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【わかりやすいマニュアルの作り方】第214回 プリンターの取扱説明書を作成する(3)目次の中身

2014年2月18日 火曜日

先週は大雪で……と書いていたら、都内は今週の週末も大雪です。真夏も40度を越して、異常な暑さと言っていたと思ったら、今度は冬は冬で大雪です。いったい、この気候はどうなっているのでしょう。不安に感じます。

■目次の中身

さて、今回は次回の続き、目次の内容をエクセルで作って、表のままアップします。

ページ 目次見出し 見出しレベル2 内容
表1 製品名・メーカー名・目次
表2 はじめに 挨拶・製品の目的
お読みください 権利・著作権など
2 警告と注意 本書で使用しているマークについて
直接的な危険について説明
1 ご使用の前に 付属品の確認
1 各部の名称
1 設置方法 接続方法
トナーのセット
1 用紙について 使用できる用紙の種類について
印刷範囲について
特殊な用紙について
1 用紙をセットする 用紙カセットに用紙をセットする
手差しトレイから給紙する
2 印刷する 「用紙/品質」タブ サイズと種類の印刷設定をおこなう
1 「レイアウト」タブ 印刷設定続き
「詳細設定オプション」 印刷設定続き
2 Q&A トラブルシューティング
表3 製品仕様 初期設定値
動作環境
消耗品・アフターサービス トナーの製品番号など
表4 保証書 保証 修理に関する記載
ユーザーサポート

目次の中身は以上の通りです。

●前説:はじめに書き手は営業と法務

営業的なあいさつ法的な内容

●操作説明:書き手はエンジニア

  1. プリンタの設置と接続、トナー(またはインク)と髪のセット、初期設定といった前準備
  2. 実際のプリント作業各種オプションについて 用紙の給紙方法についてなど
  3. メンテナンストラブル対策、実行時のメンテナンス方法、FAQ

●後説:書き手は営業と法務

消耗品についてオプション保証と修理について

■サンプルの内容

今回は、サンプルとしてできあがったプリンタの取扱説明書をウェブに公開します。
そのため、全文を作っていては、本物の取扱説明書を作るのとまったく同じ作業が発生してしまうので、
公開するために作成するページは一部に 限らせて頂きます。

したがって、今回作成する取扱説明書のサンプルページはこのブログの表においてで表示されたものに限らせて頂きます。

また、実際には存在しない機種のため、説明図のイラスト等は新規に作成しています。このあたりもご配慮頂き
ながら読んで頂けると幸いです。

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第200回 電気用品安全法(電安法)の解釈を見直し-内容(3)

2013年5月29日 水曜日

今回は、本ブログの200回目の記念すべき書き込みに当ります。まあ飽きっぽい自分が「よく200回も続いたものだなぁ」と自分をお祝いしてあげたい気持ちがあります。
何よりも、このブログを続けられた理由として最も大きいのは何よりも読んでくださった方がいらっしゃることです。読んでくださった人たちに感謝いたします。ありがとうございました。

さて、今回のブログは前回及び前々回に引き続いて電気用品安全法(電安法)の解釈に変更があったことについて書きます。実は今回書く内容が前回及び前々回の2回の説明よりも重要な説明になります。

■改正の内容について

前回書いたようにこの解釈の変更については既に適用されています。まぁ、それはよいとして。
今回追加された内容が何かと言うと、今までは電気回線か赤外線でしか操作ができなかったリモコンを、通信回線を通じて操作できるように変更したということが最大の変更点です。
前回までは文字通り安全基準、赤外線や音声によって操作できるリモコンの安全基準の仕様について細かな変更があったということについてでした。
今回の解説が、解釈の変更の最も大切なポイントである「通信回線を通じて家の外からでも、携帯電話などを使って自宅内の家電を操作できるようにする」ということの内容なのです。

