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【わかりやすいマニュアルの作り方】第220回 取扱説明書は部品です

2014年9月5日 金曜日

前にも書いていることとかぶってきますが、取扱説明書を作成する技術、【ドキュメンテーション】は日本ではようやく学会ができただけで、まだちっとも研究が進んでいません先日も、「危険の説明」をトップに小さい字で何ページも書いている取扱説明書だとか、そもそも表組みになっていて読みにくいとか、部品の名称が後に書いてある取扱説明書とか、もう言い訳のできないようなものをいくつも見ました。
説明をするためには、説明する対象製品の部品名称がわかっていないと読者には理解できません。
ソフトウェアでも、それぞれのメニューの名称がわからないと、設定させるために表示させる方法がわからない、ということになってしまうのです。
そして、取扱説明書には限界もあります。
情報公開と安全のための情報提供はできますが、それでも、本質的な安全性の確保は製品それ自体がもたらさなければなりません。取扱説明書で説明したからと言って責任を逃れることはできないのです。

仕様書から取扱説明書は自動ではできません。
また、文学を学んでも仕様書の読み方は学ぶことができません。

さらにそれだけではすまず、法律的な内容も商品に付いている取扱説明書には必要とされているのです。
取扱説明書というもののなかでもっとも簡単なことを言うと、取扱説明書はすぐになくなってしまってはダメですし、責任主体が明記されている必要があったりします。簡単に言うと、社名がきちんと見やすく書いてあるのは「義務」だったりする、ということですね。

「なんで?」と思うかもしれません。
だからこそ、タイトルの内容が生きてくるのです。取扱説明書は、製品の部品であり、法的文書でもあり、なおかつポリシー(があれば)を伝える唯一の手段でもあるのです。
パッケージに書いて、という手段はないわけではありませんが、取扱説明書以上に捨てられるのが早いことはまちがいないでしょう。
宣伝の文書とか、パッケージとかと一番異なるのは、ユーザーは取扱説明書をどの時点で手にするか、ということです。
宣伝は、買う前です。
読んで、買ってもらうための物です。
パッケージは店頭で見てもらって、買ってもらうための物です。

でも、取扱説明書は……
取扱説明書だけは買っていただいた後に正しい使い方をしてもらうための文書です。
どっちかというと部品に近いのです。
そして、実は、取扱説明書だけでは【本質的に危険な製品】の安全性をアップすることはできないのです。

こういった事項を研究する、PL研究学会というものができつつあります。
シンポジウムやセミナーも準備ができつつある。

こういうことに、次世代につながってこその取説屋だと思います。
がんばろうかな、とか思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第217回 JTDNA製品安全(PL)対策セミナー(2)_20140718

2014年7月31日 木曜日

今回は前回の続きです。JTDNAのPLセミナーについてです。

セミナーの内容については、以下のサイトに書いてあるので自分は書かないですましてしまおうと思ったのですが、経済産業省の人事異動などがあり、講師が確保できなくなってしまったために内容が予定と少し変わってしまった点があったりしたので、少し書き出すことにしたのです。http://www.jtdna.or.jp/2014/06/718jtdnapl.html

●セミナー内容

前半:事故予防について後半:事故発生後対策について
これは前回書いたとおりです。
協会の「最新! PL対策」というパンフレットにあるのですが、年ごとに要件が出てきて、2010年バージョンから2014年バージョンに改定されているのです。

この改定でより強く出てきているのが、

●消費者を守るためのPL対策

というコンセプトです。言い換えると、

●企業防衛のためのPL対策ではない。

ということでもあります。
「製造物責任」は製造者だけでなく輸入したところや販売したところも問われることになります。言葉からするとおかしな用に感じるかもしれませんがこれはこのPLという法律は「消費者のためのもの」というのがコンセプトだからなのです。
これらに対応する言葉は今まで二つありました。PS Product Safety 技術的な解決についてはこちらに、CS Consumer Safety 消費者庁が管轄、
PL対策のネタは、会社のブランドに直結しているのだということです。
また長くなってきたので、今回はここまでとします。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第216回 JTDNA製品安全(PL)対策セミナー20140718

2014年7月24日 木曜日

7月18日にJTDNAという製品事故予防対策の普及啓発活動を行っているNPO→取扱説明書とPLに関する活動を行っている唯一の団体が主催した「製品安全(PL)対策セミナー」にスタッフとして参加してきました。
スタッフといっても、会場設営といった主に筋肉方面のお手伝いでしたが、それはそれとして、協会の皆様とお会いできたのはうれしいことです。
もっとも、会場がうちから比較的近い池袋だったので参加が容易だったという、裏の事情もありますが。

