【わかりやすいマニュアルの作り方】第168回名前を付けよう

先日まで寒いと思っていたのが急に暑く感じるようになりました。

季節の移り変わりは早いものです。もう、ゴールデンウイークも、あっという間に過ぎ去ってしまいました。

■名前を付ける

名前を付けるといっても、子供に名前を付けるとか、製品名を付けるといったことではありません。製品名や記号は製品を販売する以上当たり前のこと、として考えています。

もっとも弊社が取り扱った取扱説明書の中でも、いくつかの製品には製品名や、形式番号が付けられていないというものがありました。こうした製品ではたいへん原稿が書きにくく感じたものです。

以前にも書きましたが、作っている人と、使う人とでは、製品に対する意識が大幅に違います。使う人はそのその製品を初めて見て、なんだかわからないままに、自分の過去の経験から類推します。

その想像が当たっていればよいのですが、間違っていると全く訳のわからないものとなります。
例えば、放熱用の羽根が付いていたとします。その羽根を持ち運び用の取っ手と勘違いしたら、どうなるでしょう。持ち運んでいると、強度不足で折れる可能性があります。 また、放熱用として風のよく当たるところに羽根が置かれず、期待する放熱効果が得られない可能性があります。結果として製品がオーバーヒートを起こすかもしれません。

こうした場合に、取扱説明書のわかりやすいところに(通常は、「各部の名称」として取扱説明書の、最初のページ)に「放熱用ウイング」という名称が記載されていれば、こうしたことは防ぐことができるのです。

■ソフトウエアの画面名称

実は、製品がハードウェアである場合は、まだこういったことは起こりにくいといえます。最も問題が起こりやすいのは、設定画面がたくさんある、ソフトウエアの場合です。

ソフトウエアを制作している人は、自分がどこの設定を行っているのか熟知していますから、「設定」画面が6つあっても困りません。まあ名前がないのは困るだろうということで「設定1」「設定2」「設定3」といったアバウトな名称が付けられている場合すらあります。

こうした場合は、ソフトウエアの画面に従う、というのが取扱説明書を制作する場合の原則ではありますが、あえて独自の画面の名称を付けてといったやり方もあります。

「基本設定画面」(設定1)、「通信設定画面」(設定2)、「画面設定画面」(設定3)などのように機能に従って名称を付けてしまうのです。もしかすると、その名称は誤りだ、というクレームが付けくかもしれません。そのときはあきらめて修正しましょう。しかしそれだけはっきりしたクレームが付けくことは、名称がはっきりしている、つまり機能がはっきりしていることなので喜ぶべきことだとはいえます。逆に言うとまずそんなクレームが付けくことはありません。

また、プロでない人が書いたヘルプや説明には、しばしば「その画面で」とか「この画面で」といった説明を見ることがあります。
その直前の操作によってその画面に遷移した結果の画面が表示されている場合が多いのですが、ユーザーは、必ずしも継続的に操作を行っているとは、限らないということがあります。
もしかしたら、操作の途中で御手洗いに立ったり、コーヒーを飲みに行ったり、電話に出たりするかもしれません。

そうすると、「この画面って何だったっけ?」ということになってしまうかもしれないのです。
これを防ぐには、「この画面」と書かずに、「通信設定の2枚目の画面で」と書けば良いだけです。

細かいようですが、きちっと名前を付けて、その名前で呼ぶことは、お客様の操作ミスを防ぐうえで、大変に重要な役割を持ちます。

今回はこんなところで…

マニュアル(取扱説明書)制作の専門家 取説屋:石井ライティング事務所


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