■追加された内容

さて、前回書ききれなかった内容の解説に戻ります。

今回もとても重要な内容です。概要も抜き書きします。

(2) 通信回線(別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるものを除く。)を利用した遠隔操作機構を有する機器で次の全てに適合するもの。

簡単に言うと、通信回線を使用したリモコン…たぶんスマホになるでしょうね…について定義しています。

●別表4

「別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるもの」の内容ですが、以下のとおりです。

「器体スイッチ又はコントローラーの操作以外によつては、電源回路の閉路を行えないもの」
ちなみに別表4というのは以下のアドレスにあります。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/beppyoudai4.pdf
ここにそれぞれの内容の詳細がありますが、全文を引き写していてはまた膨大な量になってしまうので、抜き書きをします。

「器体スイッチ又はコントローラーの操作以外によつては、電源回路の閉路を行えないもの」というのですが、やはりものすごくわかりにくいので簡単に省略して抜き書きします。もちろん原文の本文には、細かい仕様が規定されています。
(1) 赤外線リモコンの蛍光灯
(2) 電力線搬送波を利用した遠隔操作機構電力線通信
これは、電力線を利用したPLCとかPLTと言われる有線リモコンのことです。
最近はほとんど見ないですね。誤動作試験の試験条件が記載されていますが、むやみに長くわかりにくいので試験条件は省略します。利用する技術者の方はオリジナルの仕様書をダウンロードして読んで、従ってください。

イ 遠隔操作に伴う危険源がない又はリスク低減策を講じることにより遠隔操作に伴う危険源がない機器と評価されるもの。

ロ 通信回線が故障等により途絶しても遠隔操作される機器は安全状態を維持し、通信回線に復旧の見込みがない場合は遠隔操作される機器の安全機能により安全な状態が確保できること。

ハ 遠隔操作される機器の近くにいる人の危険を回避するため、次に掲げる対策を講じていること。

(イ) 手元操作が最優先されること
(ロ) 遠隔操作される機器の近くにいる人により、容易に通信回線の切り離しができること

ニ 遠隔操作による動作が確実に行われるよう、次に掲げるいずれかの対策を講じること。

(イ) 操作結果のフィードバック確認ができること
(ロ) 動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起の取扱説明書等への記載

ホ 通信回線(別表第四 1(2)ロの解釈 1 に掲げるもの及び公衆回線を除く。)において、次の対策を遠隔操作される機器側に講じていること。

(イ) 操作機器の識別管理
(ロ) 外乱に対する誤動作防止
(ハ) 通信回線接続時の再接続(常時ペアリングが必要な通信方式に限る)

ヘ 通信回線のうち、公衆回線を利用するものにあつては、回線の一時的途絶や故障等により安全性に影響を与えない対策が講じられていること。

ト 同時に 2 箇所以上からの遠隔操作を受けつけない対策を講じること。

チ 適切な誤操作防止対策を講じること。

リ 出荷状態において、遠隔操作機能を無効にすること。

■感想

何よりも、リモコンの方でしか操作できなくて、手に負えない状態になるというのを危惧しているようです。
安全策として本体操作を最優先にして止めることができるようになっていたり、通信が切れた時の対策をきちんとするようになどと、基本的な安全策については書かれています。
……もっともこれを守らないで出すメーカーが出て問題になったりしそうな気はしますが

●疑問点

それにしても、取扱説明書を作っている人間としては、以下の部分が1番気になります。

ニ 遠隔操作による動作が確実に行われるよう、次に掲げるいずれかの対策を講じること
(イ) 操作結果のフィードバック確認ができること
(ロ) 動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起の取扱説明書等への記載

おかしいでしょうこれ。
簡単に言うとそれぞれは実際に使うときは以下の通りの感じの動作になるはずです。

(イ)は「スマホでエアコンをオンにしたら、エアコンからオンになったよという返事が帰ってきて表示される。」といった、「リモコンに対するフィードバックの表示」です。
(ロ) は「動作保証試験の実施及び使用者への注意喚起」を取扱説明書に掲載する…動作保証試験って何ですか?使用者への注意喚起って、取扱説明書はそもそも注意すべきことがいっぱい書いてあるんですよ。何を注意喚起するんでしょう、全然書いてありません。

しかも、「次に掲げるいずれかの対策」をすれば良いと書いてあるんです。
全然違うことなんですから両方やらなければじゃないんでしょうか。
リモコンに対するフィードバックがあったら取説に注意書きをしないで良いということなんですか?