さて。
自分はこのJTDNAというNPOにて、テクニカルデザイナーという資格を持っています。デザイナーという柄では無いと思わないこともないですが、もう一つの資格は、法律関係の資格なので、ますます方向が違います。
ちなみに現在、自分の知る範囲ではこのJTDNAというNPO以外にはマニュアル取扱説明書の制作、およびドキュメンテーションについて教えているという教育機関は存在していません。

なお、7月18日のセミナーはたいへん盛況で人数が増えて、満員となっていました。
急遽7月に追加セミナーが行われたぐらいです。自分も印刷物の配布とかスクリーンのセットなどを手伝いました。

しかしこの日のセミナーは、予定していた消費者庁の人が人事異動で来れなくなってしまい、渡辺理事長が前後をつめてきっかりお話をされたというものでした。

●セミナー内容

前半:事故予防について
後半:事故発生後対策について

参加したという事を書いていたら長くなってしまいました。
セミナー内容については次回とします。

 

●JTDNAサイト

http://www.jtdna.or.jp/

 

●製品安全(PL)対策セミナー

日時
7月 18日 (金), 13:30 ~ 16:30
場所
日本東京都豊島区西池袋1丁目21 三井住友銀行池袋支店

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第213回 プリンターの取扱説明書を作成する(2)ページ構成と目次

2014年2月14日 金曜日

先週は大雪で大変驚きました。
筆者は二輪車が大好きなのですが、二輪車は雪にだけは弱く、まったく乗れなくなるので困ってしまいます……と思っていたら、しゃれでは住まぬ大雪で地上を走る電車までが次々と止まる、という驚くべき事態となっていました。さすがにかないませんね。

■操作説明書と取扱説明書の違い

さて、本題の「全体の構成」「目次」の書き方というか作り方です。
キーとなるポイントは操作説明書ではなく、取扱説明書だという点です。
この2つがどう違うかというと、以下のようになります。

  • 操作説明書:操作の説明ですから、内容は技術的なことにとどまっています。
  • 取扱説明書:上記に加えて、日常的なこと、法律的なことや、営業的な内容が含まれています。

簡単な例を挙げると、製品に消耗品がある場合を考えてみます。

操作説明書

操作説明書では、消耗品を入れたり、交換するといった操作について書きます。
もちろん、消耗品の品番などは書きますが、それだけです。

取扱説明書

取扱説明書の場合は「製品」の取扱いという観点で書くため、お客様が消耗品をどのようにして、注文して購入するかといったことを考えます。
最後のページ近くに、消耗品のを作ったり、場合によってはサイトに誘導して、購入できるようにするいったことも考えられます。

これが全体のページ構成にも影響してきます。
「ユーザーのことを考えて説明書を作る」というのは、取扱説明書を作る場合にはよく言われることですが、エンジニアだけをやっている。社員に担当させた場合などは、製品については社内でもっとも詳しくても、サービスやサポートあるいはまた別に述べますが、法律的な内容まで含めて書かなければならないということを、一人で担当するのは専門家以外では難しいことです。

■目次構成の作り方

目次は、取扱説明書の内容を決めるものですが、「取扱説明書」というのは大きく分けて三つのセクションに分かれるものです。
今回は取扱説明書の内容としてどのようなことを書くかといったことを説明します。

