいといった「気持ち」が働くことになります。
もちろん、これは「気持ち」でしかありませんから、切り変えることは可能です。しかし連続的に何度も切り変えるというのは、他の人にはできるかもしれませんが、少なくともテクニカルライターとしてて、技術文書を作成する私には難しいことでした。

■二種類の文書の違い

では、具体的にテクニカルライテンングとコピーライティングはどう違うのでしょうか。私はコピーライティングをやったことがないので、詰めがぬるいと思いますけれどもそのあたりはご容赦ください。

とりあえず、例として今、自分の手元近くにある「湯たんぽ」でやってみましょう。

●テクニカルライティング

湯たんぽには、ヤカンなどで沸かした熱いお湯を入れます。
この熱いお湯の入った状態の湯たんぽは、カバーが掛かっていない状態では直接触るのは避けてください。火傷の原因となります。
炊事用のミトンや手袋などをはめて扱い、カバーをできるだけ早く掛けるようにしてください。

●コピーライティング

湯たんぽは、クリーンなお湯のエネルギーで私達の身体を温めます。
湯たんぽは、排気ガスも出さず、どんな場所でも使えるクリーンなエネルギー「お湯」を使っています。
ちょっと熱すぎる暑すぎるときはカバーを掛けて、いつだってベストコンディションで扱えます。

さて、この違いはどこから来るのでしょう……については説明しましたが、次回はどのようにちがうのかについて説明しようと思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第210回 文章の校閲について

2013年12月19日 木曜日

最近は早起きをすようにしているのですが、6時すぐに起きるとまだ夜が明けていないということがあり、「ああー、もうちょっと」と悲しい思いを感じることもあります。
おまけに朝は酷く冷えますし、今朝にいたっては、雪の降るのではないかというほどでした。

■原稿をチェックする

さて。本題です。
こうやって取説屋なんかをやっていると、ときどき自社の取説を改善することへの相談を受けることがあるのですが、そのうちに文章の統一とかいった相談が含まれている場合があります。
簡単に言うと、全角半角の混在(123と123)、入力ミスや誤変換といった、あきらかな間違いおよび「かな漢字」のルールの不統一という、ある意味「機械的」でテクニカルなチェックが必要ということです。
大部の取扱説明書…といっても32ページくらいとなると、意外と面倒で、キチッとやるのは難しいところがあります。特に、こういった作業が発生するのは制作の最終段階近くで、「原稿がそろった」ところでのチェックを行いたいとなると、「締め切り直前」にみんなが詰まっているところで「細かいチェック」をしなければならないことになります。
また、もうひとつ「自分の原稿は自分ではチェックしにくい」ということも私の所にあったりもします。
そういうときはどうしたらよいか。
ヒントはもう書きましたが「機械的」な作業であれば、目の前のマシンにやらせれば良いのです。

■Microsoft Wordでチェックする

ワードは…あまりこういう作業は得意でないけれど…
それでも、入力と誤変換(ワード上ではスペルミスといいます)と文書校正機能をオンにしておけば、まずは明らかな間違いは指摘してくれます。また、ワードでは「文法の間違い」も指摘してくれますが、残念ながらこれだけで業務に使うにはちょっと…です。
上にも書きましたが、「全角半角の混在」とか「かな漢字のルールの不統一」といったことは論理的には間違いではないからです。

■Just Right!を使う

「では何を?」というと…商品名になりますが、MSのワードも商品名ですし。
一太郎、あるいはその校正機能だけを取り出した「Just Right!」を使用しています。
一太郎というと、それこそPC-9801が全盛だった時代に同様に全盛だったワープロソフトですが、このソフトウェアは日本製で、日本のことばにあった作りをしているという点では、非常によくできていると自分は判断しています。

もっとも、「Just Right!」は業務ソフトですから、価格は決して安い訳ではありません。四万以上はする、と。
しかし、ライターを3日ほど拘束してしまえば、その人件費だけでソフト一本分のコストは回収可能です。ソフトウェアが使用可能なのは、取扱説明書一本だけではなく、複数の文書に対して使用可能ですから、コストの回収はライティング業務を行っている会社もしくは部署であれば容易であろうと考えられます。
なんだかまるでジャストシステムの宣伝をしているみたいですね。自分でも、ライティングにはそれなりのコストを掛ける方法をとっていると自覚しているので、否定しがたいところはありますが…