●文字表現

…なぜ、「~にあっては」というのに「~にあつては」という表記を使用しているのでしょうね?
経済産業省の中にはもしかしたらまだ明治時代の人がいらっしゃるのでしょうか?

■リンク

最後にやはりもう一度リンクを貼っておきます。
経済産業省>消費者政策>製品安全ガイド>電気用品安全法のページ>(3)解釈・Q&A

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku.htm
電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の一部改正について(20130424商局第1号)
http:www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/kaiseibun20130510.pdf

◆電気用品安全法

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/topics.html


【わかりやすいマニュアルの作り方】第197回 電気用品安全法(電安法)の解釈を見直し

2013年5月1日 水曜日

今回はタイトルこそ「取扱説明書のつくり方」ですけれども、どちらかというと取扱説明書業界の小ネタの話です。今週は「ヤクザ式の発想をする人と交渉する話」といったことでも書こうかと思ったのですが、さすがにそれはあまりにも本ブログとネタとしての方向が違いすぎるため、この件は次回にしておき、電気安全法についての話にしようと思いました。

■電気用品安全法(電安法)の解釈

テクニカルライターとしての仕事関連でウォッチしている内容を書いてみます。 電気用品安全法(電安法)の解釈を見直すということで今年の年初に記事が掲載されていたのですが、今週(2013年5月)あたりに通商産業省での見直しの結果が出るということです。
「安全上の理由」から、スマートフォンなどを使って、家電を遠隔操作をするという事は今までは一切できませんでした。インターネット上にある記事などで調べると、パナソニックやダイキンなどのエアコンで、外からオンにする機能を搭載しようと試みたものがいくつかあるようですが、経済産業省の横槍が入って商品化ができなかったようです。

■システムとしての操作はOK?

記事を読んでも今一つ理解できなかったこととして、エアコンを全体のシステムとしてであれば、外からリモートコントロール操作をすることが可能であるにもかかわらず、なぜか今までは「単体のエアコン」と言う家電は、外からリモートコントロールすることが法規的に許されていませんでした。
今回の改正では、このあたりの解釈が変更されるということのようです。もちろん最初に変更されて、スマホ対応エアコンだとかいったものが最初に出てくる言う事は間違いないとは思いますが、影響はそれだけには全く止まりません。今まで以許されていなかった、スマホをリモコンとして家電を操作するといった事が許されるという事は今までの家電の操作性が根本的に変わる可能性がある、という事なのです。

■ユーザーインターフェースとメーカーの自己責任

使いやすくなるという事は良い事なのですが、その代わりにそれまでその操作体系が誰も使ったことがないものである可能性があります。また、何らかの問題が起きると、これらに関することは事業者の自己責任になるというあたりも一層徹底されると思います。
そういったことも含めて、このサイト(電気用品安全法のページ)はウォッチしていくつもりです。

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku.htm

 


【わかりやすいマニュアルの作り方】第194回取説取扱説明書はサポートに必要です

2013年4月9日 火曜日

さて、前回は「ユーザーサポートが必要だ」というコンセプトについて書きました。
老人や子供、組み立てが必要な説明などにはどんなにしてもユーザーサポートが必須である商品というものが存在します。
ユーザーサポートは、「商品の使い方」について説明するものです。
ですから、「この商品をどう使えばいいか」ということが説明できることが必要なわけです。これは、具体的な使い方だけではなくコンセプトといったことも含むということに、ご注意ください。