●前説:書き手は営業と法務

[はじめに]営業的なあいさつ

[注意]PLなどの危険の予告と注意について書きます。

●主説:書き手はエンジニア

[設置]設置・セッティング等の使用前の各種設定について書きます。

ここにPLなども入ります。
電源やアンテナの接続、ガスの接続、石油を入れるといったこともここに入ります。

[実行]その製品を使用する方法を書きます。

使用者のイメージを思い浮かべながら書きます。
使用するシーンによって実行時の色々な差についても書きます。

[仕様]1~2ページとって書きます。

内容は以下のようなものとなります。

  • 重さ
  • サイズ
  • 電力
  • 各種初期設定値など

[メンテナンス]トラブル対策、実行時のメンテナンス方法、FAQなど

たとえばプリンタの場合ですと紙詰まりの対策と言ったことです。

●後説:書き手は営業と法務

[アフターサービス]アフターサービスについて書きます。

内容は以下のようなものとなります。

  • 消耗品について
  • オプション
  • 保証と修理について
  • ユーザーサービス/サポート

【わかりやすいマニュアルの作り方】第211回 広告コピーと取扱説明書の文章の違いについて。

2014年1月8日 水曜日

あけましておめでとうございます。
2014年になりました。ブログの新しい更新を投稿します。

それにしても、寒いです。さすがに寒の入りをすぎると違いますね。

そて、ここから本題です。
取扱説明書を作成しようと考えている人で、広告代理店やデザイン事務所に依頼すればできるだろうと考えている人もいると思います。
しかし、デザイン会社に依頼する前にも、そこが広告を主な仕事にしているところではないか、確認してから依頼した方が良いと思います。なぜなら、取扱説明書に必要なテクニカルライティングと、広告のコピーライティングはまったく異なったことだからです。
テクニカルライターとコピーライターはどちらも製品について文章を書く職業であり、しずれもその道のプロフェッショナルです。しかし、その向いている方向はまるで違うのです。
取扱説明書は元来「購入したユーザー」向けの「技術文書」です。
それに対して、広告コピーや商品パッケージは「購入前」向けの宣伝の文書です。
対象とする読者の想定が異なります。そして、目的も異なります。
たとえば、広告には「製品の欠点」は記載されませんが、取扱説明書の場合「危険」「やってはいけないこと」として欠点も記載されます。
こういった理由から、宣伝コピーと取扱説明書の両方を同時に作ることは非常に難しくなっています。

■技術文書としての取扱説明書

最初の導入部分でも書いたように取扱説明書は「技術文書」としての性格を持っています。
これにより、読者は製品を理解したいと思って読んでいるという前提に立つことになります。
先に書いたコピーライティングなどの場合には、読者は製品について理解したいとは必ずしも思っていないという状態で読むことが想定されています。
現在ではwebサイトの発展により、取扱説明書もPDFといった形で製品購入前に見ることができる場合が増えてきていますが、一般的には取扱説明書は製品購入後その製品を使用しようと思ったときに初めて見るものということになっています。
これはちょっとした違いではありますが、作り手の気持ちには、結構な差をもたらすものとなります。
その商品を買った人とまだ買っていない人ですから、買ってくれた人には隠し事をしない、もしかしたら買ってくれるかもしれないまだ買っていない人にはちょっとかっこいいところを見せたいといった「気持ち」が働くことになります。
もちろん、これは「気持ち」でしかありませんから、切り変えることは可能です。しかし連続的に何度も切り変えるというのは、他の人にはできるかもしれませんが、少なくともテクニカルライターとしてて、技術文書を作成する私には難しいことでした。

■二種類の文書の違い

では、具体的にテクニカルライテンングとコピーライティングはどう違うのでしょうか。私はコピーライティングをやったことがないので、詰めがぬるいと思いますけれどもそのあたりはご容赦ください。

とりあえず、例として今、自分の手元近くにある「湯たんぽ」でやってみましょう。

●テクニカルライティング

湯たんぽには、ヤカンなどで沸かした熱いお湯を入れます。
この熱いお湯の入った状態の湯たんぽは、カバーが掛かっていない状態では直接触るのは避けてください。火傷の原因となります。
炊事用のミトンや手袋などをはめて扱い、カバーをできるだけ早く掛けるようにしてください。

●コピーライティング

湯たんぽは、クリーンなお湯のエネルギーで私達の身体を温めます。
湯たんぽは、排気ガスも出さず、どんな場所でも使えるクリーンなエネルギー「お湯」を使っています。
ちょっと熱すぎる暑すぎるときはカバーを掛けて、いつだってベストコンディションで扱えます。

さて、この違いはどこから来るのでしょう……については説明しましたが、次回はどのようにちがうのかについて説明しようと思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第210回 文章の校閲について

2013年12月19日 木曜日

最近は早起きをすようにしているのですが、6時すぐに起きるとまだ夜が明けていないということがあり、「ああー、もうちょっと」と悲しい思いを感じることもあります。
おまけに朝は酷く冷えますし、今朝にいたっては、雪の降るのではないかというほどでした。

