両山泊・馬房 限定解除 その2

限定解除の昔話


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なお、ここは完全にCSS対応で書いています。
CSS非対応ブラウザでもきちんと見られることは確認してありますけれども、できるだけ対応したブラウザ(IE4.0以降)を使うことをおすすめします。

限定解除教習記第3回(91/10/10)

 試験場に行った日は記録に残っていないので、よくわからないが、5/7が初試験だから、その3週ぐらい前だろう。
 試験場に行って手続きをする。府中では、プラスチックのクレジットカード状のものを貸与され、それで端末にログオン(というほどのことはない。銀行ぐらいのもの)してオンラインで予約する。便利なのかもしれないが、カードリーダーがやたらにリードエラーを起こす。コンビニのバーコードの方がよっぽどすすんどるぞ。

 ここで2500円を支払う。1回目は、高いと思わなかった。限定解除の試験は、試験料と貸車料の合計である。だれか、試験場仕様の750ccのバイクをもちこんで700円浮かしてみませんか?
 まぁ、試験場の手続きは更新と大差ない。
 さて、5/7の試験である。
 「試験場であがる」とは言われていたものの、実際に経験してみると、想像以上に体が硬くなっている。
 とりあえずは、事前審査である。
 最初は女の子だった。が、彼女はその時点では起こせなかった(あとでもういちどやって成功した)。受験者にざわめきが走る。思うことはみな1つである。
 「タンクに砂が詰まっているのでクソ重いらしい」とか「フレームのチューブに鉛がしこんである」とかいったあやしげなうわさである。
 次の人(男)に代わる。彼は、楽々とクリアした。倒して、起こして、取り回して、スタンドを立てる。たいしたことではない。ただ、力づくでスタンドを上げようとしている人もいて、苦労しているようだった。
 自分の番がきた。やってみるとなんのことはない、普通の750ccである。楽勝だった。  結局、事前審査は、全員合格した。

 そして実技試験である。心臓は、のどから飛び出すんじゃないかと思うほどドキドキ言っている。「一回目で受かるはずはないんだ。練習のつもりでやれ」と自分に言い聞かせるが、まるで無駄だった。
 確認して発進。小回りして、特別課題の一本橋へ。……停止した位置では、一本橋に乗れない。一本橋にごく近い位置で、一本橋に対して斜めに停止してしまったのだ。
 意地で、フロントタイヤは乗せた。(半クラでのれば乗れたかもしれないのだが)そして一瞬で落ちた。40秒ぐらいで試験は終了した。
 みじめだった。ずーんと落ち込んだ。自分に腹が立って仕方がなかった。なんのための練習かと思った。
 だが、それは一回では終わらなかったのである。
 いちいち試験の様子を全部書いてもしかたないので、結果だけを書く。
 
 1.一本橋脱輪  2.スラロームでギア抜け、コース外れ  3.一本橋脱輪  4.クランクでエンスト   5.課題コース中小回りでエンスト 6.5と同様  7.スラロームでギア抜け、エンスト  
 ああっ、書いていて恥ずかしい。いかに半クラが使えないかの証明のようだ。  ギア抜けは、FZX750のギアのペダル位置のせいもあるのだが。(後記:2速で足を載せていると突然ニュートラルに落ちる癖があった)
 5月は連休中に取ろうと甘い考えを持った。
 6,7月頃にはイラついていた。そして、教習所の費用(1時間千円/請負の時間オーバー)と、試験費用を痛いと感じ始めていた。
 8月には、なかばあきらめていた。