■入力の話

余計な話ですが、実は私は入力にATOKを使っています。PC98時代から使っているという理由もありますが、実際この方が使いやすいと考えています。ただし、現在の日本語入力IMEは高性能になっているので、標準IMEでも困らない高い性能を持っていると思います。もうこのあたりになると趣味の段階かもしれませんね。

テキスト入力の話はまだまだ書きたいことがありますが、今日のブログの長さとしてはこのあたりでと言うことで。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第209回 ドキュメンテーションの技術

2013年12月13日 金曜日

こんにちは、だんだん寒くなってきましたね、年末が近づく分しかたが無いかもしれませんね。

さて、前回(第208回)、以下のように書きました。

>私は他社の制作した取扱説明書を貶めたい思っているのではありません。
>単純に取扱説明書の作り方をトレーニングしてるところが「ない」と説明しているだけなのです。

説明が抜けましたけれども、これは教育機関がないという意味ではありません。
「統一的なドキュメンテーションに関する技術体系が日本国内ではまだ成立していない」ということについて述べようと思ったのです。

言い換えれば「大学で教えているところがないじゃないか」ということです。
そして、「愛」がどこにあるかという話を…

■「文化系」か「理科系」か?

では、まず基本の基本の質問です。
このドキュメンテーションという技術は、一般的に言うところの、「文化系」にあたる技術なのでしょうか?
それとも「理科系」の技術でしょうか?

「ドキュメンテーションスキル」と、webで検索しても、まずIT系の技術がヒットします。
実際に、ものを作りその動作についての説明をする、このドキュメンテーションという作業は、そのものを設計した人、作った人が一番最初に行えるというのは間違いの無いところです。

そのためにこのスキルは技術系のスキルとして認識されているようです。

■説明のスキル

でも実際の所はどうでしょうか。

「説明のスキル」というのは、一般には営業のスキルだと考えられています。
まぁそんなところでしょう。あまりこういうことは書きたくないのですが、エンジニアをやっている理科系の人たちの中には「私は文章なんかを書くのは嫌いだからエンジニアをやっているんだ。」と言う人たちがいるのは間違いありません。
そういう人たちにとっては、文章をわかりやすく書くと言う作業自体が、そもそもめんどくさくてやりたくないことをなのです。
こういった理由で、エンジニアの書くドキュメントの質はなかなか改善されません。当然ですよね。文章を書くこと自体が好きではないからです。

■テクニカルな側面

ではもう一つ、文系の人間がライターとして始めて、テクニカルドキュメンテーションを手がけた場合高い品質のものができるでしょうか?

はいその通りです。こちらもあまり期待できません。
なぜでしょうか。これは困った話ではありますが、文系の人間はその製品のテクニカルな側面について、あまり「愛を持っていない」からなのです。
製品に対する愛が少ないために、製品に関するドキュメンテーションも愛が少なくなってしまい…その結果、あまり高い品質のものでは無くなってしまうと言う問題が発生するのです。

困った話です。

■その上に…

さらに、この上に「わかりやすい」という特性を付けるためには、デザインとして見やすいものである必要もあるのです。
そしてデザインに関しては、また、製品のテクニカルな側面・文章の技術ともことなる上、それを理解したうえでテキストを作成しないとわかりやすい説明というのは、できあがらないのです。

マニュアル制作というのは、「マルチな」技術を持った人間が向いているものです。
単独の技術を深く追求するタイプの人間が、エンジニアリング的な技術の追求や、美しい文章の制作といった方向だけに向かってしまった場合には、「取扱説明書」という形では良い結果が得られるわけではないのです。

もう一つ面倒なことを言うと、取扱説明書はメーカーとお客様の間をつなぐ数少ない文書です。そしてその結果として、「法律的」な側面も持たされていると言うことです。

■テクニカルドキュメンテーションのスキル

人に技術のことを伝える「テクニカルドキュメンテーション技術」、これは大学などでも、教えろ方の先生が、複数の技術に対して愛を持っていなければならないので、教えられる人は少ないと思います。

したがってテクニカルドキュメンテーション講座、すなわちマニュアルの原稿を作るための講座といった講座はあまり実施されているところが多くないと思われます。
では、どうやってクオリティを高めていけば良いのでしょうか。ここがポイントですね。
と、あとにネタをひいておきます。