■原稿をチェックする

さて。本題です。
こうやって取説屋なんかをやっていると、ときどき自社の取説を改善することへの相談を受けることがあるのですが、そのうちに文章の統一とかいった相談が含まれている場合があります。
簡単に言うと、全角半角の混在(123と123)、入力ミスや誤変換といった、あきらかな間違いおよび「かな漢字」のルールの不統一という、ある意味「機械的」でテクニカルなチェックが必要ということです。
大部の取扱説明書…といっても32ページくらいとなると、意外と面倒で、キチッとやるのは難しいところがあります。特に、こういった作業が発生するのは制作の最終段階近くで、「原稿がそろった」ところでのチェックを行いたいとなると、「締め切り直前」にみんなが詰まっているところで「細かいチェック」をしなければならないことになります。
また、もうひとつ「自分の原稿は自分ではチェックしにくい」ということも私の所にあったりもします。
そういうときはどうしたらよいか。
ヒントはもう書きましたが「機械的」な作業であれば、目の前のマシンにやらせれば良いのです。

■Microsoft Wordでチェックする

ワードは…あまりこういう作業は得意でないけれど…
それでも、入力と誤変換(ワード上ではスペルミスといいます)と文書校正機能をオンにしておけば、まずは明らかな間違いは指摘してくれます。また、ワードでは「文法の間違い」も指摘してくれますが、残念ながらこれだけで業務に使うにはちょっと…です。
上にも書きましたが、「全角半角の混在」とか「かな漢字のルールの不統一」といったことは論理的には間違いではないからです。

■Just Right!を使う

「では何を?」というと…商品名になりますが、MSのワードも商品名ですし。
一太郎、あるいはその校正機能だけを取り出した「Just Right!」を使用しています。
一太郎というと、それこそPC-9801が全盛だった時代に同様に全盛だったワープロソフトですが、このソフトウェアは日本製で、日本のことばにあった作りをしているという点では、非常によくできていると自分は判断しています。

もっとも、「Just Right!」は業務ソフトですから、価格は決して安い訳ではありません。四万以上はする、と。
しかし、ライターを3日ほど拘束してしまえば、その人件費だけでソフト一本分のコストは回収可能です。ソフトウェアが使用可能なのは、取扱説明書一本だけではなく、複数の文書に対して使用可能ですから、コストの回収はライティング業務を行っている会社もしくは部署であれば容易であろうと考えられます。
なんだかまるでジャストシステムの宣伝をしているみたいですね。自分でも、ライティングにはそれなりのコストを掛ける方法をとっていると自覚しているので、否定しがたいところはありますが…

■入力の話

余計な話ですが、実は私は入力にATOKを使っています。PC98時代から使っているという理由もありますが、実際この方が使いやすいと考えています。ただし、現在の日本語入力IMEは高性能になっているので、標準IMEでも困らない高い性能を持っていると思います。もうこのあたりになると趣味の段階かもしれませんね。

テキスト入力の話はまだまだ書きたいことがありますが、今日のブログの長さとしてはこのあたりでと言うことで。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第209回 ドキュメンテーションの技術

2013年12月13日 金曜日

こんにちは、だんだん寒くなってきましたね、年末が近づく分しかたが無いかもしれませんね。

さて、前回(第208回)、以下のように書きました。

>私は他社の制作した取扱説明書を貶めたい思っているのではありません。
>単純に取扱説明書の作り方をトレーニングしてるところが「ない」と説明しているだけなのです。

説明が抜けましたけれども、これは教育機関がないという意味ではありません。
「統一的なドキュメンテーションに関する技術体系が日本国内ではまだ成立していない」ということについて述べようと思ったのです。

言い換えれば「大学で教えているところがないじゃないか」ということです。
そして、「愛」がどこにあるかという話を…

■「文化系」か「理科系」か?

では、まず基本の基本の質問です。
このドキュメンテーションという技術は、一般的に言うところの、「文化系」にあたる技術なのでしょうか?
それとも「理科系」の技術でしょうか?