■コンセプトについて書く
コンセプトというのは商品の目的です。加熱の道具であるとしたら、それは暖房器具であるのか調理器具であるのか、といったことです。
取扱説明書を書いたことがない人から見ると、すごく馬鹿馬鹿しい事のように思われるかもしれません。
ではユーザーサポートの電話の担当者に、聞いてみてください。
「商品の目的がわかってないお客様からの変な電話ってどれくらいあります?」
驚くほどの比率で「変な電話」が含まれているということを教えてくれると思います。例えばキャンプ調理用のワンバーナーを、寒いからテントの中でちょっと暖房用に使うと言ったぐらいのことだったら、使い方として根本的に間違っているいうことは言うまでもなくわかるとしても、ものすごくよくありそうな話だとは思いませんか?
現代は、こんなバカバカしいことでも書いてないといけないと言われる残念な事態になっています。できれば書きたくないことではありますが、法律的にクレームをつけられる(「だって暖房用として使用していけないとは書いてなかった」など)可能性だってあるのです。
別に逃げ口上を書けと言っているわけではありません。当たり前のことでも、目的外使用を禁止するといった事は何かしら書いておかなければならないと言うように、なってきています。でも、禁止事項としてではなく、「この商品は何をするためのものか」というようにお客様に積極的に説明していく、という書き方をした方が良いと思われます。

■使う人のことを考えて書く
前回の終わりに書きましたが、「老人が使う場合」「子供が使う場合」あるいは「技術者が使う場合」といったときには全く異なった書き方をする必要があります。
もちろん、視力のことを考えて、字の大きさをコントロールするといった技術的な話もありますが、それ以上に読む人が、どういう文化的背景を持っているかといったことを考えて書く必要があるのです。
僕の知り合いに、化粧品会社に勤めている人がいます。彼女の説明する化粧水について、僕は説明を聞いてもまったく理解できませんでした。しかし、妻であればおそらく理解できたんだろうと思います。実際そんなに難しい説明して押していたようには聞こえなかったのですが、それでも自分には理解するための文化的背景というか基礎知識が足りなかったので全くわからなかったのです。
これと同じことが、どんな商品でも起こりえます。
そしてわからないとユーザーサポートに電話がかかってくるのです。さらに取扱説明書の内容が悪いと、お客様がその商品で何の操作をしているかといったことが説明できなくなってしまいます。そしてユーザーサポートの手間がさらにかかるようになってしまうのです。
例えば、コンピューターの技術者向けの製品であれば、簡潔に短い文章を使って自律的な説明で書いた方が理解されるでしょう。ただその製品はたとえ同じ製品であってもそのコンセプトが、一般消費者向けであれば全く違う内容で書くべきだということになるのです。
ここが違っていると、目的に全く合わない取扱説明書ができることになります。
ですから取扱説明書を作るときには、誰に向けてどんな商品を作るのかといった取材が必要になってくるのです商品の調査だけでは取扱説明書ができないと言うのはそういう事を指しているのです

今回はこの辺までにしようと思います。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第192回 何でプロに頼まないのですか

2013年2月5日 火曜日

販促物の印刷物やウェブサイトのデザインは多くの場合は、デザイナーにデザインを依頼するようになりました。
しかし、ライティングや編集についてはプロに依頼しないで、技術者が担当してしまうということがしばしばあります。
実は取節屋を始めてから、いつも疑問に思うことがあります。
簡単に言うと取扱説明書を制作するときに、デザインについてはプロに依頼しているのに、なぜ、ライティングや編集については技術者が担当してプロに依頼しないのでしょうか?

