【わかりやすいマニュアルの作り方】第193回それが取説の問題ですか?

最近の取扱説明書の業界で話題なのは、ブラザー工業のFAXのご注意「猫が製品に乗って繰り返し排尿することで、まれに発火することがあるとし、実際に焼損事故も起きている」というニュースでしょうか。
こんなこと言われてもねぇ、一番取扱説明書や注意書きを読んでほしい猫はちっとも読んでくれないし。
そりゃまぁ、家庭用の設置機器でしかありえない話なので、猫がよく近づいているオーナーは気を付けろといったところなのかもしれないが。

さて。
取扱説明書が実際にメーカーや販売店にとって必要なのはいつか、ということを考える機会がありました。
「ユーザーにとっては」取扱説明書が必要なのは、大概は購入した直後で、「どう使うか」「どう設置するか」を学ぶまでの期間だと思います。
しかし「メーカーや販売店にとって」は別に「購入直後」に取扱説明書が必要なわけではありません。メーカーや販売店にとっては、ユーザーサポートを行わなければいけない時点で、取扱説明書が必要になるのです。

失礼な言い方ですが、仮に「売りっぱなしで、まったく責任を取らないでよいメーカー」というものを考えてみます。
たとえば、非常に強い販売店のプライベートブランドなどではありないとはいえない話でしょう。
そうした場合、メーカーは販売店の指示した仕様の通りに作ることが要求されますが、その要求の中に「取扱説明書」が入っていなかった場合は、製品と一緒に取扱説明書を納入する必要もありません。極端に言えば販売店にユーザーサポートをすべてお願いしてしまうことすら可能なのです。必要なのは、購入時に記載してしなければならない法的記載のみです。
正直、こういうことをすると、メーカーさんには本来あるべきブランドがなくなっていく、ということになるのでまったくお勧めできないのですが…それはともあれ。
メーカーや販売店にとっては、ユーザーサポートが必要でないのであれば、取扱説明書は必要でないということです。
取扱説明書は、製品のブランドとか使い勝手といった評判には強く関わってきますが、購入するかどうかの決め手にはなりにくい、というのが正直なところです。ですから、自社製品を売りたいという会社にのみ自前の取扱説明書制作をおすすめすることになってしまいます。その反面、「売った後のサポートの評判」には取扱説明書が強くからんでいます。
そうは言っても、サポートの必要がない場合に技術者が命令で作らされた取扱説明書が着いてくる場合というのは大変に多いのです。したがって、その出来はというと、実際目を覆うものがあるのですが(申し訳ない、でもページレイアウトとか、章立てのライティングの技術とか、必要なんです)。
では、そういう形のものができてしまったときに、取扱説明書をなんとかすればユーザーサポートが減ってなんとかかるとか思うことがふるかもしれません。

しかし、現実には。
それだけでは、不足です。
ユーザーサポートは必要になるのは「製品のコンセプトから」の場合もあります。
年寄りと子供が買う製品に、とても重くみて組み立てが必要なものを売ると、どんなにしてもサポートは必要になるのです。

今回は長くなってしまったので、ここまでとして次回に続きます。


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