「ドキュメンテーションスキル」と、webで検索しても、まずIT系の技術がヒットします。
実際に、ものを作りその動作についての説明をする、このドキュメンテーションという作業は、そのものを設計した人、作った人が一番最初に行えるというのは間違いの無いところです。

そのためにこのスキルは技術系のスキルとして認識されているようです。

■説明のスキル

でも実際の所はどうでしょうか。

「説明のスキル」というのは、一般には営業のスキルだと考えられています。
まぁそんなところでしょう。あまりこういうことは書きたくないのですが、エンジニアをやっている理科系の人たちの中には「私は文章なんかを書くのは嫌いだからエンジニアをやっているんだ。」と言う人たちがいるのは間違いありません。
そういう人たちにとっては、文章をわかりやすく書くと言う作業自体が、そもそもめんどくさくてやりたくないことをなのです。
こういった理由で、エンジニアの書くドキュメントの質はなかなか改善されません。当然ですよね。文章を書くこと自体が好きではないからです。

■テクニカルな側面

ではもう一つ、文系の人間がライターとして始めて、テクニカルドキュメンテーションを手がけた場合高い品質のものができるでしょうか?

はいその通りです。こちらもあまり期待できません。
なぜでしょうか。これは困った話ではありますが、文系の人間はその製品のテクニカルな側面について、あまり「愛を持っていない」からなのです。
製品に対する愛が少ないために、製品に関するドキュメンテーションも愛が少なくなってしまい…その結果、あまり高い品質のものでは無くなってしまうと言う問題が発生するのです。

困った話です。

■その上に…

さらに、この上に「わかりやすい」という特性を付けるためには、デザインとして見やすいものである必要もあるのです。
そしてデザインに関しては、また、製品のテクニカルな側面・文章の技術ともことなる上、それを理解したうえでテキストを作成しないとわかりやすい説明というのは、できあがらないのです。

マニュアル制作というのは、「マルチな」技術を持った人間が向いているものです。
単独の技術を深く追求するタイプの人間が、エンジニアリング的な技術の追求や、美しい文章の制作といった方向だけに向かってしまった場合には、「取扱説明書」という形では良い結果が得られるわけではないのです。

もう一つ面倒なことを言うと、取扱説明書はメーカーとお客様の間をつなぐ数少ない文書です。そしてその結果として、「法律的」な側面も持たされていると言うことです。

■テクニカルドキュメンテーションのスキル

人に技術のことを伝える「テクニカルドキュメンテーション技術」、これは大学などでも、教えろ方の先生が、複数の技術に対して愛を持っていなければならないので、教えられる人は少ないと思います。

したがってテクニカルドキュメンテーション講座、すなわちマニュアルの原稿を作るための講座といった講座はあまり実施されているところが多くないと思われます。
では、どうやってクオリティを高めていけば良いのでしょうか。ここがポイントですね。
と、あとにネタをひいておきます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第207回 「読み物」としての取扱説明書

2013年9月19日 木曜日

前回も、取扱説明書はユーザーサポートだけに使うものではないということを書きました。

また制作された取扱説明書も、公表するメディアは紙だけには限らないということとセットで理解されることです。

今ではインターネットを使ってPDFなどで公表することができます。取扱説明書の中には、当然、製品中で利用している技術についての単語などが含まれていますから、その中のキーワード検索するとその製品のテキストが検索される、ということにもなる可能性があります。もっとも、この辺はGoogleなどの検索サイトの検索仕様などによってきますので可能性という所に止まりますが。
製品がユーザーの目に留まる可能性が高くなるということなのです。

「取扱説明書なんか公開したところで、実際に困っている人以外は読みやしないよ。」
普通に聞くと、妥当に聞こえます。
ですが、これは正しくありません。
僕の知る範囲でも、最低限で2種類(プラス1)の人たちは取扱説明書を読み物として読みます。

今回はこの人たちについて書いてみます。

■技術系の読み物として

最初の人たちは理系の人たち-あるいは技術系の人たちです。わかりやすく言うと、パソコン雑誌や天文雑誌、科学雑誌技術雑誌などを読む人たちです。昔「子供の科学」とか「科学」(学研の「科学と学習」の…です)を喜んで読んでいた人たちといえばわかるでしょうか。

科学・技術系の雑誌は、必ずしも必要な情報を得るために購読されているとは限りません。技術系の人たちはこういう雑誌が面白くて読んでいるのです。
だったら広告のような「文化系向け」の書き方(その製品を使った時の、様々なメリットや、良い結果を列挙しているスタイル)ではなくて、その製品に関する技術的な情報を公表するだけでも楽しんで読んでくれる層がいるということなのです。
そして、この人たちは何かあったときに技術的な相談を受けることが多いオピニオンリーダーである可能性が高いです。

また、取扱説明書は、最終消費者であるところの一般ユーザー向けとはなっていますが、あくまでも技術書であるというくびきからは逃れることができません。
ですがそれだけに、「技術文書を目にすることに慣れている」理系・技術系の読者にとっては、かえって読みやすいといったこともあるかもしれません。