実際のところ、見てすぐにわかるクオリティやコストの差をプロのライター・エディターの方が打ち出せていない、ということでしょうか……。

■コストとパフォーマンス
コストについては前回書きましたが、あまり大きな差とはいえません。しかも、何回か実行して初めて差が出てくるといった性格をしています。
正直に言うと一回だけは少しコストがかかるかもしれませんし。かし同じような製品のシリーズを作る場合は、前回の製品の構成などは多くの場合その後も流用して使えます。
ですから、大概の場合は「予定してきちんと原稿を作った場合」の方が、「アマチュアの技術者に原稿を作らせる」よりもきちんとして、かつ低コストで原稿があがるのです。

それがどうしてか、というのは、これまでにも何回か述べてきました。
当たり前ですが、技術者は本来以外の仕事を行って、実用に耐えるレベルを維持します。それに対して、プロは書くことでレベルを維持します。根本的に異なるのです。

こういったことはきちんと管理の下に行った方が、さまざまなコストを下げることができる。
で、それらを私達ライターはまったくアピールできていない。
実は、この点こそが問題なのだが、これから改善できていくでしょうか。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第184回 テクニカルライティング教育

2012年9月25日 火曜日

少しだけ涼しい風が吹くようになってきました。ただ、降るときは凄い勢いで雨が降るので、温かい空気が残っているのだなと感じます。

さすがに35度を越える高温ではエアコンをつけないと生活が不可能なので(仕事をしようにもまったく頭が働きません)その分だけは助かったと言わざるを得ません。

■テクニカルライティングはだれが教える?

さて、今回はテクニカルライティングのやり方をどうやって身につけるか、という話をします。

自分自身は、とても幸運なことに、プログラマーからマニュアルのセクションに異動し、現場でプロの編集者の下にあって丁稚奉公方式で覚えました。
しかし、この方法は、たくさんの人数を教えることができるわけではないので、効率の面ではとても褒められたものではないやり方です。

実は、さきほど国文科出身の人にちょっと尋ねてみました。

「国文科では『わかりやすい説明』とか『技術文書の書き方』とかの教育って、どこかでやっている?」

「うーん、ないと思う」

「え?、ないの?」

「うん、でも他にどこで教えるかというと…えーと」

結局、技術文書の書き方については、大学のレポートや論文の指導か、ビジネススクールのレポートの書き方・プレゼンテーションのやり方といったところでしか指導をしていないんじゃないか、という結論に落ち着いた。

逆に言えば、技術文書を書くエンジニアのほとんどは書き方を習う機会がまったくないということである。

■書き方を身につける

とはいえ、業務では説明文書や技術文書は内容を理解しているエンジニアが書かなければなりません。よほど人数に余裕があって、専門職を当てられるというところでもあれば別ですが、あいにくそんなところはいまのところ見たことがありません。

では、どうしたらよいでしょうか。

普通の場合、以下のような解決方法を選択することになります。

  1. 今までやってきた技術文書の書き方を踏襲する
  2. テンプレートを制定して、それに従う
  3. プレゼン用の資料の作り方で説明資料も作成する

…etc

もちろん、プレゼンテーション用のPowerPointで制作するにしろ、あらかじめ定めたテンプレートを使用して制作するにしろ、元のベースとなるものがしっかりとしていれば、少なくとも元のエンジニアが制作したものよりは(見せるためのものという意思が入っているだけ)良い物になっているでしょう。

とはいえ、それでカバーできるのは1セクション内の構成までです。
全体の構成や、説明図をどう入れるか、あるいは説明図・表の作成方法というのは誰にも教えられないままの状態で変わりませんから、全体としての読みやすさはあまり向上しないということになります。

とはいえ、テンプレートを使用して、ワードでヘッダ・フッタを付けたり、章題を付けたりするようになると、それぞれの中身に対する理解がしゆすいものになるため、効果がないわけではありません。

ただ、全体を通しての改善には、全体を見通す編集や、そういった業務を経験したことがある人の方が望ましいのは言うまでもありません。

ただ、現在は、そういったことを教えるしくみ、教育システムができていません。
これは、理系と文系をつなく大切なところだと私は考えています。
こういった教育についてもこれから考えていきたいと思います。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第182回またまた名前をつける