 そして、転機がおとずれた。転機は、豪雨のツーリングであった。
 自分でも、どうしたわけなのか理解していないのだが、大雨の中を必死で走ってから、なにかが吹っ切れたらしい。バイクに楽に乗れるようになったのだ。
 8回目、ついに特別課題コースから出る。だが、出た途端に60メーターばかりのところを左折してくるバイクに気付かず、優先判断不良で落ちる。
 だが、クランクまで行き、見通しが立ったのであった。
 ちなみに、この日はなんと道に迷って20分ばかり遅刻したのであった。咄嗟の判断で、「パンクしたので遅れます」と連絡を入れて受験させてもらったのだった。
 9回目。今度は無事にクランクまで通過した。しかし、そこでコースがすっぱり頭から抜け落ちてしまった。次の分岐を左折なのだが、ウインカーを出し忘れた。
 こういう時だけは悪知恵が回る。「よし、このままコースミスにして外周を一周してから入ろう」だが、そうは問屋が下ろさなかった。「○○番、次の坂道を左折してください」いきなりの指示である。タイミング的にも間に合うので、やむなく左折する。
 坂道で停止。このとき気付いていなかったが、ギアは2速に入っていた。
 発進、エンジンがグロロロとうなる。エンジンがストールした。
 府中の坂道は、急なバンク(横の傾斜がある道)でもある。たまらず転倒してしまった。もちろん試験中止であった。

合格のレポート(91/09/17)

 9/17 10回目の受験であった。

午前6時50分自宅を出る

 ついに受験回数が2桁に突入してしまった。強がってはいたものの、僕は少々メゲかかっていた。さすがに、(教習所に通って)この回数だと、いいかげんウンザリしてくる。
 だいたい、僕は朝が苦手なのだ。といっても仕事の都合から午後に受験することもできない。
 眠い。仕方がないので、ウルトラ警備隊のテーマを歌いつつ試験場に向かう。

試験開始まで

 試験開始まで、待合所で眠る。どこででも寝る奴だ。だが、初回の時にはとうていそんなことはできなかっただろう。度胸がついたといえばいえるのかもしれない。
 いつものとおり(『いつも』になってはいけない)受験票を出し、コースに向かう。
 前回転倒して中止になった坂道をウラミをこめてチェックし、コースを再確認する。このへんも、『いつも』の通りだ。
 今日は、受験者が少ない。あとで聞いた話によると44人だそうだ。
 そして、時間が来て試験開始。名前を呼ばれてはFZX750に乗り、コースに出ていく。  僕の順番は、20番目ぐらいだっただろうか。それまでに2人の合格者が出ていた。いつもに比べて多いペースだ。あとで聞いた話によると、休みの次の日の午前中は穴だそうだが、まぁこんな話はあてにならない。
 僕の番が来た。

試験

 あいかわらず、鼓動が早くなる。10回も来ているというのに、いまだに緊張するのだ。
 通常の手順にしたがって、発進。特別課題コースへ。
 一本橋、9.6秒。まぁ、いいだろう。
 波状路…クリア。スラローム…クリア。
 法規のコースへ出る。ここの出口は、きちっと本当に確認しておかないと、50メートル以上向こうのバイクに気付かず発進したりしても優先妨害で、アウトだ。
 踏切…クランク…S字…制動。
 とりあえず、大きなミスはない。直線では、2速全開をくれているから、メリハリも大丈夫なはず。
 制動終了。呼ばれない。変だ。「やりなおし」も「開始地点へ戻って」もない。
 半信半疑のまま、坂道へ。ちょっと緊張する。前回転倒したところだ。
 確実に1速にまでダウンして、止まる。これで大丈夫だ。
 ちなみに、府中では坂道発進で、かつ強い左カーブなので、エンストは転倒につながるのであった。
 ちょっとフラついたが、無事発進。外周へ。
 全開。回避。ポンピング・ブレーキ。
 左折。全開。信号停止。確認して再発進。後方確認後、右折のための進路変更。右折。
 全開。最後の回避。進路変更して右折。
 ここまではよかった。しかし。
 最後の発着所へは右折である。だが進路変更を忘れて、左車線にいる!
 パニックを起こしかかった。だが、右ウインカーはついている。今更左折にはできない。ままよ、とばかりそのまま右折する。
 そして、停止。初完走である。このとき、あせっていたため、ニュートラルに入れずにエンジンを停止してしまった。もはや、落ちたものと思い込んでいた。