たとえば、組立家具の場合など、出来上がった結果の写真だけではなく、「組立の手順」を見ることができれば、技術的な知識があれば、その製品がどのような性格を持っているのかまで知ることができます。実に興味深い読み物ではないですか(もっとも手抜きをした仕様だと、手抜きもばれてしまうため、そういう仕様の製品を作っている場合には公表はおすすめできません)。

■手順書として

手順書としてというのは、必ずしも理系・技術系でなくても文章を丁寧に読む事を苦にしない人たちです。分かりやすく言うと、文書や様々なドキュメントを読むことを日常的に行っている人たちです。法律や契約、会計・経理、サービスなどの文書を扱っている人たちを指しています。

この人たちは技術系の人たちほどこういった文書を読み慣れているわけではありませんが、さまざまな手順について説明・解説した文書については同じぐらい慣れている人たちといってもいいでしょう。
ただし、「技術的理解力」と言う点では上の技術者、の人たちにはさすがに、一枚遅れをとります。それだけにこの人たちに「わかりやすい」と理解されないと、お客様には買ってもらえないと考えるべき人たちです。
もしも法律家の人に「わかりにくい」と思われたとしたら、実はそれは商品としての製品には、【欠陥】があるということになるのです。いわゆるPL法上の問題ということになります。
こちらは、読者が「製品」としての説明ではなく、「商品」としての説明を求めているということになります。これがわかりやすく使いやすければ、その商品は優れた商品ということになります。

これは広告とは違った意味で、その商品の良さを直接お客様に説明する良い機会ともなります。
そしてこの人たちはまた上の技術者の人たちとは別の意味でオピニオンリーダーである可能性が高いのです。商品購入の決定権がある、といえばわかるでしょうか。

この人たちに、アピールできるチャンスが増えるという事は非常に望ましいことではないでしょうか。

■おまけの人たち

さて実はそれ以外にも読んでくれる人たちがいます。
自分もそれに含まれるのではないかと思うのですが、【何でも読む】人たちという一団が。

  • 大量の本を読む。
  • 読むものがありさえすれば何でも読む。

こういう人たちが、取扱説明書が公開されていればとりあえず読んでみるといった行動をとる可能性があります。
この人たちは上の人たちのような決定権はないかもしれません。
でも、情報提供者・発信者としてはものすごく力のある人たちです。読むこと、掲示板などに書くことを全く苦にしない人達ですから。
自分や家族はたぶんこのへんにはいるでしょう。

こういう人たちのことも忘れてはいけないのです。

■プロのマニュアル屋として

最後にプロのマニュアル屋、テクニカルライターとして言わせてください。

きちっと書かれたしっかりとした取扱説明書は、読んでいて楽しいです

法律的に問題が発生するようなものではない、しっかりとした取扱説明書は読んでいて楽しいものなのです。

この辺を理解してもらうようにすること、これが、私たちの仕事の、やるべき事の一つなんでしょうと思っています。

がんばらなくちゃ、と。

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第206回 取扱説明書の立場は?その2

2013年9月11日 水曜日

前回、サイトで取扱説明書を公開するということを書きました。

前回書いた事を、今回ももう一度書かせていただきます。

本来、サイトに取扱説明書を公開するということは、ユーザーサポートのためというのが目的でした。しかし実際にはそれ以外に買う前に取扱説明書を見ておこう、買うための判断の材料としようといった方法でも使われるのです…というかこの方法は実際にうちの妻がやっていました。

■取扱説明書とユーザーサポート

前回も話が途中でズレてしまったのですが今回もちょっとズレさせてもらいます。

ユーザーサポートという言葉がありますが、このユーザーサポートというのは一体誰が行うのでしょうか?
自分はもともとソフトウェアのメーカーに勤務してというところから社会人としての経歴を始めたために、ユーザーサポートと言うとメーカーが行うものという頭がありました。
しかしちょっと考えてみると、「ユーザーサポートは必ずしもメーカーが行うものでは無いのだ」ということがわかってきました。

当たり前ですよね。駅前の個人商店が、大きなネットワークのお店に比べて好まれている理由としては「お店の人が親切だから」と言うのはごく当たり前に聞かれる話です。
「お店の人が親切」というのはどういうことか…言い換えると「販売後のサポートをお店の人が行ってくれる」ということに他なりません。
別にユーザーサポートはパソコンや電気製品に限りません。お菓子だって、かぼちゃだって肉だって…サポートしてくれるなら、それはとてもありがたいことだと僕は思います。

■メーカーさん「取扱説明書」を付けて売込みましょう!