2012年9月4日 火曜日

先週末にようやく雨が降って、少しだけ暑さが緩みました。
といっても35度ではなく、31度程度になるのを「涼しい」と感じるのでは暑さに関する感覚がおかしくなってしまったいうべきなのでしょう。
地球温暖化なのか、それても米の作柄がよいことを喜ぶべきなのか。
自分には自然のことははかりしれません。

■同じような作業がたくさんある…

先日、作業マニュアルの文書化のお手伝いを頼まれて、アドバイスしました。
記されている作業自体は、難しいというよりも、似たような手順が何度も繰り返されて、確認や承認などで回るといったものでした。

問題は、自分の書いているところがどこの内容なのか、すぐにわからなくなることでした。

たとえば、「承認」という作業があるとします。
しかし、この作業はどこの作業なのかすぐにわからなくなります。
なぜでしょうか。
当然ながら、いくつもの作業のいくつもの段階で「承認」という作業があるからです。

「これはグループリーダー承認なのか」「係長承認なのか」「社長承認なのか」わからないと、上のレベルに戻って自分のいる場所を確認する必要があります。
そして、その上のレベルに行くと、今度は現在の作業の戻る先を見失ったりして、ものすごくわかりにくくなっているのでした。

■それぞれにユニークな名前を付ける

では、どうすればよいか。
それぞれにユニークな名前を付けて、見出しのレベルを見直しました。
こうすることによって、自分の読んでいるところがどこかがわからなくなるということがないようになりました。

実際に原稿を見直すと、同じ処理名の作業がいくつかあり、それぞれの作業が他の作業の下のレベルに属していたりすることが数多くありました。
また、作業の例を示すときに、作業自体の説明とかぶってしまい、見出しレベルが混乱したり、レベルが5とか6といった深いレベルとなって管理できなくなったりしていました。
こういうときも名前を付けることで、それぞれ「独立した作業」とわかりやすく示すことができるようになり、見出しレベルの操作にも役立つことが出来たのでした。

名前が長くなると、取扱説明書制作時には操作しにくくなるように感じますが、それはかならずしも事実ではありません。適切な命名は取扱説明書の扱いをわかりやすくするのです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第178回 実用品の取扱説明書

2012年7月31日 火曜日

暑いです。もう言ってもどうにもならないです。まして、我が社は東京で最も暑いと言われる「練馬」の気温観測地点からほど近いところにオフィスがあるため、暑さもひとしおです。

あまりら最高気温を「練馬」観測所が記録するので、江古田の武蔵構内から石神井の方に観測所自体が逃げるという事態となるみたいです。

■取扱説明書のことが記事に…

珍しく、取扱説明書のことがWebの記事に取り上げられていました。

時事ネタで、すぐ古くなってしまいますので、件名は書きませんが、「ああ、あれか」と推測して頂ければ結構です。

さて。メディアに取扱説明書が取り上げられるのは、残念なことにそのほぼ全てが「不備がある」場合です。

今回も必須のアクティベーションができないといったトラブルが相次ぎ、パニックを起こすとさらにあせった操作を行ってしまい、被害を拡大させてい行くという典型的な事例のように記事では読めました。

これで、取扱説明書がいけないと言われたとしたら制作した人がかわいそうだなと自分なんかは考えますが、たぶん、制作を指示した人は「通信ができない」「起動できない」「日本語が表示できない」といった極めて基本的なトラブルは想像の外だったのでしょう。その結果としてこういったトラブルに対して「プリインストールされたヘルプ」や「問い合わせ窓口」で対応する羽目になったのですから、サポート要員の人こそご苦労様です。