講評

 試験官の前に立った。実は最後の大失敗であきらめていた。
 「君、練習はどこでしましたか?」
 ギョッとした。こ……この質問は。ふ、普通合格者にするものでは?
 「はいっ。とっ都民で50時間ほど(実は60だった(^_^;))」
 「そうか、やっぱりな」と、おもむろに緑色の紙を箱から出す。
 ちなみに、緑色の紙を渡される、というのは『はい、次回がんばってね』なのだ。  「君は余計な動作が多すぎるんだよ」
 気分はすでにまっくろである。
 「確認するにしても、見なくてもよい方まで見て、おまけに動作が大きすぎる。まるでロボットのようだ。都民で習ってきた人はみんなこうだ」
 あれ?へんだな。
 「それに坂道ではふらついただろう」
 「全体にメリハリがついているのはいいが、わざとらしすぎる。あんまり極端に違うんだよな」
 最後の進路変更ミスを言われない。(よくあることだが)最後は見てなかったのかな。出してある採点票を見ると、そこにはチェックがされていない!
 「うーん、まぁいいだろう」
 試験官はおもむろにもうひとつの箱を開けて黄色い小冊子を取り出した。
 合格である。
 「習ったとおりにやっていて、悪くはないんだがね」
 「きっと君はまじめなのだろう」
 ジョーダンではないですよ。わたしゃあフマジメで通っているんだから。
 でも、そんなことはここでは口が裂けても言えない。とにかく合格なのだ。

手続きまで

 冊子をもらって待合所に戻る。拍手を受けて思わずガッツポーズを取る。
 苦節9ヶ月である。うれしくてしかたがない。
 試験場の建物に戻る途中でもほとんど跳ねるように早足で歩き、さらに喜びがこみあげてきたので、再び拳を振り上げて「キャッホウ」と騒ぐ。
 ちなみに、後で聞いた話では、ちょうど前の受験者を追い越したところだったそうで、イヤミと取られても不思議はなかったそうだ。もっとも、あの様子を見てイヤミと取れる人は少なかろう。ついでに書くと、そんな派手な喜び方をしたバカは僕一人で、後の受験者に非常に受けていたそうだ。
 「合格したときのポーズまで考えてなかったからなー」とか「あそこまではできなかった」とか言われたが、なんせ本人が何も考えないでやっているのである。考えてたらあんなこたぁできませんぜ(^_^)。

 12時位まで待合室で待つ。結局この午前中には44人中6人、13%という高い合格率であった。たぶん、試験官がやさしかったのだろう。

 待つうちに、試験官の警察官が出てくる。過去の違反のデータなどを見て、いろいろ言った後、誰かが「私の得点は?」と質問した。
 「この試験はそういうものではありません」警察官は意外な答えをした。
 「ここで何点、ここで何点落としたからといって(合否が)決まるのではないのです」
 「もちろん、特別課題で落ちてしまう場合などは別として、ある基準まで達しているかどうかを見ているのです」
 「ある基準まで、技能が達しているか、もしくはそのために十分な練習をしていることがわかるか、がポイントです」
 「たとえば、高校生などでしたら、パーフェクトにできないと合格しませんが、ある程度の経験と年齢があれば、基準は多少ゆるくなります」
 ちなみに、「不公平だ」という声があると困るのでおおっぴらな話ではないという。したがって、この話もそーいう話だよ、ということにしておく。
 だが、実態にあった話だと思う。

 そして、免許証を渡し、ハンコをおしてもらう。これで、ようやく公道で大型バイクに乗れるのだ。
 ああ、東京モーターシヨウが楽しみだ。

合格報告

 私、「両」こと石井 宏治は、本日17日の午前中の試験に合格し、中型限定の条件の解除を果たしたことを謹んで御報告いたします。
 つきましては、貴重なアドバイスおよび、御声援を頂いた皆様にお礼を申し上げます。

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