とはいえ、自分はメーカーさんが好きなので、メーカーさんへのヒントとして、書かせて頂きます。ちょっと煽ります。

メーカーできっちりした取扱説明書を作って、それを製品と一緒にして、それを売る流通さんに売り込んでみましょうよ!

製品だけよりもしっかりとした取り扱い説明書が付いていれば、それは「製品」ではなく「商品」としての差別化をした上で販社に売り込むことができるようになります。

メーカーで製品だけでなく「製品の使い方」も一緒に売り込んでみましょうよ!

製品の使い方について最も詳しく知っているのはメーカーさんです。
想定している使用者について一番はっきりと分かっているのもメーカーさんです。

そして何より、製品に付けた取扱説明書は、どこの販社にも持っていくことができます。
実際、販社でそれぞれの製品の取扱説明書を作るのは、当然コストもですが作業工程や販売までのスケジュール調整を考えると、できれば販売会社での取扱説明書制作などやらないですむに越したことがないという事は明らかだと思います。

■取扱説明書をユーザーはどう使うか

そしてもう一つ。出来上がった取扱説明書は、ユーザーサポートだけに使うわけではないのです。

今回のブログの冒頭にも書きましたが、取扱説明書は紙ばかりではありません。
Webに公開することもできます。取扱説明書は買うための判断の材料としようといった方法でも使われています。

売り込みのための、広告のやり方についてはメーカーは説明することが得意ではありません。でも製品を使うための方法についての説明でしたら、きちんとしていてわかりやすいかどうかといったことは判断ができます。

製品の扱い方やメンテナンスの方法などは、理系や技術系の人間にとっては、それ自体が興味あるコンテンツなのです。
公開すれば、そのために読んでくれるようなものです。

また長くなってしまったので次回に続きます。

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第205回 取扱説明書の立場は?

2013年9月4日 水曜日

取扱説明書は、商品についてるものだと思っている人がほとんどです。

実際のところ、事実上そうなんですけれども、商品についている取扱説明書は取扱説明書としてレベルに達していない物なんかも非常に多いというのが実は現実です。

メーカーさんとしては取扱説明書にコストをかけても、ただコストがかかるだけと思っている場合がほとんどのようです。
でも、それは間違いだという事を説明していかないと、「取扱説明書を作る」なんていうことを商売として売り込んでことができないのだなと最近痛感しています。

取扱説明書の立場はいくつかあります。
●1つめは、お客様が初めて商品を扱うときに必要な文書です。
●2つ目は、技術文書としての最下流に位置する文書です。
●3つ目は、広報・ユーザーサポート・広告の資料として使える文書です。

今までの取扱説明書は1つ目と2つ目の立場でしか説明されてきませんでした。
この2つだけでは、まあ確かにコストをかけても、たしかにお金がかかる以外の効果がなさそうに見えます。

しかし、今は昔と違って印刷メディアだけの時代ではなくなっています。作成した取扱説明書は、サイトを使ったりして公開することもできるようになっているのです。

そして、つい最近、取扱説明書を改善すると具体的な善い事も起こる、という話をある場所で伺ったのです。
詳しく書くことはできませんが…通販会社の商品の取り扱い説明書を改善したら、オペレーターにかかってくるその商品に関する質問が激減した、はっきり言えばほぼゼロになったというお話を伺いました。

これってすごいことじゃありませんか?
オペレーターが楽になるという事は、同時に売った後の商品の評判も良くなっているということです。そして、よい取扱説明書であれば問い合わせを受けたオペレーターさんのほうも回答するのが、楽になるのです。
取扱説明書ツールとして使えば、営業にも使うことができるということです。地味に使いやすいかどうかを説明するというためには、取扱説明書をサイトに公開しておくといった方法も使えます。

本来、サイトに取扱説明書を公開するということは、ユーザーサポートのためというのが目的でした。
しかし実際にはそれ以外に買う前に取扱説明書を見ておこう、買うための判断の材料としようといった方法でも使われるのです…というかこの方法は実際にうちの妻がやっていました。

長くなってしまったので次回に続きます。