■取扱説明書にはオンラインで説明できない内容を書く

見出しに対策をすでに書いていますが、オンラインヘルプと同じ内容を書いてもお客様には見て頂けません。

電源関連、安全関連、オフラインでの操作、接続に関すること。

こういったことは、オンラインヘルプにおいてはいけません。理由は、これらのことでトラブルが発生した場合、どれもオンラインヘルプを見ることができないためです。

取扱説明書にはカッコいいとかクールといった見方があるのも知っています。自分の制作する取扱説明書ではできるだけ対応させて頂こうと考えています。

しかし、それでもなお。取扱説明書やパッケージは、本体注意書きは実用品なのです。

ヘルプは、ボリュームが大きくなっても検索をかけてその項目に一発で行くことができます。とても便利です。しかし、そのかわり、本体やパソコンが動いていないと見ることもできません。この関連でもっともよくあるのが「電池交換」に関するトラブルです。

「よし、電池換えるぞ」といって、古い電池を外したら、本体の電源が落ちてヘルプが見られなくなって電池交換の手順がわからなくなった…では困ります。取説屋としては、まったく仕事ができていないことになります。

適材適所という言葉があります。

紙のメディアは紙に適したところに、オンラインヘルプはオンラインがふさわしいところに、カッコいいかではなく、実用性を考えて選択すべきなのです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第169回機能の多い製品の取扱説明書

2012年5月15日 火曜日

先日まで寒いと思っていたら、もう暑く感じるようになってきました。
季節の移り変わりは早いものです。

■取り扱い説明書として共通部分

さて、今回はタイトルの通り多機能製品の取り扱い説明書についてです。今回は、電化製品について書きます。

多機能製品の典型例はなんといっても携帯電話です。スマートフォンになって更に機能が増えて、とうとうメーカーではすべてのソフトウェアの取扱説明書を、紙で提供するのを諦めてしまっているところすらあります。

また、さまざまな製品が多機能化を進めているため、電化製品のほとんどは、むしろ、多機能製品ばかり、といったほうが正しい状態になっています。

しかし、多機能な製品であっても、ごく一部の、ソーラーで動く製品を除けばほとんどの製品は電池のセット、充電、あるいは電源を接続して動かすことが必要です。
そうすると、充電する、電池を装着する、あるいは電源を接続するといった操作は(電化製品の場合)必ず必要となります。

さらに、「メインスイッチをオフにする」操作についても必ず説明が必要です。この点についてはサーバーやルーターなど特殊な用途の機器については一部例外がありますが、むしろそういった機器の方が、万一の時の、電源を掘りする手順、もしくはすべてをリセットする手順が、大変重要な場合があります。

そして、これらの機能は電化製品である以上、基本的で、かつ、最も大切な機能だといえるのです。
したがって、この部分だけ別冊にしたり、別立ての章を設けてでも、誤解を生じないように、分かりやすく説明する必要があるのです。

■多機能部分の取り扱い説明書

それに対して、通信や録画といった機能は非常に数が多くあります。
こうした場合に、それぞれの機能を平等に並べてしまうと、とても使いにくい取扱説明書になります。
たとえば極端なことを言うと、電話をかける機能と、ゲームをプレイする機能が同じレベルで記述されていたらどうでしょう。言うまでもなく、論外だと思います。

当然、それぞれの機能には重みをつけて、「この機能は大きく扱う」「これとこれとこの機能はひとつにまとめて●●機能の下にまとめよう」といったことを決めなければなりません。

最初に機能の多い電化製品の例として携帯電話をあげましたが、機能の多いのは携帯電話には限りません。例えば電子レンジや、炊飯器、ホームベーカリーなどの取扱説明書を見ても非常に機能が多くなっていることは明らかです。一部のデザイン性を高める目的であえて機能を絞った製品以外は、ほとんんどがデジタルによる制御ができるようになった分、多機能化していることは間違いないでしょう。

さて、こういった多機能部分というのは、それぞれの機能の重要性はあまり高くないのが普通です。

もともとあった機能を温度制御したり、ソフトウェアを動かすことによって機能を追加しています。つまりこのソフトウェアで制御される部分については、すべて同じ重さとして並列的(パラレル)にレベルを下げて列記してやれば済みます。

