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【わかりやすいマニュアルの作り方】第205回 取扱説明書の立場は?

2013年9月4日 水曜日

取扱説明書は、商品についてるものだと思っている人がほとんどです。

実際のところ、事実上そうなんですけれども、商品についている取扱説明書は取扱説明書としてレベルに達していない物なんかも非常に多いというのが実は現実です。

メーカーさんとしては取扱説明書にコストをかけても、ただコストがかかるだけと思っている場合がほとんどのようです。
でも、それは間違いだという事を説明していかないと、「取扱説明書を作る」なんていうことを商売として売り込んでことができないのだなと最近痛感しています。

取扱説明書の立場はいくつかあります。
●1つめは、お客様が初めて商品を扱うときに必要な文書です。
●2つ目は、技術文書としての最下流に位置する文書です。
●3つ目は、広報・ユーザーサポート・広告の資料として使える文書です。

今までの取扱説明書は1つ目と2つ目の立場でしか説明されてきませんでした。
この2つだけでは、まあ確かにコストをかけても、たしかにお金がかかる以外の効果がなさそうに見えます。

しかし、今は昔と違って印刷メディアだけの時代ではなくなっています。作成した取扱説明書は、サイトを使ったりして公開することもできるようになっているのです。

そして、つい最近、取扱説明書を改善すると具体的な善い事も起こる、という話をある場所で伺ったのです。
詳しく書くことはできませんが…通販会社の商品の取り扱い説明書を改善したら、オペレーターにかかってくるその商品に関する質問が激減した、はっきり言えばほぼゼロになったというお話を伺いました。

これってすごいことじゃありませんか?
オペレーターが楽になるという事は、同時に売った後の商品の評判も良くなっているということです。そして、よい取扱説明書であれば問い合わせを受けたオペレーターさんのほうも回答するのが、楽になるのです。
取扱説明書ツールとして使えば、営業にも使うことができるということです。地味に使いやすいかどうかを説明するというためには、取扱説明書をサイトに公開しておくといった方法も使えます。

本来、サイトに取扱説明書を公開するということは、ユーザーサポートのためというのが目的でした。
しかし実際にはそれ以外に買う前に取扱説明書を見ておこう、買うための判断の材料としようといった方法でも使われるのです…というかこの方法は実際にうちの妻がやっていました。

長くなってしまったので次回に続きます。


【わかりやすいマニュアルの作り方】第157回取扱説明書は公開しよう

2012年1月31日 火曜日

寒いですね。

いまが一番寒い時期ですから仕方ないですが、それにしても雪がなかなかとけません。
うちではバイクを使っているのですが、結構広い範囲の駐車場の雪が溶けずにそのまま凍り、出口がふさがれてしまいました。
雪がなくなって安全にバイクを出せるようになるまで、ほぼ一週間かかりました。

■取扱説明書はどんなときに使う?

今回は取扱説明書の公開についての話です。
ちなみに、メーカーさんで取扱説明書を制作している場合を想定しています。

さて、まず根本的な話から。
取扱説明書はどんな時に使いますか?
そうです。買った直後と、しばらく使っていて使い方がわからなくなったり、トラブルが起きたときですね。
購入直後は公開していても、あまり見ることはないでしょう。なぜなら紙で印刷された取扱説明書が手元にあるからです。
では、2年くらい使用した後に使い方がわからないことが出てきたらどうでしょうか。

たしかに、取扱説明書には「この取扱説明書はいつでも参照できるように大切に保管して下さい」と書いてあります。自分もそう書いています。
ですが、実際にはどうでしょうか。
「速攻で取扱説明書は捨ててしまう」という人はさすがに少数派だとしても、「外箱の中に入れっぱなしで押し入れのどこかにしまった」「どこにあるか忘れた」といった人がかなりの割合を占めるのではないでしょうか。
あ、これは決して自分の体験談ではありません。ただの一例です。念のため。

こうしたときに、Webで公開してあれば、少なくとも検索できるユーザーは見つけることができます。
また、トラブルの場合にしてもたとえば「停電によって時計がリセットされて12:00になってしまった」「電池の交換方法が分からない」程度のこと、リセットしたり再設定したりすればすむことであれば、ユーザーが自分で時計を再設定すればすみます。うまくいくと、ユーザーサポートにかかってくる電話がわずかではあるかもしれませんが、減るかもしれのせん。
もっとも、減ったとしても「かけるのを止めた」件数は調査する方法がないので、どれだけ減ったのかは定量化した調査は難しいと思いますが。

■公開した取扱説明書のもうひとつの使い道

実は、公開した取扱説明書の使い道はもうひとつあります。
「買う前に取扱説明書を見てみる」ということです。
少なくとも、自分と他の知り合いも何人かしています。
宣伝は基本的によいことしか書いてないということは前回書きました。それに対して、取扱説明書には製品に関するすべてのことが書いてあります。
メンテナンスや清掃の方法、消耗部品がある場合(フィルター、ボンベ、電池など)は交換方法と消耗部品の価格や消耗部品の寿命、こんなことは取扱説明書にしか書いてありません。
家電製品の場合、こういった情報は使い勝手に大いに影響します。しかし、広告からはこういった情報を得られるとは限りません。もちろん、店頭に行ってその商品を直接さわり、店員さんに聞けば教えてくれるでしょうが、そうすると、そこで何かを買わなければ悪いような気になってしまいます。
Webで調べようと思ったら、その製品をすでに買った人のユーザーレポートを探すしかなく、見つかる保証はありません。
ですから、自分は買う前に取扱説明書を参照できる方がありがたいです。

そして、もうひとつ。
これは自分がこういった仕事をしているからこその感じ方かもしれませんが、取扱説明書を公開しているメーカーの方が信頼がおけるような…気がします。
第一には、ユーザーサポートをやる気があるかどうかが透けて見えるということ。
もう一つは、取扱説明書には「良いことも悪いことも含めて」書いてありますから、そういうことも含めて公開しても使う人の利便性を優先する会社だと考えられることです。

以上の理由から、弊社としては取扱説明書はできだけWebにて公開(パスワードなど付けない)することをお奨めします。

もちろん、弊社では紙の取扱説明書と同時に公開できる形式のPDFも同時に提供させていただいております。と、宣伝をさせていただいたところで、今週はここまでに。

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所