身体道楽日記 その8

迅いぞ! 能の動き<98/04/23>

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ネタが古いのがちょっと恐縮ですが……。
武術をやっている僕から見た「能」という話です。

そのため、美しさとか恐ろしい感覚が迫ってくるとかいった話はすっぱり落ちて、動きの話に終始しています。


■能を見た

観能会にいってきました。
とりあえず、興奮しているそのままを。

とにかく、「能」の動きはぞっとするほど迅かった。
「速い」でも「早い」でも「疾い」でもなくて、「迅い」。

まず、動き出しがわからない。一瞬目を離すと、ワープしたようにするすると別の位置に移動している。
そして、0のタイミングで停止する。行きすぎることも、早めにブレーキをかけて再加速で減点ということもない。ぴたりと、いきなり静止する。
そして、まったく上下動しないで方向転換して、ひとときも止まらない。
これをすべて組み合わせると、いかにそれぞれの動作が緩やかでも、とても「迅い」ことになる。
いかに動きが緩やかに見えても、普通の人が横についていて、ダッシュとかターンを繰返してたとしても、ついていくのがやっとで、息が上がってしまうだろう。いや、僕程度では全力の動きでもついていけない可能性が高い。

さらに、ほとんど目が見えない能面で完全な空間把握をしている。

ほんとうに、すごい。そして、なにより美しい。
眼福であった。

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