それに対して先ほど書いた、電気部分の基本的なところやメンテナンスなどにかかわるところはシーケンシャルに作業を行わなければならない部分です。書き方の根本が異なっているのです。

こういったところどうやって見分けるか、またその結果をどのように取扱説明書に反映させるかといったことは、制作者の経験と腕次第ということになってきますが…

少なくとも機能があるからといって、それぞれの機能の重さは同じではないということです。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


【わかりやすいマニュアルの作り方】第168回名前を付けよう

2012年5月8日 火曜日

先日まで寒いと思っていたのが急に暑く感じるようになりました。

季節の移り変わりは早いものです。もう、ゴールデンウイークも、あっという間に過ぎ去ってしまいました。

■名前を付ける

名前を付けるといっても、子供に名前を付けるとか、製品名を付けるといったことではありません。製品名や記号は製品を販売する以上当たり前のこと、として考えています。

もっとも弊社が取り扱った取扱説明書の中でも、いくつかの製品には製品名や、形式番号が付けられていないというものがありました。こうした製品ではたいへん原稿が書きにくく感じたものです。

以前にも書きましたが、作っている人と、使う人とでは、製品に対する意識が大幅に違います。使う人はそのその製品を初めて見て、なんだかわからないままに、自分の過去の経験から類推します。

その想像が当たっていればよいのですが、間違っていると全く訳のわからないものとなります。
例えば、放熱用の羽根が付いていたとします。その羽根を持ち運び用の取っ手と勘違いしたら、どうなるでしょう。持ち運んでいると、強度不足で折れる可能性があります。 また、放熱用として風のよく当たるところに羽根が置かれず、期待する放熱効果が得られない可能性があります。結果として製品がオーバーヒートを起こすかもしれません。

こうした場合に、取扱説明書のわかりやすいところに(通常は、「各部の名称」として取扱説明書の、最初のページ)に「放熱用ウイング」という名称が記載されていれば、こうしたことは防ぐことができるのです。

■ソフトウエアの画面名称

実は、製品がハードウェアである場合は、まだこういったことは起こりにくいといえます。最も問題が起こりやすいのは、設定画面がたくさんある、ソフトウエアの場合です。

ソフトウエアを制作している人は、自分がどこの設定を行っているのか熟知していますから、「設定」画面が6つあっても困りません。まあ名前がないのは困るだろうということで「設定1」「設定2」「設定3」といったアバウトな名称が付けられている場合すらあります。

こうした場合は、ソフトウエアの画面に従う、というのが取扱説明書を制作する場合の原則ではありますが、あえて独自の画面の名称を付けてといったやり方もあります。

「基本設定画面」(設定1)、「通信設定画面」(設定2)、「画面設定画面」(設定3)などのように機能に従って名称を付けてしまうのです。もしかすると、その名称は誤りだ、というクレームが付けくかもしれません。そのときはあきらめて修正しましょう。しかしそれだけはっきりしたクレームが付けくことは、名称がはっきりしている、つまり機能がはっきりしていることなので喜ぶべきことだとはいえます。逆に言うとまずそんなクレームが付けくことはありません。

また、プロでない人が書いたヘルプや説明には、しばしば「その画面で」とか「この画面で」といった説明を見ることがあります。
その直前の操作によってその画面に遷移した結果の画面が表示されている場合が多いのですが、ユーザーは、必ずしも継続的に操作を行っているとは、限らないということがあります。
もしかしたら、操作の途中で御手洗いに立ったり、コーヒーを飲みに行ったり、電話に出たりするかもしれません。

そうすると、「この画面って何だったっけ?」ということになってしまうかもしれないのです。
これを防ぐには、「この画面」と書かずに、「通信設定の2枚目の画面で」と書けば良いだけです。

細かいようですが、きちっと名前を付けて、その名前で呼ぶことは、お客様の操作ミスを防ぐうえで、大変に重要な役割を持ちます。

今回はこんなところで…

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所